スターバックスコーヒー47 JIMOTOフラペチーノを全て飲むために47都道府県のスタバに行ってきた_PR

スターバックスコーヒー(スタバ)の47JIMOTOフラペチーノを全部飲んできました。47都道府県それぞれの地元ならではのフラペチーノを地元のバリスタが考案し、それぞれの地域限定で販売するスターバックス25周年記念企画です。

※この取材は東京都の緊急事態宣言が解除されたのち、十分な感染対策を施したうえで取材先の感染状況に十分配慮しながら実施いたしました。
※この記事は株式会社おくりバントの提供でお送りいたします。

1日目 6:00 鹿児島県鹿児島市 鹿児島中央駅

 

梅雨の真っ只中でありながら見事に快晴な鹿児島よりこんにちは。青い空がとても気持ち良く、早朝の雰囲気と相まってとても爽やかな気分です。

 

さて、九州の南の端である鹿児島、その鹿児島に朝の6時という早朝から仁王立ちしている僕。なぜこんな事態になっているのか、まずはその理由を説明する必要があるかと思います。

 

あれは数日前の出来事でした。ネット上に衝撃的ニュースが舞い込んできたのです。

 

スターバックスコーヒー、25年の感謝とともに。JIMOTOへの想いをこめたフラペチーノ

これは6月30日~8月3日までの期間限定で、日本国内に広く展開するコーヒーチェーンのスターバックスコーヒーが25周年記念企画として展開したもので、47都道府県それぞれの地元ならではのフラペチーノを地元のバリスタが考案し、それぞれの地域限定で販売しよう、という壮大なものです。明らかにスケールがでかい企画だ。

 

つまり、その地方のご当地フラペチーノを賞味したいのならばその地方に行かねばならない、それが47種類ある。そんな豪気な企画なのです。

 

このニュースに触れた時、47都道府県で同時に地域限定メニューを出すってめちゃくちゃ面白いなと思ったのです。これ、全てを飲みつくしてみたい。そう思ったのです。そもそも僕はあまりスタバに行ったことがありません。もちろんフラペチーノも飲んだことがありません。それでもこの企画がとても魅力的に思えたのです。

 

ただし、47都道府県を訪れる、それだけでも途方もない労力と経費、時間がかかるだろうことは想像に難くありません。とてもじゃないが金銭的にも体力的にも、気力的にもやりきれるとは思えません。それくらい47都道府県ってやつはスケールが大きい。そこでこんな呟きをしたのです。

 

 

とりあえず、原稿料はいらんから経費だけでもどこかが出してくれればやるよ、ツイッターでそう呼びかけました。これには打算的な側面がありました。やはりどのメディアから見ても、この「47都道府県でフラペチーノ」企画は異常に経費がかかりすぎるわけです。絶対にペイしないから赤字になる、だから手を挙げるメディアはいない、という打算がありました。

 

つまり、やりたかったけどさすがに載せてくれるメディアがないからさー、いやー残念無念、みたいにお茶を濁そうと考えていたのです。やりたいけど無理でしたわ、その責任を「やる気のないメディアたち」に押し付けて、日本のウェブメディアもまだまだですわ、くらいは言ってやろうと考えていました。

 

けれどもツイートした瞬間にバシバシと複数のメディアから手が挙がり、赤字上等、とにかく行ってこいやみたいな状態になってしまいました。とんでもないことですよ。嘘でしょ、そんな手を挙げられたら行かなきゃならないじゃん。誰が行くの? え? 僕? とまあ完全に自業自得なのですけど、僕の邪(よこしま)な企みを見事に阻止されてしまったわけなのです。

 

そしてこの企画に手を挙げてくれたのが株式会社おくりバントという会社です。WEBの広告企画等を担う会社で、しっかりした会社だとホームページを見ると、プレスリリースに釣りの結果などが平然と載っているので、まあ狂った会社ですよ。

他にも調べてみると、ますますもって訳が分からない会社です。

unipoという転職サービスのホームページ作成やウェブ動画などを請け負っているらしい。めちゃくちゃアクの強いホームページ作ってるな。

FANZA WEBムービー TISSUE STORY みたいなめちゃくちゃかっこいい動画も手掛けているらしい。

男たちの美容外科のCMを手掛けていてそれがけっこう狂っていたりとまあ、かなりカオスな会社のようです。どんな人が社長なのかと調べてみたら、こんな人が出てきました。

 

社長のアクが強すぎだろ。

なんなんだこの会社、と驚くのですが、この異常な旅を支えてくれるのはこういう会社しかありえないのかもしれません。ってか調べてみたらこのSPOTを運営するアドウェイズの子会社じゃねえか。よその会社はすげえクセがつええなあって思っていたら身内じゃねえか。

ということ、そんな事情もあってやるしかなくなったわけで、47都道府県の地元フラペチーノを制覇すべく、そのスタート地点である鹿児島市へとやってきたわけです。

目次

1日目

文字通り鹿児島市の中心となるターミナル駅である鹿児島中央駅、新幹線の南の終着駅であり、鹿児島県内の各地へと向かう鉄道と、市内を走る路面電車が集約されています。駅周辺は再開発が進んでおり、僕自身も年に何度か訪れていますが、そのたびに新しい商業施設がオープンしている状況で、とても活気のある場所です。

 

駅の建物と駅前商業施設であるアミュプラザ鹿児島の間には立派な屋根が備えられたオープンスペースがあり、いつもここで何らかの催しが行われています。まだ早朝なので全く動いていないのですが、地元グルメのイベントが行われているようです。左端のおばさんも興味深げに案内を熟読している。

 

さて、このイベントスペースのかなり奥まった場所、なかなか分かりづらい場所に鹿児島中央駅のスターバックスがあります。

 

時間は朝の6時30分、鹿児島中央駅店の営業開始は7時かららしいのでまだ開店前です。店内には店員さんがいて開店準備をしているようですが、なぜか黒い幕が掲げられ中途半端に目隠しがなされています。ダラーンと中途半端に垂れ下がっているので、これ、ないほうがいいんじゃないかと思うほどです。

 

鹿児島 スターバックス鹿児島中央駅店

 

さすがに黒い幕がダラーンじゃかっこ悪いので、商業施設の通路側から店舗を撮影しました。

 

30分ほど入り口で仁王立ちして開店待ちをしていると、いよいよ中途半端な黒い幕が除去され、いそいそと看板の準備が始まり、ついに開店となりました。

 

店先にはしっかりと47JIMOTOフラペチーノのポスターが掲示されていました。いっぱいフラペチーノの写真が載っています。たぶん47都道府県ぶんあるんでしょう。これをこれからぜんぶ飲むの? マジで?

 

こういった手作り看板もあります。大量のフラペチーノが日本列島の形に並べられている。これをこれからぜんぶ飲むの? マジで?

 

颯爽と入店してカウンターに向かいすぐに47JIMOTOフラペチーノを注文する。ただ、鹿児島のJIMOTOフラペチーノは「鹿児島ちゃいっぺ黒蜜クリームフラペチーノ」という名前なので微妙にオーダーしにくい。名前が長いのもさることながら「ちゃいっぺ」のところがちょっと照れを捨てきれない。

 

「あっ……あっ……鹿児島のやつを」

 

結局、そんなよく分からないオーダーをしていた。何を頼みたいんだ、こいつは。店員さんはハツラツといった笑顔で答えてくれます。

 

「これを飲むために開店前から並んでいただけたんですか?」

 

どうやら仁王立ちで開店待ちしていたのをずっと見ていたようだ。

 

「あっ……あっ……ええ、その、はい、そうです」

 

スタバの店員さんは突如としてゼロ距離の射程で会話を仕掛けてくるのでかなり困惑する。僕はそこまでコミュニケーションスキルが高くないので、いつもカオナシみたいな返答になってしまう。

 

カオナシなんかお構いなしに満面の笑みの店員さんの会話攻勢が続く。

 

「ありがとうございます! 鹿児島の方ですか?」

 

「あっ、いいえ、東京からです」

 

「まあ、お仕事ですか?」

 

「ええ、まあ(さすがに47都道府県のやつぜんぶ飲む地獄の旅の起点とは言えない)」

 

東京から来たといった瞬間にレジの店員さん、カウンター内で作業する店員さん、まだ開店作業をする店員、全ての店員さんの眼光が鋭くなったのを見逃さなかった。

 

「オーダーはいります。鹿児島フラペチーノ!」

 

「よかよー」

 

「よかよー」

 

なぜか店員さん同士の合いの手が方言に変わった。他所から来た人に対する特別サービスだろうか。もしくは地元フラペチーノという企画上の演出で、なるべく掛け声も方言でという方針があるのかもしれない。

 

#46 鹿児島 ちゃいっぺ 黒蜜 クリーム フラペチーノ

黒蜜とは黒砂糖を原料として作られる甘みで、その黒砂糖はサトウキビの煮汁から作られる。鹿児島の奄美地方ではこれらの製造が盛んであり、鹿児島の名産にもなっている。

 

黒蜜ベースの液体の中に黒い斑点が見える、これはおそらくチョコレートチップで食感を助ける作用を期待してのことだろう。その上にクリームが乗る。クリームの上にまぶされている緑色のパウダーは抹茶じゃないだろうか。おそらくこの外観は桜島をイメージしたものではないだろうか。雄大に噴煙をあげる桜島が連想される。原料や味だけでなく、その外観も鹿児島を意識させるデザインになっている。

 

そもそもフラペチーノとは、コーヒーとミルク、クリームなどを氷と一緒にミキサーにかけたフローズン上のコーヒー飲料である。近年ではコーヒーをベースとせず、果物などをベースとしたものも販売されている。

 

コーヒーベースではなく黒蜜をベースとしているので上品な甘さがある。口の中に残る甘みは濃厚な黒蜜のそれで、どこか和風のテイストと深みのある甘みといった印象だ。それでいてほのかな甘みのクリームの味わいがアクセントとなり、単にフラペチーノの甘みを黒蜜で出しましたというよりは、黒蜜という重厚な甘みがバインダーのようにクリームとチョコ、そしてミルクを繋ぐ役割を果たしている。チョコチップによってざらざらとした舌触りがあり、それが黒糖の味わいをより濃厚なものに感じさせている。

 

ちなみに商品名にある「ちゃいっぺ」とは、こちらの言葉で「慌てず急がずお茶でもどうですか?」という意味があるらしい。たぶん商品名にもなるべく方言をいれて地元感を出すつもりなのだろう。

 

慌てず急がずお茶でもどうですか。悪いけど僕は急いでいる。慌てている。次のフラペチーノに向かわなければならないのだ。

 

 

鹿児島中央駅店なので、徒歩1分で鹿児島中央駅へと到達する。そこから新幹線に飛び乗ることができるので大変ありがたい。ここから熊本を目指す。

新幹線特急券 鹿児島中央-熊本 3240円
乗車券は「ぐるっと九州きっぷ」利用(3日間JR九州内乗り放題)14300円

 

 

8:29 熊本駅

1時間ほどの乗車で熊本駅に到着。やはり新幹線は早い。新幹線内でリサーチしたところ熊本駅にもしっかりとスタバがあるようなので、そう苦労はしないはずだ。

 

熊本駅に来るたびに思うけど、いつもこのくまモンがあまりに巨大であまりに唐突で驚く。僕はこれを「くまモンの生首」と心の中で呼んでいる。

 

あと、これも熊本駅に来るたびに思うけど、地面に映写された案内表示に近未来感があってめちゃくちゃかっこいい。

 

熊本駅の周辺も再開発がひと段落し、駅前商業施設であるアミュプラザ熊本もオープンしている。このアミュプラザ内にもスタバがあるようなのだけど、営業時間をアミュプラザに合わせているので8時30分現在はオープンしていない。

 

熊本 スターバックスコーヒー 熊本駅店

 

駅内のスタバはしっかりと早朝から営業しているので助かる。ちょうど通勤通学の時間と重なるのか、駅内の人通りはめちゃくちゃ多かった。

 

なるほど。県によってこのフラペチーノの基調となるカラーが違うんだな。熊本県はピンクを主体としたイメージだ。このポスターを見るたびに思うけど、本当にこれ全部飲むの。

 

#43 熊本 ザクザクビスケットばい & チョコレート フラペチーノ

あれも熊本、これも熊本、よしこれも入れておこう、という非常に欲張りな、実に熊本らしい印象を受けるフラペチーノだ。見た目の特徴としてはチョコレートを主体としたベースの中に紛れ込ませた白い筋。これは熊本県の阿蘇周辺にある絶景ドライブコースであるミルクロードをイメージしているらしい。上部のホイップクリームの上にはイチゴソースとビスケットがまぶされている。これも阿蘇山をイメージしているのだろう。イチゴも熊本で盛んに栽培されているものだ。

 

ベースとして甘みを抑えたチョコの味を主体としているので、冷たいココアのような風味だ。上部にまぶされたビスケットチップはかなりの大きさがあるので飲みやすいよう、かなり極太のストローが付いてくる。

 

イチゴのソースはただの赤い彩りのために投入されたのかと舐めてかかっていたらけっこう主張が強く、口の中いっぱいに豊潤なイチゴの風味が広がった。これがチョコベースにとても良く合うのだ。上にまぶされているクッキーは甘さというか、味自体を抑えており、味への影響がほとんどない。たぶん食感を狙って投入されているのだろう。全体的に甘さを控えて調整されている気がする。店員さんが作る工程を見ていたら、初めに少しベースを注いだあとに、中に注入するようにクリームを入れていた。チョコ風味だとかなり甘みが強くなるので、クリームで整えているのだと思う。

 

次に同じものを注文していた女性と店員さんがカウンター越しに会話していた。けっこうテクニカルに作るので、それに女性が驚いたようだ。

 

「すごいですね」

 

「作るのむずかしいんですよ」

 

「私には無理だわ。わたし裁縫も苦手だもん」

 

なんで突然に裁縫を引き合いに出したのか全く分からないけどかなり和気あいあいと会話していた。僕もあれくらい砕けた感じで店員さんと会話したい。もうカオナシにはなりたくない。

 

けっこう人気があるようで、来る客、来る客がこぞってこの熊本フラペチーノを注文していた。けっこうゴージャスな感じの婦人も注文していて、見た目が結構に濃厚な感じなので「飲みきれるかしら」とか心配していたけど、太いストローで一気に飲み干していた。部活後のポカリかってくらいに一気に飲み干してみた。ブロッケンジュニアと戦った時のツタンカーメンみたいに飲み干していた。

 

 

駅にスタバがあると次の行動が早くて助かる。ここから新幹線で新鳥栖に移動し、そこから特急に乗り換えて長崎を目指す。

新幹線特急券 熊本-新鳥栖 1760円

 

 

9:32 新鳥栖

新鳥栖駅は佐賀県になるので佐賀のフラペチーノをとる大チャンスなのだけど、あいにく新鳥栖周辺にあるスタバは駅からそこそこの距離があった。乗り換え待ち時間にそこまで行くのは現実的ではないので、ここはおとなしく乗り換えて、佐賀県は後でとることにする。

 

特急かもめに乗り換えて長崎を目指す。というかここまで全く食事をとってなく、2杯のフラペチーノを飲んだだけなのにかなりお腹が満たされている。そうはいってもフラペチーノは飲み物だからなと舐めていたけど、かなりお腹にたまる飲み物、これはもう食べ物に近い。

 

自由席特急券 新鳥栖-長崎 1250円

 

雄大な有明海を望みながら長崎へと移動していく。

 

途中、諫早市を通過したのだけど、駅前が結構に都会な感じだったので、これ、もしかして諫早にスタバあるんじゃないかと少し期待した。やはり長崎市まで行くとかなり奥まった場所まで行くことになる。しかも地形的に長崎市は行き止まりとなる。そうなると当然のことながら戻ってくる必要が生じるわけで、それが大きなロスとなる。

 

つまり、ここ諫早で長崎スタバをゲットしてしまえばかなりのショートカットとなる。検索してみたら想像した通り、諫早にもスタバは存在した。ただし、駅からかなり遠い場所にあるようなので、そこまで移動するビジョンが見えず、泣く泣く断念した。

 

おそらくではあるが、スタバには大きく分けて4つの出店タイプがある。

 

①駅前タイプ

これは駅の中や、駅前商業施設に出店しているタイプだ。利便性を最重要に考えており、大きな駅に重点的に出店している。

 

②街中タイプ

これは大都会に限定されるタイプだ。東京や大阪、名古屋、福岡など、かなり大きな町はどの場所にあろうと集客が見込めるのでコンビニのように出店されている。特に理由がない場所でも普通にスタバがある。

 

③郊外タイプ

どちらかと言えば車社会である都市のスタバに多い。街の中心は郊外へと移動しており、駅周辺の求心力が弱い都市などに多い。郊外のバイパス沿いや国道沿いなどに出店する。車での来店を見越しているのでドライブスルーが存在することもある。諫早の店はこのタイプだと思われる。

 

④ショッピングモールもしくはTSUTAYAタイプ

こちらも若干、郊外タイプに近くなるが、新たにオープンするイオンモールなどの巨大ショッピングセンター、もしくはTSUTAYAなどに入るタイプだ。ショッピングセンターの立地にもよるが総じて郊外が多い。民間に運営委託された公立図書館に入るケースもある。

 

当然、この旅では主に公共の交通機関で移動するので、①の駅前タイプを狙っていく必要がある。それでも③や④など、どうしても仕方がないパターンで取る必要も生じてくると思う。

 

 

11:23 長崎駅

長崎駅に到達した。けっこう遠かった。この遠い大距離移動を、本当にJIMOTOフラペチーノを飲むためだけに実施しているのだから、我ながらなにやっているんだろうという気持ちだ。

 

リサーチによると長崎駅の駅前商業施設アミュプラザ長崎にスタバがあるようだ。ただし、駅前といっても少しだけ距離がある。

 

現在、長崎駅は22年秋の西九州新幹線(九州新幹線長崎ルート)の部分開業に向けて、元あった場所から少し移動して新しくなっている。現在は駅周辺の広場などを整備中だ。アミュプラザ長崎はもともと駅があった場所に取り残されているので、少しだけ歩く必要がある。

 

 

暫定的に設置された通路を歩いて、もともとの長崎駅があった場所まで歩いていく。

 

ついに取り残されたアミュプラザ長崎に到達した。ここにスタバがあるはずだ。

 

長崎 スターバックスコーヒー アミュプラザ長崎店

 

お昼が近いからなのか、店内はけっこう混みあっていた。レジにも行列ができていたほどだ。

 

あれ、恒例のフラペチーノのポスターがないな、と思ったら逆サイドの入り口の方にあった。

 

行列に並び、注文する。長崎のフラペチーノは「長崎カステラコーヒーやん!クリームフラペチーノ」という名称なのだけど、どうしても「やん」の部分が言えるとは思えない。絶対に照れてしまう。

 

「あっ……あっ……、あの長崎のやつを」

 

相変わらずカオナシみたいになりながら注文したら、店員さんの表情が目で見てわかるレベルでパーッと明るくなった。なんか大興奮してた。

 

「もしかして、これ、目当てで来られたんですか!?」

 

「あっ……あっ……(カオナシ)」

 

カオナシ相手に店員さんの興奮は止まらない。

 

「わたしども、うれしくってうれしくって、やっとこういったご当地的な企画がはじまって、やったーって感じなんですよ! だから頼んでもらえると本当にうれしいんです!」

 

あまりの喜びように、なんかいいことしている気持ちになってきた。

 

#42 長崎カステラコーヒーやん!クリームフラペチーノ

まずもって白い。とにかく白い。ポスターの写真で見るよりも全体が白い印象だ。本体もクリームも同じ程度の白さで、その境界が分からないほどだ。ただただ白い。

 

全体的に長崎名物であるカステラをイメージした味であることは明白だ。ベースはほんのりと上品に甘い。全てが白いので分かりづらいが、クリームの上には白いシロップなようなものがかけられている。これが濃厚な甘みでカステラの風味をより引き立たせる。よく混ぜれば混ぜるほど全体の風味が統一されていき、総合的にカステラ風味となる。ただ単純に甘く仕上げるだけでなく、ビターな味わいに寄せている部分も混じっており、それがカステラの色が濃い部分、ざらめ糖の部分を表現しているのだろうと思う。

 

さて、ここまで鹿児島、熊本、長崎とそこそこに甘いタイプのフラペチーノが続いた。僕はもともとそこまで血糖値が高くないのだけど、3連発でくるとけっこう高まっているなと感じる。具体的にいうと体が重い。そろそろ甘くないフラペチーノも来て欲しいところだ。

 

ここからは福岡を目指して戻りつつ、その途中で佐賀をとっていく。ただし、調べたところ佐賀県内には駅近タイプのスタバは存在しないようだった。つまり、どこを目指したとしても必ず駅からの移動が必要になる。なかなか苦戦しそうだ。

 

とりあえず特急で佐賀駅を目指す。

 

自由席特急券 1250円 長崎-佐賀

 

基本的にこういった旅で長い時間かけて列車に乗るときは、途中で喉が渇くことがないように何か飲み物を買ってから乗り込む。これはほぼ習慣化されていて、特に深く考えなくとも気が付いたら売店で飲み物を購入していたという状態だ。

 

ただ、この旅に限っては例外で、ここまでの乗車において一切、飲み物を購入しなかった。そんな気にすらなれなかった。そりゃそうだ、けっこう濃厚でキンキンに冷たいフラペチーノを連発で飲んでいるんだ。喉が渇くはずもない。

 

喉の渇きもそうだが空腹の具合に関しても不思議な現象が起きている。当初は、やはりフラペチーノといっても所詮は飲み物の部類だ、腹が膨れることはないだろうと考えていた。つまりフラペチーノを賞味しつつも空腹は満たさねばならないので、駅弁を食べたりラーメンを食べたり、そういった行為も並行して行う必要があると考えていた。そうなると摂取カロリーが異常なことになってしまう。怖い。そう恐れていたけど、蓋を開けてみるとなんてことはない。フラペチーノでめちゃくちゃ満たされる。まったくお腹が減らないのだ。完全にフラペチーノだけで栄養を摂取する男になっている。

 

13:36 佐賀駅

佐賀駅に到着した。僕のリサーチに重大な見落としがあり、実際に来てみたらデデーンと駅前にスタバがあった、みたいなことを期待したけど、やはり駅前にスタバはなかった。

 

 

リサーチによると、佐賀駅から2キロほど離れた場所に「スターバックスコーヒーゆめタウン佐賀店」と「スターバックスコーヒー佐賀大学通り店」があるようだ。おそらくタイプとしては前者がショッピングモール出店型、後者が郊外型にあたると思う。とりあえずそう距離は変わらないので、「スターバックスコーヒーゆめタウン佐賀店」を目指す。これには少し打算めいた作戦がある。

 

こういった鉄道以外での移動を必要とする場合、バスでの移動が考えられるが、知らない街でのバスは異様に難易度が高い。駅前から各方面に向けて出発するバス、どれに乗れば目的のスタバに到達できるのか、それを瞬時に判断することは難しい。おまけに、奇跡的に方面が分かったとしてもバスは「この時間はこっちのルートを通る」みたいなことが平気で行われる。それを考えるともはや目的の場所に到達するのは不可能と言って良い。なので、駅から移動する場合は基本的に徒歩となる。

 

しかし、帰りとなると話は別だ。多くのバスが方角さえ間違えなければほとんどの場合で駅を目指してくれる。来たバスに飛び乗れば良い可能性は高い。「行きは歩きで帰りはバス」こういった旅の基本となるので覚えておいて欲しい。

 

帰りはバスということを期待すると、やはりショッピングモールの方がバスが分かりやすく、本数も多いことが期待できる。おまけにモールと駅を結ぶシャトルバスが存在することもある。それを期待して「スターバックスコーヒーゆめタウン佐賀店」を目指すこととした。

 

歩くといってもたかが2キロほどの距離だ。軽い軽い、と歩き出してみたものの異様に体が重い。まるで自分の体じゃないみたいだ。やはり甘いフラペチーノの連発で血糖値が上がっているみたいだ。

 

さらに不気味だったのが、汗がまったくでないことだった。けっこうな晴天で気温もかなり高い。重い体を引きずってゼーゼーいいながら歩いているのに、汗が一滴も出てこない。フラペチーノを連発で飲んでいるのだからかなりの水分が体内に蓄えられているはず。それなのに出てこない。おそらく、人は塩分を摂取しないと汗が出てこない、そんな仕組みになっているのだ。人体って不思議だな。

 

ひー、遠い。めちゃくちゃ遠い。

 

本当に2キロかこれ。5キロくらいあるんじゃないの。重い。めちゃくちゃに体が重い。

 

やっとゆめタウンの看板が見えた。「You」と「me」とかいて「ゆめタウン」である。中国地方や九州北部地方を中心に猛威を振るうショッピングモールだ。この話の流れに全く関係ない余談になるのだけど、僕が大学生だった時代も近所にゆめタウンがあり、そこでバイトしたことがあるのだけど、不注意からシフトを間違えたという理由で3日目にクビになったことがある。この看板を見ると今でもこの「3日でクビ」のことを思い出す。

 

佐賀 スターバックスコーヒー ゆめタウン佐賀店

 

専門店が並ぶモールの一角にしっかりとスタバがあった。これまでは駅前や駅ナカの店ばかりだったが、こうやってモール内の店を見るとしっかりと客層が違っていて面白い。駅近くの店はサラリーマンやOL、旅行者が多いが、モール内はカートやベビーカーを押した女性が多い。おそらくではあるが、売れ筋の商品も違ったりするのだろう。

 

 

しっかりとポスターがあって安心した。

 

実は、この47JIMOTOフラペチーノの企画、どの紹介ページを見ても「一部店舗では取り扱いません」みたいな文言が書かれている。僕が死ぬ思いで目指してきた店がその一部店舗だったらどうしようとヒヤヒヤしているのだ。

 

#41 佐賀ちかっとカリカリシュガー&チョコレートフラペチーノ

細いストローが提供されたので、おそらく固形物は入っていないのだろうと思う。ベースとなるチョコレートの茶色い色合いが佐賀の大地を連想させ、そこに入るホワイトチョコレートのラインが長崎の出島から佐賀を通り、砂糖文化を広めるのに一役買ったシュガーロードをイメージしているらしい。ただ、提供された商品はかき混ぜられすぎたのか、白いラインではなくなっていた。また、上部にトッピングされた抹茶パウダーは佐賀の平野を表しているらしい。

 

ちなみに商品名の「ちかっと」はこの地方の方言で、「少し」という意味合いがあるようだ。ちょっとだけカリカリのシュガーという意味のようだ。

 

チョコの味がかなり濃厚で強い。複数のチョコが混じりあい、奥行きのある味わいを演出している。ただし、その味は単純に甘いだけのそれではなく、チョコそのものの味が濃い。つまり、あまり押しの強い甘さは感じないのだ。そこに少しだけ舌触りのあるシュガーの粉末が入り込んでくる。佐賀らしさを前面に出した尖った味わいというよりは、フラペチーノとして真っ当にまとめた味わいで王道的でバランスの良いフラペチーノといえよう。これで甘いフラペチーノ4連発となり、完全に血糖値が上がりきった。

 

熱心な店舗では、このように黒板みたいなやつに手書きでJIMOTOフラペチーノの説明と、名所の紹介が書かれていたりする。多くの場合、めちゃくちゃ絵がうまい。たぶん店員さんの中でもっとも絵心がある人が描いている。

 

さて、「駅からは徒歩で帰りはバス、これが攻略法だ」と豪語したけど、別にバスを使うことなく歩いて駅まで戻ることにした。単純にバス停を探すのが面倒だったことと、来るときは微妙に遠回りをしていた感じなので、まっすぐ駅を目指せばそう遠くないこと、なにより少しでも体を動かして血糖値を下げる必要があると考えたからだ。

 

なんとか佐賀駅に舞い戻り、また特急に乗って博多を目指す。

 

自由席特急券 佐賀-博多 840円

 

博多ではもちろん福岡県のスタバを取りに行くのだけど、まあ、単純に言ってしまうと福岡市は大都会なのでそこまでスタバ探しに苦労しない。そこかしこにスタバがある。つまり、とろうと思えばいくらでも取れるので心配はない。

 

その前に解決しなければならない課題がある。そう、この体だ。甘いフラペチーノ4連発で確実に体が糖に支配されている。なんとしてもフラペチーノ以外で栄養を摂取する必要がある。じゃないと大変なことになってしまいそうだ。

 

ということで、いったん、スタバとは距離を置いてラーメンを食べに行こうと考えたのだ。

 

15:35 博多駅

博多駅に到着した。大都会のめちゃくちゃ大きなターミナル駅なのであちこちにスタバが存在する。いつでも福岡スタバをクリアできる状態だがここではあえてスルー、地下鉄に乗り換えて移動する。

 

15:52 福岡市営地下鉄 赤坂駅

博多-赤坂 260円

 

スタバを避けて地下鉄で赤坂駅にやってきたのだけど、地下鉄出口を出ると、目の前にスタバがあった。

 

これにはなんだかゾッとしたな。ホラー映画で、何かを避けて、避けて、避けて、やっと逃げ切ったとホッとしたら目の前にその何かがあった、みたいな状態だった。俺はもうスタバから逃げられないのか。

 

とにかく、福岡のスタバはいつでもとれるので、やはりここはスタバをスルーし、徒歩で目当てのラーメン屋を目指す。

元祖長浜屋(福岡県)

 

おいしい長浜ラーメンを出す店だ。

 

ラーメン550円

スタバのフラペチーノがだいたい682円(税込)なので、このラーメンはフラペチーノより安いことになる。古くから愛される長浜ラーメンで、白濁した豚骨スープに極細のストレート麺が光る。なにより強めの塩味で整えられた肉が嬉しい。ああ、塩味ってこういう味だったんだと思い出させてくれる。

 

塩味を摂取した瞬間、ダムが決壊したみたいにドバドバと汗が出てきて、めちゃくちゃ狼狽した。汗が止まらん。甘みだけでは汗が出ず、塩分を取ることでザクザクと汗が出てくる。あまりに単純に反応する自分の体が愛おしかった。

 

フラペチーノ以外で栄養を取ることに成功した。おまけに大量に汗をかくこともできた。また地下鉄に乗って、今度はしっかりと福岡のフラペチーノを取りに行く。

 

16:52 福岡空港

赤坂-福岡空港 260円

 

福岡空港は全国でも有数の便利な空港だ。なにせ、巨大ターミナル駅である博多駅から地下鉄で2駅だ。これは郊外に作られることが多い空港の中では破格の利便性だ。鉄道やバスなどを乗り継いで空港まで行く必要がない、このアドバンテージはかなり大きい。

 

つまり、こういった全国制覇系の旅において、どうしても空路を使うしかない場合は福岡空港を使うと良い、ということだ。空路の前後の移動が格段に楽になる。つまりここからそれを取りに行くということだ。この旅において絶対に空路を使う必要がある場所。そう、ここから沖縄を取りに行くのだ。

 

福岡 スターバックスコーヒー 福岡空港国内線ターミナル南ゲート店

 

飛行機に搭乗する前に、いつでもとれると豪語していた福岡のフラペチーノを取りに行く。もちろん、福岡空港内にもスタバ店舗が存在する。

 

#40 八女茶やけんフラペチーノ

お茶の名産地として知られる福岡県八女市の八女茶をベースとしたフラペチーノだ。ここにきて初のお茶系フラペチーノだ。八女茶をベースとしてミルクを荒くミックスし、白と緑のまだら模様になっている。ホイップクリーム上部にはこれまた粉末状にした八女茶がトッピングされており、なにからなにまで八女茶で統一したフラペチーノになっている。

 

味わってみると、完全にお茶だこれという感想だ。お茶のフラペチーノってこういう感じなんだな。かなりお茶の風味が強いのだけど、それがほどよくミルクと混ざり、なんとも言えない清涼感を演出している。そう、お茶ってこういう爽やかな風味があるんだよな、と思い出させてくれる。そして、ほんとうにほのかな甘みをもたらすシロップが絡み、フラペチーノ全体の味を綺麗に整えている。完全に夏にピッタリの一杯だ。

 

空港という立地上、おそらく他所から福岡に来た人が多いので、このご当地フラペチーノを注文する人が多かった。見た感じ、店内のほとんどの人がこれを注文していたように感じる。それだけクセのない清涼なフラペチーノということだ。

 

Peach航空 福岡-那覇 5890円

 

まさかフラペチーノを飲むために飛行機に乗ることになるとは思わなかった。沖縄に向けてどんどん南下していくにしたがって徐々に天候が荒れていき、めちゃくちゃに飛行機が揺れた。

 

那覇空港に着陸すると、めちゃくちゃな大嵐で、雷がガンガン光っていた。まるで裁きのイカズチのようで、雷平原のように光りまくる雷に、滑走路の真ん中で飛行機が立ち往生してしまった。

 

「現在、雷が激しいため移動できません。しばらくここで待機します」

 

といってけっこうな時間、立ち往生していたように思う。

 

この後に移動の予定はないのでいくら遅くなっても構わないけど、できればスタバの開店時間内に開放して欲しいと願った。夜のうちにその地方のスタバを取れれば次の日の移動がしやすい。取れなかった場合は、その地方でスタバの開店まで待機する必要が出てくるので少し出遅れる。なるべく夜のうちに取っておきたいのだ。

 

なんとかそこそこの時間に開放され、さあて、スタバを探すぞ、と颯爽と空港内を歩いていたところ、めちゃくちゃ簡単に見つかった。

 

まだ到着ゲートすら出ていない場所にスタバがあった。沖縄に到着して5分で沖縄での用事が終わってしまった。

沖縄 スターバックス コーヒー 那覇空港国内線ゲート内店

手書きのイラストもかなり気合が入っている。同じ飛行機で到着した乗客たちがこぞってこれを注文するので、レジはかなり混雑していた。

 

 

#47 沖縄かりーちんすこうバニラキャラメルフラペチーノ

初のキャラメル系フラペチーノだ。キャラメルをベースとしそこにちんすこうを丸ごと1個投入し、氷と一緒に砕いてフラペチーノにしている。おまけにトドメとばかり上部にもちんすこうがまぶされている。

 

キャラメル系の味わいはフラペチーノの王道なのかもしれない。それだけこのフラペチーノという形態に合う味だ。さらには、砕かれたちんすこうのザラザラとした食感が楽しい。さらには、このちんすこうによって微妙な塩味が足されており、それがキャラメルと絡むことで塩キャラメルに近い味わいになっている。王道の味わいでありながら、そこに大胆にも大量のちんすこうを投入することで、新たなフラペチーノ体験を生み出しているといえる。

 

20:02 那覇空港

さて、沖縄に到着して5分で目的を達成してしまった。こんなに簡単にスタバが見つかるのならば、ここからさらに別の場所に飛行機で移動できたのだろうけど、まさかここまであっさりと進むとは思っていなかったので航空券の準備をしていなかった。

 

よって、ここ那覇市で宿泊となり、フラペチーノの旅1日目は終了となった。旅の工程と制覇状況はこちら。

6/47 残り41杯

 

那覇市はかなりの嵐、おまけに緊急事態宣言が変わらず発出されている状況なので、誰に会うこともなく、店に行くこともなく、食事をすることもなく、ひっそりとホテルで就寝となった。

 

 

2日目 

7:00  沖縄県那覇市

沖縄は日本列島内でもかなり西に位置するので、夜明けが遅い。天気が悪いこともあるが、朝7時であってもほのかに暗い。そんな状況から2日目がスタートだ。

 

8:00 那覇空港

飛行機の時間よりかなり早く空港に到着してしまい、時間をつぶすのが大変だった。フロアではアメリカメジャーリーグの中継を流すテレビがあり、そこで大谷選手の活躍を観戦していたらいつの間にか警備員のおじちゃんも観戦していて、めちゃくちゃエキサイトしていた。大谷選手は凡フライに終わったのだけど、警備員のおじちゃんはしきりに「落とせ、落とせ!」とエキサイトしていた。

 

Peach航空 那覇-福岡 5890円

 

飛行機で福岡空港へと舞い戻る。別の地方へ飛ぶことも考えたが、まだ大分、宮崎の九州2県を残している。さらに到着後の移動を考えるとやはり福岡空港の利便性は魅力的だ。

 

また飛行機がめちゃくちゃに揺れたけど、なんとか福岡空港に到着した。

 

11:50 福岡空港

飛行機は予定の時間より早く到着した。これは嬉しい。この後の移動がかなり楽になるからだ。

 

さて、ここから大分、宮崎と制覇していく予定だが、ここで少しだけ戦略的な話をさせていただきたい。

 

ここから大分、宮崎を取ること自体はそう難しくはない。ただ、宮崎でどん詰まりになってしまうのでそこから飛行機で移動となる。宮崎まで取ってしまえば九州・沖縄は制覇となるのでもう近づく必要がない。そうなると、山口の扱いが問題となる。

 

こちらをご覧いただきたい。赤で山口県のスタバ店舗をマッピングした。店舗数は実に7店舗である。もっとも東側にあるのは防府市の店舗である。これをみると県の西側に集中していることが分かる。つまり東側の広島県側から移動してきた場合、かなりの距離を移動して山口県の内部、防府市まで入り込まなければ取れない。言い換えると、西側から攻めると楽になるということだ。つまり、ここ福岡から西側に位置する下関の店舗を取るとかなり楽になるのだ。

 

さらには、お隣の広島県の事情を考えると、おそらく広島県はもっとも東側である岡山県境の福山市にスタバが存在する。東側から攻め込んだ場合、福山までの移動で済む可能性がある。

 

つまり、ここで九州側から山口県のスタバを取っておくことで、福山市から防府市までの移動を丸々カットできる可能性があり、その後の展開がかなり有利になる。何が言いたいかというと、ここで下関のスタバを取りにいかない手はないということだ。こりゃもう行くしかないだろう。

 

 

沖縄での嵐が幻だったかのように福岡は快晴だ。ここから山口県下関市を目指して移動していく。

 

福岡市営地下鉄 福岡空港-博多 260円

山陽新幹線 博多-小倉 乗車券1380円 自由席特急券990円

普通列車 小倉-下関

 

12:57 下関駅

下関駅はホームから海が臨める場所だ。乗り換えで訪れたことはあるが、本格的に下車するのはかなり久々だ。いつのまにか、めちゃくちゃ近代的で綺麗な駅になっていた。

 

 

なんか駅からの風景がめちゃくちゃかっこいい。異国に来たみたいな雰囲気すらある。右側に映る「シーモール」と呼ばれる駅直結の商業施設内にスタバがあるようだ。映画館もあり、大丸とかもあるみたいで、下関の全てが集約されたみたいな場所だ。

 

これは完全に僕が悪いのだけど、このシーモール内のスタバが見つからず、かなりさまようことになってしまった。さまよいすぎて何度も何度も大丸の化粧品コーナーに躍り出てしまい、明らかにバツが悪いので資生堂のリップとか吟味しだす始末。こんな野武士みたいなおっさんがなにやってんだ。

 

山口 スターバックスコーヒー 大丸下関店

 

やっとこさ見つけた。かなり奥まった場所に、何かを隠すようにしてスタバが存在した。かなり目立つ場所にドーンと存在することの多いスタバにしては珍しい店構えだ。禁酒法時代に秘密裏に営業していたバーみたいな趣がある。

 

どうやら駅直結の通路からくると、この画像の上の通路を通ることになるので完全に死角になって見つけにくいみたいだ。

 

 

#35 山口かさねちょるごまっちゃフラペチーノ

ゴマを主体としたフラペチーノということで、味の想像ができない。見た目としては、ゴマの灰色とホイップクリームの白、そして上部にトッピングされた抹茶による緑とまあ、地味な部類に入る。ただ、これは山口県の誇る観光地である秋吉台のカルスト台地の風景をイメージしたものだと思われる。フラペチーノに抹茶をトッピングするとき、だいたい大地を表現している。

 

味の方だが、完全に美味だった。まず、ゴマの風味ってこんなにも深くて味わい深いんだと驚く。同時にそれがミルクの味わいにマッチし融合していることに気が付く。ゴマの香ばしい味わいが、濃厚なミルクの味わいを引き立たせているのだ。砂糖的な甘みはほとんどなく、ゴマが持つ味わいが全体を支配する。荒く混合された状態で提供されるのでよくかき混ぜずに飲むことでストローの位置によりゴマとミルクの比率が異なり、その絡みの度合いが異なってくる。様々な味を楽しんでいるうちに一気に飲み干してしまう美味さだった。ゴマのフラペチーノ、いけるぞ。

 

下関-小倉

 

ここからは、残る九州の2県、大分と宮崎を取りに行く。どちらも新幹線が通っていないし、大分はともかく、宮崎は「陸の孤島」と呼ばれる場所だ。移動だけでかなりの時間を消費してしまうことが予想される。急がねばならない。

 

13:46 小倉駅

小倉駅に到着した。ここからは「特急ソニック」に乗り換えて大分を目指す。ただ、乗り換えまでには20分程度の時間があるので、意識的にフラペチーノ以外で栄養を取ろうと考える。気を抜くとすぐに「フラペチーノだけで栄養をとるおじさん」になっちゃうからな。

 

小倉駅のホームには全国的に有名な「かしわうどん」の店舗がある。これがとにかく美味いうどんなので、九州を訪れた際は是非とも賞味して欲しい。

かしわうどん 390円

 

このうどんは完全にバランスの勝利だ。うどんの麺、出汁の効いたスープ、大量のネギ、甘辛く煮た鶏肉、どれもが奇跡的バランスで調和されている。特に現在はフラペチーノのみを食しているので、出汁の味わいから遠のいている。それだけに体の隅々、五臓六腑にまでこの深い旨味が染み渡るのを感じた。お値段もリーズナブルで、フラペチーノのだいたい半分程度。

 

自由席特急券 小倉-大分 1250円

 

特急ソニックがやってきた。ここまで九州内の特急列車に乗ってきて感じたことだけど、九州内の特急は総じて座席がフカフカで高級感がある。たぶんそういうこだわりがあるのだろう。ただし、ほとんどの車両がけっこう古くなってしまっているので、座席に電源がない。これは長距離移動の時間つぶしにスマホを使う現代人にとってちょっと不便だ。

 

特急ソニックは、博多からやってきて小倉を経由し、大分を目指す。よって小倉駅で進行方向が変わることになる。その旨が車内にアナウンスされると、突如として乗客の一人が立ち上がり、椅子を回転させ始めた。進行方向の逆を向いた座席はけっこう気持ち悪いからだ。

 

 

ただ、このおじさん、自分が座る座席だけでなく、車両内の全ての座席を回転させはじめた。それこそ狂ったように。まるで座席の回転に村を焼かれた男のように、一心不乱に座席を回転させはじめた。けっこうな労力なのに何が彼をそこまで駆り立てるのか。最終的には既におばあさんが座っている座席まで回転させようとして謝っていた。

 

さて、ここで戦略的というか、少々、記事の構成的な話をさせていただきたい。先ほども説明したようにこれから目指す大分、宮崎は移動にかなり時間がかかる。そうなると2日目は宮崎で終わる可能性が高い。そうなると、本日は山口、大分、宮崎の三店舗で終わる可能があるのだ。

 

宮崎も大分も、駅前にアミュプラザがあり、そこにスタバがあることは確認済みである。つまり、訪れる3店舗すべてが駅前で完結してしまうわけだ。2日目は妙にあっさりだね、となるわけだ。これは記事の構成上、あまり好ましいものではない。山場が必要だ。

 

つまり、ここ大分では、簡単に大分駅で取るのではなく、少し変わった攻め方が必要なのだろう。それには、この特急ソニックが停車する「別府」だ。別府で降りて少し歩いた場所にスタバがあるようだ。ここはたぶん、立地的に郊外タイプの店舗なので、これまでと違ったスタバを紹介できる。いいアクセントになるはずだ。ここを目指すべきなのだ。

 

ただ、もう一つ問題がある。福岡の時点では信じられないレベルの快晴だったのに、大分が近づくに連れて雲行きが怪しくなってきた。

 

車窓から見える風景。アスファルトが濡れているので「雨が降っている」か「雨が降っていた」可能性が高い。もし雨が降っている場合は、雨の中を別府で降りて歩いてスタバを目指すなんて狂気の沙汰なので避けなければならない。おとなしく大分まで乗って雨に濡れることなく駅前商業施設のスタバに行く必要がある。

 

重大な判断を下す必要があるのだけど、いかんせん、高速で移動する車内から雨の有無を判断できない。車窓を叩くほどの強い雨ならわかるけど、しっとりと濡れそぼるタイプの雨だとなかなか判断がつかない。

 

こういった場合は、路上を歩く人を観察するといい。いまはまだ山の中を走っているので人がいないが、別府が近づいてきたら誰かが街中を歩いているはずだ。その時に雨が降っていればその人は傘をさしている。それで判断するしかない。

 

いよいよ別府が近づいてきた。車窓の風景にもマンションや民家が目立ち始めてきた。どれどれ歩いている人は傘をさしていますかな、と探した。だー、人がいねえ。どうやら別府は完全なる車社会のようで、路上を歩いている人がいなかった。みんな車で移動していた。これじゃあ判断がつかない。

 

もう、こうなったら行くしかない。判断に困るくらいだ。雨が降っていたとしても明確に降っているわけではない。いけるいける。別府で下車することを選択した。思えばこれが特大の誤りだったが、この時の僕はまだそれを知らない。ただ希望だけをもって下車していた。

 

15:30 別府駅

予想通り、ちんけな小雨だ。これなんら難なく歩いて行ける。完全に勝利したと歩き始めた瞬間、ドガシャーと激しい雨が降り始めた。そういうスイッチが設置されており、神的な存在がそれを押したのかなというドンピシャのタイミングだった。もう完全に引き返せないタイミングで、ひとりショーシャンク状態になっていた。

 

もちろん、コンビニで傘を購入すればよかったのだけど、こういった旅において傘を購入してしまうと、その後の展開でもずっと傘を持った状態になってしまい。必要ないのに持ち運ぶことになる。それがとても邪魔で支障をきたし、足枷にしかならないので、傘は持たないことにしている。

 

雨だけでもひどいのに、目指しているスタバ、たいした距離じゃないから楽に歩けるだろうと思っていたら、けっこうな上り坂がずっと続いており、打ち付ける激しい雨と上り坂でゴリゴリに体力を削られてしまった。完全に山場だこれ。自分で望んだこととはいえ、ちょっと山場が過ぎる。

 

命からがら、ずぶ濡れになりながらなんとか目的のスタバに到着した。予想通り郊外型の店舗だったようで、しっかりとドライブスルーが備え付けられていた。ドライブスルーに並ぶ車の列はけっこうなものだった。

大分 スターバックスコーヒー 別府公園前店

 

別府公園という緑豊かな大きな公園の目の前に立地するスタバ。外観らしておしゃれな雰囲気がムンムンとしている。店内は若い大学生風の人が多いというか、ほぼ若い大学生で、店内の座席を埋め尽くして勉強していた。もしかしたら近くに大学があるのかな。

 

それでもって、店内の若者、なんと驚異のMacbook率。たぶん8割越えだったと思う。みんなMacbookを弄して作業していた。めちゃくちゃおしゃれな雰囲気が漂う店内にずぶ濡れの僕が登場。ドブネズミみたいなおっさんの到来に場違い感が否めなかった。

 

#44 大分 ワクワクかぼすシトラスっちゃフラペチーノ

ここにきて初のフルーツ系のフラペチーノが登場してきた。大分の名産であるかぼすをベースとし、そこにシトラスの果肉を配合している。おそらくホイップの上部には、はちみつ系のシロップがかけられている。

 

これがまた美味い。カボスはもともと酸味が強い果物だけど、それを氷と混ぜ合わせてシャーベット状にすることで、その酸味が刺激的に引き立つ。これにシトラスの食感が加わり、さらにシトラスの酸味が広がる。ただし、酸っぱいだけではなく、これに生クリームが絡みさらにはハチミツの甘みが付与されることで、酸味と甘みが程よく統合される。全体的にほのかな甘みでありながら清涼でスパイシーな味わいがあり、夏に飲むのにピッタリの一杯に仕上がっている。たぶん柑橘類とフラペチーノってめちゃくちゃ合うんだと思う。

 

これは大分の人々にも人気のようで、しばらく観察していたけど、ドライブスルーからのオーダーもこれ、店内のMacbookどももこぞってこれを飲んでいた。

 

また雨に打たれながら別府駅へと舞い戻る。駅に到着するころには雨がさらに激しくなっていた。温泉にでも入りたい気分だったけれども、時間がないので次の宮崎を目指す。ここら特急に乗っても宮崎まで3時間以上かかるのだ。さすが陸の孤島といわれるだけはある。

 

かなり大分よりにある宮崎県の延岡という町にもスタバがあるようだからそこで取れるのだけど、どちらにせよ宮崎空港まで行ってしまうので、宮崎駅でとることにする。

 

まずは普通列車で大分駅に行き、そこから宮崎行きの特急に乗り換える。

 

大分駅では指原さんが郷土の星といわんばかりに熱烈フューチャーされていた。

 

 

特急にちりん 自由席特急券 1520円

 

宮崎空港行きの特急に乗り込む。

 

3時間の乗車という事実はけっこう精神的にくるもので、おまけに車内でずっと怒っているじいさんがいて大変だった。先ほどのも述べたように、九州内の特急車両は総じて古い。古いゆえに経年劣化で窓が曇っているというか濁っていて、よく景色が見えないこともある。じいさんはそれが気に食わない様子でずっと横にいたばあさんに怒っていた。

 

最初は、横暴なじいさんに虐げられるばあさんみたいな感じでかわいそうだなって思っていたのだけど、よくよく会話をきいているとそうではないことが分かった。

 

「景色なんてみたって覚えてないんですから。昨日の晩御飯も覚えてないのに」

 

「え、言えますか?昨日の晩御飯」

 

「ほうら、昨日は胸やけがするとかいって晩御飯食べていませんよ。なんですか、ブリって。は?」

 

「ブリって(笑)」

 

みたいにめちゃくちゃ煽っていた。

 

20:19 宮崎駅

3時間の乗車とばあさんの煽りを乗り越え、宮崎に到着するころにはすっかり日が落ちていた。冷たい雨もしとしとと降っていた、宮崎駅には人の姿も少なく、ひっそりとしていた。

 

 

宮崎駅の目の前には駅前商業施設であるアミュプラザ宮崎があった。そこそこ最近にオープンしたようで、まだ建物も新しく新鮮味がある。その一角にスタバが存在した。どうやらアミュプラザ自体の営業は時短営業の影響なのか午後8時にして終わっているようなのだけど、スタバだけは営業しているようだった。

 

宮崎 スターバックスコーヒー アミュプラザ宮崎店

 

半分オープンスペースみたいな場所にスタバ店舗があった。商業施設自体は営業を終えているので人影は少なく、スタバ店内もそんなに混んではいない。

 

 

#45 宮崎てげキラキラ日向夏フラペチーノ

宮崎の特産品である日向夏をベースにして上部にはこれまた特産品であるマンゴーのシロップを投入。全体として黄色い色にまとめることにより、商品名にあるようにキラキラとした南国、宮崎の眩い太陽をイメージしている。商品名にある「てげ」とは「とても」という意味なので「てげキラキラ」はすげーキラキラしているという意味だろう。それだけ、太陽の輝きに重点を置いている。

 

日向夏をベースとした味わいは完全にフラペチーノと一体化している。もともと日向夏は上品な酸味のある果実だ。そこにミルクとホイップの味わいと、マンゴーソースのほのかな甘みがさらに日向夏の酸味を引き立たせる。もともと上品な味わいである日向夏がさらに上品に感じる清涼な一杯。完全にフラペチーノに合うのでレギュラー商品として地域限定ではなく全国展開して欲しい味わいだ。

 

さて、提供されたフラペチーノはこうして記事にするためにしっかりと写真撮影をしている。ただ、スタバの店内はほんのりと薄暗いことが多いので撮影に苦労する。なんとか四苦八苦しながら写真を撮っていたら店員さんがシュバババババと駆け寄ってきてご当地フラペチーノパネルをもってきてくれた。ここまでの全ての店舗で、商品の提供口に47JIMOTOフラペチーノ用の小さなパネルが準備されていた。そのパネルと一緒に撮影するとインスタ映えするので使ってねというやつだ。それを使ってね、と店員さんが持ってきてくれたが、最初の鹿児島の段階でパネルを使わなかったので、いきなり使いだしても変だなあと、と丁重にお断りしておいた。

 

店内には若い高校生と、若い高校生カップルしかいなかった。なんか高校生カップルのほうが別にそこまでやらんでもいいだろってレベルでイチャイチャしており、もうおっさんにはああいうの縁がないんだな、って考えると彼らがめちゃくちゃ輝いてみえた。てげキラキラしていた。

 

さて、これにて九州・沖縄のフラペチーノ全制覇である。ただし、ちょっとどうしても外せない仕事があるのでここで一旦、東京に帰らせてもらって後日、この続きから実施することにした。

 

本来は、この後に宮崎空港に向かい、関西国際空港に降り立つつもりだった。そういった想定で続きをお楽しみください(本当はフライト時間に間に合ってないので移動はできないけど、ご愛嬌ということで)。

 

関西国際空港に到着した。

 

ここ関西国際空港にもスタバは存在するので、ここで大阪のフラペチーノをとることができる。ただ、大阪は大都会なのでそれこそあちこちにスタバが存在する。別にここで無理して取らなくともいつでも取ることができる。

 

それよりも重要なフラペチーノがある。

 

そう、ここ関西国際空港は大阪にありながら、ほぼ和歌山じゃないかという場所にある。おまけに和歌山県内においてスタバが取れそうな場所の最有力は和歌山市。その和歌山市もかなり関空よりに存在する。

 

つまり、関西国際空港にきたこのときに和歌山を取っておかなければたぶん一生に渡って取れないのだ。よって、関空のスタバよりも優先して和歌山に移動する必要がある。

 

21:15関西空港駅

 

関西国際空港-日根野-和歌山 900円

 

空港から日根野という駅で和歌山方面の列車に乗り換える。どうやら列車が遅れているようだった。和歌山のスタバについて調べてみると、JR和歌山駅でないものの県内のいくつかの駅で駅近タイプのスタバがあるようだ。

 

ただし、それらのスタバはどうやら何らかの商業施設内に入っているようで、その施設に合わせているのか閉店時間が総じて早かった。現在は夜9時を超えており、和歌山に到着するころには完全に閉店してしまっている。

 

ただし、夜のうちに和歌山を制覇しておくことは最重要課題だ。夜のうちに取っておけば明日は始発から動くことができる。取れなかった場合、スタバがオープンするまで和歌山に足止めされる。このタイムロスはけっこう痛い。

 

そうなると、和歌山に到着した後にもなんとか営業しているであろう、郊外型の店舗に目星を付ける。その店は23時閉店。駅からはけっこうあるが、なんとか間に合うように移動しなくてはならない。

 

22:11 JR和歌山駅

和歌山駅に到着した。時間は22時11分。狙っている郊外スタバの営業時間は23時までなのであと49分しかない。歩いて行ったら間に合わないけど、ここから和歌山電鐵という私鉄に乗り換えればたぶん間に合う。

 

ここから3駅ほどの神前という駅から走ればたぶんギリギリに間に合うだろう。

 

和歌山電鐵は、JR和歌山駅のホーム上に窓口と改札が設けられていた。どうやら路線には猫の駅長がいる駅があるらしい。駅長の勤務時間は労働環境的にかなりホワイトだ。

なかなか個性的な車両がやってきた。

 

内装もかなりサイコ感が溢れている。

 

和歌山電鐵 和歌山-神前 190円

 

22:27 神前駅

閉店まであと33分。オーダーストップが閉店の30分前とかだったら間に合わないけど、ホームページには記載されていないから大丈夫だ。いける。間に合う。

本当に僕はスタバを目指しているのだろうか、そう疑いたくなるレベルの闇が眼前に広がっていた。本当にこの先にスタバがあるのか不安になってくる。

 

なんか心細くなってくる。本当にスタバ、あるのか。

 

あったああ!

 

え? ないじゃんと思うかもしれないけども、僕はこの旅によってどんな距離であっても緑色のスタバ看板を見逃さない、というスタバアイを習得したので、この距離なら楽勝で判別できる。

 

スタバの看板。これがスタバアイの実力。

 

和歌山 スターバックスコーヒー 和歌山昭和通り店

完全に郊外型の店舗で、もちろんドライブスルーも備えられていた。そのドライブスルーが大繁盛で、警備員さんがいるほどだった。時間は22時34分。間に合った。ここで和歌山をとれて意義は大きい。

 

手書き看板もめちゃくちゃ気合が入っている。これもう作品だろ。和歌山スタバの店員さんの熱意が溢れ出てくるようだ。

 

ドライブスルーもそうだったけど、店内も混みあっていた。閉店間際の駆け込みなのか、レジにはたくさんの人が並んでいた。僕の後ろに並んだ、ちょっとたいていのことは暴力で解決しそうなアウトロー風の男性2名が、和歌山限定フラペチーノの看板を見てこんな会話をしていた。

 

「あれ、もうイチゴのやつ終わったのかな。あれ好きだったのに」

 

「まだやってんじゃね? でも、和歌山限定のやつもあるみたいだぜ」

 

「おれさー、地元ながら和歌山のこと嫌いなんだよね」

 

「あー、そういえばヨシちゃんいつも嫌いっていってたな」

 

「マジ嫌い。おれが知事になったら和歌山はお取り潰しにする」

 

ヨシちゃんが和歌山県知事になったらお取り潰しになるらしい。大阪府や奈良県に編入されるんだろうか。

 

 

#30 和歌山 つれもてのもら みかんシトラス フラペチーノ

和歌山の特産であるみかんをベースとし、シトラスの食感を加えてフラペチーノにした一品だ。このみかんのベースがかなり濃厚で、最初に飲んだ時に喉が焼けるほどに濃かった。濃厚すぎるだろと驚いたのだけど、これは単に混ざっていないだけで良くかき混ぜるとミルクと溶け合い、程良い味の濃さになる。そうなると最初に感じたミカンの風味とは異なってくる。単にみかんとミルクを混ぜましたという味ではなく、全く新しい味を作り出している。どこか懐かしい味。最初は分からなかったけど思い出した。幼い時に飲んだミルクセーキの味に似ている。そんなホッとする味わいだ。

 

週末の深夜、郊外、店内は友人同士、恋人同士で語らう人で溢れていた。このフラペチーノに名付けられた「つれもてのもら」という微妙に難易度の高い方言は、「一緒に飲もうか」みたいな意味合いがあるようだ。和歌山の人々にはこの「つれもてのもら」の精神が浸透しているようだ。まあ、一緒に飲むも何も、僕は独りで飲みに来ているわけで、となりの席のカップルは異常にいちゃいちゃしており、なんというか、僕が和歌山県知事になったらお取り潰しにしたろうかな、などと漠然と考えていた。

 

和歌山フラペチーノをじっくりと賞味していたらけっこう遅い時間になってしまった。明日の移動を考えるとJR和歌山駅に戻ってそこで就寝といきたいところなのだけど、さきほど乗ってきた和歌山電鐵はたぶんもう終電がいってしまっている状態だ。必然的に歩いて戻るしかない。けっこうな距離がある。

 

ただまあ、知らない街を歩くことはそう悪いことでもなく、色々なものが見えてくる。

 

例えば、このエバーグリーンというスーパー、あれさっきもあったよな、と振り返るとやはり50メートルくらい手前にもあった。

 

なぜこんな近距離に2つのエバーグリーンが、と考えだすと止まらない。こちらのエバーグリーンが「スーパーエバーグリン」で手前にあったやつがただの「エバーグリーン」なのでこっちのほうが後からできた上位的な存在で、売っているものも多いのかもしれない。

 

超MEDAKAってなんだろう。メダカを超越した存在だろうか。そもそもメダカとは超越すべき存在なのだろうか。

 

そんなことを悶々と考えながら歩いていたらあっという間に和歌山駅に戻っていたので、そこで就寝。2日目は終了となった。

 

制覇状況はこちら

10/47  残り37杯

 

九州を制覇し関西上陸! 怒涛の3日目に続く!

 

 

3日目

6:10 JR和歌山駅

昨日の夜に和歌山を取れた意義は大きい。こうして早朝から移動できるからだ。ここからは大阪を目指していく。

 

紀州路快速 和歌山-天王寺 870円

 

もう長い鉄道移動は手慣れたものだけれども、僕はこの移動中、ほとんど居眠りをしていない。僕は車窓から知らない街の風景を見るのが好きで、そこに住む人の生活を想像して楽しむ癖がある。絶対にあそこのアイスクリーム屋、正面にある高校の子たちが通い詰めているわとか、なんであんな地形のままなんだろう、みんなブツブツ言いながら遠回りしてそう、とか勝手に考えている。

 

そういった意味では、この和歌山―大阪間の沿線風景は生活感があって面白い。特に岸和田あたりからはエキサイティングだ。

 

7:25 天王寺

沿線の風景を楽しんでいたらあっという間に大阪、天王寺に到着した。

 

 

 

あべのハルカスがある場所だ。めちゃくちゃでかい。

 

ここからは奈良方面を目指して移動していくわけなのだけど、この乗り換え時間を利用して「いつでも取れる」と豪語していた大阪を取ることにする。やはり大都会なので周辺にはめちゃくちゃスタバがある。その中でも早朝から営業していてそう遠くないスタバにあたりをつけた。

 

あべのハルカスの裏手に「あべのHoop」という真新しい商業施設がある。そこにスタバが入っており、早朝から営業しているようだ。僕のスタバアイもしっかりと緑の看板を捉えている。

 

大阪 スターバックスコーヒー あべのHoop店

 

めちゃくちゃおしゃれな雰囲気が漂う、めちゃめちゃ広いスタバだった。一説によると西日本最大級の広さを誇るらしい。店内の雰囲気も落ち着いており、ゆっくりとした時間を過ごせそうな場所だ。

 

#27 大阪 めっちゃ くだもん クリーム フラペチーノ

本日1杯目。とても大阪らしいフラペチーノだ。バナナやりんご、桃、マンゴーやパッションフルーツなど、いっぱい入れといたろ、みたいなノリで様々な種類の果物が投入されている。そこで目指しているのがおそらく、むかし懐かしのミックスジュースの味わいだ。その狙いは見事にはまり、きっちりとその味わいを再現している。

 

ミックスジュースの味でありながら、それはどこか洗練されていている。全体的に桃の味わいが強めに出ていて、その他の果物の味わいが交代で口の中に登場してくる。まるで果物たちが漫才の出番を待っているかのようだ。終盤になると、バナナの味わい強くなっていき、クリーム上部にトッピングされたチョコソースにより、チョコバナナの味わいになる。おそらくこれがトリの大御所なのだろう。どこか懐かしく、それでいて新しい、まるで縁日で楽しむような味わい。令和のミックスジュースの誕生だ。

 

 

さて、休憩もそこそこに移動開始だ。

大阪の街並みを眺めながら駅へと向かう。なんか城みたいなものあるけど大阪城にしては位置がおかしい。あれなんだ。

 

大和路快速 天王寺-奈良 470円

 

天王寺から30分も電車に乗れば隣県である奈良県に到達する。これまでの九州シリーズと異なり、このあたりは県同士の距離が近く移動手段も豊富だ。つまり、次々とスタバを制覇することが可能となる。ただし、そうなると、かなり短い間隔でフラペチーノを摂取する必要がでてくる。利便性が勝るのか、それとも腹がはちきれるのか、このフラペチーノの旅3日目はそんな戦いになりそうだ。

 

8:41 奈良駅

さすが歴史の街、奈良だね。駅の時点で着物を着てキルビルみたいになっている女の人がたくさんいた。

 

駅のエスカレーターを下っていると、エスカレーターに乗るタイミングが悪かったみたいで、若い女性とそのお母さんの間に立つことになってしまった。若い女性はスマホに熱視線を送っていたのだけど、後ろにお母さんがいると思ったんでしょうね、突如として振り返って僕に言うわけなんですよ。

 

「あかんやん、ダイコク、9時開店やん。痔の薬かえへん!」

 

僕のタイミングが悪くて彼女と彼女のお母さんの間に立ってしまったんですけど、そんなこと分からない僕は、もう8時45分くらいだったので、こう答えるしかなかった。

 

「9時まで待てばいいのでは」

 

彼女も、うわーお母さんだと思ったら知らないおっさんが立っている、といった表情を見せながらも答えた。

 

「そうですよね」

 

ただまあ、いそいでダイコクで痔の薬を買わなきゃいけない状況ってのがあまり理解できない。そんな切羽詰まった痔なのだろうか。

 

歴史ある感じの建物が目の前に現れた。どうやらこれ奈良駅の旧駅舎らしい。いまは観光案内施設みたいなものが入っているようだ。この中にスタバがあるようだ。僕のスタバアイもしっかりと画面中央の緑の看板を捉えている。

奈良 スターバックスコーヒー JR奈良駅旧駅舎店

 

落ち着いた雰囲気の店内。客席にはチェスを楽しむじいさんや着物の女の人などいてゆったりとし時間が流れていた。

 

#29 奈良 ならでは ほうじ茶 ホワイトチョコ フラペチーノ

本日2杯目。久しぶりのお茶ベースのフラペチーノが登場してきた。ほうじ茶をベースにしたものらしい。やはりその選択は奈良のイメージにマッチしている。「奈良ならでは」というネーミングも嫌いじゃない。やはりトッピングされた抹茶パウダーは緑豊かな奈良の風景をイメージしているらしい。抹茶パウダー、地形のイメージに使われがちだ。

 

ほうじ茶とはもともと香ばしい香りが特徴のお茶だ。その香ばしさがしっかりと再現されており、おまけにほうじ茶が持つ渋みと、ホイップの甘みがよく分からないレベルで融合して同居している。渋みがあるのだけどほのかに甘い、というちょっと癖になる味わいだ。最初は、ほうじ茶の香ばしさだけが印象に残るけど、飲み進めると口の中が慣れてきて、今度はホイップとかミルクの甘みを先に感じ、その後にほうじ茶の味わいがパッと口の中に広がる。奈良の落ち着いた雰囲気にとてもマッチした落ち着いた味わいのフラペチーノといえるだろう。

 

さて、この奈良フラペチーノ、注文した瞬間に異変が起こった。なんと、店員さんがカップにマジックで何かを書き始めたのだ。スタバでは店員さんが何かメッセージを書いてくれることがあると伝え聞いていたけど、ここまではそういうことはなかった。もしかしたら都市伝説だったのかもしれないと思い始めていたけど、やはり実在したのだ。

 

問題はそこになんと書かれているかだ。もし、「ひとめぼれしました」「好きです」とか書かれていたらどうしよう。おいおい、まだそんな知り合って間もないし、お互いのこと全然わかってないだろ。それに僕は放浪の身、全国のフラペチーノを求めて放浪する流浪の民だ。愛の告白を受けても彼女の思いに答えてあげられる自信がない。でも、昔と違って今はスマホもあるし、いろいろな情報ツールも、交通手段も発達している、きっと遠距離でも彼女を泣かせることなく付き合えるかもしれない。カーッ、まいったな。いやはや大丈夫。愛の告白でも答えることができる! こいや!

 

「welcome NARA」

 

そう……。そうね。

 

さて、これで奈良のフラペチーノもゲットし、カップにメッセージを書いてもらう経験までゲットした。ここからはJR奈良駅に舞い戻り、奈良線快速に乗って京都を目指す。1時間ほどで到着するらしい。やはり関西圏は県境を越えての移動が楽だ。つまりフラペチーノが短いスパンでくる。覚悟しておかねばならない。

 

 

奈良線快速 奈良-京都 720円

 

10:14 京都駅

京都駅は人でごった返していた。めちゃくちゃ観光客が押し寄せているとか、通勤通学のラッシュだとかそういうことではないらしい。どうやら熱海あたりの大雨の影響で東海道新幹線が停まっているようで、それによって予定が狂い、行き場のない人たちが溢れているようだった。

 

とりあえず、僕自身もここから東海道新幹線を利用するつもりだったので、新幹線が動かないなら別のルートも視野に入れる必要があると検討し始めていた。とりあえず、ルートのことはおいといて今は京都のスタバだ。

 

京都はこの京都駅にしっかりとスタバがある。ただし、京都駅はなかなか巨大なので駅内の探索が大変だ。

 

京都駅内には、こんな感じで日本風の古き良き街並みを再現したエリアがある。ここに集中して飲食店が入っている。なんかこのあたりでスタバを見たような記憶があるな、とおぼろげな記憶を頼りに探索してみたけれども、スタバのスの字もなかった。まったくあてにならない記憶だ。

 

京都 スターバックスコーヒー JR京都駅新幹線中央口店

 

新幹線の改札すぐの場所に発見した。店内はけっこう混みあっていて空いている座席がないほどだった。おそらく新幹線が停まっていることにより行き場のなくなった人が再開を待っているのだろうと思う。

 

京都のフラペチーノは京都らしく、抹茶テイストのようだ。それを知った僕の反応は、「抹茶か……」だった。

 

僕自身は抹茶テイストのことが別に嫌いなわけではない。かといって好きかといわれたらそうでもない。つまり、抹茶に対しての思いは完全に「無」だ。これは、嫌うこともなければ積極的に選ぶわけではないということだ。たくさんの味が選べる状況にあって、その中に抹茶味があったとしても、僕がその中から抹茶を選ぶことはない。そんな感じだ。

 

#26 京都 はんなり 抹茶きのこフラペチーノ

本日3杯目だ。抹茶をベースとしてきなこ主体のシロップを加えた京都らしいフラペチーノ。だいたい作り方をみて理解してきたのだけど、画像のように抹茶の緑とホワイトチョコレート風味のシロップの白が大雑把に混ざった状態を作るには、先にカップの底に白いシロップを投入する必要がある。こうすることで、味の変化を楽しみたい人はそのまま飲んでムラを楽しむし、均一な味にした人は良くかき混ぜて飲むことがきる。

 

抹茶とはこんなにも美味しかったのかという感想だ。いままで抹茶をチョイスしてこなかった自分の人生を恨んだ。まず、けっして強いわけではない抹茶の味わいが口の中に広がり、次にホワイトチョコの味が包み込むように広がる。そのあとに強烈にきなこの味が口の中すべてを塗り替える。想像した以上にきなこの風味が強く、上品な甘みを楽しむことができる。口の中でクルクルと味が変わった後に、やはり抹茶の風味が後味として残る、なんとも楽しい味わいだった。これからは抹茶味も選んでいくことにしよう。

 

新幹線は停まっているが在来線は動いているようなので、それに乗ってここから大津を目指す。つまり滋賀県を取りに行くということだ。在来線を使えば10分で大津まで行ける。関西圏の県境事情はどうなっているんだ。隣の県までが近すぎる。フラペチーノが連続すぎる。お腹の調子がそろそろ怪しくなってきた。

 

京都-大津 200円

 

それにしても、滋賀県のJIMOTOフラペチーノは何の味でくるのだろうか。各県は基本的にその土地の名産や特色を前面に出したフラペチーノをだしてくる。そうなると滋賀県といえば琵琶湖だ。琵琶湖の水を使った特製フラペチーノ、ってそれもうただのお冷だからな。

 

そんなことを考えながら電車に乗っていたら、きた、ついにきた。そう腹痛だ。そりゃ朝からけっこう短いスパンであんな冷たいものを3連発で飲んだらこうなって当然だ。これはっけっこうやばいやつだ。人権を失いかねないやつだ。

 

大津までおおよそ8分。途中で山科という駅に停車する。ここで考えられる選択肢は3つ。

 

1.車内トイレを探す。

2.山科駅で降りてトイレに駆け込む。

3.大津駅まで耐える。

 

列車の混雑具合から考えて1は難しい。それに探したところで確実に車内トイレが存在するという保証はない。それが空いているという保証もない。やっとこさ探し当てた車内トイレが超満員SOLDOUTだった場合、たぶん心が折れる。そして人権を失う。

 

そうなると2か3の選択肢になるのだけど、僕はきっとまだこの腹痛のことを心どこかで舐めたてたんだと思う。途中の山科駅で降りる? そんなのチキンでしょ、いけるいける。みたいな考えがあった。それがどんなに危険な思想か。もう何度も繰り返してきた過ちじゃないか。

 

電車が山科駅に停車し、またそのドアを厳かに閉じた瞬間、事態が急変した。今まで親友だと思っていた友人が急に敵意をあらわにしてきたように、シャレにならんレベルで腹痛がビートを増してきた。腹痛でちょっと困らせてやろうだとかそういう生易しいものじゃない。あきらかにこちらの命を取りにきている。

 

大津までもってくれよ! 俺の体……!

 

10:46 大津駅

助かった。

 

命からがら大津駅に到着し、ホームを爆走して階下のトイレに駆け込むことで命を繋ぐことができた。

 

トイレに駆け込みつつも僕のスタバアイは緑色のマークを見逃さない。駅のすぐ近くにある商業施設にしっかりとスタバがあるようだ。

 

滋賀 スターバックスコーヒー ビエラ大津店

 

店内は限界に近いレベルで混みあっていた。注文時に、満席なので持ち帰りのみになりますと言われたほどだった。ちなみに持ち帰りにしようが店内飲食にしようがフラペチーノの場合は出てくるものは同じだけど、消費税が軽減税率になるぶん、持ち帰りの方がちょっと安くなる。

 

「すいません、滋賀のフラペチーノください」

 

「はい! ありがとうございます! もしかしてこれを飲むために来ていただけたんですか?」

 

「ええ、まあ……」

 

店員さんとの間で何度となく交わされた会話だ。そのたびに「全国制覇するつもりですとはさすがにいえないな……」と心の中で考えて、そこでやりとりは終了するのだけど、ここ大津ではこの先の展開があった。

 

「もしかして、旅をしながら全国のフラペチーノを飲み歩いています?」

 

(こ、こいつ……っ、心を読めるのか!?)

 

「ええ、まあ」

 

「頑張ってくださいね!」

 

店員さんは両の手の拳をキュッと握り、ファイトといわんばかりの仕草を見せた。なんでバレたんだろう。本当に心を読める店員さんだったのだろうか。

 

 

#25 滋賀 びわブルー シトラスクリーム フラペチーノ

なるほど、そうきたかという印象だ。滋賀といえば琵琶湖、琵琶湖の水を使ったフラペチーノですってそらもはやただの水じゃん、と思っていたけど、色で琵琶湖を表現してきた。この青を出すためにマメ科の青い花バタフライピーをベースとしたシロップと、ホワイトチョコベースをマーブル模様に混ぜ合わせることで琵琶湖の水を表現している。その上部には果肉たっぷりのシトラス層があり、琵琶湖に沈む夕日をイメージ。そしてやはり、抹茶パウダーによって滋賀の山々を表現している。抹茶パウダーの、地形の表現に使われすぎ。

 

今までにない鮮やかな色遣いに戸惑いつつ賞味してみる。青い部分はクリームソーダ―の味わいに近い。アイスが解けてきてソーダ―とアイスが絶妙に混じりあった部分の味がする。シトラス部分に果肉感はかなり強い。ただし、そこまでシトラスの風味を前面に出しておらず、あくまでも食感を楽しむ用途で投入されている。また、これらは完全に層として分離しており、かなりかき混ぜても一様に混合されることはなく、均一な味にはならない。飲み進めながら変化していく味を楽しむようになっている。それは、季節、時間、場所、それらによって違う表情を見せる琵琶湖をイメージしているのかもしれない。

 

 

さて、次は岐阜県を取りに行きたいところだ。本来なら新幹線で移動したいところだけど判断が難しい。もし新幹線がまだ停まったままなら、このまま在来線で岐阜を目指したほうがいい。新幹線が動いているのならば、いったん京都に戻り、そこから新幹線にのるべきだ。行くべきか引き返すべきか。難しい判断だ。

 

大津―京都 200円

京都-岐阜羽島 新幹線 4510円

 

選択したのは新幹線だった。そろそろ運転再開しそうという情報をキャッチしたので、急いで京都駅に舞い戻り、そこから新幹線に乗車した。2時間遅れの運行ということで、もう11時30分だというのに、ダイヤ上は9時台にあたる新幹線が京都駅にやってきた。

 

1202 岐阜羽島駅

岐阜羽島駅に到着し、自動改札に切符を入れたところ新幹線特急券が戻ってきた。ダイヤ上は9時台に到着する新幹線が12時に到着したので2時間以上の遅れとなる。2時間以上の遅れは特急券の払い戻し対象なので戻ってくるらしい。ただ、僕は来たやつに飛び乗っただけで2時間も遅れていない。完全にオンタイムだ。そのことを駅員さんに質問したけど、まあまあ、受け取っておいてください、と強引に切符を返されてしまった。たぶん遅れ対応で忙しくて構っていられなかったんだと思う。この戻ってきた切符は全国どこでも窓口に持っていけば新幹線特急券ぶんの2500円くらいが返金される。いざという時のお守り代わりに持っておこう。

 

岐阜羽島駅は新幹線停車駅だけれども、JR在来線が乗り入れていないし、そこまで大きな駅ではない。駅周辺も商業施設が建ち並んでいるとは言い難い状態だ。とてもじゃないがスタバがあるとは思えない駅だ。

 

ただ、少し歩いて行った場所に店舗が存在するようだ。駅の近くにありながらドライブスルーも兼ね備えた郊外型の店舗だ。おそらく岐阜羽島駅の近くを狙って作った店舗というよりは、岐阜羽島駅も岐阜の中心地から見たら郊外にあたるので、郊外型の店舗を作ったら岐阜羽島駅の近くだった、という感じではないだろうか。

 

歩き始めて数分、僕のスタバアイが緑色の看板を捉えた。絶対に見逃さない。予想よりもずいぶんと近くにあるようだ。あまり歩かなくて済みそうだ。

 

岐阜 スターバックスコーヒー 羽島福寿店

 

同じ敷地内にいくつかの店舗が立ち並ぶ、そんな場所にスタバがあった。店の外観的に、けっこう最近になってオープンしたのかもしれない。それくらい新しかった。

 

ちなみに、同じ敷地内に移動販売車が来ていて、おそらくホットドッグを売っていたのだろうと思うのだけど、なにごとかと思うレベルで行列ができていた。めちゃくちゃ人気があるんだと思う。

 

スタバの店内も負けじと行列になっていた。どうやら岐阜のフラペチーノも京都と同じく、抹茶をベースにしたものみたいだ。

 

ちなみに、ここまでスタバで良く起こった現象なのだけど、店に到着した時にはけっこうな行列ができているに、僕が並び始めると後ろに続く人がいなくなる。結果、注文が終わるころには行列も皆無になる。ここ岐阜でもしっかりとこの現象が起こった。

 

#21 岐阜 やおね コーヒージェリー フラペチーノ

 

本日5杯目だ。またホイップクリームに抹茶パウダーがまぶされているので、岐阜の山々を表現しているのだろうと思う。商品名にある「やおね」は「だよね」みたいなニュアンスで使われる言葉らしい。下部に沈む黒い塊はコーヒージェリーを砕いたもののようだ。

 

まず、いままでのフラペチーノにない食感に驚く。クラッシュされたコーヒージェリーがフラペチーノ全体を支配する。ベースとなる抹茶にはチョコレートで甘みが加えられており、それがコーヒージェリーを膜のように包み込む。それがなんとも言えない柔らかい味わいを口の中に実現している。抹茶とコーヒージェリー、和と洋、まったく合いそうにない二つをフラペチーノ化し、絶妙のバランスで1つの飲み物に昇華させている。

 

12:45 岐阜羽島駅

 

急いで岐阜羽島駅に舞い戻る。まだ新幹線ダイヤが乱れまくっているようなので時刻表がまったくあてにならず、いつ新幹線がくるのか読めないからだ。ホームで待っているとおもいのほか早く新幹線がやってきた。ここから愛知県を取るべく名古屋を目指していく。

 

岐阜羽島-名古屋 1460円

 

12:56 名古屋駅

10分ほどで名古屋駅に到着してしまった。早い。早すぎる。まだお腹がタプタプだ。そうはいっても到着したのならばフラペチーノを飲むしかない。

 

名古屋は大都会なのであちこちにスタバがある。名古屋駅の周辺だけに限ってもおそらく10店舗はあると思う。どうせなら高い位置の店舗に行ってやろうと、JRセントラルタワーズ内の店舗を目指した。

 

愛知 スターバックスコーヒー 名古屋JRセントラルタワー店

 

地上13階、いままでで最も高い位置にあるスタバ店舗だ。この反対側にはスープを提供する店もあり、客席はフードコートみたいな扱いになっている。店内はかなり混みあっていて、眺めがいいためか窓側の席が人気だった。

 

愛知にフラペチーノは「あんこ」をベースとしたものらしい。おそらく小倉トーストを意識してのことだろう。この「あんこ」ベースのフラペチーノに関して、あるやりとりがあった。

 

「すいません、愛知のフラペチーノください」

 

いつものように注文すると、店員さんが会話を仕掛けてきた。

 

「あんこ、好きですか?」

 

こいつは「あんこ」が好きでこれを注文しているのかなと考えての言葉だろう。けれども、注文カウンターはアクリルの板で仕切られ、店員さんもマスクをしており、その声がよく聞こえなかった。おまけに、けっこうな長旅になってきたので僕の脳が疲れていたんだと思う。

 

「あたし、好きですか?」

 

そう質問されているように聞こえたのだ。とんでもねえ押しの強い女だ。誘ってんのか。

 

どちらかといえば好きの部類だと思う。マスク越しでもわかるかわいい顔立ち、クリクリとした瞳。たぶん優しい性格をしていると思う。突如として「アタイのこと好きかい」ときいてくる押しの強いところを除けば、たぶん好きになれると思う。

 

「はい、好きです」

 

と返事したところでハッとなり、そうか「あんこ」のこと好きかってきいていたんだ、と理解した。そうだよな、そんないきなりアタイのこと好きって聞いてくる女がいたら狂っているとしか思えないよな。そろそろ脳が大変なことになってきている。

 

商品の受け渡しカウンターでも事件が起こった。どうやら僕の後ろに並んでいた女の子2人組、スタバでアルバイトをしている友人の様子を見にきたみたいだった。

 

「あっ、すごい、真剣な顔で作っているよ」

 

「がんばれ」

 

みたいな応援が展開しており、こちらもなんだか応援してしまいそうな雰囲気があった。

 

「わたしたちのやつも作って欲しいなあ」

 

「順番的に違うね。ほら、順番から行くと次はあの太ったおじさんの分を作るはずだよ」

 

それは紛れもない僕のことだった。太ったおじさんとは僕のことだった。意図しないところで予想外の形で知らない人にディスられてしまった。

 

#23 愛知 でらうみゃ あんこコーヒーフラペチーノ

本日6杯目。あんこを主体に、名古屋めしとしられる小倉トーストをイメージしたフラペチーノ。あんこを主体としつつもコーヒーやチョコレートチップ、ホイップクリームをこれでもかと言わんばかりに投入している。チョコレートチップにはほとんど味がなく、全体としての印象はやはり「あんこ」に支配される。おそらくチョコレートチップは「つぶあん」的な食感を出すために投入されている。どこまでも小倉トーストの味を再現するつもりだ。かなり濃厚な場所でバランスがとれており、満足感がすごい。これ一杯で十分にお腹が満たされる満足感がある。

 

さて、ここから先に進む前に、少し戦略的な話をさせていただきたい。

 

こから東へと侵攻していく前に、三重県を片付けなければならない。

 

 

ただし、三重県は通り道ではなく、完全に三重だけを取りに行く形になるわけで、そのあとに戻ってくる必要がある。そうなると、県庁所在地である津市や伊勢市まで行くのはあまり得策ではない。あまり奥に入らず、なるべく愛知側で決着をつける必要がある。

 

その場合、ほぼ愛知との県境に位置するジャズドリーム長島店が有力だけど、こちらはおそらく駅からめちゃくちゃ遠い。

 

そこで導き出した答えが「イオン四日市北店」だ。ここはけっこう愛知に近い場所だし、なにより駅から近い。完全に理想に近い形だ。ということで最寄り駅である富田駅を目指す。

 

JR関西本線 名古屋-富田 480円

 

14:29 富田駅

40分ほどの乗車で目的の富田駅に到着した。住宅街に佇む小さな駅といった印象か。駅から巨大なイオンが見えたけれども、駅の出口とは反対方向だ。こういうパターンでは線路を超えるためにけっこうな大回りを強いられることもあるので油断はできない。

 

駅の近くに踏切があったのでなんとか大回りを強いられることもなく、線路の反対側に出られた。目の前に巨大なイオンがたちはだかる。

 

三重 スターバックスコーヒー イオンモール四日市北店

 

巨大なイオンモールの1階、ど真ん中に近い場所にスターバックスがあった。名古屋から鉄道で移動してきて最も便利のいい場所にある三重のスタバ、やはりここを選んだのは正解だと思う。

 

#24 三重 伊勢茶&シトラスやに! フラペチーノ

本日7杯目。伊勢茶をベースとしたフラペチーノだ。カップ底の白いホイップクリーム層とシトラス果肉層、そして伊勢茶層の三層構造からなっている。

 

伊勢茶の部分はとても清涼な味わいで、ややお茶の渋みを前面に出している印象がある。その渋みはもちろんミルクと混ぜることによって柔らかくなっているのだけど、シトラス果肉の酸味と相まって深みのある渋みに変化する。お茶をベースとしたフラペチーノの多くが和のテイストにいきがちだが、なぜかお茶ベースでありながら洋のテイストすら感じる挑戦的な一品だ。

 

商品名の「やに」は「だよ」みたいな意味合いがあるそうだ。ちなみに、JIMOTOフラペチーノを注文されたら方言で合いの手を入れる、みたいな決まりが店員さんの間であるのか、僕が注文するといっせいに合いの手が入った。

 

「三重やに(よく聞き取れなかったけどたぶんこう言っていた)」

 

「三重やに~」

 

「三重やに~」

 

他のオーダーでは言っていなかったので、やはりJIMOTOフラペチーノ用の合いの手なのなのだと思う。そのあとに店員同士が、「なんかこれ照れるね」「うん、照れる」ってちょっとほほを赤らめながら会話していたのがなんかすごく良かった。方言で合いの手、店員さんもちょっと照れるらしい。

 

15:14 富田駅

さて、三重県を取ることができた次は愛知県の東のお隣、静岡県を取って東へ東へと侵攻していく予定だ。ただし、ここでまたちょっと戦略的なお話をさせていただきたい。

 

静岡県は東西に長い。もうこの長さは異常だ。1つのスタバを取るためだけにこの無限とも思える距離を横断するのはあまりに効率が悪い。おまけにそのさらに1つ隣の神奈川県に至っては、やはり大都会なのでどこでも取ることができる。

 

それこそ、東京を取った際に東京よりの川崎や相模原などで取れてしまうわけだ。そう考えると神奈川県内の横断すら効率悪く感じてしまう。

 

そこで注目するのが、長野県、山梨県、群馬県、内陸にあるこの3県だ。僕の予定では太平洋側を制覇し、今度は日本海側を制覇していくつもりなので、内陸にあるこの3県がどうしても取りにくい。東への移動において静岡県、神奈川県と横断して取ることを考えると、むしろこの内陸県を優先して取るべきと考えるのだ。それには以下の2つのプランが考えられる。

 

プランA。静岡県のスタバは最も愛知よりの浜松で取る。その後、名古屋方面に戻り、特急列車でダイレクトに長野県松本市を目指す。その後は山梨県甲府市で山梨を取り、中央線で東京へと出る。前述したとおり、神奈川と東京はどこでも取れる。ただ、これだと群馬県を取りこぼす。

 

プランB。普通に静岡市あたりで静岡のスタバを取り、そこから特急に乗り換える。身延線を経由して山梨県甲府市に至る特急があるので、そこで山梨を取る。そこから長野県松本市に行き長野を取り、そのまま長野市に行き新幹線に乗り換える。こうすることで埼玉に向かいつつ、途中の高崎で群馬県も取れる。埼玉にさえ出てしまえば東京や神奈川はなんとでもなる。

 

考え抜いた末に、プランBで行くことにした。プランAはどうしても群馬が難しくなるのと、浜松から名古屋まで引き返す手間が惜しい。やはりプランBによって難関の3県を奪取できる魅力は大きい。よしプランBだ。

 

そうなると、静岡県のスタバはどこでとっても大丈夫なので、どうせ特急に乗り換えるために降りるので効率を考えて静岡駅で取ることにした。

 

関西本線 富田-名古屋

東海道新幹線自由席 名古屋-静岡 6270円

静岡まで移動して静岡から特急に乗り換えて身延線で甲府まで。初めて乗る身延線にちょっと心をときめかせていた。呑気なものだ。この時点ですでに重大な見落としをしているとも知らずに。

 

 

17:10 静岡駅

さあて、まずは静岡駅周辺のスタバを探してと歩いていたら、新幹線の改札を出る前にスタバを見つけてしまった。

 

静岡 スターバックスコーヒー 静岡駅新幹線ラチ内店

 

新幹線改札内の待合所みたいな場所にしっかりとスタバが店を構えていた。新幹線で静岡県のフラペチーノを取りに行く場合、静岡駅で取れば改札を出ることなくゲットできるということだ。

 

新幹線の改札内のスタバということで、少しだけ特徴的な部分があった。注文時に店員さんが「何時の新幹線ですか?」と聞いてくるのだ。商品を待っていて新幹線に乗り遅れたなんてことがないようにとの配慮だろう。あと、待合所内の店なので基本的に座席がなく、持ち帰り前提となる。

 

#22 静岡 みかんシトラス だらーけ フラペチーノ

本日8杯目。静岡の特産品であるみかんをベースとしたフラペチーノだ。同じく柑橘類であるシトラスの果肉を入れ、ホイップクリームの上部には抹茶パウダーをトッピングしている。この瞬間に、あ、抹茶をかけるということは静岡のなんらかの地形を表現しているな、と理解した。たぶん富士山だろう。

 

ふかんの味がかなり強い。氷と混ぜられてシャーベット状になることで完全にみかんシャーベットの味わいになっている。シトラスの果肉も投入され、異なる柑橘類の味わいのハーモニーを実現しようとしているが、みかんの味わいが強すぎるので残念ながらシトラスはあまり感じられない。ホイップやホワイトチョコシロップの絡み以上にみかんの存在が強いので、最初から最後まで一貫してみかん、というかなり強いフラペチーノに仕上がっている。

 

 

さて、静岡も取ったし、ここから特急に乗り換えましょうかねと新幹線改札に向かうと、衝撃の事実が待ち受けていた。大雨により身延線、全線にわたって運休だった。当然、考慮に入れるべきだった。大雨であれだけダイヤが乱れていたのだ。熱海のあたりでは大きな災害になっている。山間を走る身延線も当然、運休を視野に予定を立てるべきだった。

 

こうなると、いまから名古屋方面に戻って内陸を攻めるなんてことは非現実的になる。かといって身延線は使えない。もう、新幹線に乗って愚直に東へ攻め入るしかない。内陸3県の取り方はまた別に考える。今日は東に進んで取れるだけ取ってしまおう。

 

17:30 静岡駅

そうなると、愚直に新幹線に乗り続けて移動するしかない。あれだけ、静岡と神奈川を突き切るなんて非効率とディスったのに、その非効率な移動をすることになってしまった。

 

東海道新幹線自由席 静岡-新横浜 5170円

 

18:34 新横浜駅

新横浜駅は、改札内とは言わないまでも駅内にスタバがあるはずなので探しに行く。もうすでにこの時点で8杯飲んでいるのにまだまだ移動して飲む気配だ。完全にお腹がたぷんたぷんになっている。

 

あった。僕のスタバアイが即座に緑色の看板を見つけた。

 

神奈川 スターバックスコーヒー 新横浜店

 

画像を見てもわかるように、けっこうな行列になっていた。時間は夕方の6時30分。時間的に見て仕事帰りの人が多く立ち寄ったのだろうか。

 

新横浜店の手書き看板もめちゃくそ気合が入っている。うますぎるだろ。

 

#14 神奈川 サマー ブルー クリーム フラペチーノ 

本日9杯目。神奈川らしい実におしゃれなフラペチーノだ。滋賀と同じくバタフライピーを使って青色を表現し、神奈川の海を表現している。ただその青色はそこまで強くない。ホイップクリームにはシトラス果肉がトッピングされている。

 

バタフライピーをベースとしたフラペチーノは滋賀県で経験済みだ。ただし、それよりもミルクのテイストを強めにした印象を受ける。それにより、さらにアイスがけっこう溶け出してきたクリームソーダ的な味になっている。シトラスはそこまで主張が強くなく、主に色合いと食感を考えて入れられているようだ。ズズッと一気に飲めてしまうので、コメカミのあたりがキーンと痛くなる。

 

本日はもう9杯も飲んでおり、そのほかに食事をとっていないので完全にフラペチーノだけで栄養を摂取する人になっている。ただ、そろそろ飲み干すのが辛くなってきた。ただし、時間的にまだまだ進めるので行くしかない。

 

今日は戦略の話ばかりしているのだけど、大切な話なので聞いてほしい。次の東京はそれこそどこでも取れるので無理にとる必要はない。取れるタイミングでポッと取ればいい。そうなると優先されるべきは千葉県と茨城県だ。ここはいま取っておかないとかなり苦戦することになる。

 

そうなると、一つの重要なキーワードとして「常磐線」という言葉が浮上してくる。この常磐線が、千葉と茨城のフラペチーノを取る上で重要な役割を果たしていく。

 

茨城のスタバを考えた場合、やはり、あまり東京から離れることは得策ではない。なるべくこちら側で取りたいところだ。そうなると浮上してくるのが取手市である。もっとも千葉よりにありながらしっかりとスタバもある、そんな場所だ。

 

この取手に行くには常磐線を利用することとなる。そうなると途中に松戸や柏など、いくらでもスタバがありそうな千葉県の都市を通過していく。そう、常磐線に乗ることで千葉と茨城を一気に片づけられる。ということは、ここ新横浜から新幹線で東京駅まで行き、東京駅から常磐線に乗ることが最適解だ。

 

東海道新幹線自由席 新横浜-東京 1380円

 

新横浜から東京まで新幹線で移動するとなんとも贅沢な気分になってくる。そういえば、午前中に滋賀県の大津の手前で人権を失うレベルの激しい腹痛がきて、これは今日は腹痛との戦いになるぞ、と覚悟していたのだけど、それから音沙汰がない。

 

これは体が完全にフラペチーノを受け入れたぞ、もうどれだけ冷たいものを飲んでもお腹を壊しはしない! なんて喜ばしいものではなく、なんとなくだけど、なんかじっくりと力を蓄えているような。とんでもない爆弾を育てつつあるような、そんな雰囲気だ。早い話、腹痛がこないという事実が逆に不穏な感じになっている。怖い。

 

19:16 東京駅

計画通りにここから常磐線に乗り換えて千葉、茨城と片づけていく。その前にここ東京駅の新幹線改札内にもスタバがあるようなので、乗り換えの時間を利用して東京のフラペチーノを取りに行く。すぐに見つかるだろう。

 

とはいっても、そこはさすが東京駅。新幹線改札内だけでもなかなか広い。けっこう歩くことになってしまった。

 

スタバの看板あった! と大興奮したけどその先には座席が並ぶばかりで店舗がない。混乱したけどこの通路の突き当りを曲がったところにしっかりと店舗があった。

 

東京 スターバックスコーヒー JR東海 東京駅新幹線南内ラチ店

 

静岡と同じく待合スペースに建てられた店舗のようだ。おそらく持ち帰りを基本としているのだろう。

 

#13 東京 オリジン コーヒー ジェリー キャラメル フラペチーノ

本日10杯目。コーヒージェリーを主体とし、ホイップにはキャラメルソースがトッピングされている。画像におけるカップの下部の層をよく見てほしい。ここの感じが完全にコーヒージェリーのあれだ。昔ながらのコーヒージェリーに付属のクリームを投入し、かきまぜた感じがよく似ている。

 

コーヒージェリーはビターで大人の味わいに調整されている。それがホイップクリームの甘さと混じりあい、さらにキャラメルソースが甘さを引き立たせる。フラペチーノでありながら完全にコーヒージェリーを体験させてくれる。少し大人で、どこか高級で、なんとなくしゃれた雰囲気。少しだけほろ苦くて甘い。まるで東京という都市をこの1杯に再現したかのようだ。

 

 

東京を片づけたのでここから常磐線に乗り換える。常磐線沿線の千葉県でスタバが駅前にありそうな駅となると松戸駅か柏駅が有力となる。別にどちらでもいいのだけど、なんとなくで柏駅に行くことに決めた。

 

上野東京ライン 常磐線 東京-松戸 369円

 

それにしても、今日はかなり移動をした。和歌山から始まり、ついには茨城まで到達しそうだ。自分の人生において1日に10杯もフラペチーノを飲む日がこようとは思わなかった。ただ、予定ではここからさらに2杯も飲むのだ。

 

20:15 柏駅

駅の画像を撮影し忘れてしまったので、スタバを探して迷っていたら、謎のシャッター通路に出たときの画像で代用しておく。たぶん、メインとなる出口から出なかったためか、スタバの位置がよくわからなかった。基本的に駅にあるスタバはメインとなる改札や出口を出たらすぐ見つかる場所に出店している。けれども出口を間違うとこういうことになる。

 

千葉 スターバックスコーヒー 柏マルイ店

 

やっとこさ見つけた。やはり普通に中央口から出てきたらすぐ見つかるような場所にあった。

 

千葉県はみたらし団子の味らしい。このポスターを取り囲んで大学生風の男女4人がなにやら話し込んでいた。たぶんサークルの仲間とかそんな感じだろうと思う。

 

「あ、これ地域限定のやつですよ。千葉のやつ、めちゃくちゃおいしいんですよ」

 

「へえ、なに、みたらし団子の味なの? どんな味なんだろ」

 

「みんなで飲んでみましょうよ、ね、飲みましょ」

 

「そうだな、飲んでみよか」

 

「へへーん、じつはわたしお昼にも飲んだから実は今日、2杯目です。すごいでしょ」

 

「すげー」

 

「えっへん!」

 

僕はこれで今日、11杯目なんだが? それにこの後、茨城で12杯目を飲むんだが? そんなわけのわからないマウントを心の中で展開しておいた。

 

#12 千葉 なごみ みたらし コーヒー クリーム フラペチーノ

千葉県は醤油の生産が盛んな場所だ。その醤油をベースとした「みたらしソース」を用いてコーヒーソースに仕立て上げている。画像のイメージからするともう少し茶色が強いかと思ったけれども、実際にきてみると全体的に白が強かった。

 

味わいとしては、かなり甘い。久々に甘いフラペチーノがきたので面食らってしまった。もしかしたら、ここまでで一番の甘さかもしれない。みたらしの味わいとコーヒーの味わいの融合といった触れ込みだったが、かなり甘みが強く、ほぼ「みたらし」の風味で支配されていた。みたらしの甘みはかなり独特で、これはホイップなどと混ぜてもそうそう弱くはならない。甘いフラペチーノはかなり腹にたまり満足感がある。つまり、本日11杯目の僕にとってかなり厳しいものとなった。

 

常磐線 柏-取手 220円

 

さあて、ここから本日最後のフラペチーノ、茨城のフラペチーノを取りに行く。ただ、茨城を取りにいくにあたって一つの懸念事項があった。このJIMOTOフラペチーノは多くの場合、地元の名産をベースに作られている。茨城の名産といってすぐに思い浮かぶのが水戸の納豆だ。納豆をベースとしたフラペチーノが出てきたらどうしようという懸念だ。僕はあらゆるものを好き嫌いなく食べるほうだけど、唯一、納豆だけが食べられない。だから、納豆のフラペチーノが出てきたらその時点で飲み切れず、詰む。それだけが不安だった。

 

そして、この取手へと向かう車中、ついにあれが起こった。そう、腹痛だ。たまりにたまった爆弾がついに爆発の時を迎えた。それはもう、漏らすとか人権を失うとかそんなレベルのお話じゃない。生命の起源に迫る腹痛だ。人はどこからきてどこに向かうのか。生命はどうして生まれたのか。そして、繁栄を続けるヒトは罪深き存在なのか。そんな謎に迫る腹痛だ。そう、早い話、やばすぎて思考が支離滅裂になっている。

 

おそらく取手まではもたない。取手の手前には川を超える長い橋がある(歩いたことあるので知っている)。たぶんそこで漏れる。仕方がないので取手の一つ手前、天王台という駅で降りてトイレに駆け込むことにした。

 

僕はこの時ほど神に感謝したことはない。天王台駅で階段を駆け上がり、トイレに駆け込むとしっかりと個室が空いていた。ここで誰かが入っていようものならそこで心が折れ、生命の起源に迫っていた。本当に誰も入っていなくて助かった。ありがとう、天王台駅。

 

20:54 取手駅

なんとか一命はとりとめ取手駅に到着したものの、そのゴタゴタで切符をなくしていた。窓口で220円を払う羽目になった。

 

柏-取手 220円(再)

 

茨城 スターバックスコーヒー アトレ取手店

 

改札を出ると、探すまでもなく真横にスタバがあった。

 

取手駅のさまざまな店舗はすでに閉店しており、スタバだけがひっそりと営業している状態だった。店先のポスターによると茨城のフラペチーノはメロンらしい。よかった、納豆じゃなかった。

 

#8 茨城 メロン いがっぺ クリーミー フラペチーノ

茨城はメロンの大生産地だ。このメロンを使ったフラペチーノということで、もっと緑の色合いかと思ったらそこまでではなく、オレンジに近い色だった。ベースにもメロンのソースを使い、ホイップへのトッピングもメロンソースと徹底してメロンの味わいに仕立て上げている。

 

濃厚なメロンの味わいと、ミルクの絡みが絶妙だ。味としては、メロンの形の入れ物に入ったアイスクリームに近い。あれをさらに濃厚に、そしてミルクによってまろやかにした上品な味わい。濃厚でありながらどこか清涼、それは果実のメロンが持つ特性でもある。それを忠実に再現したこのフラペチーノはまさにメロン王国、茨城のプライドの一杯といえる。

 

21:08 取手駅

予定通り取ることができなかった難易度の高い内陸3県を取ることを考えると、ここから先には進まず、今日のうちに東京に戻るのがベストだ。

 

23:01 八王子駅

常磐線 上野東京ライン 中央線 取手-八王子 2201円

 

ということで、2時間ほどかけて八王子へとやってきた。明日はここから内陸3県を攻め落とす。

 

八王子駅前は、タイル通りの部分でスケボーに狂喜乱舞する若者が、ドンドンと重低音の音楽をかき鳴らしており、めちゃくちゃ治安が悪かった。

 

ということで3日目終了。制覇状況はこちら。

21/47 残り26

 

まだ半分も終わってないことに驚愕しながら4日目に続く!

 

4日目

6:30 八王子駅前

フラペチーノの旅4日目の朝は激しい雨と共に訪れた。八王子駅前にさしかかるころにはちょっと尋常じゃない勢いに変わっていた。その雨にはすべてを洗い流すかのような迫力があった。こういった旅をしていると傘を持つことがない。なぜなら移動した先で雨が降っていなかったら邪魔で、足枷にしかならないからだ。けれども、そんなこともいっていられない激しい雨なのでたまらずコンビニに駆け込んで傘を購入した。雨の日にコンビニで傘を買うと何も言わなくても店員さんがビニールを剝いでくれる。なんかいいよね。

 

さて、傘も購入しなんとか防御力の上がった状態で八王子駅まで歩いていく。ここで今日の戦略をおさらいしておきたい。

 

本日はルート変更のために取ることができなかった内陸の3県を取りに行く。ここ八王子から中央線に乗って山梨に行き、甲府市で取る。その後、松本市に移動し長野県を取り、長野市に移動してから長野新幹線で埼玉の大宮に向かう。その途中に群馬県の高崎で下車し、群馬県を取る。このプランだ。ここをしっかり取れれば後の展開が楽になる。

 

甲府行きの普通列車がやってきた。長野方面へ向かう特急列車を利用しても良かったけど、時間的に普通列車のほうは早く着くようだ。それにもう一つ事情があるので普通列車に乗る。

 

 

山梨県は甲府市でスタバを取るのがベストだろう。ただし甲府市のスタバは総じて駅から遠い。おそらくそのほとんどが車での来店を想定した郊外型の店舗だと思われる。特に甲府駅周辺は全くといっていいほどに店舗が存在しない。

 

中央線沿線であり、なおかつ現実的に歩いていける距離となると、甲府和戸通り店が妥当だろう。その場合、甲府駅の一つ手前、酒折駅で下車する必要がある。そこから1.5キロほど歩けばいけるはずだ。酒折駅には特急が停まらないのでこうして普通列車に乗ることが好ましい。

 

中央本線 八王子-酒折 1518円

 

普通列車に乗って八王子から甲府まで行く人がそんなにいないのか、車窓の景色が山間部のものに移り変わるころには車内には誰もいなくなっていた。ただし、甲府市に近づくころにはポツリポツリと乗客が増えたのだけど、そのほとんどがスーツ姿の人々だった。それはなんだか異様な光景だった。

 

8:07 酒折駅

車内にいたスーツ姿の人々、甲府駅の周辺で働いている人かなと予想していたので、甲府駅まで乗っていくと思いきや、その全員が僕と同じ酒折駅で下車した。

 

駅前にはさらに大勢のスーツ姿の大群がいた。決して大きい駅とは言えない酒折駅にスーツ集団。いったい何が始まろうというのだろうか。マトリックスオフか!? あと、雨は綺麗さっぱり止んでいて、購入した傘はやはり無用の長物に成り果てた。クソッ、邪魔だ。

 

スーツ姿の集団は一斉に移動を始めた。それはさながら民族大移動のようだった。僕の目指すスタバと方向が同じだったのでついて行ってみた。すると、目の前に巨大な建物が現れた。山梨学院大学らしい。

 

どうやらここ山梨学院大学を会場に建築士の試験が行われるようだ。それでスーツの集団というわけか。みなさん直前の勉強に余念がないようでした。頑張ってください。

 

さて、この酒折駅の周辺、とにかく山梨学院大学の施設が多い。というか山梨学院大学しか存在しないといった趣だ。広大なキャンパスはもちろんのこと、それを外れても影響は色濃い。

 

お、立派なグラウンドあるやんと思ったらだいたい山梨学院大のものだ。立派な体育館あるやんと思ったら山梨学院大学のものだ。立派なマンションあるやんと思ったら山梨学院大学の学生寮だ。とにかく山梨学院大学に支配された街といった印象だ。

 

山梨らしく、いたるところでブドウが栽培されている。

 

生活排水を流していると思われる、住宅街の中の川みたいな場所にいる魚のサイズがおかしい。でかすぎるだろ。ドブ川にいる大きさじゃない。水位に対して明らかに魚のサイズが大きいので背びれが水面からでてるやつとかいた。サイズ感がおかしい。

 

やっとこさ賑やかそうな通りにでた。比較的に大きめの道路沿いに全国チェーンの店舗が立ち並ぶ、典型的な郊外型ロードサイド店舗たちだ。たぶんスタバもこの一群の中にある。僕のスタバアイはこの距離から緑色の看板を捉えることが可能だ。拡大してみればよくわかる。

 

絶対に逃さない。

 

山梨 スターバックスコーヒー 甲府和戸通り店

 

山梨のフラペチーノはやはりブドウをベースにしたものらしい。さっき作っていたもんな。商品名は「山梨 ててっ!! ぶどう ホワイト チョコレート クリーム フラペチーノ」でやはり「ててっ!!」の部分がどうしても難易度が高い。照れがある。

 

ただ、いつもでも恥ずかしいとは言っていられないので、勇気を振り絞って「山梨 ててっ!! ぶどう ホワイト チョコレート クリーム フラペチーノお願いします」とオーダーした。ててっの部分は特に力がこもった。けれども、店員さんには普通に「山梨フラペチーノですね」と返されてしまった。

 

早朝でありながら店内はけっこう混みあっていた。山梨学院大学が近くにあるからだろうか、勉強している大学生が多かったように思う。

 

#19山梨 ててっ!! ぶどう ホワイト チョコレート クリーム フラペチーノ

まず見た目が良い。鮮やかな紫色にクリームの白が映える。ぶどうシロップをベースにホワイトチョコソースを混ぜ合わせている。若干、他の地方のフラペチーノに比べてホイップクリームが少ないようにも感じるが、これは作る店員さんの個人差なのかもしれない。

 

濃厚なぶどうの甘みがスマートにホワイトチョコの甘みと絡み合う。幾重もの層のように存在する甘みが最終的にぶどうの持つ甘みに収束していき、そこにミルク的な味わいが包み込むようにして自己主張してくる。ちょうどパナップのグレープ味に近い味わいだが、それをさらにまろやかに、かつ、ぶどうの味わいを濃厚にし、高級な味わいに仕立て上げている。

 

これはとても人気が出そうなフラペチーノだと思ったけれども、店内を見渡すと飲んでいる客はほとんどいなかった。たぶん、かなり濃厚なので、朝から飲むのはきついという人がほとんどなのだろう。

 

飲み干して店を出ようとすると、ゴミ捨て場のところでカップルがイチャイチャしていた。色々なゴミを捨てながら二人で「これは燃える?」「燃える」「これは燃えない?」「燃えない」「うそー、燃えるよー」「じゃあ私とのデートは?」「燃える!」「もう!(ポコポコ)」とかなり時間をかけて、じっくりコトコトといちゃついていた。僕はその後ろで立ってじつに8分間(スマホのストップウォッチで測った)ごみを捨てられないでいた。

 

なんだろうな、それを見ていたら急に空しくなってきて、なんでおれ、全国を旅してフラペチーノ飲んでいるんだろ、なんでこんな知らない街でフラペチーノ飲んでいるんだろ、頭おかしいのかな、僕、って素朴な疑問が浮かんできて、ちょっと泣きそうになった。

 

どんなに虚しさを感じようとも、先に進むしかない。次は長野県を取りに行く。

 

酒折駅からスタバまでけっこうな距離を歩いてきたので、できればバスに乗って駅まで戻りたい。どこかでも述べたように、知らない街で駅から目的の場所までバスで行くことは難しい。けれども逆はそうでもなくて、バス停さえ見つけてしまえばそのほとんどが駅まで行くので簡単だ。

 

しかも、酒折駅ではなく、その一つ先の甲府駅までいくバスだって期待できる。なんとかバス停ないかなーと大きい通りに出て探してみるのだけどバス停がない。

 

この道路の雰囲気なんて完全に駅までのバスが通っていてもおかしくないのにバス停が存在しない。というか、よく考えるとスタバを目指してけっこうな距離を歩いているときもバスの姿を見た記憶がない。

 

もしかして、山梨にはバスという文化が伝承されていないのでは? そんなことを考えながら歩いていた。

 

けっこうな距離を歩いてなんとかバス停を見つけた。よかった。山梨にはバスの文化が伝承されていたのだ。これで駅まで戻ることができるし、場合によっては甲府駅まで行けてしまうかもしれない。急いで駆け寄った。

 

けっこう強烈な時刻表だな。

 

予想通り甲府まで一気に行くバスはあったけどその数は1日に4本。現在は9時なので次のバスまで2時間待ちだ。さすがにこれは現実的ではない。仕方がないので歩いて先ほどの酒折駅に戻ることにした。

 

途中、ポツ、ポツ、と水滴が頬を撫でた。

 

「お、雨か、雨か。ついにきたか」

 

ウキウキしながら傘を構えたけど、それっきり雨は降らなかった。クソッ、やっぱり邪魔だな、この傘。

 

けっこう立派な道路が何の脈略もなく寸断されていたりする。なかなかハードな道を歩きながら、なんとか酒折駅まで戻ってくることができた。

 

9:45 酒折駅

中央本線 酒折-甲府 147円

 

酒折駅周辺にも山梨学院大学の学生寮がたくさんあり、電車の時間になるとそれを見計らってぞろぞろと大学生風の人たちがやってくる。おそらく遊ぶときは甲府駅まで移動して遊ぶのだろう。

 

9:54 甲府駅

甲府駅前はめちゃくちゃ発展していた。ヨドバシカメラとかまである。かなり綺麗に整備されているので、おそらく駅前再開発があったんだろうと思う。スタバがあっても全くおかしくない雰囲気なのに、やはり甲府駅周辺には存在しない。

 

ここからは特急に乗り換えて長野県の松本市を目指す。松本市か長野市、どちらも駅前にスタバがあるようなのでそのどちらかで長野を攻略する。

 

10:34 甲府駅

特急あずさ自由席 甲府-松本 3560円

 

特急列車や新幹線に乗車するときはなるべく安くなるよう自由席を購入している。この特急あずさにおいても自由席を購入したのだけど、いざ乗り込んでみると全ての車両が指定席車両だった。ものすごく焦った。

 

どうやら特急あずさ号は自由席車両というものが存在しないらしい。自由席を購入した乗客は空いている指定席に座る。

 

指定席の空席状況は座席上のランプで知らされる。空席、指定席客あり、次の駅で指定席客が乗ってくる、の状態があり、この状態を見て自由席客が座る。だから自由席車両が存在しない。そうとは知らずに何度も先頭車両から最後尾車両まで行ったり来たりしてしまった。

 

11:40 松本駅

1時間ほどの乗車で松本駅に到着する。そのうちの2割くらいは自由席車両を求めて車内をさまよっていた。

 

長野県のフラペチーノは松本駅、長野駅どちらでとっても構わない。おそらくどちらも取りやすい。ここから長野市方面へ向かう列車との待ち合わせの関係で少々時間がありそうなのでここで取ることにした。

 

長野 スターバックスコーヒー MIDORI松本店

 

松本駅のスターバックスは大変に優秀なスターバックスで、改札を出てすぐのとても分かりやすい場所にあった。すべてのスターバックスがこうありたいものだ。

 

店内に入って注文すると、これでもかとばかりに店員さんが話しかけてきた。

 

「いいカメラですね、わたしもカメラ好きなんですよー」

 

僕が手にしている取材用の一眼レフカメラを見ての言葉だ。相変わらずこの突如の雑談に慣れない。

 

「あっ……あっ……」

 

またカオナシになってしまった。いい加減、ちゃんと会話しろや。

 

#20 長野 まろやか りんごバター キャラメル フラペチーノ

長野県は全国でも有数のりんご産地だ。りんごを使った加工品として「りんごバター」の人気が高く、その味わいをりんごバターソースとしてフラペチーノに取り込んだ。カップ最下層がりんごバター層で、その上にミルク、そしてキャラメルソースと三層構造になっている。ホイップの上にもキャラメルソースをトッピングし、全体的にキャラメル色で統一している。

 

まず、りんごの旨味がものすごい。りんごとキャラメル、かなり重い甘ったるさかなとおもったらそうではなく、りんごをすりおろした時のような清涼な味わいがある。濃厚かつ清涼、りんごの持つ甘さを最大限に発揮しつつ、飽きが来ないようキャラメルとの絡みで新たな甘みが口の中に形成される。そのために三層構造をとっており、飲み進めるごとに変わるりんごとキャラメルの関係性を楽しむという意図がある。

 

12:05 松本駅

特急しなの自由席 松本-長野 2370円

 

松本駅のホームでお揃いの登山ウェアに身を包んだおばあちゃん姉妹を見た。会話の内容的にも姉妹だと思う。おばあちゃんといわれる年齢になっても姉妹で山登り、ウェアまでお揃いで微笑ましいね、と眺めていた。

 

列車がやってきて車内に乗り込むと、おばあちゃん姉妹が僕の後ろの座席に座ったのだけど、乗車券をどこかに落とした、みたいな内容で激しく喧嘩を始めた。乗車券くらいまた買えばいいでしょ! なにいってんだ。乗車券があるから駐車料金が安くなるサービス使っているんだ。乗車券がないなら駐車料金もべらぼうに高くなる。どうしてくれようか。とけっこう辛辣な感じで、長野駅に到着するまでの1時間、ずっと喧嘩していた。

 

12:54 長野駅

本当におばあちゃん姉妹はずっと喧嘩していたし、長野駅に到着した後も喧嘩しながらどこかに消えていった。

 

さて、久々の長野市である。もう長野県のフラペチーノは取っているのでここでスタバに行く必要はない。長野フラペチーノはかなり美味かったので、別にここでもう一度飲んでも構わない。ただ、やはり長野なら信州そばを食べたいなと思った。

 

もう、はるか昔。それこそ20年くらい前かもしれないけど、当時の僕は「そば」という食べ物があまり好きではなかった。けれども、訪れた長野駅、その駅前にあった蕎麦屋に連れられて行き、そこで食べた信州そばがカルチャーショックを受けるくらいに美味しかった。全く興味がなかったのに、その後の人生においてもそばを積極的に食べるようになったほどだ。

 

まだその蕎麦屋があるのか分からないけど、もう一度、長野駅で信州そばを食べたいなと思ったのだけど、ちょっと乗り換え時間的に難しそうだ。それに、もう体がフラペチーノしか受け付けないようになっている。不思議とフラペチーノ以外を食べる気にならないのだ。体のつくりが完全にそうなってしまった。

 

13:19 長野駅

ということで、信州そばを諦めて、新幹線に乗り換える。ここから高崎へと向かい、群馬県を制覇する。群馬を取るチャンスはここしかない。

 

新幹線 長野-高崎 4620円

 

14:01 高崎駅

 

やはり新幹線は早い。長野駅から1時間もかからずに高崎駅へとやってきた。

 

 

高崎のスタバはこの駅前に佇む商業施設の中にある。というか、なんだかかなり雲行きが怪しくなってきて、午後2時だというのに空が暗くなりはじめた。お、雨か、雨くるか、きたらついにこの傘が活躍するぞ、と無用の長物と化していた傘を強く握りしめた。それでも雨はこなかった。

 

群馬 スターバックスコーヒー オーパ高崎店

 

めちゃくちゃ混雑していた。レジに並ぶ行列もかなりもので、なかなかの待ち時間。並んで待っている間、ずっと後ろに並んでいる女子高生の「好きな人と同じ班になった」という話を聞いていた。「やったじゃん」と友人が囃し立てるけど、その子は同じ班になったことがあまり嬉しくないらしい。なぜなら、同じ班だからといって積極的に絡みに行くこともできず、ましてや告白なんてできず、そうなると近い距離でその好きな人を見ることになる。別の女子と仲良くする彼を見て嫌な気分になるそうだ。それは嫉妬なのだけど、嫉妬自体で嫌な気分になるのではなく、自分の中にそういった嫉妬という感情があることに落ち込むそうだ。こんなことになるんだったら同じ班にならないほうが良かった。女子高生はそう言っていた。「月はね、遠いから綺麗なんだよ」なかなか哲学的な女子高生の話に、あっという間に時間が過ぎてレジ待ちが苦痛ではなかった。サンキュー、女子高生。

 

#10 群馬 だんべぇ ヨーグルト マンゴー フラペチーノ

鮮やかな黄色が目に眩しい。この色合いは群馬県の県花である「れんげつつじ」をイメージしているらしい。味の主体はマンゴーらしいのだけど、マンゴーって群馬県の特産だったっけと検索かけてみたら「群馬 マンゴー なぜ」と同じことを考えた人が検索したっぽいサジェストが出てきたので、やはりそこまでの特産ではないようだ。「れんげつつじ」の色合いを出すためにマンゴーに決めたと考えたほうが適切かもしれない。

 

マンゴーを主体としヨーグルトを混ぜ込んでいる。マンゴーは濃厚な味わいをもつ果物だ。その濃厚さをヨーグルトの清涼さでまろやかにする組み合わせで、それがしっかりと成功している。ただし、これは時間をおいてからのほうが顕著だ。キンキンに冷えている状態ではマンゴーの主張とヨーグルトの主張がぶつかり合っている。時間が経過するとそれが完全に一体化した新しい味わいが体験できる。

 

ちなみにこのフラペチーノは各県のものに比べて濃厚な部類に入る。けれども店員さんは商品を渡してくる際に「さっぱりしていて美味しいですよ」と言葉を添えてくれた。でも、これは濃厚な部類に入る。店員さんは各都道府県のフラペチーノを飲み歩いていないから知らないんだ。

 

14:37 高崎駅

新幹線自由席 高崎-大宮 3210円

 

難関と思われた山梨、長野、群馬の三県を制覇し、いよいよ北への侵攻を始める。その前に新幹線で大宮まで行き、埼玉のフラペチーノを取る。大宮はかなり大きな駅なのでそこまで苦労しないはずだ。その後、北へと侵攻を開始していく。すべてが順調だ。

 

15:03 大宮駅

埼玉の中心であり、各方面へと続く新幹線の分岐ともなる巨大ターミナル駅である大宮駅。やはり行きかう人々の数も桁違いに多い。もちろん、周辺には複数のスタバ店舗が存在する。

 

やはり大都会だ。すぐにスタバが見つかった。こうして上の階から駅コンコースを見下ろすような形でスタバが存在すると妙に都会的に感じてしまう。

 

このスタバ、尋常じゃないレベルで行列ができていた。レジまでけっこうな奥行きがある店なのだけど、その奥行きを飛び越えて店の入口まで行列が伸びていた。これはちょっとかなり時間をロスしてしまいそうだ。

 

そうなると、別の店舗を探したほうが早い。すぐに歩き出し駅の外へと飛び出した。

 

うわああああああ、雨だああああ!

 

やった。ついに傘の出番がきた。八王子から旅をしてきてまったく活躍の機会がなかった傘の出番がきた。うおおおお、と飛び出したらすぐに止んだ。やはり活躍の機会がない。邪魔だな、この傘。

 

埼玉 スターバックスコーヒー 大宮西口店

 

こちらの店はそこまで行列はできていなかったけど店内は混みあっているようで、座席の空きがなかった。

 

#11 埼玉 多彩玉 ストロベリー & シトラス フラペチーノ

鮮やかで艶やか、そんな見た目的にも楽しいフラペチーノだ。シトラスをベースとしてストロベリーソースを加えている。その外観にはどこか清涼感を感じる。また、ホイップ上部には赤色の玉と青色の玉がトッピングされ、なんとも華やかな雰囲気を醸し出している。

 

ベースとなるシトラスは果肉感があり、ほのかに酸味を感じるように調整されている。そこのストロベリーソースのほのかな甘みが絡み合う。この甘みがあることでシトラスの酸味が強調される。ホイップクリームが溶け出しで混ざり合ってくるとさらにさわやかな口当たりになる。猛暑で知られる埼玉、その埼玉で夏に飲む飲料として酸味を強めに設定しているのだろう。ちなみにトッピングされている色玉はアラザンというらしい。これは味がなかったので本当に彩(いろどり)のためだけに投入されている。彩の国だけに。

 

店を出ると、やはり雨は上がっていて傘の出番はなかった。

 

15:27 大宮駅

東北新幹線自由席 大宮-宇都宮 3210円

 

新幹線に乗って栃木県宇都宮市を目指す。こうやって車内の画像が出てくるときは、たいてい乗り込んでから「やっべ、車両の写真を撮り忘れてた!」と思い出した時である。車内の画像でお茶を濁そうと慌てて撮影するので大胆な構図になることが多い。

 

15:48 宇都宮駅

宇都宮駅にて栃木県のフラペチーノを取る。宇都宮駅にはしっかりとスタバがあるはずなのでそこまで苦労しないはずだ。

 

駅内のスタバ探索はけっこう難しい場合がある。サクッと見つかることのほうが多いけど、出る改札を間違えたり、出口や階数を間違えたりするだけでドツボにはまることがある。ここ宇都宮駅でもドツボにはまってしまったようで、なかなか見つからなかった。

 

栃木 スターバックスコーヒー 宇都宮パセオ店

 

やっとこさ見つけた宇都宮駅のスタバ、大変なことになっていた。店の外にまで飛び出す行列だ。まずい。これは非常にまずい。これ、オーダー待ちの行列ですから、オーダー後に同じくらいの時間、商品提供の行列が存在する。つまり、かなり時間がかかる。

 

大宮駅でやったように周囲の別の店に行くことも考えたけど、宇都宮駅周辺にはここ以外にスタバは存在しない。まずい。非常にまずい。

 

まあ、いくら考えてもこの行列に並ぶしか選択肢はないので、しっかりとオーダーの列に並び、さらに商品提供の列にも並んだ。

 

#9 栃木 らいさま パチパチ チョコレート フラペチーノ

 

茶色と白のマーブル模様に、ホイップクリーム、その上にはマンゴーソースがトッピングされている。このフラペチーノのイメージは「雷」だ。チョコをベースとした暗い色合いが夜の空を表しており、そこにマンゴーソースの黄色で稲光を表現している。商品名にある「らいさま」は雷のことであり、栃木県は日本でも有数の雷の多さであり、「らいさま」は夏の風物詩となっている。そのへんから着想を得ているのだろうと思う。

 

味のほうは、チョコがベースということでかなり甘いものを想像していたのだけど、不思議とチョコ由来の甘みはない。かなりすっきりとした味わいに仕上げられており、白い部分に相当するシロップによってさらにまろやかになっている。ただ、圧巻なのは雷をイメージした食感だ。どうやら昔の駄菓子にあった口の中でパチパチ弾けるキャンディーが投入されているようで、飲みながら耳に聞こえるくらいパチパチ音がする。飲み終わっても口の中でパチパチしている。次の県に向けて新幹線に乗り込んでもまだ口の中がパチパチしていた。なかなかに攻めの姿勢を見せた非常に面白いフラペチーノだ。

 

16:24 宇都宮駅

行列が長かったことにより予想よりも時間がかかってしまった。急いで次の県を取りに行く。次に狙うは福島県で、このまま新幹線で北上することで容易に取れてしまうだろう。

 

おまけに福島県内の新幹線停車駅である郡山駅、福島駅ともに駅にスタバがる。めちゃくちゃ取りやすい県だ。どちらで取ってもいいのだけど、まあ、なんとなくで福島駅で取ることに決めた。この「なんとなく」の決断が後にとんでもない事態を引き起こすこととなる。

 

東北新幹線自由席 宇都宮-福島 5720円

 

17:12 福島駅

さあて、パパッと福島を片づけちゃいますか、と意気揚々ホーム階段を駆け下りる。福島駅のスタバは駅ビル施設内にあり、けっこうわかりやすい場所だった。

 

福島 スターバックスコーヒー エスパル福島店

 

店内は混雑していない。珍しいことにレジには誰も並んでいなかった。店の入口に威風堂々と掲げられた福島フラペチーノのポスター。ふむふむ、福島フラペチーノは果物たっぷりな感じなのね、おいしそう、と意気揚々とレジに向かった。

 

「すいません、福島フラペチー……」

 

「嘘だしょ!」

 

思わず声に出てしまった。え、なに売り切れみたいな概念があるの?

 

「すいません、このJIMOTOフラペチーノ、売り切れって概念があるんですか?」

 

気が動転してしまい店員さんにわけのわからないことを質問してしまった。哲学者か。なんだよ概念って。

 

「すいません、ついさっき売り切れました。入荷は明後日になります」

 

よくよく考えたら当たり前のことで、在庫が無尽蔵に存在するわけがないので、人気があるものは売り切れになる。なんで今まで意識の片隅にもなかったんだろう。スタバに行けばJIMOTOフラペチーノを飲める、そう信じて疑ってなかった。あの頃の僕はただただ純粋だった。

 

とにかくどうするべきか。福島駅の場合、市内の他のスタバは駅からやや距離がありそうだ。それに、時間と労力をかけて移動したとしても、そこでフラペチーノにありつける保証はない。ぐうううううう。

 

17:46 福島駅

東北新幹線自由席 福島-郡山 1740円

 

悩みぬいた挙句に下した決断は「新幹線で郡山にもどる」だ。もちろん、郡山駅のスタバも売り切れになっている可能性はある。ただ、郡山駅のスタバは駅と駅前商業施設の2店舗も存在している。客が分散することを考えると若干、売り切れリスクが低い。

 

ただ引き返すといってもそうそう都合よく新幹線がくるわけではないので、30分ほど待ったのちにやっと引き返せた。大きなロスだ。

 

スターバックスコーヒー 郡山駅店

 

なんとか郡山駅に舞い戻ってきた。しっかりと分かりやすい場所にスタバが存在する。

 

しっかりと福島フラペチーノのポスターも掲げられている。

 

やだ、怖い。売り切れだったらどうしよう。本当に怖い。スタバに行けば飲めると無垢に信じていたあの頃の僕は無邪気だった。でも、もうあの頃には戻れない。怖い、怖いんだ。

 

頼む。神よ。福島フラペチーノ残っていてくれ。

 

#7 福島 いろどり フルーツ だっぱい フラペチーノ

神はいた。

 

とても鮮やかな色で、一目でなんかフルーツがごっそり入っていそう、と感じさせてくれる。珍しくホイップクリーム上部へのトッピングが存在せず、素材のみで勝負しようという意気込みが感じられる。ベースはマンゴーをベースとして、ホワイトグレープ、パッションフルーツ、ピーチとこれでもかといわんばかりにフルーツが投入されている。果物王国である福島らしい一品だ。

 

味わってみて最初に感じたのが過去最高の果肉感だ。おそらくピーチの果肉だとおもうけど、これがかなりすごい。この果肉を口の中で感じる頃には各種フルーツの豊潤な甘みが自己主張を始めている。これらは調整を経て味のバランスを取っているのではなく、それぞれが自分の特性を最大限に発揮してぶつかりあっている印象すらある。その濃厚な甘みと、クリームとの絡み、そして果肉感がまるでフルーツパフェを食べているかのような感覚に誘ってくれる。これはまさしく飲むフルーツパフェだ。

 

郡山のスタバは店員さんがけっこう厳しめで、あごマスクをして他の客との間隔も守らずに並んでいたおっさんがけっこう厳しめに怒られていた。

 

ちなみに、僕の列の後ろに仕事を終えたっぽいスタバ店員さんが私服で並んでいたのだけど、けっこう無法なレジ待ち行列に業を煮やしたのか「足元の間隔を目印に間隔をあけてお並びください」と突如として店員口調で叫びだすので、一般の人が突如として店員を気取り始めたかと思って死ぬほどビックリした。

 

それにしても売り切れという概念があるのは盲点だった。どうしてここまで意識してこなかったんだろう。ちょっと「スタバ 売り切れ」でツイッター検索をしてみたら、いくつかの県で売り切れ報告を見つけることができた。どうやら「茨城のメロン」「山梨のぶどう」そして「福島のフルーツ」と、この3つが人気のようで、売り切れ報告が相次いでいた。まったくもって偶然の幸運なのだけど、売り切れリスクの高いこの3県はもうクリアしている。そこだけは安心だ。

 

今後はこういった売り切れリスクも視野にして戦略を立てていく必要がある。福島駅と郡山駅、どちらでもとれるからどっちでもいいやと深く考えずに福島駅を選択したけどこれが大きな間違いだった。福島駅が売り切れで郡山駅に残っていた、これはほぼ偶然の結果だったけれども、僕はもっと考えて選ぶべきだった。

 

まず、スタバ難易度がそう変わらず、どちらで取っても良いという場面ではなるべく手前の場所で取る必要がある。売り切れの場合に戻らなくて済むからだ。そして、駅からの近さのみで判断しているけど、周辺の店舗状況も考慮しなくてはならない。周辺に店舗がある場合はそれだけ客が分散し売り切れリスクが低い。さらに、売り切れの場合に別の店をアタックすることもできる。今回のことを教訓として、今後はこれらを意識して戦略をたてていく。

 

18:48 郡山駅

郡山駅に戻ったことにより2時間近くロスしたことになる。本来なら今日は北海道まで行くつもりだったけどかなり厳しい感じだ。戦略を少し考え直さなくてはならない。とりあえずここからは仙台に移動し、宮城フラペチーノを取る。

 

東北新幹線自由席 郡山-仙台 4950円

 

19:37 仙台駅

東北新幹線は東京から仙台の間は本数が多い。それでもバンバンくるというわけではないので、例えば福島から郡山に引き返すだけでも大きなロスが生じる。さらに仙台より北はもっと本数が減るので、ダイヤとの戦いさらにシビアになることが予想される。

 

現在が19:37で、北上して岩手や青森に向かう新幹線が19:53だ。これを逃すと1時間の待ち時間が発生してしまう。16分という短い時間で、改札を出て、スタバを探しだし、奇跡的に客は少なく、宮城フラペチーノを手に入れ、このホームまで戻ってくる、これができない場合は1時間のロスだ。16分はさすがに厳しい。よほどの奇跡が起きない限り無理だ。

 

それでも挑戦するしかない。とにかく走った。スタバが見つからなかった。時間が押し迫っているとききにスタバが見つからないとかなり焦る。

 

宮城 スターバックスコーヒー エスパル仙台本館店

 

どれだけ焦っていたかは、やっと見つけたスタバ店舗の写真がブレブレにブレていることからもご理解いただけると思う。なんだこりゃ、事故にあう直前にとらえた衝撃映像みたいになっているじゃないか。

 

店に到着した瞬間に16分は無理だと悟った。店を探すのに手間取ったし、レジは長蛇の列だ。完全に不可能だ。開き直ってゆっくりするしかない。

 

#4 宮城 だっちゃ ずんだ抹茶 フラペチーノ

すんだといえば言わずと知れた宮城の名物、ずんだ餅だろう。ずんだとは枝豆やそら豆など磨り潰した緑色のペーストを指す。「ずんだ抹茶」という名称からこの「ずんだ」と抹茶を混ぜ合わせたものがベースになっている。美しい緑と白のマーブル模様に統一するため、ホイップにもベースと同様のずんだ抹茶をトッピングしている。

 

この緑色の濃さからかなり濃厚な味かと思ったらそうではなく、意外なほどに清涼な味わいだった。きなこなどもそうだけど、豆を磨り潰すと香ばしい甘さが出る。このずんだ抹茶からはそういった豆由来のほのかな甘みを感じる。この甘みがフラペチーノの清涼さとマッチし、見た目から和テイストの濃厚な味わいに感じるが、実際には実に夏向けの清涼な飲み物に仕上がっている。

 

さて、やはり16分では無理だった。つまり1時間の待ち時間が発生するわけだ。いったん落ち着いてここで戦略を練り直さなくてはならない。

 

本来は東北新幹線を利用して沿線の県を取りつつ、北海道新幹線で北海道まで侵攻するつもりだった。しかし、福島県での大幅なロスおよび仙台駅での乗り換え失敗により、本日中の北海道上陸は不可能となった。

 

ここから北上し、盛岡で岩手県のフラペチーノを取った場合は、そこから乗り換えて青森に到達する頃にはスタバの営業時間が終わっている。ここで、盛岡は駅周辺にスタバがあり、取りやすく、青森は駅周辺にスタバがなくて取りにくいことを考慮すると、本日中に青森まで移動する作戦がベストだと考えられる。

 

今から移動し、いったん盛岡をパスすれば22:30に新青森駅に到着する。新青森駅から1キロ離れた場所にあるスタバの営業時間が23:00まで。たぶん走れば間に合う。ここで青森をクリアし、次の日の始発を使って北海道新幹線で函館へ。そこで北海道フラペチーノをとる。そこからまた新幹線で戻ってきて秋田新幹線の乗るために盛岡で乗り換える。そこで待ち時間が発生する。盛岡のスタバは取りやすいのでそこで取れる。効率がいい。いまはこの盛岡スルー作戦しかない。

 

20:53 仙台駅

東北新幹線 仙台-新青森 指定席 11420円

 

新青森駅に到着してからもっとも近くにあるスターバックス青森西バイパス店までは正確には1.2キロほど。30分の猶予があるので普通に歩いて行っても間に合う。ただ、オーダーストップ的なことも完全にないとは言い切れないのでなるべく急いだほうがいい。

 

22:30 新青森駅

よし、到着した。急げ。走れ!

 

 

闇の中に煌々と光をともす新青森駅の駅舎。周囲にはあまり建物がないので闇に向かって走り出す感覚だった。急げ、今夜中に青森を取れば始発で北海道に行ける。それは後の行程においてかなり有利に働く。急げ。

 

青森 スターバックスコーヒー 青森西バイパス店

 

うおおおおおお、間に合った。かなり早く着いた! さすがにゼーゼーと息を切らして入店するわけにもいかないので店の前で呼吸を整えてから入店する。ここで青森をとれたのは大きい。自分で自分を褒めてあげたい。いくぜ! 待ってろ青森フラペチーノ!

 

 

本日分は完売しました。

 

「嘘だしょ!?」

 

また声にだしてしまった。完全に心が折れた。

 

もちろん周囲に別のスタバはないし、こんな時間なので開いているはずもない。今夜中に青森、取れなかったわ。

 

 

取れなかったなあ。

しかも、新青森駅周辺で宿泊すればよかったのに、けっこう離れた青森駅周辺に宿を取ってしまっており、けっこうな距離をトボトボと歩くことになってしまった。新青森駅と青森駅4キロくらい離れている。1時間歩いたわ。

どうすんだよ、これ。

 

完全に心が折れた。青森の夜はまだ少しだけ肌寒かった。4日目までの制覇状況はこちら。

 

29/47 残り18

 

5日目 

6:00 青森県青森市

昨晩は失意のまま1時間も歩いてしまった。僕は基本的に、心が折れたのなら繋ぎなおせばいいと考え、生きてきた。つまり、一晩で繋ぎなおした。

 

さて、現在の状況を確認しよう。まず、昨日のうちに青森を取れなかったことにより始発で北海道は不可能となった。現在は青森駅の周辺にいる。間違えて青森駅周辺のホテルをとってしまったからだ。実は青森駅周辺にもスタバが存在する。しかしながらこちらの店舗は開店が8時と遅いのでそこまで待っていられない。そのほかの店舗に行くこともかなり厳しい状況だ。

 

そうなると、昨日の夜に売り切れを食らった西バイパス店を攻めるしかない。朝7時開店と早いし、なにより新青森駅に近いのですぐに新幹線に飛び乗って北海道に行くことができる。そして、売り切れに関しても僕には一つの確信があった。

 

 

昨晩の衝撃映像だ。ここに「本日分は」と書かれているところに注目して欲しい。本日分は、完売なのである。

 

このJIMOTOフラペチーノ、売り切れには3つの種類があると考えられる。

 

1つが完全なる売り切れ。そもそもこのフラペチーノは期間限定の企画であり、売り切れの場合は早期に終了することもある、と説明されている。もう売れすぎちゃって完全に終わりですわ、もう原料を作りませんという状態だ。

 

2つめが予想以上の売れ行きによる入荷待ちだ。福島で食らった売り切れも「明後日には入荷する」といっていたのでこれだと思う。店の在庫が尽きただけでまだ製造はされているので、何日か待てば入荷するという状態。

 

そして3つめが店舗独自の調整による売り切れだ。2の状態の売り切れになると何日間か全く販売できない状態になる。それを避けるため1日あたりの杯数を制限して提供する。今日の予定は売れちゃったので終了というやつだ。この場合、次の日も同じように販売できる。

 

僕はこの「本日分は」という文言から、3の状態になっていると予想した。つまり朝一で行けば本日分のやつにありつけるというやつだ。

 

時間は6時、また1時間かけて歩いていけばちょうど開店時間となる。そこで絶対にゲットできるはずだ。昨日、失意のままあるいた道を逆方向に、今度ははっきりとした意志を持って歩いていく。

 

見えた。

 

大丈夫。きっとある。きっと3の状態の売り切れだ。今日のぶんはある。大丈夫。昨日あれだけ自分を鼓舞したじゃないか。いけ。怖がるな。大丈夫だ。神よ。頼む!

 

本日分は完売しました。

 

2の状態の売り切れだった。朝から死ぬほど売れたとは考えにくい。昨日の夜から何も状況が変わってないとみるべきだ。

 

大丈夫。この事態も想定していた。昨日の夜のうちに決めていたことがある。もしまた売り切れを食らうようなことがあったら青森は保留にする。これ以上、青森に時間をかけるとあとの行程で取り返しのつかないことになる。もう十分やった。いったん青森は保留だ。

 

またもや歩いて新青森駅まで移動した。

 

7:55 新青森駅

北海道新幹線 新青森-新函館北斗 7190円(立ち席特急券)

 

ここから青函トンネルを経て北海道上陸となり、函館で北海道フラペチーノを取ることになる。その場合、函館の店舗状況を考える必要がある。

 

新函館北斗駅から乗り換えて函館駅まで行った場合、店舗状況はあまり良くない。離れた場所に2店舗が存在するが、今日はもう早朝から1時間も歩いているのでできればあまり歩きたくない。

 

そうなると函館駅手前の五稜郭駅がベストだ。距離も短縮されるし、何より駅の近くにスタバがある。そう、五稜郭駅しかありえない。ここで北海道を取る。

 

8:58 新函館北斗駅

 

めちゃくちゃ寒かった。北海道、寒い。梅雨の真っただ中という状況においても日本各地はかなりの蒸し暑さだった。半袖、半ズボンの思いっきりのいい薄着で旅をしていたのだけど明らかに寒い。周りを見渡してもみんなそこまで薄着じゃない。僕だけ季節感のない小学生みたいになっている。

 

9:30 五稜郭駅

五稜郭駅に到着した。雨だった。

 

思った以上に新函館北斗駅での乗り換え待ちがあったので時間がかかってしまった。

 

ちなみに、この時点で気が付いたのだけど、あの八王子から旅をしてきた傘をどこかに忘れてしまった。急ぐあまり新幹線車内に忘れたか、失意の影響でホテルに忘れたのだと思う。そして、なくなった瞬間にこうして雨に見舞われる。皮肉なものだ。

 

僕のスタバアイは完全に研ぎ澄まされているので、駅のホームからも緑色の看板を見逃さない。

 

 

北海道 スターバックスコーヒー 函館五稜郭駅前店

 

 

よかった。この看板に何も貼られていない。

 

すっかりトラウマになってしまっている。この看板に「売り切れ」と貼り付けられているパターンがあるのでドキドキものだ。ただ、福島のようにこの看板に張り付けられてなくとも売り切れのパターンはある。油断はできない。

 

店内に入る。メニュー表を見るのが怖い。頼む。売り切れていないでくれ。神よ。

 

#1 北海道 とうきび クリーミー フラペチーノ

とうもろこしを主体とした異色のフラペチーノ。これまでに体験してきたフラペチーノは「スイーツ系」「お茶系」「フルーツ系」のどれかに大別されるが、これはどこにも属さない。上部にトッピングされたトウモロコシフレークは内部にも入れられており、黄色と白のマーブル模様を作り出している。

 

味のほうも、これまでのフラペチーノのどれにも属さない味だ。濃厚なコーンスープのような味わいで、そこに大量のミルクを投入してまろやかさを加味している。このミルクがとうもろこしの本来の甘みを引き出している。かなり満足感のある一杯で、デザート的な位置というよりは食事と一緒に出てくる冷製スープのような趣がある。この北海道フラペチーノだけ夏にアジャストしていない気がする。JIMOTOフラペチーノは期間限定企画で夏に差し掛かるこの時期から夏まで実施されている。各地では暑い夏に飲む一杯として工夫がなされているが、その同じ時期を北海道はあまり暑さもない状態で迎える。いまでってけっこう寒い。バリバリに夏を意識したものにしなかった事情がそんなところにあるのかもしれない。

 

これで北海道をとることができたのでまた新幹線に乗って本州へと舞い戻る。本当にこのフラペチーノを飲むためだけに青函トンネルを通って北海道に来たのだと実感する。

 

9:52 五稜郭駅

 

五稜郭駅では、新函館北斗駅に向かう列車まで少し時間があったので待合室で待つことにした。七夕が近いようで、七夕飾りと短冊がたくさん飾られていた。

 

みんな思い思いの願いごとを短冊に込めている。

 

みんな思い思いの願いごとを短冊に込めている。

 

10:06 五稜郭駅

新函館北斗駅に向かう列車がやってきた。激しい雨が打ち付けているのに、ホームには屋根がないので乗客は全員、屋根のある階段で待っていた。八王子で購入したあの邪魔だった傘、彼が活躍する絶好のチャンスだったのに、彼はもう、いない。

 

 

10:40 新函館北斗駅

ここから新幹線に乗って本州へと舞い戻る。そこで重大な懸念事項が再浮上してくる。青森をどうするか問題だ。

 

本州へと舞い戻り、盛岡を目指す途中でもういちど青森を奪取するチャンスが訪れる。一つは新青森駅で新幹線を下車し、そこから在来線に乗って青森駅を目指すパターン。もう一つは八戸で新幹線を下車し、八戸のスタバを目指すパターン。ただし、いずれの場合も新幹線下車後にけっこうな移動が必要となる。かなり厳しい戦いになるだろうし、そこすらも売り切れている可能性が高い。

 

様々な状況を考慮し、この後の行程も考えた上で僕が出した結論は「青森は保留」である。これ以上に青森に時間を割くと後の行程が崩壊する。とりあえず、いったん、この日本に青森は存在しないものと考えて先に進んでいこう。つまり、次に目指すのは盛岡市だ。

 

北海道新幹線 東北新幹線 立ち席特急券

新函館北斗-盛岡 12910円

 

青函トンネルを抜け、途中、日本には存在しないはずの青森(?)という場所の景色を眺めながら岩手県入りし、盛岡へと到着した。

 

12:44 盛岡駅

ここで秋田新幹線に乗り換えるため、本来は50分程度の待ち時間が存在するはずだった。現在が12時44分で次の新幹線が13時35分だ。秋田新幹線は1時間に1本の頻度なので必然的にそうなる。しかしながら様子がおかしい。電光掲示板にはもう行ってしまったはずの12時35分の秋田行き新幹線が表示されている。どうやら東京方面からくる秋田新幹線が遅れているみたいだ。

 

これはひょっとして大チャンスなんじゃないか。新幹線がどれだけ遅れているのか分からないが、盛岡でのスタバを素早く終わらせれば乗れないはずだった12時35分の新幹線に乗れるかもしれない。むしろそうしなければ、新幹線の遅れの余波が響いて13時35分のやつも遅れるかもしれない。そうなるとかなりの致命傷だ。やはり行くしかない。

 

岩手 スターバックスコーヒー 盛岡フェザン店

 

かなり焦って探したけど、なぜか盛岡は駅ビルの中にスタバがあったはずという断片的な記憶が思い起こされてきたのでなんとか見つけることができた。レジもそんなに並んでいない。いける。

 

ここで天才的な閃きが僕の体を貫いた。というか、どうしてこれまで気が付かなかったのだろうかというアイデアだ。これまでは満席時やそもそも座席がない店舗以外では、しっかりと店内でフラペチーノを賞味してきた。しかしながら、別に持ち帰りにしてもかまわないのだ。こうやって次の列車の時間が迫っている状況では、持ち帰りにして列車内で賞味してしまえばいい。さすがに普通列車でそれは躊躇するが、新幹線や特急列車ならぜんぜんいける。

 

ということで、持ち帰りでオーダー。でき上がったフラペチーノを鷲掴みにして新幹線ホームに向かった。乗客が改札から出てきていないのでおそらくまだ遅れている新幹線は到着していない。いけるいけるぞ。

 

12:57 盛岡駅

秋田新幹線 盛岡-秋田 4170円

 

決して乗れないはずだった12:35の新幹線に乗れてしまった。本来は不可能なはずの異次元の乗り換えを遅れによって達成するとけっこう興奮する。

 

どうやら東京から来た新幹線が空調不良だったらしく、仙台駅で別の車両に乗客を移したので30分遅れたようだ。

 

#3 岩手 めんこい 抹茶 & ゴマ フラペチーノ

カップの下部はゴマソースによる黒色、その上が抹茶ベースによる薄い茶色、さらにその上はキャラメルソースの茶色層、最後にホイップクリーム層と4層構造になっている。商品名では抹茶とゴマにだけ触れており、キャラメルについては何も触れていない。もしかしてこのキャラメルソースは岩手県の誇る世界遺産、中尊寺金色堂をイメージしているのかもしれない。

 

ゴマ風味のフラペチーノは山口県で味わって以来だ。ゴマ、抹茶、キャラメルと一見すると混じりあわなそうな3つの要素をバランスよく仕上げてきた印象だ。まず、メインとなるのは抹茶とゴマのテイストだ。まず風味豊かなゴマの味わいが口の中に広がり、それから抹茶がまろやかに包み込んでくる。ここでの抹茶の味わいはそう強くない。そしてキャラメルがさっと口の中を甘くして整える。3つの味が混じりあっているというよりは、それぞれが時間差で持ち味を発揮し、最終的に精巧に作られた和菓子を食べた後のように様々な味わいが口の中に残る。

 

 

秋田が近づくにつれて雨が激しさを増してきた。窓の外側を筋のようにして走る水滴からその強さがうかがえる。

 

14:33 秋田駅

秋田駅に到着した。ここからは日本海沿いに南下していくことになる。日本海側はほんの一部しか新幹線が存在しないのでこれまでのようなダイナミックな移動は難しくなると予想される。それは苦しい反面、あまり連発でフラペチーノが押し寄せてこないので助かる面もある。東海道シリーズみたいに1日に12杯飲むペースはかなりきつい。

 

改札を抜けると巨大な「なまはげ」の面がお出迎え。

 

 

 

そしてその隣には巨大な秋田犬がお出迎え。もしかしたら秋田の人はなんでも巨大化させっか、みたいな思考に陥っているのかもしれない。そしてスタバアイはこの秋田犬の向こうに見える緑色の看板を見逃さない。

 

秋田 スターバックスコーヒー 秋田駅店

 

秋田駅はとても優秀で駅内に1つ、さらに駅前にも1つ店舗が存在する。売り切れリスクが低くて大変に助かる。

 

秋田駅スタバの店内はけっこう混みあっていた。しかもそのほとんどが高校生だった。よくよくみると駅内を歩いているのもほぼ高校生だ。

 

#5 秋田 あまじょっぺ 塩キャラメル フラペチーノ

キャラメルをベースとしながら、そこに「秋田の塩」を投入し甘くてしょっぱい塩キャラメルの味を再現している。見た目こそは茶色と白を主体としたマーブル模様で、ホイップクリームにもキャラメルソースがトッピングされており、普通のキャラメルフラペチーノだ。

 

塩キャラメルということで、塩の味わいとキャラメルの甘さが拮抗した感じを想像していたが、そうではない。基本的にはキャラメルの甘さが前面に出ている。塩の味わいはほんのりと感じる程度だ。ただし、これがクリームと混じってくると、キャラメルの味わいがまろやかになるためか、塩の味が前面に出てくる。飲み進めるごとに塩の効き方が変化していき、グラデーションのような味を楽しむことができる一品だ。

 

 

さて、やはりこうして見回してみても秋田駅は高校生が異常に多い。この現象にはおそらく理由があるのだろうと思う。中心駅のスタバに高校生が多い都市、これまでの旅程で宮崎市のスタバもそうだった。

 

中心駅のスタバに高校生しかいない都市の特徴としては、まず車社会の地方都市ということが前提となる。それも市民の足となるような路面電車や地下鉄などがない完全無欠の車社会だ。そして、都市の中心駅と、町の中心繁華街が異なっている。駅周辺よりも発展した場所が他の場所にある。これらの条件が満たされると、中心駅には通学の高校生しか近寄らない。結果、スタバに高校生ばかりとなる。

 

さて、ここからが大変だ。なにせ日本海側は鉄道網がぜい弱だ。ここから南下し、山形県を目指すには次のようなルートが考えられる。

 

 

秋田から奥羽線を使い内陸を通って新庄、山形と移動していくルート。新庄からは山形新幹線が使えるので少しだけ移動が楽だ。おそらく山形駅で容易にスタバをとることができる。ただし、山形から先の展開が問題だ。できればその先の新潟まで行っておきたいけれども、山形から先は仙台や東京に向かう路線は充実しているが、新潟に向かう路線は脆弱と言わざるを得ない。下手したら今日中に新潟には辿り着けないかもしれない。

新潟に到達することだけを考えると羽越本線を利用することになる。これは海沿いを南下し、ダイレクトに新潟まで行ってくれる。特急列車もある。これなら難なく新潟まで移動できる。ただし、山形市を通らないので山形市のスタバを取ることができない。

 

「くっそー、やっぱ本日中の新潟到達はあきらめて山形市を経由していくしかないのか」

 

そう思った瞬間、打開策を発見してしまった。

 

海沿いを南下する羽越本線、スタバなど存在しない地域を突き進んでいくと思われた。けれども羽越本線が通る酒田市に、スターバックス酒田みずほ店が存在するじゃないか。おまけにそのあとに到達する鶴岡市にもスターバックス鶴岡店が存在する。いける。いけるぞ。

 

つまり、こちらの羽越本線で新潟に向かいつつ、途中の酒田市か鶴岡市で山形県のスタバを取る作戦だ。いけそうだ。

 

この場合、駅近くにスタバがありそうな鶴岡市で取るのがベストだと思われる。酒田市は駅とスタバが離れていてかなり苦しそうだ。どう考えても鶴岡市が良い。

 

ただし、思い出して欲しい。福島県での惨劇を思い出して欲しい。そう、売り切れリスクだ。どちらでも取れるという場合はなるべく手前で取る。手前側の酒田市でチャレンジすることにより、もし売り切れであった場合もその次の鶴岡市でチャレンジできる。これが逆だった場合、引き返す必要が生じ、その場合、本日中に新潟に到達することは不可能となる。酒田市でやるしかない。

 

酒田市で取るとなるともう一つクリアしなければならない課題がある。それが列車のダイヤだ。ここ秋田駅から15:30の普通列車に乗った場合、約2時間の乗車を経て17:18に酒田市に到着する。そして、その後にくる18:05の特急列車に乗って新潟に向かう必要がある。これに乗ることができれば20時には新潟に到着する。これはまだスタバが営業している時間なので新潟スタバを本日中に取ることが可能だ。これを逃した場合でも新潟までは到達できるけど、おそらくスタバの営業時間には間に合わない。そうなると明日の行動が制限される。

 

つまり、17:18に酒田駅に到着し、次の18:05の間の47分間。この間にスタバに行って駅まで戻ってこなくてはならない。駅からスタバまでの距離は片道3.3キロ、往復で6.6キロだ。全力で走っていけばたぶんギリギリ間に合う。けれども、スタバで注文をし、商品の提供を受けて、味のレビューする必要がある。これを考えるとたぶん間に合わない。

 

「最終手段を使うしかないか」

 

こういった旅をする場合、なるべくタクシーを使わないという制限を自主的に設けている。究極的なことをいえば金に糸目をつけずにすべてをタクシーで回るなんてことをすれば興覚めするかとか、そういった理由もあるけど、単純に貧乏性なのでガンガンあがるタクシーメーターを見ていると心臓が痛くなるからだ。

 

ただ、どうしても仕方がない場面では必要最低限、利用することと決めている。そして、それがいまなのだろう。酒田駅からスタバまでタクシーで向かう。帰りはギリギリ間に合うと思うので走って酒田駅に戻る。このプランで行こうと思う。

 

長々と作戦を練ってしまったけれどもこれでいけそうだ。とりあえず、酒田駅を目指そう。

 

15:30 秋田駅

羽越本線 普通列車 1980円

 

秋田駅には大挙して高校生がいたけれども、やはり酒田へと向かう列車内にも高校生しかいなかった。もちろん、ここ秋田から2時間かけて酒田まで行く高校生なんておらず、途中の駅で降りていくのだけど、また途中の駅で高校生が補充され、しばらくすると降りていく。酒田駅まで高校生の増減が繰り返されていた。

 

そのなかで、4人組で帰宅する高校生に着目した。1人で帰る高校生もいれば2人、3人と連れ立って帰る高校生と様々だけど、その中でも4人組はとても興味深い。

 

4人組で帰宅している場合、たいていのグループがゲラゲラと笑いあって賑やかだ。なぜか一番のムードメーカーみたいな存在の子が最初に降りる。むしろ最初に降りるからそれまで精いっぱいに会話していてムードメーカー的に映るのかもしれない。ばいばい、また明日ね、みたいに言葉を交わして降りていく。

 

残された3人は急に雰囲気が変わる。ちょっと落ち着いた状態になり、ゲラゲラは笑わない。けれどもまだまだ会話は多く飛び交っている。そこでまた1人が降りていく。

 

2人が残されると急にトーンが変化する。二人きりでけっこう深刻な感じになる。恋のこと、将来のこと、勉強のこと、そんな会話を交わしているのかもしれない。そしていよいよもう1人がかなり寂れた駅で下車し、車内には1人が残される。あれだけ賑やかだったのに今はもうイヤホンを耳にさして読書を始めている。

 

最終的には1人だけ残されて寂しかったりするのかと思ったけど、実はそうではない。最後に残される1人だけが、1人の時、2人の時、3人の時、4人の時の表情を知っている。先に降りていく子たちは寂しい思いはしないかもしれないけど、その後の表情を知る術がない。それは彼女にとってとても貴重なことなのかもしれない。

 

目まぐるしく入れ替わる高校生たちを眺めながらそんなことを考えていたら、あっという間に酒田駅に到着した。

 

17:18 酒田駅

予定通り、本当にどうしようもない緊急事態として駅からタクシーに乗車する。

 

山形 スターバックスコーヒー 酒田みずほ店

 

ほんと、タクシーってすげえよな。あれだけ、時間的制約がとかバスを利用してとか、そもそも地図を頭に入れておかないと店が見つからないかもしれない、などと悶々と考えていたすべてのことを暴力的に解決する。ものすごく簡単にスタバに到着してしまった。あまりのスマートさに「これが文明の利器?」と呟いたほどだった。あと、やはり料金メーターをみていたら心臓が痛かった。

 

山形のフラペチーノはラ・フランスをベースにしたものらしい。こういったフルーティーで色合いの良いフラペチーノは売り切れリスクが高い。ただ、この看板の時点で売り切れ宣言されていないのでとりあえずは一安心だ。

 

店内はけっこう混みあっていたけど、幸いなことにレジは空いていた。これならたぶん特急列車に間に合う。ただ、ゆっくりと賞味している時間はなさそうだ。駅に戻りつつ飲むことになりそう。

 

#6山形 好きだず ラ・フランス フラペチーノ

白で統一された外観が美しいフラペチーノだ。洋梨の女王といわれるラ・フランスは国内ではそのほとんどをここ山形県で栽培している。ラ・フランスをベースとしたシャーベットをカップ下部と上部のホイップクリームでサンドし、その上にはちみつを加えることで全体の色が統一しつつも、奥深い味が出るようにデザインされている。

 

正直に言うとラ・フランス自体を食べたことがなく、あったとしてもかなり遠い昔なので、どんな味だったのか忘れていた。ただ、このフラペチーノを味わってみて思い出した。学生時代にラ・フランス味のガムが発売され、それを狂ったように買っていた時期がある。まさにあの味だ。爽やかな酸味がありつつも、どこか甘みがある、そんなラ・フランスの味を忠実に再現している。ただし、提供するストローは太いやつにしたほうがいい。どうやら全国のスタバ店舗ではフラペチーノによって提供するストローの太さを変えている。固形物が多いものは太いストローを、液体ばかりのものは細いストローといったぐらいだ。ここではもっとも細いストローが提供された。固形物がないからだ。けれども、ラ・フランスベースのシャーベットはかなりシャーベット感が強く、細いストローで飲むと液体だけが吸い取られてしまう。結果、味も水気もなくなったシャーベットだけが残される。これは絶対に太いストローを提供したほうが良い。

 

さて、けっこうゆったりと賞味してしまったので時間を浪費してしまった。特急列車まで20分。駅まで走れば間に合う。フラペチーノを飲み干したあとに走る、体がかなりの悲鳴を上げているけど急ぐしかない。

 

いそげえええええ。運悪く、けっこうな頻度で信号に捕まってしまうけれども、このペースで走ればギリギリ間に合いそう。途中、ふと我に返ってなんで知らない街で全力疾走しているんだろう、と疑問が沸き上がるけど、とにかく走るしかない。思いのほか体が動かない。果たして間に合うのか。

 

間に合ったあああ。

 

18:05 酒田駅

羽越本線特急自由席 酒田-新潟 4840円

 

本当にギリギリ。僕が乗り込んだ瞬間にドアが閉まった。座席に座り、かなり息が切れてゼーゼーいっているのに一滴も汗が出てこない。塩分を取っていないからだ。

 

ここ酒田でしっかりと山形フラペチーノを取れたことと、この特急に間に合った事実は大きい。この勢いで新潟も今日中に取れそうだ。

 

20:10 新潟駅

新潟駅に到着した。秋田から考えるとかなり遠かった。一日がかりだ。新潟駅は優秀なので駅の中にスタバがある。改札を出るとすぐにそれは見つかった。

 

新潟 スターバックスコーヒー CoCoLo新潟西館店

 

いまこの記事を読んでいる皆さんは、上のスタバ店舗の写真から何を読み取るだろうか。オシャレできれいな店舗、落ち着いた雰囲気、あまり混んでいない、そんなことを感じるかもしれない。ただ、ここまで幾多の苦難を乗り越えてきた僕は違う。僕はこの画像から不穏さを感じる。

 

それは、必ず店先に掲げられているはずのJIMOTOフラペチーノの看板がないことだ。これが何を意味するか。そう、売り切れている可能性が高い。売り切れたから看板をしまい込んだとみるべきだ。

 

入店して注文する。

 

「すいません、こちらのほう売り切れとなりまして」

 

「やはり」

 

よくよく考えると意味不明な会話だな。やはり、じゃねえよ。もういちいち売り切れに心折れたりはしない。新潟駅周辺にはもう1つスタバがあるし、ちょっと離れた場所まで行けばもう1つある。さすがに全部が売り切れなんてことはあるまい。

 

夜の光に濡れた新潟駅前の光景。街の規模に対して行き交う人の数が少ないように感じた。

 

スターバックスコーヒー 新潟マルタケビル店

 

こちらの店舗は、外ドアと内ドアの間のかなり狭い空間で撮影が難しい場所にしっかりとJIMOTOフラペチーノの看板があった。売り切れていない可能性が高い。

 

#15 新潟 ばっかいい 柿の種 チョコレート フラペチーノ

ええー? フラペチーノに柿の種!? と驚いたのだけど、まあ、ちょっとした柿の種みたいな味わいが足されている程度だろうなと予想していたら、がっつりと砕いた柿の種がトッピングされていた。それどころか液体部分にもかなり投入されている。基本的にはチョコをベースとしているが、やはり柿の種のインパクトは大きい。

 

僕が知っている柿の種は、お酒のつまみなどにもなるほどけっこうスパイシーな味がつけられている。それらをフラペチーノに投入、いくら新潟の名産といえども攻めすぎだろ、と思っていた。実際に味わってみると、意外にもそこまで攻めているわけではない。柿の種にはほとんど味がなく、チョコレートの味が主流。そこにゴリゴリと完全なる固形である柿の種が絡む。柿の種には味がなく、チョコを補佐する役割で、感覚的には「きのこの山」の茎の部分のビスケットに近い。あれが柿の種に置き換わったイメージだ。固形物感は随一なので、かなりお腹にたまる満足感が得られる一杯だ。

 

今日もフラペチーノでしか栄養を取らなかったなあ、と考えつつ、新潟の夜は更けていった。5日目の制覇状況はこちら。

35/47 のこり12

 

 

6日目

5:00 新潟駅前

朝の5時という異様な早朝にホテルを出た。早朝すぎてホテルのフロントに人がいなかったほどだ。なぜこんなにも早朝かというと、5:17発という異常に早い始発があるからだ。始発があるならそれに乗るしかない。なぜなら早朝から動けるようにと昨日のうちに頑張って新潟フラペチーノをとったからだ。

 

新潟駅のバスターミナルは少し変わっている。スイッチバック形式とでもいうのだろうか、バスはバックで入ってきて、ズラーッと並ぶようになる。乗客はバスの後ろから近づいてくる形になる。あまりこういった形式のバスターミナルを見たことがないので珍しいのだと思う。ただ、これも駅の再開発によって近い将来なくなってしまうみたいだ。

 

5:17 新潟駅

さて、ここからが大変だ。新潟から富山を目指していくのだけど、この新潟市-富山市、その断絶っぷりがとにかくすごい。もしかしたら北海道・沖縄を除いてもっとも隣県の県庁所在地が断絶されている場所なのかもしれない。まず距離が262キロと長いこともあるけど、それ以上に交通機関が脆弱だ。

 

秋田、山形、新潟、富山、ずっと移動してきた日本海側の4県は共通の特徴を持っている。いずれも新幹線が通っていて東京に出るのが容易い。けれどもこの県をお互いに行き来するは交通の便は悪い。みんな東京の方だけを向いている。その中でも新潟-富山は別格だ。

 

新潟市から富山市までの移動を考えた場合、僕が調べた限りでは直通の列車が存在しない。最も効率が良い経路が、上越新幹線で高崎まで行き、そこから北陸新幹線に乗り換えるルートだ。つまり、いったん群馬に移動しなくてはならない。

 

さすがにそれはめちゃくちゃ料金がかかるし、早朝のこの時間は乗り換えがそこまで良くないので時間短縮効果がそこまで期待できない。よって、普通列車を乗り継いで富山を目指すことになる。普通列車を乗り継いだ場合、隣県だというのに5時間30分くらいかかる。完全に断絶されている。

 

まずは信越本線で長岡駅に向かう。

 

新潟駅前で朝まで飲んでいて始発で帰るのか、車内には酔いつぶれた人がけっこういた。

 

6:31 長岡駅

長岡駅に到着したら今度は直江津行きの普通列車に乗り換える。

 

朝の6時をこえて、車内にはやっと酔いつぶれた人以外の通勤・通学客が見えるようになった。

 

長岡-直江津のこの区間はダイナミックな海沿いの景色が見られる。

 

途中で停車した青海川駅では「日本一海に近い駅」の煽り文句が掲げられていた。確かに凄まじく海沿いにあるロケーションだけど、僕の知る限り「日本一海に近い駅」といわれる駅はいくつかある。このへんは詳細に測定していつか白黒つけたい。

 

8:07 直江津

新潟から約3時間の乗車で直江津駅に到着した。朝から何も食べていないので空腹だけど、ここでの乗り換え時間は短いので何も購入できない。早く富山に到着してフラペチーノを食べたいところだ。

 

あと、この「直江津」で駅名標のデザインが変わった。どうやらここから先はJRではなく、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの運行となるようだ。もともとはJRの北陸本線の一部だったが、北陸新幹線が延伸開業した際に経営分離されたいわゆる第三セクターの鉄道会社だ。

 

JRから「えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン」に乗り換えるといっても特に改札等を通ることはなく、そのまま乗り換えることができた。

 

まだまだ海の景色が続く。日本海らしい、とても荒々しい海だ。

 

9:30 泊駅

泊駅に到着した。やっとの富山県入りだ。朝5時から旅してきてやっとだ。

 

この駅からは「あいの風とやま鉄道」へと乗り換える。こちらも元はJRの北陸本線だ。新潟側の経営を引き継いだのが「えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン」、富山側の経営を引き継いだのが「あいの風とやま鉄道」というわけだ。

 

会社が変わる乗り換えだけど、ここでも改札などは存在しない。そのまま同じホームで乗り換えることができる。ただし、ここでの待ち時間は30分ほどあった。

 

売店や飲食店がある雰囲気の駅ではないので時間を持て余し、駅内をうろうろしていたのだけど、「あいの風とやま鉄道はJRと異なりますので青春18キップは使用できません。特例については駅員にお尋ねください」とやたらと張り紙がされていた。

 

新潟方面から移動してきた場合、「えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン」「あいの風とやま鉄道」ともに特に改札等を通ることなくそのまま乗り継げる。だからずっとJRに乗っていると勘違いする人がいるのかもしれない。そう、改札等がないんだから、とここまで考えてハッとした。

 

「新潟駅においてSuicaで入場した」

 

早朝に新潟駅で入場する際に、お、Suica使えるじゃん、とピッとSuicaで入場してしまったのだ。どういうルートで行くのか、どこまで行くのか定かではないときはこの手法が使える。先に切符を買ってしまうと、お、こっちのルートが良さそう、別会社に乗り換えなきゃ、となってもそれができず、足かせになるからだ。

 

ただ、これはずっと同じ会社の路線、つまりここではJR東日本になるのだけど、それにずっと乗る場合は問題なく、別会社の路線を利用する際もそこで改札を抜ければ、そこで清算されるので問題はない。ただ、今回のように別会社の路線なのにバシバシと改札を抜けずに乗り換えられる場合、その扱いはどうなるのかわかったものじゃない。なんだかとんでもないことをしでかしているんじゃないか。一気に不安が押し寄せてきた。

 

もし、富山駅も、この「あいの風とやま鉄道」の自動改札が存在せず、JR富山駅の自動改札を通ることになった場合、たぶんずっとJRに乗ってきたと認識されるわけだ。前述したとおり、新潟駅と富山駅をダイレクトに結ぶJR路線は存在せず、めちゃくちゃ大回りした運賃を請求される可能性だってある。

 

まいったなあ、と悩むのですが、まあ富山駅で問い合わせればなんとかなるか、とそのまま列車がくるのを待つことにした。

 

「あいの風とやま鉄道」の富山駅行きの列車がやってくる。先ほど乗ってきた「えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン」の列車も折り返し直江津行きとなりホームで待機しており、このように同じホームを共有する。別会社の列車が同じホームに共存するというなかなか珍しいことになっていた。

 

9:49 泊駅

ついに富山駅行きの列車に乗り込んだ。

 

時間の関係なのか、それとももともと利用者が多いのか、この「あいの風とやま鉄道」の泊-富山の間はけっこう乗客も多く、立派な駅舎を持つ駅も多いように感じた。

 

ただ、それにしても心配なのはSuicaである。あ、この乗り方をするとね、もうどの経路できたのか分からないから最大の経路で計算するんですよ。ぐるっと日本一周したくらいの経路になるかな、はい、40万円、とか意地悪そうな駅員が言ってきたらどうしよう。本当に気が気じゃなかった。

 

 

10:45 富山駅

ついに到着だ。新潟から乗り換え回数3回、5時間30分の乗車で富山に到着だ。あまりに県境が苛烈すぎる。何も口に入れていないので空腹だ。はやくフラペチーノを食べたい。

 

富山駅の「あいの風とやま鉄道」は専用の改札を持っているようだった。そこで駅員さんに事情を説明すると、稀にそういう人が現れるのか駅員さんは深いため息をついたのちに1枚の書類を記入してくれた。

 

まず、ここで三セクに乗車したぶんの料金を支払う。直江津から富山までだ。そして書類を持って隣のJR窓口にいって新潟から直江津までの料金を払えとのことだった。

 

JR 新潟-直江津 2310円

三セク 直江津-富山 2440円

 

JR改札に書類もっていく感じは、悪いことをして怒られにいくような感じだったな。

 

富山駅は駅のコンコースにけっこう乱暴な感じで路面電車が乱入してくる。あまりのダイレクトぶりに思わず写真をとってしまった。

 

富山 スターバックスコーヒー マリエとやま店

 

駅を出てすぐの場所にスタバが存在する。なんだかすごいゴージャスな入口だ。これは初めて見るパターンだ。これまでにこんな感じのスタバは見たことがない。

 

これは「マリエとやま」という駅前商業施設の一角にあるスタバで、その建物の造り自体はそう古くないけれども、その佇まいはもともと老舗の商業施設だった雰囲気がある。

 

もしかしたらゴージャス目の宝飾店みたいなのがあって、それが撤退、そこにスタバが入った。その際に入口の構造を流用する感じでこんな構造になったんじゃないだろうか。そんな憶測をしてしまうゴージャスな入口だ。

 

富山のフラペチーノはスイカを主体にしたもののようだ。ちなみに、このJIMOTOフラペチーノ、これまでのものでもいくつかは追加注文で独自にカスタマイズできるものがあった。シロップを追加したり、別の味を足したりだ。ここでも少し値段は高くなるがシロップ追加ができるらしい。

 

#16 富山 まるで スイカっちゃ フラペチーノ

スイカを主体とした味わい。たしか富山には日本一大きいスイカとして知られる「入善ジャンボ西瓜」が特産品としてあったはずだ。徹底的にスイカにこだわった見た目は好感が持てる。特に、ホイップクリームに抹茶パウダーをかけ始めたところでは「お、富山の山々を表現してるのか」と思ったが、完成品を見るとわかる。スイカの皮の模様を再現しているのだ。抹茶で山々を表現しないとは恐れ入った。

 

味のほうは、完全にスイカというほかない。スイカの味わいをベースに、少し酸味の効いたティーが混じっている。スイカの甘みはやや薄い印象があり、おそらくそのままフラペチーノにすると他の甘みに力負けしてしまう。そこで少し酸味があるティーと混ぜることでスイカの味を引き立たせている。ただ、全体としてややパンチが薄い印象は否めない。まさかSuicaで困った挙句にその富山でスイカのフラペチーノを食べることになるとはね。神様の巡りあわせか。

 

さて、新潟-富山間の移動にかなり手間取ってしまった。ここからは北陸新幹線や特急を使えるのでいくらかは移動しやすそうだ。すぐに新幹線ホームへと向かい、石川県、金沢市を目指す。

 

11:04 富山駅

富山駅と金沢駅間の新幹線は少し特別で、この駅間だけ運行される「つるぎ」というシャトル新幹線が存在し、本数もけっこう多い。乗車時間も20分とちょっとであっという間に到着してしまう。富山-新潟は断絶されているけど、富山-石川は断絶されていないのだ。この差はかなりあからさまだ。

 

北陸新幹線 自由席 富山-金沢 2860円

 

11:36 金沢駅

 

すぐに金沢駅に到着した。車内でリサーチした結果によると、どうやらここ金沢駅から西へと向かう特急が、いい感じの乗り換え時間であるようだ。その乗り換え時間、11分。この短時間にスタバを探しだし、JIMOTOフラペチーノを注文し、作るのを待ってホームに移動して特急に乗り込まなくてはならない。普通なら不可能な時間設定だ。

 

最も苦戦すると思われるのが「スタバを探し出し」の部分だ。これまでの旅で判明したけど、スタバってやつは立地が良い場所にあることが多いので、気が付けばそこにある。特に都市部はかなりのものだ。けれども、いざ探すとなるとなかなか難しい。気が付けばそこにある存在を意識して探すと戸惑うことがあるのだ。

 

ただ、ここ金沢駅に至ってはその部分を容易にクリアできる自信があった。別の取材でここ金沢駅に来た際に、なぜか駅のスタバの場所が強烈に印象に残っており、記憶していたのだ。つまり、改札を抜けてどういけば最短でスタバにたどりつけるか、このミッションにおいて最も重要な部分が頭に叩き込まれているのだ。

 

新幹線「つるぎ」が金沢駅のホームに吸い込まれる。こういったタイトでシビアな乗り換え時間を要求されるときはホーム上での移動もできるだけ抑えたい。降り立って階段を探して移動する時間だけでも2分くらいかかることがあるからだ。与えられた11分の時間で2分のロスは大きい。自由席車両はホーム端の不便な位置に停車することが多く、ホーム階段は中央寄りにあることが多い。事前に車内移動で中央部の車両に移動しておくことでこのロスを限りなく短くする。

 

ゆっくりと、滑るように新幹線が金沢駅ホームを移動する。ビンゴ、目の前に改札に向かう階段がある。ドアが開くと同時に弾けるように飛び出し、改札へと向かう。大丈夫、ルートは頭の中に構築されている。いそげ。

石川 スターバックスコーヒー 金沢百番街Rinto店

 

シミュレーションされたルートを爆走し、ついにスタバへと到達する。ここまで4分。あと7分。レジに行列もできていない。持ち帰りにすれば完全に間に合う。少し余裕すらあるくらいだ。

 

ただ、ここで完全なるアクシデントが発生した。僕の前で注文していた女性が、現金で払うと言った後に、なぜか急に思い直してクレジットカードで払うと言い出したようなのだ。それはそれで普通なことなのだけど、そのクレジットカード、ぜんぜん認証されない。機械に通すたびにエラーみたいな状態になっている。まずいまずい、どんどん時間が経過していく。

 

注文し、受け取って、さらに券売機で切符も買わなければならない。残りは4分。いけるか。だめか。それでもクレジットカードが認証される様子がない。いよいよダメかと思ったとき、店の奥から別の店員さんが出てきた。

 

「お待ちの方、こちらにどうぞ」

 

救いの女神だ。注文し、受け取る。光の速さで切符を買い、ホームへと踊りでる。

 

11:47 金沢駅

間に合った!

 

人間、やればできるものだ。11分でスタバに行って切符を買って乗り換えに成功するなんて誰にもできることじゃない。まあ、普通はそんな状況に追い込まれたりはしないんだけど。

 

特急しらさぎ 自由席 金沢-福井 2540円

 

 

#17 石川 いいじ 棒ほうじ茶 フラペチーノ

棒ほうじ茶をベースとしたフラペチーノだ。全体的に地味な色合いだが、この色合いもどこか加賀の国らしく感じるから不思議だ。棒ほうじ茶とは、とても高価だったお茶をなんとか安く飲めないかと、本来は捨てるはずの茎の部分を焙じて飲ませたものだ。

 

久々にお茶をベースとしたフラペチーノが登場してきた。奈良のフラペチーノに近いコンセプトだが、あれよりお茶の香りと風味が強い。あえて甘みは抑えめにしており、清涼にミルクの味わいと棒ほうじ茶の味わいがミックスされている印象だ。おそらくあえて甘さを抑えて爽やかな風味に調整することを狙っている。

 

さて、ここからは福井まで特急列車で1時間足らず。線路の左側ではずっと延伸される北陸新幹線の高架が建設されていた。この高架は金沢より先、福井、敦賀と伸びていく。過去の例から行くと、この区間が延伸開業すれば、こうして乗車している特急列車は廃止になってしまうだろう。そう思うとなんだか寂しいものだ。

 

12:35 福井駅

福井駅に到着した。ここ福井のスタバは駅周辺には存在しないので少してこずりそうだ。

 

ここ福井は「恐竜王国」として知られている。恐竜の化石が良く出土し、県立の恐竜博物館にはそれらが数多く展示されている。駅の改札を出た場所でもしっかりと恐竜がアピールされている。恐竜の人形がベンチに座っているのだ。コロナ禍の影響で、こうした公共の場のマスコット人形の多くは、啓発も兼ねてマスクをつけられていることが多い。この福井駅の恐竜マスコットも例に漏れず、しっかりとマスクを着けてアピールしていた。

 

さすがにちょっと無理があるだろ。

 

 

さて、ここ福井駅の周辺にはスタバが存在しない。少し離れた「花堂」という場所に店舗が存在するようだ。おそらく郊外タイプの店だろう。

 

ここから「花堂」までは2通りの行き方があるようだ。一部が路面電車となって福井市内を走る市民の足、福井鉄道を使って行く方法と、バスに乗って「ベル前」という停留所まで行く方法だ。おそらく「ベル」とはショッピングセンターだろう。こうしてバスの停留所にまでなるショッピングセンターは市民の心の支えであり、交通の要所であることが多い。

 

というか、福井鉄道のほうも駅の名前は「ベル前」か。停留所の名前にもなる、駅の名前にもなる「ベル」。どれだけすごいんだ。時間的にバスのほうが早く着きそうなので、こういった知らない土地でのバスはローカルルールが不明で怖いのだけど、バスで行くことにした。

 

12:58 ベル前バス停

これがベルだ。福井市民の心の支え、交通の要所、ベルだ。そう考えるとなんか圧倒的なオーラみたいなものを感じてしまう。やはり心の支えなので、バスに乗っていたおばあちゃんたちもどっと降りた。

 

 

福井 スターバックスコーヒー 福井花堂店

 

そのベルの真正面にスタバ店舗があった。ベル前バス停の前のベルの前にあるスタバだ。

 

ここで何の気なしに乗り換え検索をすると衝撃的事実が判明した。今から3分後、福井電鉄のベル前駅から福井駅に向かう電車がやってくるのだ。これに乗ることができればかなりの時間短縮になる。いや、でもさすがにフラペチーノ注文して受け取って駅まで行って3分は無理だろ。だいたいベル前駅の場所もわからない。もしかしたらスタバからちょっと距離があるかもしれない。そもそもレジがちょっと行列しているだけでたやすく崩壊するプランだ。3分とはそれだけシビアな設定だ。

 

 

13:03 ベル前

驚いたことに、いけてしまった。まず、スタバ店内に入ると奇跡的にレジに行列はなくスムーズに注文できた。そして、商品提供も早かった。基本的に諦めていたので店内で飲むつもりで注文したけど、持ち帰りだろうが店内飲食だろうが提供されるものは同じで税金が違うだけなので、急遽、持ち帰りに変更し、ダメもとで駅に向かってみた。

 

驚いたことに、ベル前駅はスタバの裏側、同じ敷地内なんじゃないのといったレベルだった。完全に間に合ってしまった。下手したら電車が来るまでちょっと待ったくらいだった。

 

#18 福井 ほやほや 米ポン 抹茶 フラペチーノ

うわー、撮影する場所がないと焦ってしまい、駅にあったよくわからない台の上で撮影することになってしまった。見た目こそは抹茶系のフラペチーノだが、よくよくみるとそこにはポン菓子の粒が大量に投入されている。ホイップの上にトッピングされている抹茶パウダーはしっかりと福井の田園風景をイメージしている。

 

ストローで吸い込むたびにドルドルと流れ込んでくるポン菓子の感触が楽しいフラペチーノだ。ポン菓子は液体を吸ってかなり柔らかくふやけているので飲みやすい。基本的にはポン菓子には味が付いていないか、もしくはかなり薄いので、この食感を楽しむだけの狙いだろうと思う。味自体は抹茶をベースとしているが、抹茶テイストは抑えめでミルクテイストが強い。そのほのかな味わいがポン菓子と絡まり、経験したことないフラペチーノ体験を与えてくれる。

 

電車が来るまでの1分くらいで全てを飲み干したので、さすがにこめかみの部分がキーンと痛くなった。

 

 

13:26 福井駅

特急で降り立ってから1時間とちょっと、見事に福井フラペチーノをクリアし、福井駅に舞い戻ってきた。予想以上に乗り継ぎが成功したため、かなり時間短縮ができた。さすがベル前だ。

 

14:04 福井駅

ここからは特急に乗り、大阪を目指す。その先の兵庫県を神戸で取るためで。なんどか解説しているけど、こういった大胆なカットの座席の画像が出てきたときは、急ぐあまり車両の画像を撮り忘れたときだ。

 

特急サンダーバード 福井-大阪 5610円

 

 

16:06 大阪駅

大阪へと舞い戻ってきた。長かった日本海側シリーズもこれにて一旦終了だ。あべのハルカス近くで大阪フラペチーノを賞味したのが遠い昔のこのとのようだ。もう大阪はクリアしてしまっているので用はない。ここからさらに移動して兵庫のフラペチーノを取りに行く。

 

 

新快速 大阪-三ノ宮

 

やはり大阪ってはちゃめちゃに大都会だ。朝5時に新潟を出発してからかなり疲れたけれども、まだまだ先に進めそう。ならば行くしかないのだ。

 

 

16:36 三ノ宮

兵庫県のスタバを取るならばやはり神戸市で取るのがベストだろう。大都会なのでどこにでもスタバがある。やはり県内での店舗数は取りやすさにつながるし、売り切れリスクを考えなくて良い点にアドバンテージがある。神戸市内ならどこでとっても良かったのだけど、後の展開を考えてここ三ノ宮で取ることにした。

 

 

 

 

三ノ宮駅から歩いて数分。商業施設の2階にスタバがある。実はこの位置が非常に重要な要素を持っている。

 

兵庫 スターバックスコーヒー 三ノ宮ダイエー店

 

店内は混んでいた。すべての座席が埋まっており、強制的に持ち帰りとなった。ただ、それはけっこう都合が良い。次の移動が控えているからだ。ここからの移動について戦略的なお話をする前に、まずは兵庫フラペチーノをクリアしておこう。

 

 

#28兵庫 大人の ばりチョコ はいっとう クリーミー フラペチーノ

神戸というとなんとなくチョコレートのイメージがある。箱に入った少し高級なチョコレート、それが神戸のイメージだ。これはそんなイメージを具現化した、最初から最後までしっかりとチョコにこだわったフラペチーノだ。おそらく、味の異なる複数のチョコがベースとなっているのだ、チョコ部分にも茶色のグラデーション模様が存在する。それにホイップとミルクが加わり、ただの茶色と白なのに妙にカラフルでオシャレな雰囲気を与えてくれる。ホイップ上部にもチョコチップがトッピングされている。

 

チョコを主体としたフラペチーノということで久々に甘いやつ来たなと思っていたのだけど、驚くほどに甘さは抑えられていた。「大人の」と銘打たれているようにビターな味わいのチョコと、さらに異なるビターな味わいのチョコが混ざり合い、ミルクとホイップクリームとグラデーションを作り出している印象だ。ストローが吸い込む場所によって全く味が異なってくるのでよく混ぜずに飲むべきだろう。トッピングされたチョコチップの感触すらそのグラデーションの中にアクセントとして存在する。

 

さて、ここからのプランだ。

 

いつの間にか、残すは中国地方と四国地方だけになってしまった。本当にここまで長かった。

 

ここから鉄道路線を利用して取っていく場合、当然のことながら岡山まで移動し、そこを起点として四国地方、中国地方を取る形になる。けれども、そうなった場合に徳島県がかなりのネックになってしまう。

 

一旦、岡山まで行き、そこから徳島まで行くと、おそらく徳島県は徳島市まで行かないと取れないわけで、戻ってくる分の距離が大きなロスとなる。そうなった場合、もっとも効率が良いのは、ここ神戸から一気に徳島まで行くことだ。

 

もちろん、ここは鉄道路線が存在しない。ただし高速道路を通って明石海峡大橋、淡路島と経て徳島まで至るバスが存在する。これを利用するのがもっとも賢明だ。そしてそのバスが発着する新姫バスのバス停ターミナルが、このスタバの目の前に存在するのだ。

 

17:10 新姫バス三ノ宮バスターミナル

新姫バス 神戸三宮-徳島駅前 3400円

 

 

バス内の乗客はそう多くなく、7人程度だった。かなり広々と快適に移動できたのだけど、僕の座っていた座席の窓ガラスが車の振動によってどこかが擦れているのかキーキーと不快な音を奏でていた。そのたびにその音が気に障るのか斜め前に座るアウトローっぽい男が舌打ちしながら睨んでくるので、怖くなって音がしないようにずっと窓ガラスを抑えていた。けっこうな強さでずっと抑えていたので、淡路島を過ぎるあたりではもう腕が痺れて他人の腕みたいな感覚になっていた。

 

18:52 徳島駅

腕がプルプルと痙攣している。それでもなんとか徳島駅に到着した。いよいよ四国上陸である。

 

僕はこの旅によってスタバアイが異常発達しているので、この景色からでも緑色の看板を見逃さない。

 

バスを降りて2秒で見つける。

 

 

徳島 スターバックスコーヒー 徳島駅クレメントプラザ店

 

駅ビルの一角にある店舗のようだ。店の前でお利口にして待っている犬がかわいい。

 

#36徳島 ジューシー すだち シトラスやっとさー フラペチーノ

徳島の特産であるすだちをベースに柑橘類でまとめあげたフラペチーノだ。店員さんがホイップクリームに失敗したのか、上部のクリームがちょっと偏っている。ベース部分は黄色からオレンジの色合いで、その上部に白い層と、まるでビールのような外見が特徴的だ。これまでの経験で柑橘類のフラペチーノはかなり僕の口に合うというか、かなり美味しいことが多いので期待できる。

 

すだち、シトラスとゆず果肉と様々な柑橘類をミックスし酸味の効いた味わいに仕立てていると思いきや、けっこう甘みを強い主張をしてくる。これはおそらくハチミツによるものだろう。この存在が、ホイップクリームの存在感をかなり引き出しており、柑橘類に絡むホイップクリームというよりは、ホイップクリームに柑橘類が混ざりこんでいるという状態を作り出している。投入された果肉類の触感は柑橘類の存在感を感じさせてくれるが、それでもやはりホイップの甘みが強い。

もう夜の7時だというのに徳島の空はまだまだ明るい。徳島は日が長いのだ。まだまだ移動できそうだ。

 

 

 

19:23 徳島駅

特急うずしお自由席 徳島-高松 2670円

 

1時間ほどの乗車を経て香川県の高松に到着する頃にはさすがに日が落ち、周囲は暗くなっていた。

 

20:40 高松駅

おまけに駅自体もいろいろと店じまいしているようでひっそりと暗く、寂しい感じだった。そんな中でも、僕のスタバアイは絶好調だ。

 

下車して2秒で見つけると気持ちがいい。

 

 

駅舎内は電灯が落とされていて、ほとんどの窓口も閉まっており、ほのかに寂しい。四国に入ると急激に「アンパンマン」の勢力圏になり、駅舎内にアンパンマンのプレイゾーンが登場する。それも闇の中にあるのでけっこう怖い。

 

香川 スターバックスコーヒー JR高松駅店

 

閉まりゆく高松駅のなかで煌々と明かりを灯していたスタバもやはり例外ではないようで、閉店15分前だった。ギリギリセーフだ。ここを取れたのは大きい。金沢駅と福井市のバル前で神がかり的な時間短縮を見せた成果だろう。

 

なぜか頭の中で漠然と「香川のフラペチーノはうどんだろうな」と考えていたらそうではなく「和三盆」らしい。しっかりと解説が書かれている。

 

和三盆とは、香川県や徳島県などで伝統的に生産されている砂糖で、和菓子などによく使われている。盆の上で砂糖を三度にわたって研ぐことからその名称がつけられており、その口当たりに加えて、あとにひかないすっきりとした甘さが特徴である。どんな甘さなのかなかなか楽しみだ。よく考えたら、うどんのフラペチーノは無茶というもの。

 

 

#37 香川 和三盆 抹茶にしぃまい フラペチーノ

ミルクベースに抹茶が溶け込んでいる。抹茶のフラペチーノは緑が主体になるが、こちらはミルクが主体となるため全体的に白い。そこに入れこまれたように抹茶由来の緑色の筋が入り込む。

 

ミルクをベースに和三盆、そして抹茶を混ぜ合わせている。上述したように和三盆は和菓子などに用いられるため、抹茶との相性は良く、和菓子のような和テイストの味わいになると予想していた。しかし、意外なことにミルクの要素がかなり強く、そこまで抹茶を感じない。全体的に滑らかな味わいで、味を構成する要素の多くは和テイストであるのに、融合し、あまりに和を感じない新しい味わいを作り出している。その自然さは、もともとこういった味があったかと思うほどに自然だ。

 

高松駅前は完全に夜の装いで、行き交う人も少ない。高松市は離れた場所に繁華街があり、駅周辺は街の中心ではない。それゆえに、夜は早くに人がいなくなってしまうのだろう。

 

 

駅のキオスクの看板には高松市の観光地を紹介する看板があった。観光地を紹介しつつしっかりとお土産はキヨスクで! とアピールする看板だ。高松市は見どころたくさん。それなのになんで僕はこれらの見どころを全く見ずにフラペチーノを渡り歩いているんだろう。香川県だけじゃない。これまで訪れたすべての都道府県でだ。なにやっているんだろう。なんか心が弱っているのか急にそんな気分になって、ずっとこの看板を眺めていた。

 

 

21:05 高松駅

自分自身の行動に疑問を持ちつつも、それでも今日はさらに先に進む。四国内でももっとも到達が難しいと思われる高知県に今夜のうちに移動しておく。もちろん、到達するのは深夜で、スタバは営業していないけれども、今夜中に移動しておくことで明日の早い時間から動くことができる。そんな狙いだ。

 

JR予讃線 高松-多度津

 

22:08 多度津駅

1時間ほどで多度津駅に到達した。高松と松山を結ぶ予讃線と高知へと向かう土讃線の分岐となる駅だ。その特性上、四国内を走るほとんどの特急がこの駅に停車する。いわば四国の交通における要所となる駅だ。ここで高知方面へと向かう特急、南風号を待つ。

 

なぜかアンパンマン列車がやってきた。真夜中で真っ暗闇のホームにポップなアンパンマン列車、なかなかアンバランスな光景だ。さあ、ここから2時間ほど乗車して高知入りだ。

 

車内は人影がまばらだ。入り口近くの座席では岡山から乗車してきたのか、どっからどう見ても伝説のアウトローみたいな風貌の男が陣取っていた。その男がかなり泥酔し、爆睡していた。まるで我が家で眠るようにかなりリラックスして眠っていたのだ。

 

1時間ほどの乗車し、窓の外の景色は延々と闇が映し出されるだけになったころ、アウトローの熟睡はピークに達し、めちゃくちゃイビキかいていた。なんか寝言も言っていった。「梅でいいって、そうそう、梅、ないなら明太子」って言っていた。夢の中で誰かにオニギリを頼んでいるみたいだ。

 

JR土讃線 南風自由席 高松-多度津-高知 4650円

 

0:12 高知駅

高知駅に到達するころには0時を超え、日付が変わっていた。0時を超えて移動すると疲労も桁違いだ。やはり高知は四国内でも別格に到達困難な場所だ。

といったところで6日目の旅はここまで。旅の記録はこちら。

41/47 残り6県

 

残すは高知、愛媛、岡山、広島、島根、鳥取の6県! ほんとうに長かった! 最終日に続く!

 

7日目(最終日)

6:30 高知県高知市 高知駅前

比較的ゆっくりとした目覚めだった。本日は高知のスタバを取ってから移動する必要がある。狂ったように早起きしたところでスタバが開店していないのだから必然的にそれに合わせた起床となる。

 

さて、最終日となる本日の作戦を確認しておきたい。ここ高知はもう取ったようなものなので、残りは愛媛、岡山、広島、島根、鳥取の5県だ。5県しかないから楽勝かと思いきや、この四国や山陰は鉄道事情がかなり厳しいので戦略的に考えなくてはならない。まず問題となるのが愛媛だ。

 

愛媛は県庁所在地である松山に複数のスタバが存在する。ただし、高知から移動した多度津から予讃線で取ることを考えると、松山までいくのはあまりに遠い。調べたところによると、松山よりはるか手前、新居浜市のイオンにスタバがるようなので、ここで愛媛を取ってしまう。そこから引き返せばかなりの経路短縮となる。

 

次に広島だ。こちらも岡山から取りに行くことを考えると、県庁所在地である広島市まで行く必要はない。序盤に無理をして下関を攻め落としたのが効いているので、そこまで行く必要がない。かなり手前の福山で取ることができる。

 

そして岡山に舞い戻り、鳥取、島根の山陰両県を取ってフィニッシュだ。鳥取は県庁所在地である鳥取市で取ってはいけない。そのあとの展開が苦しくなるからだ。鳥取県第二の都市である米子市で取れば、すぐ近くに松江市があり、そこで島根県も取れる。伯備線に乗って移動すれば容易に山陰両県を制覇可能だ。

 

試算によれば、このルートで本日中に取り切れるはずだ。よほどのアクシデントがない限り大丈夫だ。信じろ、いける。ここまで何度も諦めそうになったけどやってこれたじゃないか。

 

本日はこの作戦で行くけれども、その前にここ高知のスタバを確実に取っておく必要がある。高知は駅周辺にスタバがないタイプの都市だ。街の中心地まで移動していく必要がある。

 

 

6:40 高知駅前

 

高知駅前から発車する路面電車は中心部に移動するのにうってつけの移動手段だ。南北と東西に走る2つの路線があり、その路線がクロスする「はりまや橋」まで移動する。

 

 

ちなみに「はりまや橋」は高知を代表する観光地だけれども、こういっちゃなんだけど、まあ、普通の橋で、毎度のことながら拍子抜けする。

 

 

その「はりまや橋」の脇からはじまるアーケード通りが高知市の中心だ。こちらのアーケード、かなり通路も広く、距離も長い。なかなかの規模だ。

 

高知のアーケードの特徴としては、あまり全国チェーンの店舗に浸食されていないという点が挙げられるだろう。地場の店が多いというか、元気がある印象だ。これが元気のないところだとほとんどが全国チェーンの店に占拠されていて、日本中どこに行っても同じ景色みたいな状況を作り出す。高知にはそれがない。

 

もちろん、ここにも全国チェーンの店はあるのだけど、それらはそこまで自己主張が強くない。あくまでも高知由来の店が多いように感じた。

 

高知 スターバックスコーヒー 高知帯屋町店

 

そのアーケード通りの一角にスターバックスが存在する。まだ開店時間までは時間があるけれども、店の中では店員さんが忙しそうに開店準備をしていた。

 

この看板が準備されており、なにも張り紙がされていないということは売り切れがなさそうだ。安心した。

 

まだ開店まではしばらくありそうなので周囲を探索する。高知のアーケード通りのもう一つの特徴に、猫がたくさんいるという点が挙げられる。

 

アーケードのベンチの下でゆっくり寝ているし、ちょっと奥の路地に入ればゴロゴロと猫がいる。なんだかゆっくりと流れる時間、そんなものを感じさせてくれる路地と猫たちだった。

 

いよいよ開店時間となったのでスタバに向かう。

 

高知のフラペチーノはシトラスとジンジャーらしい。颯爽と注文すると、店員さんが話しかけてきた。

 

「これ目当てで来られたんですか?」

 

「ええ、昨日の夜につきました」

 

「どちらから?」

 

「東京からです」

 

「すごい! 東京のフラペチーノ飲みました? チョコなんですよね?」

 

「そうですよ」

 

「どんな味でした?」

 

「コーヒージェリーはビターで大人の味わいに調整されている。それがホイップクリームの甘さと混じりあい、さらにキャラメルソースが甘さを引き立たせる。フラペチーノでありながら完全にコーヒージェリーを体験させてくれる。少し大人で、どこか高級で、なんとなくしゃれた雰囲気。少しだけほろ苦くて甘い。まるで東京という都市をこの1杯に再現したかのようだ」

 

メモしていたレビューをそのまま読み上げてしまった。

 

「ほかにどこのやつ飲みました? 飲んだやつ全部教えて欲しいです!」

 

「(すべて教えたら日が暮れてしまう)」」

 

そんなやり取りをしているうちに高知フラペチーノがやってきた。

 

#39 高知 ジンジャーシトラスやき フラペチーノ

白を基調とし、そこに黄色い果肉が見える。全体的にはフルーツヨーグルトのような佇まいだ。ジンジャーシロップとシトラスの果肉がミックスされており、それはホイップにもトッピングされている。まるでキラキラとした輝きのようで、南国、高知の太陽の光をイメージしているのだと思う。

 

シトラス自体は、ここまで何度も登場している味わいだ。特筆すべきはジンジャーだろう。予想以上にジンジャーの風味が強い。受け取り方によってはかなりのクセの強さだ。苦手な人は苦手かもしれない。ホイップなどでまろやかにはしているが、それでもやはりジンジャーの主張は強い。しっかりかき混ぜずにジンジャーが強い部分を味わうと、フラペチーノでありながらスパイシーな刺激を感じてしまう。暑い夏に元気が付くような一杯だ。この味わいはかなり好みだが、挑戦的であるともいえる。

 

 

スタバを出ると、もうすでに高知は夏の雰囲気で、セミたちが大合唱をしていた。そのまま高知駅へと向かった。

 

8:00 高知駅

特急列車に乗って分岐駅となる多度津駅へと向かう。昨日はどっぷりと日が暮れたあとで、窓の外は完全なる闇夜だったけど、こうして昼間に乗るとなかなか険しい場所を走ってきたことがわかる。

 

特急南風 自由席 高知-多度津-新居浜 6620円

 

大歩危、小歩危あたりのめちゃくちゃ雄大な景色の中を走っていく。途中、何度もスマホが県外になる。そんな場所を走っていく。

 

9:44 多度津駅

分岐となる多度津駅に戻ってきた。ここで30分ほど乗り換え待ちがあるようだ。前述したとおり、ここは四国内を走るほとんどの特急列車がやってくる。言い換えればほとんどのアンパンマン列車がやってくる。

 

それを見越してなのか、駅のホームには、おばあちゃんに手を引かれる小さな男の子がいた。この二人、どこかに移動するというわけではなく、どうやらここにやってくるアンパンマン列車を見に来ているらしい。

 

「さっき黄色いアンパンマン列車きたから、次は〇〇分後に白いアンパン列車だよ、おばあちゃん」

 

本当にその通りに白いアンパンマン列車がやってきた。このぼうず、何者なんだ。

 

「まだまだ、今日は帰さないよ、おばあちゃん」

 

そんなことを言っていたのでけっこう長いこと滞在するのだろうと思う。

 

10:15 多度津

僕が乗る列車はアンパンマン列車ではなかった。アンパンマン列車じゃないやつがきたときの男の子の無関心な冷ややかな目、なんだかこっちが悪いことしている気分にさせられるものだった。

 

1時間ほどの乗車で目的地である新居浜駅に到着するとのアナウンスが車内に流れた。よしよし、順調、順調、今日は一気に取り切れそうだと席を立ち、ドアの前でスタンバイしていた。

 

ガクン

 

もう新居浜駅が目の前だというのに駅でもなんでもない場所で停車してしまった。もう到着時間を過ぎているというのに、停まったまま動く気配がない。

 

どうやら事故を起こしてしまったようで、この状態のまま、1時間ほど停車していた。

やっと動き出した。

 

12:05 新居浜駅

ほぼ1時間の遅れで新居浜駅に到着した。ここからけっこう離れたイオンショッピングセンターの中に新居浜のスタバがあるらしい。予定よりかなり遅れてしまったので急がなくてはならない。

 

クソデカイオンだ。めちゃくちゃでかいな、このイオン。でかいイオンは、イオンの中でもかなりの移動があるので、体力と時間のロスが著しい。なるべく手早く見つかってほしい。というかバス停の近くにあって欲しい。

けっこうさ迷い歩くことになってしまった。地元のイオンとかなら手に取るようにわかるけど、やはり知らない街のイオンは難易度が高い。このイオンも広すぎる。

 

 

やっと見つけた。それも売り切れてなさそうーと二重の安堵に包まれる瞬間だ。このJIMOTOフラペチーノ看板を見ると極度に安心する自分がいる。

 

愛媛 スターバックスコーヒー イオンモール新居浜店

 

お昼時ということも関係あるのか、大繁盛だ。けっこう行列に並ぶことになってしまった。愛媛のフラペチーノはみかんでくると思いきや、キウイらしい。それでもフルーツ系のフラペチーノは人気があるので、店内の多くの人がこの愛媛フラペチーノを注文していた。

 

#38 愛媛 すごいけん! キウイフルーツ フラペチーノ

全体として白で統一されている。その中に果肉感のあるジャム状になったキウイフルーツの緑がちらほらと見える。愛媛県は日本一のキウイ栽培地だ。ホイップ上に何かをトッピングするわけでなく、ただキウイを混ぜ込むだけで勝負するところに、地元のキウイに対する自信のようなものが見える。

 

キウイは甘酸っぱいフルーツだ。ジャム状にすることでそのキウイの持つ風味が最大限に発揮されている。甘酸っぱくもありながらバニラ風味によって甘くもしたてられている。これは多くのフラペチーノで使われる手法だが、完全に混合するのではなく、雑に混ぜ込んだ状態で味のグラデーションを起こさせる。ジャム状のキウイはなかなか混ざらないので、このグラデーションがかなり強く、飲み切るまで様々な配分の味を楽しむことができる。

 

これでついに四国も制覇。あとは中国地方だけだ。でも、完全に予定より1時間遅れている。急いで新居浜駅に戻らなくてはならない。

バス停には、なぜかベンチに座って延々と酒を飲んでいるおっさんがいて、ずっと「バスは信頼ならん」みたいなことを一人で呟いていた。確かに、ごもっとも、予定の時間なのに大幅に遅れることがあるバス、信頼ならないかも、と聞いていたら、なんか昔に、好きだったのか狙っていたのか、そんな女が約束したバスに乗ってこなかったみたいなニュアンスのことを喋っていた。それでバスは信頼ならないらしい。それ、バスは悪くない。

 

13:32 新居浜駅

新居浜駅に戻ってきた。あれだけ強烈に遅れたのだから、いまだに後続の列車が遅れまくってダイヤがめちゃくちゃになっているに違いない、と思ったらそうではなくてもうダイヤが戻りつつあった。どうも、遅れが出たときはその後の列車をバッサリと運休にし、まずダイヤを正常に戻すみたいだ。

 

 

予讃線特急 新居浜-岡山 4420円

ついに四国を脱出し、瀬戸大橋を渡る。瀬戸内海に浮かぶ島々が美しく、まるでフラペチーノにトッピングされたホイップクリームのようだ。青々と茂る緑は抹茶パウダーだろうか。

 

 

15:13 岡山駅

岡山駅に到着した。中四国地方の交通の要となる駅だ。ここから新幹線で福山に移動して広島を取った後、戻ってきて伯備線に乗って山陰を取る。

 

ただ、岡山駅に到着した瞬間、ただなる気配みたいなものを感じた。何か不穏なものを感じて案内看板を見ると、衝撃的な文言が赤字で記載されていた。

 

「大雨の影響で伯備線は終日、全線運休」

 

うわー、詰んだ。完全に詰んだ。こっちは晴れているから考えもしなかったけど、伯備線が通る中国山脈越えコースは大雨の影響で危険な状況らしい。早々に全線運休を決めたようだ。こうなると、動き出すのを待つとかそういうレベルの話じゃない。到達不可能だ。仕事の都合で本日中には東京に戻る必要がある。明日にしようも使えない。ここまできて詰んでしまうとは思わなかった。

 

動揺して仕方がないのだけど、とりあえず岡山のフラペチーノを片づけておかねばならない。岡山は、岡山駅の地下に広がる一番街にスタバが存在する。動揺でフラフラしながらもなんとか一番街に向かった。

一番街へと続くエスカレーターでは、なぜか小学生が狂ったように遊んでいた。手すりの部分に乗って波乗りのようにしていた。岡山の小学生はかなり危険だ。

 

岡山 スターバックスコーヒー 岡山一番街店

 

一番街のスタバはかなり広さがあり、ゆったりと落ち着いた空間が広がっていた。これならばいくらか混んだところで落ち着いた雰囲気は維持されそうだ。店内はかなり混んでおり、座る場所がなかったので持ち帰りで注文した。

 

#33 岡山 でーれー フルーツ サンシャイン フラペチーノ

商品名にある「でーれー」とは「ものすごい」という意味である。岡山は日照時間や天候の関係で果物栽培に適した土地であり、名産品も果物が多い。見た目こそは普通で、ホイップ上にトッピングも見られないが、その中には大量に果肉が投入されており、まさしくでーれーフルーツフラペチーノになっている。

 

まず、フルーツの果肉感が過去最高レベルだ。それも一種類ではない、桃とシトラスの果肉がふんだんに投入されている。これらのフルーツ果肉がベースとなるホワイトモカと絡み合い、冷たいフルーツケーキが口の中に存在するかのような錯覚を与えてくれる。かなり満足感のあるフラペチーノだ。

 

さて、ここからの展開を考えなければならない。本来なら福山で広島県を取り、戻ってきて伯備線で山陰を取るはずだった。けれども、伯備線が終日にわたって運休なのでこれはもう不可能だ。そうなると、旅の最後の最後で鳥取、島根が取れず、全都道府県制覇を断念ということになる(青森も未達成だが売り切れで仕方ないとして)。残念だが仕方がないことだ。

 

そうなると、もう岡山に戻ってくることはないので、無理に福山で取る必要もない。新幹線で広島まで行ってそこでこの旅をフィニッシュにすることとした。

 

 

 

15:47 岡山駅

山陽新幹線 自由席 岡山-広島 5610円

 

これで最後の移動だと思うと妙な解放感というかめちゃくちゃ体が軽い感覚がした。ラストの新幹線に乗り込んだ瞬間、なにこれ、めちゃくちゃ体が軽い、と体が弾むようだった。それもそのはずで、ずっと背負っていたクソ重いリュックをホームの待合室に置き忘れていた。そりゃ軽いはずだわ。なんとか間一髪で気が付き、新幹線が発車するまでにリュックを回収できた。

 

16:25 広島駅

広島駅へと到着した。ここ広島駅はとても優秀な駅なので、改札をでてすぐの場所にスタバが存在する。

 

広島 スターバックスコーヒー ekie広島店

 

改札前という特性上、座席は少なめだった。ほとんどが持ち帰りにするのだろう。レジ前はけっこうな行列になっていたけど、店員さんが慣れているのか、その行列の消化がめちゃくちゃ早かった。商品の提供のスピーディーで早い。

 

#34 広島 瀬戸内レモン & シトラスじゃけえ フラペチーノ

ベースとなるのはシトラスとレモンということで、オレンジ系の色合いになるかと思われたが、全体は赤で統一されていた。これはパッションティーなどベースとなるティーで赤を表現している。おそらく広島という特性上、どうしても赤にする必要があったのだろう。広島は広島カープの影響でどこもかしこも赤い。だからこのフラペチーノも赤にする必要があった。

 

僕は学生時代、ここ広島で過ごしたので第二の故郷みたいに考えてしまう。もちろん広島カープも好きだ。だからどうしてもひいき目になってしまうのだけど、そんなものを抜きにして、最高の美味さだった。おそらく僕は柑橘系のフラペチーノが好きでおまけにレモン味が好きなのだと思う。想像以上にレモンの酸味が強く、それがきっちり夏に合う爽やかさを演出している。それでいてシトラス果肉の食感とホイップクリームの絡みが素晴らしく、それでいてレモンがそこにしっかりあるといった立体的な味わいが実現されている。クッソ美味い。

 

ということで、ここから東京へと戻ります。47JIMOTOフラペチーノの旅は、大雨の影響により、鳥取、島根が未達成でした。最終日までの達成状況はこちら。

 

45/47 残り2

鳥取県と島根県が残ってしまった。

 

 

 

8日目(本当の最終日)6:00 島根県松江市 松江駅

 

うおおおおおおおお。島根県、松江市、松江駅!!

 

大雨で鉄道が止まっていたんだから仕方がないよと言い聞かせつつ、鳥取、島根に未到達でこの記事を書き始めたのだけど、どうしても、割り切れないというか、なんか負けた気がする、売り切れならともかく未到達はちょっとね、という思いからいつの間にか夜行バスに乗り込んでいた。

このJIMOTOフラペチーノの旅は、経費だけ負担してもらえるということで実施してまいりましたが、見積もりの甘さ、数々のアクシデントなどが重なり、既に大幅な赤字となっております。尋常じゃないレベルの赤字です。もうこれ以上の経費はかけられないということで夜行バスでやってきました。この年齢になると夜行バスはかなりこたえますけど仕方がありませ。さあ、島根、鳥取を片づけて完全制覇といきましょう。

 

 

 

島根 スターバックスコーヒー シャミネ松江店

 

松江駅には「シャミネ」という駅ビル施設があり、その一角にスタバが存在する。夜行バスはかなりの早朝に松江駅へと放り出してくれたので、7時の開店まで仁王立ちで待つ。もうスタバの開店待ちも慣れたものだ。

 

ちなみにスタバ自体は7時に開店だけれども、シャミネ自体はもっと遅い時間に開店なので、裏入口みたいな場所から入店する必要がある。それまで反応してなかった自動ドアが7時になった瞬間に反応してビーンと開いたのでけっこう驚いた。

 

開店と同時に島根フラペチーノを注文。商品提供の際にかわいい感じの店員さんが島根フラペチーノの解説をしてくれた。けっこうしっかりと解説してくれた。

 

 

#32 島根 クリーミー 抹茶 コーヒー ご縁 フラペチーノ

僕の記憶が確かならば、島根県で最初にできたスタバは県庁所在地であるここ松江市ではなく、出雲市だったように思う。出雲大社の近くにあるスタバが島根第一号のスタバだったはずだ。出雲大社は「縁結び」のご利益がある場所だ。それにちなんで商品名にも「ご縁」とはいっている。店員さんの説明によると、ホイップに銀色の砂糖をトッピングすることで島根県が有する世界遺産、石見銀山を表現しているらしい。

 

しっかりと銀色の砂糖がトッピングされている。

 

じっくりと味わってみる。出雲大社にちなんだ「縁結び」商品名だけそれを意識していると思いきや、味でもしっかりと表現していた。ベースとなる味わいは抹茶である。そこにコーヒーの味わいも足されている。抹茶とコーヒー、比較的に強い味わいが同時に存在すると衝突を起こしてしまうが、それがクリームの味わいによって見事に融合されている。まさに抹茶とコーヒーの縁結びといったところだ。銀色の砂糖については本当に少量なので味に対する影響はほとんどない。

 

7:24 松江駅

山陰本線 普通 松江-米子 510円

 

松江から米子へと移動する。県境を越える移動だけど、そこまで遠くはなく、30分ほどで到着する。やはりこの松江-米子で山陰両県を取るのが正解だ。

 

いよいよ最後の県、鳥取県である。何を隠そう、僕は鳥取県の出身だ。これから目指す米子市は僕の出身地ではないけど、おばあちゃんの家もあったし、遊びに行くなら米子市だし、高校も米子市だった。完全なる僕のJIMOTOが最後の最後にやってきた。

 

日本全国、時には海外を取材してこうして記事を書くようになって長いけど、何気に地元に凱旋して記事を書くのは初めてだ。ちょっとドキドキする。ちゃんと紹介できるんだろうか。

 

8:01 米子駅

最後の県、そして僕のJIMOTO、鳥取県の米子市へとやってきた。米子市のスタバは駅前にはないのでここからさらに移動する必要がある。境港市へと向かう境線に乗り換えることにする。

 

 

境線の終着駅、境港駅には水木しげる先生の出身地として知られており、ゲゲゲの鬼太郎にちなんだ妖怪の銅像が数多く設置される水木しげるロードが存在する。その境港に向かう境線のホームから妖怪の銅像が出迎えてくれる。

 

境線がやってくるホームは「0番ホーム」である。鬼太郎の待つ水木しげるロードに向かうホームが「0番」だ。霊(れい)に引っ掛けていると言われることがあるけど、水木しげるロードができるずっと前、それこそ僕が子供のころからこのホームは伝統的に0番だったので、べつに引っ掛けているわけではない。

 

それよりも注目して欲しいのはホームの柱だ。この部分の柱は、鉄道レールを再利用して作ったものなので少し異様な形をしている。訪れの際は注目して欲しい。

 

8:32 米子駅

鬼太郎列車がやってきた。境線を運行する列車はすべて鬼太郎が描かれた鬼太郎列車だ。数種類あり、車両ごとに絵柄が違う。

 

ちなみに、鳥取方面へと向かう列車は名探偵コナンで知られる青山先生の故郷を通るのでコナン列車になっている。アニメが描かれた列車がバンバンやってくる。それが米子駅だ。

 

 

鬼太郎列車の座席は、このように鬼太郎や猫娘と撮影できるようなっている。かなり気合が入っている。

 

8:48 後藤駅

 

15分ほどの乗車で後藤駅へと到着した。この後藤という駅名は地名というわけではなく、この境線の敷設に尽力した米子の豪商・後藤快五郎に由来している。このあたりで後藤家といえばかなりの有力な一族なのだ。

 

この後藤駅のあたりは一時期、米子で最もナウな地帯だった。大きな商業施設があり、ボウリング場、ゲームセンター、新しい店が出店するのはだいたいこの辺だった。けれども、いまはちょっと寂しいことになっている。

 

僕が狂ったようにストIIをプレイしていたゲーセンとボウリング場は跡形もなく更地になっていた。ほかにもかつての賑わいが嘘のように少し寂しい感じになっている。

 

 

後藤駅から国道へと出てみる。米子で新しい店が出店するとなると、だいたいこのあたりの国道沿いだった。映っているマクドナルドも、たぶんこのあたりで最初にできたマクドナルドだったように思う。それくらいこのへんはナウい一帯だった。

 

その流れで米子のスタバもこの周辺に出店したのだろうとやってきたのだ。けれども、スタバの看板が見当たらない。僕のスタバアイが全く機能しなかった。

 

どうやら、米子でいちばんナウい一帯はとっくにこの周辺ではなくなっていて、今は後藤駅の逆側がナウいらしい。大きなマンションが建ち並び、それに合わせていくつか店ができているようだ。僕の認識はずいぶんと古かったようだ。

 

なるほど。本当に後藤駅の逆側が発展している。マンションが建ち並び、新しいラーメン屋とかできている。そこに巨大なTSUTAYAができており、その一角にスタバがあるようだ。不思議なことに、ここまで全く登場してこなかったけど、TSUTAYAと共存したスタバは多い。BOOK&CAFÉという形態でスタバとTSUTAYAが事情提携しているからだ。

 

鳥取 スターバックスコーヒー 米子TSUTAYA角盤町店

 

広々とした店舗で落ち着いた雰囲気のする場所だ。本屋部分との境界はなく、買った本をそのままスタバに持っていってコーヒーを楽しみながら読書、なんてことができる。単独で来店して読書を楽しんでいる人が多かったように思う。

 

 

#31 鳥取 がいな キャラメル クリーミー フラペチーノ

鳥取が放つJIMOTOフラペチーノはキャラメルフラペチーノだ。商品名の「がいな」は「大きい」という意味の方言で「Very」みたいな意味合いでも使われることがある。キャラメルのカラーをクリームで薄めることで、鳥取の観光地である鳥取砂丘をイメージしていると思われる。キラキラと輝くゴールドシュガーがトッピングされており、砂丘に浮かぶ数々の星、というどこか異国感のある風景を表現しているのだろう。

 

味のほうはまっとうなキャラメル味である。特に奇をてらった味というわけではなく、本当にまっとうなキャラメルフラペチーノである。この真っ当さと冒険しないところがなんとなく僕の知っている鳥取県らしくて安心する。どういう理屈かはわからないけれども、キャラメルをクリームと合わせてフラペチーノ化するとめちゃくちゃ固形っぽくなる。もはやシャーベットに近い状態になるので、47都道府県をまわって初めての経験だけどストローと同時にスプーンが提供された。確かに、スプーンじゃないと食べられないほどの固形感だ。

 

 

ということで47JIMOTOフラペチーノ完全制覇だ!(青森県を除く)

 

 

ということで個人的においしかったフラペチーノBEST5を発表!!

 

第5位 大分県

#44 大分 ワクワクかぼすシトラスっちゃフラペチーノ

カボスの味わいが最高。

 

第4位 山口県

#35 山口かさねちょるごまっちゃフラペチーノ

風味豊かなゴマ!

 

第3位 長野県

#20 長野 まろやか りんごバター キャラメル フラペチーノ

 

松本市で飲んだのに長野市でも飲もうかと思ったほど。

 

第2位 宮崎県

#45 宮崎てげキラキラ日向夏フラペチーノ

 

キラキラしてた。

 

 

第1位 広島県

#34 広島 瀬戸内レモン & シトラスじゃけえ フラペチーノ

 

やっぱりレモンは最高!

 

 

 

まとめ

 

スターバックスの日本進出25周年を記念して行われた47JIMOTOフラペチーノ企画。初めて聞いたとき、スタバはどうしてこんなことを始めたのか疑問だったけど、47都道府県を周るうちになんとなく、その理由と狙いがわかったような気がする。

 

最後に訪れた僕の故郷、鳥取県は47都道府県で最後にスタバが出店した県だ。言い換えれば、46都道府県にはスタバがあるのに鳥取県にだけはない状態が長く続いていた。そのことがしばしばネタにされることもあった。その状況がある思いを強くさせた部分がある。それがスタバに対する憧れである。

 

僕の記憶において最初にスタバが登場するのは、東京だったように思う。都会にはこんなスタイルのコーヒーショップがあるのか、おしゃれだな、と感じた。それから年月が経ち、スタバは徐々に全国展開し、都市部を中心に拡大していった。それでもやはり、選ばれし都会にスタバがある、という状況だったように思う。

 

スタバの店員さんはどこかオシャレで、訪れる客もオシャレで洗練されていてMacBookを広げている。その認識は確固たるものだった。やはり都会的な憧れの対象としてスタバがあり、こちらもそういう目で見ていたように思う。

 

最後に鳥取県に出店し、47都道府県すべてに出店したスタバは、都会的な憧れから地元の場所へと変化していく必要があった。それが今回のJIMOTOフラペチーノなのだろうと思う。

 

スタバのコンセプトは「第三の場所」である。自宅でも、仕事先でもない、第三の居場所だ。コーヒーを飲む場所ではない。だからスタバの店員さんは「店内で召し上がりますか?」とほとんど言わない。「店内で過ごされますか?」という。その第三の場所があらゆる人の地元にある。都会的な憧れの場所から、あって当たり前の場所へ、次にスタバが目指すのはそういった存在なのだろう。

 

JIMOTOフラペチーノを飲みながら「うちの県、地味だね」と笑いあう女の子。

 

変えっこしながらちょっとずつ飲みあう男女。

 

うちの県のやつ最高じゃん。レギュラーメニューにしてほしいと同僚と言い合うOLさん。

 

黙々と勉強しながら、やっと口にしたJIMOTOフラペチーノの攻めた味に苦笑いをする大学生。

 

坊主頭の男の子たちがお小遣いからお金を出してるのか何度も小銭を確認しながら、ちょっと背伸びして大人のコーヒーを注文する。

 

おじいさんやおばあさんが当たり前のようにコーヒーを注文し、電子マネーで支払う。

 

今回、47都道府県のスタバを旅して、そこにあったのは憧れなんかじゃなかった。日常がそこにあった。

 

これは余談になるのだけど、最後に訪れた鳥取のスタバ、その店内に知っている顔があった。たぶん高校の時の同級生の松木だ。狭い町だし、娯楽もそう多くもなく、住民の行動は画一的だ。だから、こういう場所にくると昔の知り合いに会うことはそう珍しくない。ずいぶんとおっさんになってしまっているけど、たぶんあれは松木だ。

 

話しかけてしまうとまた物語が展開してしまうので、ただ松木を眺めるだけにしておいたけど、松木はこなれた様子でスタバのラテを飲んでいた。あの松木がだ。高校時代に、高校前においてあったボロい自動販売機の裏モードを発見し、ボタンを連打すると2本出てくる! と興奮していた松木だ。ただジュースのラインナップが地味で、どこで製造しているのかさえ分からないサイダーしか購入できず。狂ったようにそのサイダーを飲んでいた松木がスタバである。

 

それはなんだか強烈に印象的で、僕の育ったこの町にもスタバができたんだと深く思うに至ったのだ。それはなんだか誇らしくもあり、すこしだけ照れくさいものだった。

 

僕にとっては思い出の風景にスタバができただけだ。ただ、これからの人にとっては思い出の風景の中にすでにスタバがあるのだろう。

 

 

歩いて帰ってみるか。米子駅までの道のりを、懐かしいけどどこか少し変わっている風景を眺めながら歩いて帰る。僕が誇るJIMOTOはスタバのある街になった。それはこんな街なのだ。他人事のようにどこか冷たいけれども、ほのかに甘い、そしてどこか懐かしい、まるでフラペチーノのような風景を眺めながら、駅へと歩いていった。

 

おわり

 

取材・文:pato
企画:高山洋平(株式会社おくりバント)
編集:SPOT編集部