サウナを作りたい人必見!銀座サウナが開業できた驚きのやり方とは

サウナで暮らしたことがあるタカヤマ(@takayamasauna)です。

突然ですが……

サウナ好きなら、一度は理想のサウナを作りたいと思ったことはありませんか?

 

たとえばこちらのサウナ!

すごく良さげなサウナ室に見えませんか?

セルフロウリュだってできるし、熱さも十分!

天然のかけ流し水風呂まで!これは完璧すぎる!

 

こちらは商店街に突如現れた「銀座サウナ」というサウナなのですが、一体どれくらいの期間で、いくらで完成したサウナだと思いますか?

筆者は全国のサウナ施設へ足を運ぶのですが、今回はきわめて衝撃的な取材になりました。この記事を読むと、あなたもきっとサウナを作りたくなる……はず!

 

商店街に突如現れた「銀座サウナ」

今回取材へ訪れたのは「銀座サウナ」。銀座と聞けば、東京のザギンを思い浮かべるかもしれませんが、実際に足を運んだのはこちらになります。

とにかく明るい安村と玉置浩二を生んだ町、旭川。ドラマサ道の舞台にもなり、全国のサウナ好きが訪れる北の聖地ですね。

旭川駅から徒歩10分ほど、たどりついたのは「銀座商店街」。なるほど、銀座商店街の中にあるサウナだから銀座サウナなのか!

昭和レトロな商店街を歩くこと、徒歩数分。こちらが目的地の「銀座サウナ」です!

銀座プリンにおでん酒場?何屋さんかが一見わかりかねる外観ですが、

銀座サウナの立看板で、ここがようやくサウナ施設であることを認識できました。

入口にドンと置いてあるアーケードゲーム機。昭和な街並みに合うけれども、しかし違和感がすごい。ここは本当にサウナ施設なのだろうか…?

「サ」と書かれた暖簾をみて、ここがサウナ施設であることをやっと実感できた筆者。色々ツッコミどころが満載なので、まず中の人に話を聞いてみることにします。

中の人に話を聞いてみた

銀座サウナを運営する「アサヒサウナ」代表の桐原さん。シャツに湯の泉(草加健康センター等の運営会社)のロゴが書いてあり、重度なサウナファンであることが写真からよく伝わるかと思います。

同じくアサヒサウナのメンバーで、銀座サウナ支配人でもあるプレジャー田中さん。熱波師の資格もお持ちだそうで、サウナが好きすぎる変態達でこちらのサウナを建てたということが、よくわかります。

改めておたずねしますけれども、こちらって本当にサウナなんですよね……?

当たり前ですよ!銀座サウナって表に書いてあるじゃないですか!サウナと水風呂のセッティングもバッチリな、旭川が誇る最高のサウナです!!

きちんと説明すると、昔ながらの商店街と地域をサウナで盛り上げるという目的で「銀座サウナ」という名前にしたんです。銀座という言葉には、栄えている場所という意味も含まれているんですよ。

旭川は軍都で栄えた町であり、ここ銀座商店街も往時の賑わいを偲ばせる

なるほど! すみません内装などからも一見わかりにくくて……

この建物、実はもともと八百屋だったんです。自分は本業で飲食店を経営しているので、そのノウハウと場づくりを銀座サウナに活かしたいと思って、こういう内装にしましたね。

建物の一階をコミュニティスペースにしたいというのは、僕の希望でもありましたね。ここでおでんが食べられると場が暖まると思いましたし、アーケードゲームも昔の商店街にあったことを思い出して、迷わず設置することにしました。

飲食をしながら団らんできるコミュニティスペース。銀座サウナのロゴが眩しい

あれ、いま一階って言いましたよね?サウナは二階にあるということでしょうか?

そうなんですよ!一階が飲食スペースと更衣室なので、サウナは二階に作りました!

一階をどうしてもコミュニティスペースにしたくて。二階にサウナスペースを作るのはあり得ないと思ったんですけど、二階に作ることで結果的に落ち着きました。

サウナへつながる天国の階段。限られたスペースを有効活用している

せっかくなので、銀座サウナ自慢の二階スペースを案内しますよ!

サウナの仕上がりに衝撃を受ける

階段を上がるとまずたどりつくのは休憩スペース。随所にスタッフのこだわりがみられる

おお、これは想像以上に立派ですね!この建物って全体通して改修はされてます?

そうですね!建物全体をフルリノベーションで施工していますよ。飲食経営で、店舗の施工をよく手掛けてましたんで、その知見とネットワークを活かすことができましたね。

白樺達による癒しの空間。白樺が容易に手に入る北海道ならではの演出だ

いやぁ、元が八百屋さんだったとは思えない造りですね。このままサウナ室もお邪魔してもいいですか?

どうぞどうぞ!サウナ室は施工でもっとも苦労したので、ぜひ見ていただきたいですね!

サウナ室と水風呂が隣り合わせの、無駄のない導線が素晴らしい

わぁ、これがサウナ室…!立派すぎませんか?普通にサウナ施設と遜色ない見た目じゃないですか!

でしょう?このスペースを作るのに、その他公衆浴場法の許可を取るのが大変でした。浴場法の基準と、デザイン性のバランスを両立させるのに一苦労でしたね。

セルフロウリュのルール書きが秀逸で、初心者でも正しくマナーを守ることができる

サウナ室では他にも苦労したところがあって。ストーブの電気工事はスムーズに行ったんですけど断熱不十分で、サウナ室が全然暖まらなかったのは参りましたね。それで銀座サウナの開業日を1ヶ月遅らせることになったんですよ。今では笑い話ですが!

コンパクトなサウナ室。ロウリュを行うと熱くなり、しっかり蒸されるには十分な温度だった

なんと、そのような出来事があったんですか。お客さん側からみると、サウナが熱いのは当たり前のように感じますけど、その当たり前を支えるために様々な努力をされてるんですね。一方で、水風呂はスムーズに設置できたんでしょうか?

全国的にも珍しい酒樽水風呂。首から下までしっかりと埋まるほどの深さだ

この水風呂は酒樽なんですが、酒樽を入手するために旭川から福岡まで軽トラックで往復しました!それと水の重みで二階の床が抜けないように、床部分に鉄骨を入れて補強をしていますね。

付近にある高砂酒造の仕込み水を彷彿とさせる水風呂。ずっと浸かっていたくなる、軟らかな水質だ

旭川から福岡まで軽トラックで移動!?しかも往復とは気が遠くなる距離ですね…。極上の水風呂を作るために汗をかくことを惜しまない。桐原さんの熱量はサウナ室並みに強烈であることがよくわかりました。

水風呂のすぐ隣にある休憩スペース。根っからのサウナ好きが設計した、奇跡の空間である

そして最後は休憩スペースですね。このスペースもこだわりがありまして、北海道産の木材で統一して、木の香りに包まれながら休憩ができるんですよ。それと今後は、屋根上のベランダと貫通させて、外気浴専用のスペースも作る予定です!

あのサウナラボを彷彿とさせるような空間づくりと、身体と絶妙にフィットするチェアが絶品である

セルフロウリュできるサウナ室に、仕込み樽を使った極上水風呂、北海道の香りに包まれながらの外気浴。銀座サウナの素晴らしさに脱帽です。そしてこれだけは、ひとこと言わせてください。

 

「ととのいました……!」

 

サウナ飯を食べながらお話を聞く

サウナ後にチャミスルを嗜むのが銀座サウナおすすめとのこと

いやぁ、すっかりととのってしまいましたよ。サウナと水風呂、とても良かったんですが、銀座サウナを作るのにどれぐらいの期間、準備をされたんですか?

ざっくり2ヶ月ぐらいですかね。きっかけは、今年の4月にこの物件を譲りたいというオファーがあって、それから施工完了が5月末で、当初は6月4日オープンの予定でした。

サウナ飯のおすすめは下町おでん。まるで団らんが生まれるような温かい味が印象的だった

え?たった2ヶ月ですか!?それ、冗談で言ってませんよね?サウナって建てるだけじゃなくて、お金を集めたり、保健所等の許可を得たりして、どう考えても半年はかかると思いますが……。

補足をしておくと、僕が展開しているサウナ事業「アサヒサウナ」での事前のイベント活動が功を奏しましたね。去年、サウナイベントの開催のために保健所や消防署と何度かやり取りしてまして、銀座サウナの時も「またアサヒサウナの人か」と顔を覚えられていたのは強みでした。

サウナ飯の〆に銀座プリン。口に入れた瞬間にスッと溶けるような口当たりがたまらない

自分も春ごろは、まさか銀座サウナを立ち上げると思わなかったのでビックリでしたね!お金は事業再構築補助金とクラウドファンディングを使って、サウナ室は300万円、全体は1,000万円ぐらいで建ってしまったんですよ。

これだけの建物を1,000万円!?サウナ水風呂だけでなく、建物全体をフルリノベーションしたら数千万円はかかるんじゃないでしょうか…?地方都市での取り組みとはいえ、衝撃的な事例かもしれません。

アサヒサウナのグッズが所狭しと並ぶ。かわいらしいデザインで思わず手に取りたくなる

アサヒサウナは旭川を盛り上げるために有志で活動しているんですが、デザイナーや建築士などのスペシャリストが仲間にいたのも大きかったです。サウナを入口にして、地域や人を巻き込んでいけたのはアサヒサウナをやっていたおかげだと思います!

なるほど!銀座サウナが驚異的なスピードで立ち上がったのも、アサヒサウナで事前に1年間、啓蒙活動をされていたことが大きかったんですね。これからサウナをはじめたい人にはタメになる話ばかりだ…。

銀座サウナのポスターにも、アサヒサウナのデザインセンスが活かされている

そもそもの話に戻るのですが、どのような想いで銀座サウナを立ち上げられたのでしょうか?

実は日々銭湯が潰れていく一方で、旭川の温浴業界を盛り上げたいというのがきっかけでした。特に小さい頃から身近な銭湯が無くなったとき、「これは誰かが動かないとダメだ」と思って、自分でやる機会を伺ってましたね。

北海道産のヴィヒタをアロマ水として使用。不定期だがサウナ室で熱波も受けられるとのこと

そしてこの物件の話が出たときに「これはチャンスだ!」と思い、本業の会社を辞めて、銀座サウナの支配人になりました。銀座サウナの運営はほぼ1人でやってまして、おかげさまで生活費を賄う程の収入は確保できてますね。

地元で潰れていく銭湯のために、会社をスパっと辞めてサウナを作る行動力が半端じゃないですね…!プレジャー田中さんからも、熱波師の肩書きにふさわしい強烈な熱量を感じます。

取材中も地元のお客さんがバンバン来店していた。開業2ヶ月で既に黒字が見えているそうだ

まさにアサヒサウナの方々の熱量で、銀座サウナが成り立っていることがよくわかりました。最後にこれからサウナを作りたいと思っている読者へ、何かアドバイスがあればお願いします!

自分がお伝えできることとしては、サウナが好きならまずアクションを起こしてみることをオススメしますね!アサヒサウナもそうでしたが、サウナ好き同士で集まり、地域を盛り上げる活動をしていたら、きっと何かのきっかけが生まれると思います。

銀座サウナの至るところに、アサヒサウナ独自のエッセンスが盛り込まれている

開業にしてもできない理由をつい探しがちかもしれませんが、たとえば物件の話が来た時にすぐ家賃を聞いてみるとか、イメージを膨らませておくのも大事です。常にアンテナを張りつつ、チャンスが来たらすぐ手を挙げる準備ができていたら最高ですね!

アサヒサウナもまだまだ発展途上ではありますが、サウナの素晴らしさ本気で世の中に広めたいと思っていまして、同じ想いの方がいらっしゃればぜひ一緒に広げていきましょう!サウナを作りたいという相談も積極的に受け付けますので!

踏み込んだところまでお話いただき有難うございました!サウナを作りたい方は、ぜひアサヒサウナさんへお気軽にご連絡くださいねー!

 

最後に……

ちなみに、SPOTの読者さんの中にも、サウナを作られる方がついに登場しました。

サウナを作るのは、次はあなたかもしれません…!

(To Be Continued)

 

銀座サウナ

住所:〒070-0033 北海道旭川市3条通14丁目678番地4
営業時間:12:00-21:00(ラストオーダーは20:00)不定休
     男性専用→月/火/木/金/土/日曜隔週
     女性専用→水/日曜隔週
料金:1時間1,000円~。入浴時間に応じて料金変動