【都内で日本一周!?】アンテナショップを使えば1日で全都道府県を制覇できる
東京に点在する地方自治体のアンテナショップに行くと、東京都内にいながらにして各県の特産品を買ったり、グルメを楽しんだりできます。よく足を運ぶ方も少なくないとは思いますが、さすがに全都道府県のアンテナショップを利用した人はそうそういないでしょう。今回は、ライター・patoが、都内のアンテナショップで日本一周を目指します。
残すところあと5県。時間もまだ13時。完全に楽勝かと思われたが、ここからが本当に過酷で酷かった。とにかく、次の移動である。
オシャレな街並みをくぐりぬけ、再度表参道駅へと移動した。
南阿佐ヶ谷エリア
丸の内線、南阿佐ヶ谷駅までやってきた。表参道からすごい時間かかった。
これまでのアンテナショップは、比較的商業地というか、青森を除いてかなり賑やかな場所に存在した。やはりアンテナショップは目立ってなんぼだからだ。しかしながら、ここ南阿佐ヶ谷はどちらかといえば住宅街寄りで、静かなところだ。本当にこんなところにアンテナショップがあるのか。
実は、ここは「実質的な」アンテナショップが存在する場所だ。それは佐賀県のアンテナショップなのだけど、調べた限りでは佐賀県は正当なアンテナショップを展開していない。あまりやる気がないのかもしれない。
しかしながら、ここ南阿佐ヶ谷にある魚介・海鮮料理の店「竹八」というお店が、創業地である佐賀の特産品を扱ったり、アンテナショップフェスティバルなどに佐賀県代表で出場したりと、実質的なアンテナショップとして機能しているらしい。つまり「助かった」ということである。
この竹八がなければ、佐賀のアンテナショップを埋めることができず途方に暮れるところだった。さっそく竹八を探して歩く。
お目当ての店はすぐに見つかった。よし、これで佐賀県クリアだ。
「魚菜和食 竹八」の看板が勇ましい。けれども何か様子がおかしい。ひっそりとしている。近づいてみると途方もない現実が待ち受けていた。
へ、閉店しているー! 12月末日で閉店してるー!
どうやら「竹八阿佐ヶ谷店」はほんの数日間に閉店しまったようだ。ただし佐賀県の店舗の方では販売を続けるので、ホームページで買ってね、というようなことが書いてあった。
店の中もほぼ空っぽになっているが、左手に見える棚に佐賀の特産品が並んでいたりしたのだろうか。
ここで一つの考えが浮かんでくる。
「これはセーフでいいのだろうか?」
47都道府県アンテナショップ制覇の旅としては絶対に佐賀県を抑えなくてはならない。しかし、閉店した店舗をカウントしてしまっていいのか。そんな疑問が湧き上がる。セーフとしてカウントするか、しないのか。
率直に答えだけを言わせていただくと、セーフである。
今までだって9割くらいの店が閉店してたじゃねえか。開店前の閉店と、この閉店、店が閉まってるという点ではそう大きな違いはない。ちゃんと看板も暖簾もまだ残ってる。これはセーフだ、セーフ。
それに僕はここに佐賀県の特産品を売っていた竹八さんという店があったことを皆に忘れないでほしいという想いがある。佐賀県のアンテナショップはみんなの心の中で営業を続けている。そう、いつまでもね。完全にセーフ、圧倒的にセーフだ。
しかもホームページを調べてみると、竹八さんは来春には近隣にて店舗を新規オープンさせる予定があるらしい。つまり一時閉店ということか。もうこりゃ完全にセーフだな。世論の流れがそうなってる。え? セーフでいい? カウントしていいって? そりゃどうも、皆さん温かいね。じゃ遠慮なく。
竹八 阿佐ヶ谷店(佐賀県)
- 東京都杉並区阿佐谷南3-1-31
- 現在は一時閉店中
さて、ここまでで都内のアンテナショップ巡りは終了である。事前調査によると、都内だけでは47都道府県を制覇することはできないということが分かった。まだ攻略されていない県のアンテナショップを都内で発見することはできなかった。もしかしたら、調査しきれていないだけかもしれないが、とにかく、これ以上は調査を続行できない。
しかし編集部もひどいよな、「都内のアンテナショップ日本一周してこい」って、全部ないじゃないか。そもそもできないじゃないか。不可能じゃないか。できないことをやれって言うなんて、その悪意は本当に人の子なのかと疑いたくなる。もっとこう、民衆の嫉妬心や悪意、人を憎む気持ちみたいな負の感情が吹き溜まりになって渦を巻き、そのうちに濃厚になって、やがて実体化した、それが編集部じゃないか、そう思いたくなる。
ということで、都内だけでは全都道府県制覇は不可能である。これは裏を返せば、「都内にこだわらなければいけるかもしれない」ということである。よーし、いっくぞー!
横浜エリア
東京都を飛び出し、横浜までやってきた。丸の内線から副都心線に乗り換え、それが東急東横線、みなとみらい線と一気に突き進んでくれた。神奈川県の横浜市、日本大通り駅までやってきた。まさか横浜まで来ることになろうとは。
横浜中華街もほど近く、赤レンガ倉庫や神奈川県庁も近くにある、横浜のコアみたいな場所だ。ここにアンテナショップがある。
近くにある赤レンガ倉庫を意識してか、駅構内もレンガ造りで雰囲気がオシャレ。
駅を出て海の方へと歩いて行く。そこに求めていたアンテナショップが存在した。遠かったぜ。
物産・観光プラザかながわ屋(神奈川県)
三崎のマグロなど海産物から地酒や地ビール、箱根寄木細工、横浜スカーフなど、神奈川県の各地の物が購入できる。神奈川が持つ色々な表情を全て詰め込んだアンテナショップ、お土産の購入にも最適だ。
- 神奈川県横浜市中区山下町1番地 シルクセンター1F
- 10:00~18:00
そしてここから関内の方まで少々距離があるが徒歩で行く。
横浜スタジアムが見える。アンテナショップ求めて本当に横浜まで来たんだなあと実感する。
裏通りみたいな場所を歩いて何とか関内駅に到着。そこからさらに歩いてお目当てのアンテナショップを発見した。
ナチュラルローソン横浜住吉町四丁目店(千葉県)
またもナチュラルローソンである。ナチュラルローソン内に千葉県の特産品を売る一角があり、そこがコンビニ内アンテナショップとなっている。これがあってくれて本当に助かった。
千葉県は、千葉市にアンテナショップを有しているが、ここから千葉市に行くとなると途方もないことになってしまう。ここにこれがあってくれて本当に助かった。
例によって店内には入らないので、どういうものなのかよく分からないが外から見るに、
千葉県のマスコット、ちーばくんグッズをけっこう売ってる。
- 神奈川県横浜市中区住吉町4-45-1ナチュラルローソン横浜住吉町四丁目店内
- 24時間営業
さて、ここまでで47都道府県制覇アンテナショップの旅は終わりである。都内だけとはいかなかったが、東京近郊だけでこれだけ巡ることができた。結果を地図で確認すると以下のようになる。
これを見て何かお気づきだろうか。
そう、岐阜県と愛知県がない。黙ってても岐阜県くらいなら気づかないかもと一瞬思ったが、愛知も含んでいるので気づかれるとさすがに観念して、正直に言ってしまう。調べた限りでは、東京、もしくはその近郊に愛知と岐阜のアンテナショップは存在しない。昔はあったっぽいのだけど、撤退や閉店でなくなってしまったようだ。
ないものは仕方ない。こればっかりはお手上げだ。まさか今から作るわけにもいかない。その旨を現代に蘇った悪鬼こと編集部に問い合わせたところ、「ないものは仕方ないけど、それくらい事前に調べておけよ。クズ」みたいな内容をやんわりと言われた。まあでもさすがにもうあがっても良いらしい。意外と話が分かるじゃねえか。ということで諦めて帰宅することとした。つまり、結論としては、
「アンテナショップを使えば、1日で45都道府県を制覇できる」
ということである。本当に疲れた。
おしまい
関内駅より地下鉄に乗って帰宅する。いやー、長い1日だった。ほんと、疲れた。
帰るぞー。
乗り換えします。って、ん!?
まさか!?
うおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ふざけんなああああ、2県埋まらないままで終われるか。絶対に埋めたるわ。 僕の執念をあまり舐めないでいただきたい。いくぞー!
EXTRA ROUND 名古屋エリア
すっかり日が落ちてきた。これから僕は名古屋へと向かう。アンテナショップに行くため。愛知と岐阜のアンテナショップに行くため。何かを買うわけではない。店にも入らず撮影するためだけに、名古屋に、行く。本当にこれでよかったのだろうか。
本当に来てしまった。名古屋。
新幹線ホームから見える名古屋の町はすっかり夜の顔になっていた。
ここからさらに地下鉄に乗り継いで名古屋の中心地「栄」に向かう。
栄の地下街は度肝を抜かれる広さである。向こう側が霞んで見えないくらい通路が遥か向こうまで続いている。ちょっとした地下帝国くらいあるよ、これ。
そのまま地下帝国を抜けて中日ビルを目指す。
お、あったあった。これだ。ちゃんとビル地下と地下街が繋がっていて便利が良い。ここに目指すべきアンテナショップがある。くっそ遠かった。
ピピッ!とあいち(愛知県)
愛知の良いものがピピッ!と見つかるお店らしい。愛知の特産品だけでなく、愛知県内で採れた産地直送の野菜の販売なども行っている。
ちなみにこの中日ビル、2019年3月末で閉館し、建て替えられるらしい。雰囲気のいいビルだけに寂しいものだ。
- 名古屋市中区栄四丁目1番1号 中日ビルB1F
- 10:00~19:30
ちなみにこの向かいには沖縄のアンテナショップ、わしたショップ名古屋があった。やはり沖縄は熱心だな。
さて、これで残すはあと1県! 岐阜を残すのみ。ついにここまできたか!
颯爽と地下街を駆け抜けて、今度はオアシス21という商業施設を目指す。この中日ビルとオアシス21も地下街で繋がってるっていうんだから、本当に栄の地下街はすごい。
しばらく歩くとオアシス21に到着したっぽいので、いったん地上に出てみる。
なんかむちゃくちゃきれいなんですけど。どうやらこのきれいな屋根みたいなものの下が商業施設になっているらしく、そこに岐阜のアンテナショップがあるようだ。完全にラストダンジョン感がある。神っぽいラスボスいそう。
この光の通路はまさにビクトリーロード。47都道府県制覇を祝うビクトリーロード。
屋根の下はこのように地下空間が広がっており、そこにお店がいっぱいある。真ん中は憩いの空間みたいになってる。すごい近代的。
さあ、岐阜のアンテナショップはどこだ。
あった。
ついに、ついにやったぞ。
清流の国ぎふ産直市場「ジ・フーズ」(岐阜県)
農家が作る産地直送の食品を提供する、そんな目的のアンテナショップだ。6次産業化商品に加え、飛騨牛や鮎関連商品も取扱い、岐阜県内の地酒の販売も行っているらしい。
- 名古屋市東区東桜一丁目11番1号
- 10:00~21:00
これにてアンテナショップ47都道府県制覇完了。
地方の魅力、活性化、という言葉が叫ばれるようになって久しい。本当に地方は活性化しているのだろうか。本当に地方が活性化する必要があるのだろうか。たまにそう思うことがある。 もしかしたら「活性化」という言葉が地方にとって言い訳だったり、アリバイ工作みたいに使われているんじゃないか。本気で活性化する気のない活性化事業がどれだけあるだろか。そう思うところもあった。
今回、アンテナショップを巡ってみて感じたことは、アンテナショップには各自治体の一生懸命が詰まっているということだ。ほとんど閉店状態だったが、それでもなんとかアピールしようと、看板やポスターがあり、手作りの案内があり、そこには気持ちがあった。
誰だって自分の故郷や住んでいる場所の魅力を伝えたい、そんな気持ちがあるはずだ。その気持ちの表れがアンテナショップではないだろうか。この記事を読んで少しでも気になったのなら実際に訪れて、その魅力と一生懸命に触れてみてほしい。商品一つ一つにも多くの思いが詰まっているはずだ。
個人的考えとしては、アンテナショップは特産品を売るだけ、紹介するだけ、観光案内、と「発信」のみではこれからの発展が見込めないように思う。これだけ増えてきた今となっては次のステージにいかなければならないのではないだろうか。それこそが「活性化」への道ではないだろうか。
冒頭で述べたように、アンテナとは「発信」「受信」の機能を持ったものだ。今後はアンテナショップを活かして「発信」だけでなく、いかに「受信」していくか。地方に興味を持つ人の声をいかにして「受信」するのか、それがアンテナに求められる役割なのかもしれない。
このアンテナショップの旅は、巨大なアンテナであるスカイツリーから始まった。そして、この最終地、岐阜のアンテナショップがあるオアシス21は、名古屋の名所、テレビ塔にほど近い。
テレビ塔だって巨大なアンテナだ。巨大なアンテナから始まって巨大なアンテナで終わるアンテナショップの旅、なんともお後がよろしい感じになったものだ。 今回紹介できなかったアンテナショップも含めて、全てのアンテナショップに感謝の意をもって、この記事を終わらせたい。
エピローグ
ちゃんとその日のうちに東京に帰ってきて日帰り完了。
名古屋には45分くらいしか滞在してなかった。ほんとに店の写真を撮りに行っただけで終わってしまった。
「アンテナショップを使えば1日で47都道府県を制覇できる」
おわり
ライター:pato(@pato_numeri) ブログ:多目的トイレ
※情報は全て2017年1月現在のものです
※営業時間や定休日などは正確な情報とは限りません。各店舗に問い合わせるようにしてください
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