横穴式住居に泊まる。「古代生活体験村」で火おこしして古代米を炊くシンプルな1日

栃木県佐野市の「古代生活体験村」は、現代社会に疲れた皆さんにオススメしたい観光スポット。縄文~弥生時代に使われていた横穴式住居、竪穴式住居などを再現した施設があり、そこに宿泊できます。自然の中で火起こしからマスのつかみ取り、竹の食器作りなど古代の暮らしを体験すれば、きっと忙しい普段の生活から解放されるはず。シンプルな原始のライフスタイルを肌で感じられる栃木県「古代生活体験村」で、ちょっと変わった旅行を楽しんでみては?

心が野生を求めている……。

社会システム複雑すぎるし情報ありすぎだし生活サイクル早すぎるし、現代のスピード感に余裕しゃくしゃくでついていけるに人ってどんだけいるんでしょうか?????
私はついていけてません。

江戸後期ぐらいに生まれて「見世物小屋やりながらたまに木版印刷で江戸のおもしろスポットを紹介する」ぐらいが脳の処理速度的にギリギリなのでは??とつねづね思っております。

脳みそがイカレそうになるのを週2回のサウナでメンテナンスし、正常と異常のはざまを突っ走っております。

原始の暮らしが体験できる「古代生活体験村」

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古代生活体験村の横穴式住居です

複雑怪奇すぎる現代生活にイカレちまいそうになったとき、おすすめしたい宿があります。栃木県佐野市の「古代生活体験村」です。

ヒモで腰を結わいたただけの原始服に身を包み、横穴式住居や竪穴式住居に泊まることができるのです。横穴式2棟、竪穴式4棟あります。

古代生活体験村には公式サイトがあり、空き状況の確認もできるのですが、肝心の宿泊予約はネットで行なえません。電話で予約をして、パンフレットを郵送してもらいます。

古代とまではいかないものの、予約段階から昭和にタイムスリップできるのです。

 

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古代生活体験村」の最寄駅は葛生(くずう)駅。最寄りといっても車で30分ほどの距離なので歩いてはいけません。

葛生町に入ると「ようこそ原人のふるさと」という看板があり、原始人のオブジェが立っています。スポンジ・ボブぐらい黄色いです。

 

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なぜ葛生が原人のふるさとなのでしょうか。

実はここ「葛生原人出土の地」とされていたのです。

1950年代にこの地で発見された骨が、数万年前の人骨すなわち原人のものではないかと言われていました。しかし、2001年に詳しく検査したところ、ぜんぜん原人じゃなくて15世紀ぐらいの人骨だったことが判明。それどころかニホンザル、トラ、クマの骨も混ざっていたんだとか。

古代生活体験村は今から20年以上前に作られた施設なので、もう、その頃にはできちゃってますね。

くずう原人まつり」など何十年も原人ネタを盛りあげてきた村なので、たとえ「物体としての葛生原人」は存在せずとも「文化としての葛生原人」はたしかに存在しています。

むしろ本物の原人骨が出土されるより興味が湧いてきました。

 

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体験村へは、葛生駅からバスで行けないこともありません。「さーのって号」という佐野とひっかけたご陽気なダジャレ路線にのって「秋山学寮前」で降りればすぐ目の前です。

ただし、2時間に1本程度ですし、歩いていける範囲で遊び場所もありませんので自家用車で行くのが無難でしょう。

 

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古代生活体験村

広々とした広場の向こうに石造りの横穴式住居が見えます。

虫の鳴き声が聞こえるばかりの静かなところです。

 

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今回泊まるのは横穴式住居です。

これは再現されたものなので岩を積みあげて形にしていますが、そもそも横穴とは洞窟のこと。岩を掘って住居を作るわけでなく、もともとあった洞窟に住みついたのがはじまりとされています。

 

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竪穴式住居もありますよ。縄文~弥生時代に広く見られた住居形式。地面を掘って窪めて床にして、屋根をかけた半地下式になっています。

「竪穴式」という名前は「横穴式」との対比でつけられたんだとか。

 

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中には、いろりがあって火をくべることもできます。

スタッフの方から聞いてびっくり仰天したのですが、古くなった竪穴式住居の基礎を補修してワラをふき替えるのに1500万円ほどかかったそうです。「1500万円!!」と大きな声でリピートしてしまいました。

この補修作業は専門業者にしかできないうえ、手作業なので時間も手間もものすご~くかかるそうです。

こんな見た目の小屋が、まあまあえらいGoogle社員の年収ぐらいするなんて驚いちゃいますね。

 

 

原さんと古代体験しよう!

原始服を着よう!

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受付で原始服と火おこしセットを受け取ります

横穴式も竪穴式も泊まるだけなら1室11,880円です。最大7~8名まで泊まれるので1人頭で割ればかなり安いですよ。しかも、先ほど竪穴式住居にかなりの資金を投じていることが分かったので、よりお手ごろ価格に感じられました。

今回は宿泊費込み1人6,300円の「原(げん)さんと遊ぼうコース」にしました。4人以上で申込み可能です。

火おこしやバーベキューなど、原さんと一緒にもろもろ体験できます。思いっきり古代生活を満喫するなら、これを申し込むのがいいですね。

予約電話で「原さんってインストラクターですか?」と尋ねたら「え?原さんは原さんですが……」とみなさんご存じの感を出されました。原さんとはいったい。

 

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上着もズボンも脱いで、トランクス一丁で原始服をまといました。

少しチクチクしますが、気になるほどじゃありません。

 

なんだかめちゃくちゃテンションが上がってきて、思わず原始ダンスを踊ってしまいました。

はやくも野生の血が騒いでおります。

 

 

夕食のマスをつかみ取りせよ!

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着替えた我々を待ちうけていたのが、原さんです。

原さんの原(げん)は「原始人の原」だそうで、べつに名字が原(はら)ってわけではありません。

ズボンも上着も脱ぎ捨てた原始服一丁の私を見て「気合いがはいってるね。ほんとはそれが正しいけど、私はそこまで脱ぐわけにいかない」と語ってくれました。

原さんはこの施設の管理者なので、脱ぎすぎるわけにもいかないそうです。

 

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まずは用意された竹の食器セットにやすりをかけます。

夕食のときに茶碗やコップ、お皿として利用する竹なので口が当たる部分のバリを削ります。簡単です。

 

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そのあとはマスのつかみ取りです。

夕食の食材を自分で捕獲するというわけです。

 

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川に降りていったので、マスを川に放流しているのかと思いましたが、つかみ取りをするのはブロックで区切られた小さな水場でした。

 

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放たれたマス4匹をつかみます。

「こんな狭くて浅いところなら楽勝だぜ」と舐めてかかりましたが、ぜんぜんつかめません。すごいスピードですいすい逃げるし、つかんでもツルっと手をすりぬけてしまいます。

この時期でもかなり水が冷たいので、ずっと入ってるわけにもいきません。出たり入ったり15分ほど悪戦苦闘してなお、1匹も獲れませんでした。

 

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このままでは埒があきません。

動物としての反射神経だけでなんとかしようと考えていたのですがやめました。人間の知恵を使うことにしました。

隅っこに追いつめ、足で逃げ場をブロックし、一気にすくい上げます。

人間が知恵を使えば、魚類などなんてことはありません。手のひらで踊っています。

 

 

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知恵を使いはじめてから20分。なんとか2匹をつかまえました。

もうあとの2匹は知恵だけではどうにもならないので、網も使いました。人間は道具を使うことで進歩した生きものなので、網も身体のうちと言えましょう。

網、すごかったです。あんなに苦戦してたマスを一瞬で捕獲できましたから。道具の威力を痛感しました。

 

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獲ったマスは自分でさばきます。

マスの頭を叩いて気絶させて、暴れないようにしてから包丁をいれ、内臓をとりだして血合いを流します。

 

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塩をふったら、あとは焼くだけ。

この体験コースは家族連れの利用が最も多いそうなんですが、「子どもでも1回やると慣れちゃいますね」とのこと。かえって、生きた魚をさばいたことがない大人のほうが抵抗あるのかもしれません。

 

 

火おこしをしよう!

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おかずの魚が準備できたら、お米を炊きましょう。

白米と古代米を半々でブレンドします。

 

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やり方を教わってから、グッグッと米をといでいきます。

 

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もろもろ準備が整ったら、いよいよ火おこしです。

やっぱり古代生活といえば火を起こさないことにゃあ始まりません。

火が点くまでに平均30分~1時間ぐらいかかるとか。「去年は10組中3組くらいしか点かなくて、だいたいチャッカマンが出動してたのよ」とのこと。かなり難しいようです。

 

今回は「ひもぎり式」という方法で火を起こします。

2人1組で行う方法で、1人が木の板の凹みに刺しこんだ棒を押さえ、もう1人が棒に巻きつけたヒモを左右に引っ張って棒を回転させます。

 

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棒を押さえる力が強すぎると回転しませんし、弱すぎると凹みから外れてしまいます。

2人のコンビネーションが問われるので、小気味よく回転させるのは見た目より難しいです。

 

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「お、煙が出てきた!早い!今年最速じゃないですか」

「すごくいいコンビネーションですよ!絶妙の力加減ですよ!」

原さんとアシスタントの2人が全力で褒めたたえ応援してくれるので、だんだん気分が良くなってきます。

 

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5分ほどゴシゴシやっていたら、摩擦部分からもくもくと煙があがってきました。

「煙が出てからが長いですよ!がんばって!」

しばらく摩擦を続けていると、溜まった木くずに小さな赤い火種がつくのです。

上の写真はもう火種がついてます。見えますか、ほんのちょっと赤くなってる部分。ここまでくるのに15分ぐらいかかりましたね。

 

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火種がついたら、それを大切に麻繊維で包んで……

 

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おりゃ~~~~~~~

っとぶんぶん回します。

空気となじませて火を大きくするんです。

 

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炎が上がり、アチチチッ!と手から離します。

スタッフさんいわく「熱いから、どうしてもぶん投げちゃうのよ」とのこと。熱さに耐えることも、火起こしの難しいポイントのようです。

 

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投げられた炎を原さんがむんずと掴み、枯草や新聞紙に火をつけます。

 

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あんなに小さかった種火が、瞬く間に勢いのある炎になりました。

 

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普段は何気なく接している火ですが、自分で起こしてみるとかわいらしく思えてきて、愛着がわきます。

火が絶えないよう頻繁に枯れ木や薪をくべていました。

 

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鍋の水が無くなって「ピチッピチ」と音が鳴りはじめたら炊きあがり。

 

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よく炊けました。

古代米のお焦げは香ばしくパリパリで、お煎餅みたいでうまいですね。

 

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マスを焼いて、みそ汁も煮ます。

 

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夕飯の完成です。竹の食器にはいった「古代米」「みそ汁」「マスの塩焼き」とお水です。

う~~~ん、シンプルで古代の食事って感じです。いいですね。

ここまでで、3時間ぐらいかかりました。

 

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4人前のバーベキュー。肉も野菜もあります

「それだけじゃ足りないだろうから」ということで、バーベキューの具材も用意されてます。

野菜に肉にけっこうボリュームありますよ。

 

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灰で顔を真っ黒にしながら、夕飯をいただきます。

自炊よりもさらに一歩踏み込んだ食体験。自分で火から準備した料理はやっぱりうまいですね。

 

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大量の虫が群がります。明かりのまわりがGLAY20万人ライブみたいになっていました

早めの夕食を終えたのが17時。横穴式住居にはテレビも何もないので、その後はやることがなくなりました。

隣の建物にちゃんとしたお風呂があって入れるんですが、時間がたっぷりあったので、車で30分かけてスーパー銭湯まで足を伸ばしました。

サウナと水風呂を何度も何度も行ったり来たり、露天風呂に浸かっては外気浴でゆっくり休憩。急ぐ必要がまったくなかったので、2時間ぐらいのんびりしちゃいました。

 

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両手いっぱいの枕。3人で泊まったのに8個ありました

脳みそふにふに、体ぽかぽかの気持ちいい状態で横穴式住居に帰ってきたら、あとは寝るだけ。枕も敷布団もふんだんに用意されています。

 

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天井の石組みが見慣れなくて、新鮮な気分で眺めていられます

布団に入ったのは22時。

横になって話をしながら夜ふかししようと思っていたのですが、あっという間に寝てしまい、そのまま翌朝8時までぐっすり10時間眠っていました。

身体もすっかり古代のリズムを取り戻したようで早寝早起きです。

横穴式住居、思いのほか涼しくて寝やすいですね。

 

 

まとめ

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古代生活をサポートしてくれた原さんとアシスタントさん

複雑怪奇な現代生活からちょっと離れて、シンプルな古代生活を体験してきました。

食料獲って、火おこして、メシ作って、食って風呂入って寝る。いや、ほんと分かりやすい。

けっこう体を動かすから夜もぐっすり眠れるし、たまにはこういう1泊2日旅行もいいもんですよ!

 

 

◎文章:松澤茂信(別視点代表)
◎写真:齋藤洋平(別視点カメラマン)

東京別視点ガイド@another_tokyo

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