山口・湯田温泉のおすすめ宿3選&観光スポット4選! 圧巻の「女将劇場」も必見!!

こんにちは。ライターの大塚拓馬(@ZuleTakuma)です。

湯田温泉は山口県山口市にある温泉で、一日に2000トンの湯量を誇り、約800年の歴史を持っています。井上馨や中原中也の出身地としても有名で、温泉街には二人にちなんだスポットもある人気のエリアです。

そんな湯田温泉の魅力をさらに引き立てるのが、旅館。名物女将がいる面白い旅館や維新の志士にまつわる旅館など、湯田温泉には個性的で素晴らしい旅館が多数あるんです。

この記事では湯田温泉の中でも特にオススメしたい3つの旅館と、周辺観光スポットをご紹介します!

湯田温泉って、どんな温泉?

湯田温泉駅は、新山口駅から電車で15分の場所にあります。山口の中心街からも近いので、山口に行った際に宿泊しやすい温泉街であると言えるでしょう。

約800年前から歴史が続いている温泉地で、泉質は無色透明のアルカリ性単純泉であり「美肌の湯」とも言われます。

湯田温泉のシンボルは白狐

温泉地には「白狐が傷を癒しに来ていた」という伝承があり、温泉街のさまざまな場所に白狐を模した像やイラストが見られます。湯田温泉にとって「白狐」はシンボルのような存在なのです。

湯田温泉へのアクセスは?

湯田温泉駅には新幹線の新山口駅からは電車で15分で到着し、中国自動車道「小郡IC」、山陽自動車道「山口IC」からは車で10分で到着します。アクセスも便利な温泉地です。

湯田温泉で一番オススメしたいユニークな宿「西の雅常盤」

湯田温泉でまず取り上げなければならないのは「西の雅 常盤(にしのみやび ときわ)」という宿です。
こちらの宿は女将自らステージに立つ「女将劇場」が有名で、テレビでも取り上げられるほどの人気を誇ります。

こちらが女将劇場の公式写真。これはかなり楽しみですね……!

チェックインして名物女将とご対面

西の雅常盤に到着すると、年季の入った味のある女将劇場の看板が置かれていました。
これだけでも存在感十分。どんな女将に会えるのか…。今から楽しみです。

ロビーで待っていると、女将の宮川高美さんが現れたので、挨拶もそこそこに少しお話をうかがいました。

――「女将劇場」ではご自身がステージに立たれるんですよね。大変ではないですか。

女将:「女将劇場」は20時45分から1時間ほどステージに立ちます。その後はまた芸の練習をしたりするので……。

――すごいですね…。「女将劇場」が55周年という記述を見たのですが、本当ですか。

女将:20歳の頃から始めたので、もう55年間毎日やっております。

――え!なにか先代がいらっしゃるわけではなく、全部ご自身の55年間ですか。

女将:どんな病気もせずにずっとやってきました。今は100~120芸くらいできますよ。一緒に出演するスタッフ達も、先輩が後輩に芸を伝えながら自分たちで舞台をつくっています。

――やっぱり芸がお好きなんですよね。

女将:好きです。三度の飯よりも好きです。いろいろつくってやるのは楽しいですよ。まだまだなんぼでも浮かんできます。

――女将業との両立は大変ではないですか。

女将:それが大変です。女将業で90%くらいの力は使ってしまいます。残りの10%を「女将劇場」で全て使い果たしています。

 

僕はてっきり、何となくお調子者のひょうきんな方をイメージしていたのですが、全くそんなことはありません。並々ならぬ覚悟を持ってステージに立たれている迫力を感じました。

「女将劇場」で女将の生きざまを、しっかり目に焼き付けたいと思います。

客室へ移動

常盤の魅力は女将劇場だけではありません。お部屋へ案内してもらいました。

広々とした和室。畳の香りが落ち着きます。

障子を開けると窓から湯田温泉を一望することができます。

お茶菓子を手に取ると女将のイラストが。さすが名物女将です。

西の雅 常盤には6種類のお風呂がある

常盤には6種類のお風呂があり、それぞれ湯田温泉や山口にゆかりのある名前がつけられています。

夕方と朝でお風呂の男湯と女湯が入れ替わるので、宿泊者は1泊ですべてのお風呂を楽しむことができます。

こちらは「維新黎明の湯」

維新黎明の湯はもともと品川弥二郎が祭神である品川神社の庭園を改装してつくられた露天風呂です。美しい庭園を眺めながら入る美肌の湯は癒されます。

脱衣所には当時の建物の雰囲気が残っています。明治維新目前の時代、多くの勤皇とされる武士が湯田温泉に集い、討幕に向けて秘策を練ったといいます。

西の雅常盤の数あるお風呂の中でも最も風情があり、絶対に体験してほしいお風呂です。

「山口のんたの湯」はひょうたん型の浴槽が特徴の内湯。洋風と和風が混じったつくりで、ステンドグラスを見ることもできます。

他にも半露天風呂「山頭火の湯」や、「楊貴妃風呂」「竹林露天風呂 わかたけ」など、全部で6種類のお風呂を楽しめます。

女将曰く「たくさんあった方が楽しいと思って」とのこと。おっしゃる通り、たくさんお風呂があるのは楽しく、たくさんの旅館に行ったような贅沢な気持ちになります。

他の宿にない、西の雅 常盤ならではの面白い特徴です。

山口の味を堪能!食事は絶品の会席料理

指定した時間に食事会場に行ってみると、お食事の準備が整っていました。(※通常はレストラン形式の会食場となります。)

絶品のお刺身。ビールと一緒に頂いたら最高ですね。

こちらは彩りが鮮やかな、山口名物・瓦そば。

瓦で焼いた茶そばを、もみじおろしを溶いたつゆにつけていただきます。美味いっ!

瓦そばを味わっていると、鱧鍋がイイ感じに仕上がります。幸せな忙しさです。

鱧はふわふわ。旨味は強いのですが、臭みはまったくありません。
スープには鱧の出汁がよく出ていて、一気に飲み干してしまいました。

締めには炊き込みご飯をいただきましょう。

炊き込みご飯にはあさりが入っていました。
ところどころおこげもあって、それもまたおいしくて。

山口のおいしいものをたくさん食べられて、僕はもうとっても幸せです。

よいお部屋、たくさんあるお風呂、おいしくてボリュームたっぷりのお食事。

すっかり大満足ですが、常盤の夜はまだまだこれからです。

湯田温泉名物!いよいよ「女将劇場」開幕

女将劇場は20時45分から開演。

「あー、もう前の席とられてる」
「やっぱりもっと早く行くべきだったね」

お客さんの会話からも人気の高さがうかがえます。

開演と同時に満面の笑みで女将が登場。

次々とお客さんを舞台に上げ、積極的にコミュニケーションをとりながら、音楽に合わせて一緒に踊ります。

イリュージョン的なマジックもやるし……

音楽に合わせて巧みに水を操る「水芸」も。

ガチですごい芸だけではなく、脱力系の芸も織り交ぜた息つく暇もないエンターテインメントの数々に、ひたすら圧倒されました。女将の太鼓の腕前もお見事。

最後の芸では、髪に墨をつけて文字を描く髪筆で「雅を極めて華となる」という書をしたためてくれました。女将の生き様ですね。

終わった後の女将はお客さんに囲まれていて、大人気。

1964年。前回の東京オリンピックが開催された年から毎晩開催され続けてきた女将劇場。「女将劇場」は、女将の「人生劇場」でもあるのです。

ちなみに売店にはインパクト抜群の女将グッズが。

このお菓子を食べながら、女将の話で盛り上がる…というわけですね。すばらしい。

ぜひ皆さんも湯田温泉に行くときには、西の雅 常盤で雅でアツいひとときをお過ごしいただければと思います。

西の雅常盤
住所:山口県山口市湯田温泉4丁目6-4
>>公式サイトはこちら

自慢の温泉と手作り料理「梅乃屋」

湯田温泉にはまだまだ良い旅館があります。

梅乃屋は100%かけ流しの温泉と、野菜ソムリエの女将・料理長厳選の素材重視の手作り料理が売りの宿です。

温泉は肌に良い硫黄分を含む良質な自家源泉と、湯田温泉の源泉をミックス。
加水や加温をいっさい行っていない温泉が自慢です。

露天風呂も風情があって、自家源泉のお湯に癒されます。

お料理は鱧やふぐなど、さまざまなお料理が楽しめるようになっています。

湯田温泉のお湯、料理を心ゆくまでじっくりと楽しみたい方におすすめの宿です。

梅乃屋
住所:山口県山口市湯田温泉4-3-19
>>公式サイトはこちら

文化財の庭園も魅力の「松田屋ホテル」

松田屋ホテルは明治維新の立役者となった志士たちが集ったとされる、歴史の深い宿です。

「維新の湯」の浴槽は1860年につくられたものです。
なんとこの浴槽は長州、薩摩、土佐の勤皇の志士も入浴したと言われています。

しばしば松田屋で会合を行った高杉晋作・木戸孝允・西郷隆盛・大久保利通・伊藤博文・大村益次郎・山県有朋・井上馨・坂本龍馬らや七卿落の公卿三条実美らが入浴したかもしれない浴槽なのです。

この浴槽を目当てに松田屋ホテルを訪れる歴史ファンも多いのだとか。

ホテルには維新の志士にまつわる資料がたくさんありました。

「維新資料室」という部屋もあり、見ごたえのあるさまざまな資料を見学できます。歴史ファンには最高の空間ですね。

ホテル内の日本庭園も素晴らしかったです。なんとこの庭園は国の登録記念物(文化財)に登録されたのだそう。

庭園の中には司馬遼太郎の著に登場する赤松や西郷・木戸・大久保の会見所など歴史的にも貴重な文化財があるので、早めにチェックインして日没する前に庭園を散歩するのがおすすめです。

松田屋ホテル
住所:山口市湯田温泉3-6-7
>>公式サイトはこちら

湯田温泉で立ち寄りたい観光スポット

湯田温泉の源泉を体感できる「温泉舎(ゆのや)」

梅乃屋のほとんど向かいにある「温泉舎(ゆのや)」

湯田温泉の組合が管理しているの7つの泉源のうちの一つで、老朽化した施設を観光用に改修したものです。

温泉舎の中にあるのぞき窓からは源泉が1分間に125リットルものお湯をくみ上げる様子を見学できます。湯田温泉のエネルギーを体感!

温泉舎には飲泉場があり、湯田温泉の源泉を飲むことができます。

こちらのお湯はとっても熱いので、触らないようにしてくださいね。

温泉の湯気と香りが体感できる「湯の川」もありますが、足湯ではないのでご注意を。

見学にも時間がかからず気軽に立ち寄ることができる無料のスポット。夜間は7.8メートルの櫓がライトアップされるので、夜のお散歩におすすめです。

温泉舎(ゆのや)
住所:山口県山口市湯田温泉4丁目4-41

新感覚の足湯カフェ「狐の足あと」

「狐の足あと」は、「湯田温泉観光回遊拠点施設」と位置づけられたスポットです。

「観る」「食べる」「買い物する」といった、湯田温泉をもっと楽しむ情報を紹介してくれます。

施設内はカフェになっており、飲み物やデザートを楽しめますが、カフェの目玉はこちら。

足湯です。

なんと「狐の足あと」では足湯を楽しみながら、カフェメニューを楽しむことができるようになっています。

足湯を利用する場合は受付で大人200円、小中学生100円の利用料を支払ってください。

コインロッカーの鍵と、足ふき用のおしぼりが渡されます。
貸出用の下駄に履き替えて、いくつもの種類がある足湯めぐりを楽しみましょう。

屋外の「四季の湯」では露天風呂気分が味わえます。

桜や紅葉など四季折々の魅力が楽しめるほか、夜間はライトアップするそうです。

メインの建物とは別の建物の中にある「言音の湯」では、癒しの音楽が流れる中で足湯やカフェメニューを楽しめます。

こちらは「中也のカフェラテ(420円)」「こぎつねバウム(600円)」です。

「中也のカフェラテ」は山口市湯田温泉で生まれた詩人・中原中也の似顔絵のラテアートがユニークな一品。

「こぎつねバウム」はしっとりしたバウムクーヘンの上に、かわいいきつねの形をしたアイスクリームが乗っていて、とってもかわいい!

体がポカポカしている時に冷たいものを食べると、いつもよりもアイスクリームの冷たさが引き立って更においしくなるんですね。

「コタツの中で食べるアイスクリームが美味い」の「最上級」だと思います。絶品でした。ぜひ足湯に入ってポカポカした状態で食べて欲しい!

ほかにも「利き酒セット(500円)」で足湯に浸かりながら、山口の地酒も楽しめます。これもまた最高でした!

足湯は無料の「足湯衣装」をレンタルできます。スカートやズボンで足湯を楽しみにくいという人におすすめです。

ちなみにJリーグのレノファ山口の観戦チケットやシーズンパスを見せることで足湯の割引がありますし、ホームの試合開催日にはアウェイサポーターは足湯が無料となります。

詳しくは 公式サイト で確認してみてくださいね。

狐の足あと
住所:山口県山口市湯田温泉2-1-3
営業時間:8:00~22:00
定休日:年中無休
>>公式サイトはこちら

数多くの直筆原稿が展示「中原中也記念館」

「中原中也記念館」は詩人・中原中也の生家跡に建築された記念館です。
中原中也の故郷である湯田温泉を訪れる人々に、「中原中也の世界を感じて欲しい」という願いを込めてつくられています。

展示では中原中也の30年の生涯を振り返りながら、数々の遺品や原稿を見学できるようになっています。

印象に残るのは原稿や、手紙などの手書きの文章の迫力です。
手書きの文字からは、中原中也本人の息遣いが聞こえてきそうで迫力があります。

手書きの原稿で感じる中原中也の世界は、これまでとはまた違う感じ方ができるはずです。

記念館の中は吹き抜けが多かったり、外の光を多く取り入れるなど工夫が施されていて、開放感がありました。

木漏れ日のような光が差し込む建物の中はとても居心地がよかったです。

受付横のショップでは、さまざまな中原中也関連グッズが販売されていました。

中原中也をイメージして描かれたかわいいイラストのグッズ。トートバッグやハンカチなどのグッズがありました。

そんな中、僕の目に留まったのはこちら。

ガチャポンです。
「まめほん」ということで、カプセルの中に小さな詩集が入っているのだとか。試しにやってみました。

「山羊の歌」が入っていました! 中原中也の生前に刊行された唯一の詩集です。

中にはちゃんと小さな字で詩が書かれてありました。大切にしようと思います。

中原中也記念館
住所:山口県山口市湯田温泉1-11-21
開館時間:
休館日:月曜(祝祭日の場合は翌日)、毎月最終火曜、年末年始、その他臨時休館あり
>>公式サイトはこちら

歴史を感じられる温泉街のオアシス「井上公園」

井上公園は明治維新の元勲の一人である井上馨の生誕地につくられた公園です。

公園内には井上馨の銅像があり、井上馨の功績をたたえています。
ステッキを手にオシャレな佇まいの銅像ですね。

公園内には、中原中也の詩碑や、種田山頭火の句碑などさまざまな石碑があり、歴史に想いを馳せられます。

温泉地の公園らしく、井上公園には源泉かけ流しの足湯があります。利用時間は10:00~22:00です。

子どもが思いっきり遊べる複合遊具があるので、子どもを遊ばせながら親はゆっくり一休み…という過ごし方も可能です。

複合遊具には湯田温泉のシンボルである白狐の姿も見えますね。

また公園には「何遠亭」という休憩所があり、無料で使用できます。
幕末、七卿落ちの際に三条実美を滞在させるために、井上馨の実兄である井上五郎三郎邸に増築された建物です。

入室は無料で畳の上でゆっくりと休めます。
現在の建物は当時の間取りの資料を基に、平成27年に新たに建てられたものです。

何遠亭の開所時間
4月~10月:10:00~17:00
11月~3月:10:00~16:00
閉所日:水曜、8/13~15、12/28~⅓

井上公園
住所:山口県山口市湯田温泉2-5

レノファ山口のスタジアムも近い

湯田温泉の温泉街の近くには維新みらいふスタジアムがあります。こちらはJリーグのレノファ山口のホームスタジアムです。

湯田温泉駅から維新みらいふスタジアムの最寄り駅である大歳駅までは電車で5分。
Jリーグサポーターでアウェイ遠征に行く方も、ぜひ湯田温泉に立ち寄ってみてください。

湯田温泉は歴史風情ある楽しい温泉街

湯田温泉は歴史ロマンとユニークな旅館が連なる、楽しい温泉街です。
山口の中心部から近いので、山口への出張時やJリーグ観戦のついでに湯田温泉に立ち寄ってみてくださいね。

そして、今日も西の雅 常盤では20時45分に「女将劇場」の幕が上がります。
レジェンド女将が今晩も雅を極めて、華になっていることでしょう……。