迫力満点!愛知県の東三河地域で続く、伝統の「手筒花火」って?
愛知県の東三河地域には450年以上も続く伝統「手筒花火」があります。手筒花火は火薬を詰めた竹筒を人が抱えてあげる花火。今回は地元出身のライターが伝統の手筒花火についてご紹介。愛知県の旅行プランの計画の際に、是非参考にしてみてください。
こんにちは。愛知県在住のライター小澤です。
突然ですが、みなさんは「花火」と聞いて思い浮かべるのはどんな花火ですか?
夏の夜空を彩る豪華絢爛な打ち上げ花火、小さく儚い線香花火…、友人と遊んだ手持ち花火……。
様々な思い出があると思いますが……、
愛知県の東三河地域では450年以上も続く伝統の「手筒花火」が有名なのです。
え? 手筒花火を見たことがない?
むしろ、初耳?
うそっ!?
天空に噴き上げる火柱。
轟音の後に訪れる静寂に、一間置いて観客の拍手が鳴り響く。
愛知県では遠くの夜空に見える大輪の打ち上げ花火はもちろん、一味違う花火を楽しむことができるんです。
今回はこの地域ならではの「手筒花火」について、その歴史と観光客が楽しめるお祭をご紹介します!
目次
450年以上続く、伝統の手筒花火とは?
手筒花火が他の花火と異なるところは、大きな筒を人が持ち、巨大な火柱を噴出させるところです。
花火をあげるその勇姿はまさに「圧巻」の一言。
手筒花火は材料となる竹を切り出すところから火薬を詰めるところまで、自分たちの手作業で仕上げます。
その作り方は町内やお祭りによって様々、縄の巻き方や火薬の量など、一昔前までは門外不出の極秘事項だったそう。
手筒花火が見られる時期はいつ?
花火と聞くと、夏の暑い時期に見るイメージがあると思いますが……
手筒花火は4月から10月にかけて東三河地域の神社や公園、小学校などのお祭り会場で見ることができます。
詳しい日程や会場はこちらのサイトを参考に!
豊橋観光コンベンション協会「ええじゃないか豊橋」
手筒花火発祥の地!愛知県豊橋市「吉田神社」の「豊橋祇園祭」
手筒花火発祥の地とされているのが、愛知県豊橋市にある「吉田神社」です。
豊橋市ってどこよ!?という方はこちらの記事をご参照ください。
豊橋市では様々な花火が見られる祇園祭が毎年7月第3週の金・土・日曜日の3日間行われるのですが……
この初日には、吉田神社で手筒花火の奉納を見ることができるんですよ。
こちらの花火衆たちが担いでいるのは、大筒!
手筒花火よりも火薬量が多く、台に固定してあげる噴出花火です。
大筒は花火衆に担がれ、町内の全ての家の前をまわってから吉田神社の鳥居をくぐります。
手筒花火は神前放揚と言って、神様の前で花火をあげます!(すごい!)
もちろん花火と建物・人の距離は法律で定められた規定のもと、消防車と消防隊が近くで待機しています。
豊橋祇園祭は、国内はもちろん海外からの観光客も訪れる迫力満点の行事です。
ひと味違う花火を楽しみたい!という人は豊橋祇園祭に来てはいかがでしょうか。
吉田神社
- 住所 〒440-0891 愛知県豊橋市関屋町2
- 最寄り駅 豊橋市内線「市役所前」下車徒歩5分
- 参考サイト http://www.honokuni.or.jp/toyohashi/spot/000062.html
伝統の手筒花火と祭りの運営を支える「豊橋祇園祭奉賛会」
そんな豊橋祇園祭には、伝統のお祭りを裏から支える人たち「豊橋祇園祭奉賛会」が存在します。
今回は豊橋祇園祭奉賛会の酒井会長に、手筒花火の歴史についてお話を伺うことができました!
「奉賛会の役員を11年、今年2017年から会長をさせていただいてます。私は幼い頃から父親や花火の師匠の方から、常に手筒花火の歴史を教えてもらいました」
「いいですね。この地域の人は幼いころから花火を身近にして育っていく。東三河ならではの文化ですよね」
「はい。昔は手筒花火をあげるのは選ばれた人しかできませんでした。家族を代表して一家の大黒柱が『今年1年元気で暮らせますように』と厄除けに花火を上げていたんですよ」
「私は『花火がきれいだなー』と見ているだけでしたが、手筒花火にはそんな意味が込められているんですね」
「この資料にあるように、当時、一般人は大筒花火の周りで火の粉を浴びて身を清めていました」
「本当だ!民衆がよろこんで大筒花火の周りを囲んでいますね。現代だったら『危ないから近寄らない!』と怒られそう。そもそも、火薬取締法で花火をあげる人たち以外は近寄れないですもんね」
「そうですね。ちなみにその昔、ここ東三河地域は今川氏の時代から火薬を取り扱う重要な場所でした。今川義元の後は徳川と豊臣が治め吉田城の有名な城主は池田輝政がいます。どの時代も側近中の側近がこの地域を治めており、火薬作りの職人は手厚く保護されていたそうです。私たちは火薬作りの子孫です」
「大河ドラマで聞いたことある戦国武将たち!この地域はDNAに火薬作りが刻み込まれているんですね」
「火薬取締法ができるまでは町内の各所で火薬を作っていました。法律ができて一般人が火薬を扱えなくなってからできたのが『豊橋煙火株式会社』です。現在は、そちらでお祭りの前日に手筒花火の火薬込めを行います。」
「大切に受け継がれているこの地域ならではの花火!沢山の人に知ってもらいたいですね。今日は、貴重な話をありがとうございました!」
豊橋祇園祭奉賛会
女性があげる手筒花火!亀姫手筒隊
花火と言えば、男性のイメージが強いもの。
とはいえ、愛知県新城市では、女性を集めた「亀姫手筒隊」の手筒花火を見ることができるのです!
亀姫手筒隊は各地で男性にまざって手筒花火をあげている女性を集めた団体。
彼女たちの手筒花火は、「新城納涼花火大会」で見ることができます。
今回は特別に、手筒に火薬を込める作業を見学させていただきました!
手筒花火に火薬を込める作業は祭りの前日に「豊橋煙火株式会社」さんで行われます。
※「豊橋煙火株式会社」さんの工場は一般の人は立ち入ることはできません。
工場には大量の火薬が貯蔵されており、引火すれば大惨事になります。
そこにはお祭り前日の浮足立った雰囲気は一切なく、ピンと張り詰めた独特の空気がありました。
ベテランの方が火薬を手筒の中に入れ「込み棒」と言われる専用の棒で火薬を詰めていきます。
ゆっくり押すようにして火薬を固めていく作業、強すぎず弱すぎず丁寧に慎重に!火薬の込みにムラがあると、燃焼が不均一になってしまいます。手筒花火をあげたときの火柱の良し悪しはここが肝心なんだとか!
火薬を詰める作業が終ったら、新聞紙を詰めて蓋をします。
明日の花火大会が楽しみー!!
いよいよ本番! 新城納涼花火大会!
新城納涼花火大会で亀姫手筒隊がよく見えるスポットはグラウンド観覧席(有料1,000円)です。
グラウンド観覧席はブルーシートの広いスペース以外に、テーブルと椅子のあるファミリー席とカップル席もあり、そちらもおすすめです。
お祭りと言えば屋台!地元奥三河の食べ物が売られており、どれにしようか迷っちゃうな~。
徐々にお客さんが集まり花火大会の開始を待ちます。
新城納涼花火大会のオープニング! 亀姫手筒隊の手筒花火が始まりました!!
夜空にあがる火柱と降りしきる火の粉!
ほんの30秒程の出来事なのに、こんなにも長く感じられるのは大迫力の手筒花火ならではかもしれません。
こちらはヨウカン!
ビールジョッキくらいの大きさで手筒花火よりも小さいですが、一斉にあげられるヨウカンの火柱に圧巻の一言!
新城納涼花火大会はオープニングの亀姫手筒隊の手筒花火が終わると、打ち上げ花火が続きます!
新城市納涼花火大会
- 日時 毎年8月13日 午後7時10分~午後8時45分 (雨天順延)
- 会場 桜淵公園内(愛知県新城市庭野字八名井田2-1)
- アクセス JR飯田線「新城」駅または「東新町」駅から徒歩15分
- 参考サイト http://shinshirokankou.com/event/hanabi.html
ホンモノさながらの花火を体験(!)豊橋伝統VR手筒花火
「手筒花火やってみない?」と誘われて「チキンなのでご遠慮!!」と断った私ですが、手筒花火がバーチャルリアリティ(VR)で体験できると聞き行ってきました!
じゃん!
豊橋駅から徒歩6分のところにあるコワーキングスペーストライアルビレッジ(以下、トラビレ)です。
こちらは、トラビレオーナーの柴田さん「豊橋伝統VR手筒花火」の開発者の1人です。
豊橋伝統VR手筒花火はトラビレの利用者でアプリ開発をしているエンジニアの方たちから生まれたものだそう。当時は、VRの周辺機器がウン百万円、まだ一般人には普及をしていない時代でした。
「地元ならではのVRのコンテンツを作りたい。」
「豊橋といえば、手筒花火がある!」
そんな思いから生まれたのが豊橋伝統VR手筒花火なのです! しかも趣味の一環で!
さっそく豊橋伝統VR手筒花火を体験してみました!
実際に使用された手筒は火薬が入っていないとは言え、ずっしりと重たい!
ヘッドホンから火柱が上がる音と、ハネの爆発音で慣れてない私は「ぎゃー!」と大驚き! お祭りで遠くから見た手筒花火、ホンモノさながらの大迫力です。
この足の開き方は、本物の手筒花火だったら怪我をしているでしょうね!
こちらは両手のコントローラを使用するタイプ!VRの世界で自分の手が動きます。
「ぐーぱーぐーぱー、わー!動く!!」と感動しっぱなしでした。
VRは豊橋駅前のイルミネーション、吉田城、豊川河川敷など、数種類のシーンを選ぶことができます。
VRの世界があまりにもリアル!
こちらは、両手のコントローラーでVRの中にある手筒花火を持って体験します。
大人もこどもも楽しめる!お祭りには参加できないけど体験してみたい!
そんな方に豊橋伝統VR手筒花火はおすすめです!
VR手筒花火を体験してみたい!という方は、事前に電話で体験可能かお問い合わせすることをおすすめします。
最新のイベント情報はホームページまたはFacebookページからどうぞ。
コワーキングスペース トライアルビレッジ
- 住所:愛知県豊橋市広小路一丁目18ウェルプラザユメックス5F
- 電話番号:(0532)35-9666
- 参考サイト:http://trialvillage.net/
手筒花火のお土産はこれ!豊橋名物ヤマサちくわの「手筒竹輪」
こちらは、豊橋鉄道市内線(路面電車)札木駅から徒歩2分のとこにある「ヤマサちくわ株式会社」本店です!
豊橋名物と言えばヤマサちくわ!ちくわにかばぼこ、練り物製品と言えばヤマサちくわ!!お中元、お歳暮、豊橋土産もヤマサちくわ!
今回は、手筒花火に関連する商品を購入しに来ました!
じゃん!
今回、購入したのはこちらの「手筒竹輪」。
こちらは本物の縄を使い手筒花火の姿を小型に再現した特製パッケージに、たくさんのちくわを詰め合わせた人気セットです!本体価格は2,800円(税込み3,024円)です。
さっそく、中を開けて見てみましょう!
最初に出てきたのは、生姜豆、豆ちくわ…これ、おつまみにとーっても美味しいんです!!
続いて、帆立ちくわに白ちくわ…高級な竹輪どんどん出てきます!!
こんなにたくさんのちくわが入ってました!!
食べ終わった後は、インテリアとして自宅玄関に飾ることも。
こちらの手筒竹輪はヤマサちくわ株式会社さんの本店、市内各店舗、駅ビル内、駅前のほの国百貨店で購入することができますよ。
ヤマサちくわ株式会社 本店
- 営業時間 7:00〜20:00
- 電話番号 (0532)53-2211
- 住所 〒440-0894 愛知県豊橋市魚町97
- 参考サイト https://yamasa.chikuwa.co.jp/
さいごに
夏になると日本全国どこでも打ち上げ花火を見ることができますが、愛知県の東三河地域には他では味わえない伝統「手筒花火」を体感することができます。
その地域のお祭りや歴史にふれると、いつもの旅行が少し特別な時間になりませんか?
写真には納まりきらない手筒花火の迫力を、是非来年その目でご覧ください!(今年はもう開催していないので……)
手筒花火を実際に見に行きたい!という方はこちらのサイトを参考にしてください!
豊橋観光コンベンション協会 ええじゃないか豊橋
豊橋祇園祭奉賛会
新城市観光協会
東栄町観光まちづくり協会 東栄町のじかん設楽町観光協会
豊川市観光協会
蒲郡市観光協会
田原市観光ガイド 渥美半島観光ビューロー
岡崎市観光協会