「星空」で村おこし!長野県阿智村のナイトツアーが完全にイケてる件

この阿智村は「日本一の星空が見られる村」として村おこしをしており、ナイトツアーではゴンドラを利用して標高1,400mにまで登って星空を見る事が出来るのだ。 他にも大塚愛さんなどのアーティストを呼んだライブツアーを行うなどして村の観光客数が急上昇! 「村おこしの成功事例」としてテレビ雑誌など様々なメディアで取り上げられたりもしている。

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こんにちは。ヨッピーです。運転中に失礼します。
本日はとあるものを見るために車を走らせて長野県に向かっております。
そのとあるものとは……、

これだーーーーーーーーーーーー!

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この満点の星空!なんぞ~~~~~!

そう、本日はこの星空を見るために、長野県の阿智村に向かいたいと思います!

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スターヴィレッジ阿智公式サイト
http://sva.jp/

この阿智村は「日本一の星空が見られる村」として村おこしをしており、ナイトツアーではゴンドラを利用して標高1,400mにまで登って星空を見る事が出来るのだ。
他にも大塚愛さんなどのアーティストを呼んだライブツアーを行うなどして村の観光客数が急上昇!
村おこしの成功事例」としてテレビ雑誌など様々なメディアで取り上げられたりもしている。

日本一地味な村、阿智村に人が殺到するワケ 長野県の温泉地はこうして蘇った! | 東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/112755
ちなみに都内からだと片道3時間半くらい!(名古屋からだと1時間半で行ける)

早速阿智村へ

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DSC06541_R そんなわけで到着した僕を迎えてくれたのが、
阿智 昼神観光局の企画戦略部長の松下さんです!

 

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「いやー、阿智村には前から来てみたかったんですよ!」
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「ありがとうございます!」
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「なんていうか、阿智村の村おこしのやり方を見てて、『めっちゃ頭良いな』って思ったんですよ。阿智村は星空日本一、とは言え、正直言って『星が綺麗な田舎』くらいなら日本中にあるわけじゃないですか。でも、その中で元々あるゴンドラを使って山の上に連れて行って、それで電気を消しちゃうっていう見せ方で差別化が出来るし、もともとあるものを利用するわけだからコストもそこまでかからないですよね?」
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「そうなんですよ。平成18年に『日本で一番星が綺麗な村』っていうお墨付きを環境省から頂いたので、これを村の財産として活用する事を考えまして。じゃあ天文台を作ろうか、みたな話が出たんですが、『なんか違うな』って。村おこしのために箱ものを作って、それが5年10年すると使われなくなる、みたいな事例っていくらでもあるじゃないですか」
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「松下さん」

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「死ぬほどあると思いますよ……!」
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「ですよね。そういう過ちを繰り返したくないな、と思う一方で、『星が日本一綺麗な村です!』って売り出すだけだと、村にお金が落ちないんですよ。車でやってきて『わー確かに星がキレイだなー。じゃあ帰るか』って素通りされちゃう。でも本来、プラネタリウムのように『星を見るためにお金を払う人』っていうのは存在するはずなんですよ。しかもこっちは天然のプラネタリウムですから付加価値は絶対ある、と。そしたらラッキーなことに村には1400mまで登るゴンドラがありますから、そのゴンドラの料金を頂くことで『よし!これでお金を取れる!』って」
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「いやー、賢いなー。しかも新しくゴンドラを作ったわけじゃないですもんね」
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「そうなんです。村にもともとあるそのゴンドラで、山の上の方に行って電気を全部消して、それで30分間、解説を聞きながら星を眺めるっていう、言わば天然のプラネタリウム体験を提供するんですよ。それによって村にお金が落ちる、と」
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「最終的には移住促進とかそういうのを狙ってるんですか?」
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「そうですね。最終的な目標は阿智村の地域活性です。阿智村は人口が6,500人しか居ませんし、『消滅可能性都市』っていうリストの上位に入ってたような村なんですね。この村を存続させるためにはどうにかして人口を増やさなきゃいけないし、そのためには若い人に来て頂く必要があるんですよ。でもね、一口に『田舎に移住』って言っても大きな障壁があるんですが、なんだと思います?」
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「まあ、雇用ですよね」
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「そうなんです。その地域に仕事が無いともう本当にどうしようもないんですよ。だから、観光客を集めるだけじゃなくて、ちゃんと地域に経済効果のある施策を打つ必要があるんですね。実際、このナイトツアーを立ち上げたらゴンドラや駐車場の管理をする人とか解説をする人とか、山上の売店とかお土産物屋さんとか、そういった所に雇用が生まれますから、それによって初めて『移住』が現実的なものになるんです。実際、このナイトツアーを初めてから、ずーーっと減り続けていた村の人口が初めて増えたんですよ
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「いやー、おっしゃる通りすぎるなぁ。移住促進とかけっこう流行ってますけど、『田舎でのんびり暮らそう!』みたいなキャンペーン打った所で、現地に仕事が無いとどうしようもないもんなぁ」
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「そうなんですよ。特に若い世代の方は仕事がないと本当にどうしようもないですからね」
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「松下さん」
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「どうしました?」
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「申し訳ないですが早速星空を見に行きませんか。おっさん二人がしゃべってるだけだと絵ヅラが地味すぎるので
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「大変申し訳ございません」

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そんなわけでやってきたナイトツアーの出発点である「ヘブンスそのはら」
ナイトツアーの参加料金は大人2,200円、小中学生は1,000円!

 

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そんなヘブンスそのはらのレストランでは、こんな感じで宇宙船に見立てた店内でプロジェクションマッピングを見る事も出来る。

 

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名物の「星降る森のカレー」うまい。

 

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いよいよゴンドラに乗り込みます!

 

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「ゴンドラに乗りながらで恐縮ですが、今日も参加者めっちゃいますし、すごく順調だな、っていう感じなのですが、苦労した事とかあります?」
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「ナイトツアーをスタートさせてから10日間くらいは1日に5人とか10人っていう参加者しかいなかったので焦りましたよ。流石にその人数でゴンドラ動かして、ってやると赤字も良いところですからね。予算も少ないから広告も打てないしHPも作れないし。でも、その頃はTwitterなんかが流行り始めた頃で、口コミでジワジワと広がっていったんですよね」
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「ほうほう。他に苦労した事とかあります?」
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「まずね、村の人達の危機感の無さですね。阿智村は昼神温泉っていう温泉地から近いんですが、その昼神温泉は名古屋方面からのお客さんで今でもけっこう賑わってるんですよ。観光客数はジワジワとゆっくり減っているんですが、今日明日潰れるかも、みたいな話ではないだけにあんまりみんな危機感持ってないんですよね。だから『まだ体力があるうちに危機感を持ってやらないと全部手遅れになるよ』っていう話をご理解頂くのは大変でしたね」
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「確かに。バタバタ潰れだしてから何かしようと思っても遅いですもんね」
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「そうそう。あとはスピード感の遅さもあります。こんな事言うと『えらそうになんだ!』って怒られるかも知れませんが……。根回し文化と言いますか、新しい事をやろうとした時に『100パーセント大丈夫!』っていう状態にならないとプロジェクトがなかなか動かないんですよ。『失敗したらどうするんだ』って。反対する人が1人でも居るとそれだけでプロジェクトが頓挫しちゃうっていう。ゴンドラを動かすのも、山の上で電気を消すから周囲が本当に真っ暗になるんですね。そしたら『そんなに暗い山の上で遭難者が出たらどうするんだ!』とかね。結局はゴンドラの上りと下りで人数をカウントしてく事でそういう人が出ないように対処する事になったんですが。そういう色んなご意見をまとめて行くのは結構大変です」
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「なるへそ。全体的に村のコンセンサスを取るのが大変だった、って感じなんですね」
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「そうです。やはり、何より村の人が一致団結して『やるぞ!』っていう気になって頂かないと物事は動かないので。だから元宇宙飛行士の毛利さんを村に呼んで、お客さんに向けて、というよりは村の人に向けて『これからは星の村で売り出すぞ!』って啓蒙して頂いたり、先に新聞に大々的に発表して村の人にプレッシャーかけたりしました(笑)」
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「ちなみに、苦労した事、の話でついでに聞きたいんですけど、なんか、阿智村みたいに地域活性の成功事例みたいなのが出ると全国から『視察』と称して政治家とかコンサルとかえらい人達が大挙してやって来るからその対処をするのが大変、みたいな話をネットで見たんですが、それって本当なんですか?」
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「はい。本当ですね。多い時だと月に15回くらい来ますね。もちろんありがたい話ではあるのですが、その対処に追われて本業がおろそかになると本末転倒なのである程度はコントロールしながら受け入れるようにしています。ただ、他の自治体のえらい人達が『視察費用』みたいなので来るんですが、『視察というよりただの慰安旅行じゃないの?」みたいな人達も中にはいるんですよね。全然関係ない肩書の人や、こっちが用意した資料も全然見てない人とか……」
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「なるほど。そんな連中は殺しましょう」
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「殺すのはさすがにまずいんですが、けっこう細かい条件を指定して受け入れて頂いた所だけを受け入れるようにしています。取材依頼もおかげさまたくさん頂くのですが、お盆のピークの取材はお断りさせて頂いたんですよ。一日あたりのキャパもあるので、テレビに取り上げて頂いてお客さんが増え、その結果待ち時間がべらぼうに長くなって満足度が下がったら意味が無いですからね。だから今はお客さんの数を増やすよりどうやったら満足度を上げられるか、を考えています」

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真っ暗な中をゴンドラが進む。

 

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「真っ暗なゴンドラに乗るのって人生初の体験や……!ちなみに、講演して欲しいとか教えて欲しい、とかもありますか?」
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「ありますよ。ありますが、相手の所に行く、というのはよっぽどじゃない限りお断りしてますね。わずかな謝礼金の為にこちらが苦労して得たノウハウを共有するのも変ですし。『話を聞きたいのであればこの村に来て、まずは見て下さい』ってスタンスを取っています。大学生なんかが本気で地域活性の勉強をしたいのなら全然ウェルカムなんですけど」

ちなみにこのナイトツアー、今でこそ立派なHPもチラシもあるし、大手旅行代理店と組んだツアーや、星空の下で大塚愛のコンサートをするなど各種イベントも展開中だが、間にコンサルや広告代理店は一切入っておらず、全て自分達の手で企画、運営をしているらしい。

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「いやー、これだけイベントやったり企画立てたりっていう中に広告屋さんが入ってないっていうのはすごいですね……」
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「そうですね。それはビックリされますね。アーティストの出演交渉なんかも全部自分達でやるんですよ。やっぱりね、自分達で考えてやるからこそ責任も明確だし頑張れるのかな、って。お金だけ出してあとは広告代理店任せ、だと、失敗したら代理店さんのせいにしちゃうじゃないですか。もちろん第三者の意見を聞くのは物凄く大切な事ですが、最後はやっぱり自分達でやるべきだと思ってます」
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「うーむ、全体的に立派すぎるな……」

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15分ほど揺られて到着したのがこちらの山上ステージ。
星空の撮影のためか、ゴツいカメラや三脚を抱えたガチ勢もたくさん居る。

今は明るくライトアップされていますが、カウントダウンと共に全て消灯するそうです!
ヒュー!楽しみ!そんなわけでカウントダウン行ってみましょー!

 

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※同行したmansooonさんの良いカメラで撮影

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「なんぞーーーー!なんぞこれはーーーーー!」
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「今日は新月の日なので、星が綺麗に見えるんですよね。満月だと月の光に負けてしまうんですよ。雲が少しかかってるのが残念ですが……」

 

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ちなみに消灯時間は30分!
その間は係のお姉さんがレーザーポインターを駆使して星座の解説などをしてくれる。
まさに天然のプラネタリウムやーーー!

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ちなみに僕が持ってきたSONYの5万円くらいのミラーレスカメラでもこれくらいは綺麗に撮れる!

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「これはすごいな……。オッサンと一緒じゃなかったらもっと良かったのに……」
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「それはお互いさまですよ。でも実際カップルの人達にも人気で、プロポーズの場所として使われる事も多いんです。だから『星の婚姻届』っていうのを作って、阿智村の役場に婚姻届を提出出来るようにしました」
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「今後はどうしようと思ってるんですか?」
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「まだまだ『成功した』と言えるような段階ではないんですよね。お客さんには来て頂けるようにはなりましたけど、さっきも言った通りあまり急激に増やして満足度を下げたくはないし、いかんせん星空なので雨の日どうするとか冬の間はどうするとか課題はたくさんあるので。今は国内需要ばかりですが、インバウンドの観光客にも来ていただけるようになって、最終的に『星の綺麗な村』で世界遺産になれたら最高ですね……」
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「世界遺産ときたか……!スケールでかいな……!まあこの星空見てすごしてたらスケールもデカくなるわ……!」

 

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さあ、そんなわけで最高の星空を提供してくれる阿智村のナイトツアー、年内は10月15日までの運行となります!
カップルなんかで行くと最高だと思います!

詳細はこちらの公式HPをどうぞ!

スタービレッジ阿智 公式サイト
http://sva.jp/

 

 

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ちなみに、阿智村に行くのであれば、昼神温泉という温泉地が近いのでそこで宿を取って一泊すると良いと思います!
僕も温泉でゆっくりしたかったわ……!(スケジュールの関係で弾丸日帰りツアーで行きました)