沖縄の日常に溶け込む宿「HACOBUNE Resort Okinawa」の魅力

新型コロナウイルスの影響は南国の沖縄にも広がっています。

普段は観光客で賑わう那覇の国際通りからは人が消え、イベントは中止か延期。世間は自粛ムードです。飲食店や観光に関わる業種で廃業や休業に至ったお店も……。

これからの春、沖縄は個人的にベストシーズンだと思っています。気温が上がっても暑すぎず、スギ花粉を避けられて、海の透明度も上がってくる。沖縄へ訪れやすい時期に今回の事態は辛すぎる……。

実際に沖縄のゲストハウス「HACOBUNE Resort Okinawa（ハコブネ リゾート オキナワ）」さんは営業に大打撃を受けているといいます。

共同経営者の松村理恵さんは現状を乗り越えるために、SPOTの「新型コロナウイルスの現状を取材する企画」に応募。観光業が抱える現実的な新型コロナウイルスの影響とゲストハウスの魅力をお伝えするため、沖縄県在住ライターの蓮池ヒロ（@hiro_hasuike）がお話を伺ってきました。（取材日：2020年3月10日）

不安なニュースが続きますが、新型コロナウイルスを乗り越えようとするHACOBUNE Resort Okinawaさんのお話を伝えて、ポジティブな連鎖を生み出せれば幸いです！

古き良き沖縄の暮らしが待っている「HACOBUNE Resort Okinawa」

沖縄本島の中部エリア・恩納村にあるHACOBUNE Resort Okinawaへ。家を丸ごと貸し出す「一棟貸し」スタイルで、3種類のゲストハウスを提供しています。

恩納村といえば、沖縄屈指のリゾートエリアです。高級ホテルや宿泊者専用ビーチが並ぶ、煌びやかな観光地。沖縄に住んでいると、あまり訪れないエリアかもしれません。

しかしHACOBUNE Resort Okinawaの周辺は素朴で観光地化されていない、古き良き沖縄の暮らしが広がっていました。

取材日はあいにくの天気でしたが、晴れの日の海は抜群の透明度です。SUPやシュノーケリングに毎日のように出掛ける方もいるんだとか。

ゲストハウス前の海は遠浅で、子どもやペットと遊んでも安心。観光地ではないため地元の方やゲストが遊ぶような、まったりした海です。

松村さんや周辺のお店の方も優しく、土地への愛が伝わってくる。なんだかとっても馴染みやすい土地です。早速このエリアが好きになってきました！

距離感を尊重する緩いコミュニティと暮らしの拠点となる宿

HACOBUNE Resort Okinawaは「暮らすように泊まる」がテーマのゲストハウス。一棟貸しで宿泊者が自由なスタイルで過ごせます。旅行者は沖縄に移住したような気分に。

蓮池
先ほど着いて驚いたのですが、この辺りは静かで昔ながらの沖縄っぽい場所ですね。

松村さん
もう本当に静かで、ゲストにも「静かすぎて寝過ごしたよ！」って言っていただけます（笑）。海の目の前だし、美味しいレストランもマリンアクティビティもある。近隣の自営業者で集まって話すこともあるんですよ。

蓮池
ご近所同士で仲が良いんですね。

松村さん
たまたま自営業者が集まっているエリアなので、緩いコミュニティになっています。お互いが知り合いなので、困ったときに相談したり、ゲストを紹介したり。全く知らないお店をゲストに紹介するのって怖いんですよね。ゲストの送迎もしてもらうこともあって、いつも助けられています。

蓮池
地域のコミュニティって、距離感が難しそうなイメージがあります。

松村さん
お互いを監視するようなカッチリしたコミュニティではないですよ。適度に付かず離れず緩く楽しくやっています。うちもゲストの過ごし方を尊重してますから、安心して遊びに来てください（笑）。

蓮池
距離感が尊重されるゲストハウスなんですね。

松村さん
一棟丸々貸せるし、自由度が高いのがうちの売りなんです。基本は密なコミュニケーションを心掛けていますが、ホストとの距離感はゲストに任せています。

蓮池
たしかに、ホストの方との距離感が難しい時ってあります

松村さん
ゲストだけでスローライフを楽しむ場合もあるし、みっちりお付き合いをすることもあります。それぞれの距離感でこの地域を好きになってくれたら嬉しいですね。

蓮池
ゲストからすると、凄くありがたいスタイルです。

松村さん
ゲストが新しい拠点を探す気持ちで来てくれればなと。沖縄で友達というか知り合いができる感じ。普段は都心に住んでいても、沖縄のような旅先に知り合いがいるっていうのは、生きやすさに繋がるんじゃないかと思うんです。

蓮池
なぜ生きやすさに繋がるのでしょう？

松村さん
住む場所以外に知り合いがいると、いつでも帰る場所ができるんですよね。生活で嫌なことがあっても、遊びに行ける場所。それは安心感に繋がって一人ぼっちでないと思えるというか。人生のクオリティが上がると思います。

キッチン付きの一棟貸しスタイル。「HACOBUNE Resort Okinawa」3種類の部屋

HACOBUNE Resort Okinawaは一棟貸しタイプの部屋（家）が3種類用意されています。那覇空港からのアクセスは車で約1時間。

バスでアクセスされる場合、バス停から部屋までの送迎をしてくださるそうです。

ペットと一緒に穏やかな暮らしを体験「HACOBUNE TINY HOUSE」

室内まで制限なく、ペットを自由に遊ばせられる部屋です。敷地をぐるり囲む塀があるので、安心して愛犬を庭で遊ばせることができます。

キッチンが付いているので、旅先でご飯を作りたい方にもおすすめ。地元スーパーで沖縄の食材を買って料理を作る体験は、一棟貸しのゲストハウスならでは体験です。近くにオーガニックショップもあるので、様々な食生活のスタイルにも適応できます。

もともとは釣り小屋だった物件。海で泳いですぐに家に入れるような動線になっています。理想的な「海の近くの暮らし」が体験できそうですね。

大きなバスルーム、猫足のバスタブが人気だとか。

海外の方に「全然タイニーハウス（小さな家）じゃないよ！」と言われるとのこと。確かに広い。バナナや様々な果樹があって南国感がすごいです。

庭で収穫したバナナは息子さんの手によりバナナケーキへ。ゲストから大好評だそうです。

HACOBUNE TINY HOUSEは特にリピーターが多いらしく、ペット連れの方や女性の一人旅でも安心して泊まれる工夫がされています。BBQスペースやベンチなど、庭でゆったり過ごせる工夫も。

家族向けのゆったり空間「HACOBUNE FAMILY TYPE」

和室とベビーベッド完備で家族に嬉しい部屋です。白を基調とした室内で清潔感抜群。
これで海の近くだなんて……。

広々キッチンにはハイチェアや子ども用食器があり、至れり尽くせり。
外にはハンモックやバーベキュースペース付き。むしろずっと住みたい。

ゆとりのあるキッチンスペース。この家もフルリノベ。 キッズスペースも庭のパーゴラモDIYで製作。

2階建てのアメリカンハウス「HACOBUNE KIDS RESORT」

大人数の家族に対応できる3LDKの2階建てアメリカンハウスを丸々貸ししている部屋。他の2つのゲストハウスとは少し離れた場所ですが、同じく素朴な沖縄を体感できる場所です。

絵本やおもちゃ、秘密基地などの子どもが喜ぶ仕掛けがたくさん。大人数の家族でも安心して滞在できますね。

「正直、廃業も考えた」新型コロナウイルスの影響で利用客ゼロの日々

蓮池
実際、新型コロナウイルスの影響はどのくらいあったんでしょうか？

松村さん
最近は予約と利用ともに完全にゼロです。うちはAirbnb経由でも予約を承っていて、インバウンドの海外のゲストも多かったので、キャンセルに次ぐキャンセルです。

蓮池
キャンセルは深刻な問題ですね。

松村さん
数週間前にシンガポールからのゲストはギリギリ来てくださったんですけど……先の予約が入れば少しは安心できますが、キャンセルの不安は常にありますね。経済的にも精神的にもキツい状況が続いています。

蓮池
被害は甚大ですね……以前からインバウンドに力を入れていたんでしょうか？

松村さん
はい、9割ぐらいがインバウンドでした。ホテルではできない体験を求めて来られる方が多かったんです。一棟貸しで自由度が高いところが良かったみたいですね。ですが、今は出入国の制限がある国もありますし、ゲスト側も予約するリスクは高いですからね。うーん、厳しい。

蓮池
東京オリンピック目前で、インバウンドに力を入れていた観光業も多そうですよね。

松村さん
うちは東京オリンピックに向けた施策は積極的にしていなかったので、その点は幸いでした。ただし昨年からの香港の情勢悪化で前年度の7割減ぐらいインバウンドは落ちていたんです。

蓮池
7割減からの今回ですか。香港のゲストが多かったんですね。

松村さん
そうなんです。香港、韓国、台湾のゲストがメインでしたから。その状態から戻るかなってところで今回です。国内のゲストも今は自粛ムードや飛行機自体への不安もあってゼロが続いています。

蓮池
正直、ゲストハウスを閉めることも考えたのでしょうか？

松村さん
そうですね、廃業も考えましたよ。実際今も閉じているようなものですから（笑）。でも私たちは物件をDIYで作ってきたし、この地域で長く経営を続けていきたい強い想いがあります。もちろん経済的にはめっちゃ苦しいですけど、閉じたくないですね。政府の救済措置や融資も進めています。

蓮池
強い想いがあるからこそ、続けていくわけですね。

松村さん
もう必死です。そして同業者の方にお伝えしたいのは、怖がらずに銀行に行くことです。経営不振のときに誤魔化すことは一番良くないですから。こういう時は案外親身になってくれますよ。

蓮池
頼るところは全て頼ることが新型コロナウイルスへの対策かもしれませんね。

松村
はい。正直、1年ぐらい……いや、2年ぐらいの時間は回復まで掛かるんじゃないかなと思ってます。

蓮池
2年ですか！

松村さん
でも非常事態だからこそ、今までできなかったことをする機会でもあります。今は割り切って家のメンテナンスや情報発信の部分に力を入れていますね。今回もその流れで「助けてー！」と声を挙げさせてもらいました。

「テレワーク推進に協力したい」新しい働き方の実践先として期待

蓮池
素敵な部屋ばかりで、ずっと住みたい気持ちです。今後はどのような方たちに来ていただきたいですか？

松村さん
旅先で現地の暮らしを体験したい方たちにはぴったりだと思います。あとは海の近くなので、例えばテレワークで仕事をしながら、息抜きにマリンアクティビティを楽しむ生活も体験できます。最近はテレワークの導入が推進されていると聞きますので、実践先として選んでいただけたら嬉しいですね。

蓮池
ゆったりしたこの地域に来れば、アイデアも生まれそうですね。

松村さん
部屋に篭って仕事を進めて、たまに息抜きをして淡々と仕事と観光をする方法もあるし、コミュニティと交流してアイデアのタネを作ることもできますからね。自営業者としてこの地域で商売をしている方たちなので、何かお役に立てるかもしれません。

蓮池
今の時期は花粉症持ちのノマドワーカーにも良いかもしれませんね。

松村さん
そうですね。週単位や月単位の長期滞在にも対応しているので、フリーランスの方などは一度どっしり滞在して暮らしてみても良いかもしれませんね。私たちもできるだけサポートはさせていただきますし。もちろん一泊から大歓迎です。

蓮池
沖縄の気候、アクティビティ、手厚いサポート、緩いコミュニティ、HACOBUNE Resort Okinawaの周りには魅力がたくさん揃っていますね。

松村さん
ありがとうございます（笑）。今は不安ばかりで、予測できないことばかりです。でも今回こういう事態が起きたってことは、きっと新しい何かを始めるチャンスなんじゃないかと。私は必ず来年も何か起きるぐらいに思っていて。この地域で長く経営を続けていくためにも、ピンチはチャンスと明るく受け止めてます（笑）。

「HACOBUNE Resort Okinawa」の予約方法

3種類の部屋を提供しているHACOBUNE Resort Okinawa。お一人、友人、ペット連れの方には、HACOBUNE TINY HOUSEが人気です。ご家族には広々使えるHACOBUNE FAMILY TYPEとHACOBUNE KIDS RESORTをおすすめします。

各ゲストハウスのご予約やお問い合わせは公式サイトより可能です。

>ご予約はこちら

取材後に松村さんより「今度バーベキューやるので、良かったら来てください！」と誘っていただきました。

松村さんやコミュニティの皆さんは常に自然体で、初めましての関係性でもその場に馴染みやすいようにしてくださる方たち。HACOBUNE Resort Okinawaは海辺の素敵な隠れ家という魅力だけではなく、緩い人の繋がりも得られるゲストハウスでした。

もう、それはそれは居心地が良い空間です！

だからこそ、現状が歯がゆい状態だと個人的には思います。

苦しい状況のなか、笑顔で取材に協力いただいた松村さん。何より現在の状況でも「この地域で長く経営を続けること」に対する強い意思を感じて、同じ自営業者としてポジティブなエネルギーを貰いました。

新型コロナウイルスの沖縄の観光業への影響は甚大です。それでも前向きに進んでいく松村さんのお話がポジティブな連鎖を生むきっかけになれば、また沖縄のHACOBUNE Resort Okinawaに興味を抱いていただければ嬉しいです。

 

【HACOBUNE Resort Okinawa】

住所：沖縄県国頭郡恩納村真栄田3359（HACOBUNE TINY HOUSE）
公式サイト：https://www.hacobune.okinawa/
予約フォーム：https://www.hacobune.okinawa/apartments-and-suites
Instagram：@hacobune_okinawa