【小樽観光といえばこれ】元人力車夫がオススメする小樽観光の魅力
北海道、小樽の観光のモデルコースです。小樽と、余市など小樽周辺の観光地、おすすめグルメのスポットをご紹介。ニッカウヰスキー蒸留所や絶品のウニ。旧・日本郵船や北海製罐工場など歴史的スポットもご案内。元人力車夫がオススメするプランをご案内!
「おっ、風邪かい?」
深夜2時のホテル、受付のおじさんが客である僕の体調をタメ口で心配してくれる。
(あぁ……これだよ、これ。東京にはない優しさ……!)
僕は北海道の遠軽という町で生まれた。
生後すぐに横浜へ引越すのだが、大学ではまた北海道へ戻り、時給630円の映画館の受付バイトをしたり、6時間50円のレンタルDVDで映画をたくさん観たりする生活を送っていた。
そして約5年前、僕は就職で東京へやってきたのだが、今回ひさびさに大学時代の友人と札幌旅行をしようということになり、札幌駅近くにあるホテルの受付にいま立っている。
(やっぱり北海道は寒いから風邪でもひいたかな。明日は朝一でニッカウヰスキーの蒸留所をみて、予約しているウニ丼を食べて、旨い飯と酒を存分に楽しみたいから、今日はもうすぐに寝よう)
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これは僕が旅した札幌・小樽の備忘録である。
目次
ワンマン電車に揺られて。
あらためて、こんにちは。 “僕” こと、ナッツ(@nuts612)と申します。
もう小説っぽい感じは続けられるテンションじゃなかったので、ここからは普通の “僕” になることをまずはじめにお許し下さい。
さて、いま僕は北海道の余市という場所に来ております。
冒頭で述べたように、学生時代に僕は映画館でアルバイトをしていたのですが、それ以外にも小樽という街で、人力車夫として観光ガイドをしていました。
何百人という数の観光客のみなさまに小樽の見どころをお伝えしていたのですが、お話を聞いていると、ガイドブックに載っている有名どころだけを巡って終わり、という方々がたくさん……!
札幌と小樽は電車で32分の距離。山手線でいえば、池袋〜品川くらいの移動イメージなので、「ついでに小樽も行ってみるか」という感覚なのでしょうが、せっかくの北海道旅行、そんなんじゃもったいない!!
そこで今回は、札幌観光にいらした皆さまがより良い旅をお楽しみいただけるよう、たった1日でまわれる、元人力車夫オススメの小樽・余市の “素敵な歩き方” をご紹介いたします!
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【午前10:07】余市にあるニッカウヰスキー蒸留所へ
ということで、まずやってきたのが余市。なぜ余市かというと……こちら!
余市は朝ドラ『マッサン』でも話題になった、ニッカウヰスキーの蒸留所がある場所なのです。
小樽からだと電車で20分ちょっと。札幌観光に来られた方も、「今日は小樽に行こうか」という日には、もうひとつ先の余市まで来てみてください。
そして余市駅から歩くこと4~5分。
ニッカウヰスキーの余市蒸留所に到着。
髪の毛刈り上げすぎて、頭が寒い。
いやぁ、蒸留所巡りなんてなかなかできませんよ。しかもWWA(ワールドウィスキーアワード)3年連続で世界最高賞を受賞している「竹鶴17年ピュアモルト」。そんな世界的なウィスキーを世に送り出しているのがニッカですから、こちらの余市蒸留所は一見の価値あり。
なお、事前予約で蒸留所のガイドツアー(無料)に参加することができます。
ツアーでははじめにウィスキーができるまでの過程を素敵なお姉さんが説明してくれ、その後に各設備を歩きながらガイドしてくれるので、ウィスキーの製造過程がよく分からない方でもご安心を。
こちらがニッカウヰスキーの蒸留棟。
余市蒸留所では石炭を入れて加熱し蒸留させるのですが、石炭直火焼きは世界でも余市だけなんですって。直火により重厚で香ばしい仕上がりになる、ってガイドさんが言ってました。
ちなみに、ウィスキーってつくり始めてから5年は樽に寝かせないといけないため、売上がないんですよね。
そこで創業者の竹鶴氏が始めたのがリンゴビジネス。ジュースをつくったり、ジャムをつくったりしていました。会社名も「大日本果汁株式会社」になったのですが、 ”ニッカ” の由来は 日本の”ニッ” と果汁の “カ” をとって “ニッカ” になったそう。
そして5年の歳月を経て、ようやく作られたのがこちらの第一号ウィスキー。
少し減っているのは、蒸発しちゃったんですね。ウィスキーというものは樽で熟成させているときも樽から蒸発してしまうため、蒸発して飛んでいくウィスキーを「エンジェルシェア」と呼ぶそうです。
今度失くしモノしたときも、「エンジェルシェア」と思えば気がラクになりかも。
そして、ガイドの最後にはなんと!
ウィスキーの試飲タイムー! これ、これ! やっぱり蒸留所のお楽しみといえば、試飲ですね! こちら余市蒸留所での無料試飲では、竹鶴、スーパーニッカ、アップルワインの三種類を試すことができます。
無料でガイドしてもらって、無料でウィスキー飲めるとか、最高でしょ。
余市蒸留所では他にもマッサンと妻のリタが住んでいた家や、資料館、そして余市蒸留所限定のウィスキーを販売していたりと見どころ満載。
創業者の竹鶴はスコットランドと気候が似ている余市を蒸留所に選んだそうですが、ニッカウヰスキー誕生の土地なんだと思うと、感慨深いですなぁ。NHK朝ドラ『マッサン』をご覧になっていた方、ウィスキー大好きな方はマジでオススメ。
ニッカウヰスキー 余市蒸溜所
住所:北海道余市郡余市町黒川町7丁目7−6
公式サイト:http://www.nikka.com/guide/yoichi/map/map01.html
【14:10】そうだよね、ウニの話だよね……お待たせしました!
ニッカウヰスキー蒸留所でゆっくりしすぎてしまいました。気づけばお昼どき。
余市をあとにして、小樽にある料亭「総本家 日野」に向かいましょう。
「すいません、予約してた永田(本名)ですけど……」
「あっ、いらっしゃい! こちらへどうぞ」
ドドーンッ!!!
案内される部屋は、見渡すかぎり骨董品の数々。
こちら「総本家 日野」はいま完全予約制となっており、芸能人の御用達のお店。
旅先のグルメって意外と直前まで決まっていなかったりして、「どうしよ、どうしよ」みたいになりませんか? たまには事前に予約して、こういった雰囲気のところでお食事というのもいいですよね。
「これ、サービスだから」
そう言って店主が出してくれたのが、カニをふんだんに使った蟹鍋!
カニ味噌たっぷり、カニの身もたっぷり入ったこの鍋が「サービス=無料」!
やったー!*(^o^)/*
冬の北海道、外の気温はもちろん氷点下。
冷えたカラダをまず暖めてくれる最高のおもてなしです……。
「はい、こちらもお待たせ」
そして、ついにきました……。これを食わずして北海道は語れない!!
超希少、エゾバフンウニをふんだんに乗せた伝説のウニ丼!!!
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うおぉぉぉーーーー!!!!
ウニがぁぁぁ!!!!!!
溢れんばかりのウニが、つやつやに輝くウニが登場しましたぁぁぁ!!!!!!
しかも、こちらただのウニではありません。「ウニの王様」に君臨するエゾバフンウニ!
よく目にするウニはムラサキウニと呼ばれる種。
もちろんムラサキウニも美味しいのですが、エゾバフンウニは濃厚で甘みがあり、身が赤いことから「赤ウニ」とも呼ばれる種類。
漁獲量が少なく、とても希少なウニなんです。
さらにさらに、ウニは雑食のため、なんでも食べるんですよね。船が沈んでたら、船の鉄分を食べてしまうほど。
そんなウニの中でも北海道の利尻昆布などの美味しい昆布を食べて育ったエゾバフンウニは、そりゃあ絶品に違いないでしょ。
しかも北海道は海に囲まれているので、ほぼ全シーズンでウニを食べることができます。
つまり、いつきても捕れたてのエゾバフンウニが食べられるというわけ!
北海道以外でエゾバフンウニを食べようとすると輸送費やらなんやらで原価がめちゃくちゃ高くなるので、普通に食べられませんよ。それが北海道なら!
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店主「うちは時価でやらせてもらっててね」
僕「今日のこれだと、いくらくらいですかね?」(小声)
店主「今日はこれ5500円でいいよ」
5500円!!!
高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれかと思いますが、先に言います。これは、5500円払う価値は十分にあり。
だってね。
最高にウマいんだから……!
脳内エクスタシー、もはや昇天。
なにこれ、口の中がもう無重力というか、ウニの旨みが口の中全体に広がって、とろけて、もう僕の頭の中までぐにゃぐにゃ……。
溢れんばかりのウニを口の中にほおばる、これほど最高なことはありませんよね。しかも、東京のお寿司屋さんにいったら一貫でも相当なお値段じゃないですか。それをほら、こんな量を一度にですよ?!
もう、プリンのお風呂に入りたいレベルで贅沢な話。だって口の中、濃厚な甘みのあるウニたちで満たされるんですよ?
幸せに決まってるし、マジで幸せです。
これは、絶対食べるべき。絶対北海道きたら、エゾバフンウニ食べていくべき。
僕「店主、記事を読んでくれている人に、何か言いたいことあります?」
店主「海鮮丼を発明したの俺だから。テレビももう300回くらいは出てるかな」
なんか、店主はすごい人だったらしい。
至れり尽くせりのサービスで、この日は気づいたら2時間以上いちゃいました。というか1時間半くらいは店主がずっとしゃべってた。こういうのが、北海道の良さなんだよね。
エゾバフンウニ丼を食べてみたい!という方、なかなかどこで食べられるのか分かりませんよね? しかもどこがオススメかも分かりづらかったり。僕は声を大にして言いたい。エゾバフンウニを食べるなら、小樽の「総本家 日野」へ!
完全予約制なので、予約も忘れずに!(蟹鍋のサービスは必ずつくものではありませんので、ご留意を)
割烹料亭 総本家 日野
住所:北海道小樽市末広町13−34
【16:20】小樽運河散策
さて、お腹も満たしたことですし、少し歩きましょう。
小樽は明治・大正にかけて「北の玄関口」とも呼ばれ、世界各国と貿易があった土地。そして観光スポットとして一番有名なのは大正12年につくられた「小樽運河」です。小樽運河の周辺には、いまなお歴史的建造物がたくさん残っており、歩くだけでもとても楽しいスポット。ぶらり散歩してみましょう。
※ちょっと長いから、「全部読んでる時間ないよ!」という方は写真だけでもパァーッと見ていただけるとナッツが喜びます。
手宮線のはじまり
「総本家 日野」から小樽運河へ歩いて数分。
1880年に開通した北海道初の鉄道、手宮線のはじまりの地点があります。
雪の中、指マークでめちゃくちゃ主張してる。
樺太の国境はここで決められた!旧・日本郵船
さらに運河めがけて歩くと見えてくるのが、こちら。
1906年に建てられた旧・日本郵船。
ポーツマス条約って覚えていますか? 日露戦争の後に開かれた樺太国境画定会議を行ったのが、こちらの建物になります。国の重要文化財にも指定されています。
立派。
旧日本郵船
住所:北海道小樽市色内3丁目7−8
公式サイト:http://www.city.otaru.lg.jp
当時のまま残されている北運河がノスタルジック……
日が暮れてきました。小樽運河に到着です。
ご覧いただける通り、夜は少し薄暗いエリア。運河がつくられた大正12年、当時のままの小樽運河が残っているのが、ここ「北運河」です。
街灯はすべてガス灯になっており、時間になるとポッ、ポッと一つずつ順番に明かりが点っていく瞬間、ノスタルジックな気分に。
小樽運河で人が多く集まるのが浅草橋という橋なのですが、北運河から浅草橋の方を眺めると、北運河の暗さが一目瞭然でしょう。
ちなみに運河沿いを歩いていると、石造りの倉庫がいまなおたくさん残っています。倉庫を見つけたら、倉庫の壁面を注意して見てみてください。
手前の壁、斜めに跡があるの分かりますか? これはもともと別の倉庫の屋根がくっついていた跡。
また、こちらの倉庫をよく見ると……!
階段がないのに、2階部分にドアが!
そう、雪が積もって1階部分のドアが使えなくなったとき用のドアです。雪国すげぇ。
こういった倉庫を見て歩くのも、小樽運河の楽しみ方のひとつです。
小樽運河
住所:北海道小樽市港町
公式サイト:http://www.city.otaru.lg.jp
ニシンが大量に缶詰にされてたのかな?1931年に建てられた北海製罐工場
1931年、石造りの倉庫がたくさん並ぶ中、ドーンっと大きく建てられたのがこちら。北海製罐工場。鉄筋コンクリートの建造物は珍しかったんだって。
北海製罐小樽工場
住所:北海道小樽市色内3丁目1
北海道にだってしゃちほこあるだぜ!小樽倉庫
ずっと運河沿いをぷらぷら歩いていると、ライトアップされた倉庫……の上に!
しゃちほこ!
しゃちほこって顔が龍で身体が魚の、伝説的な生き物らしいですよ。
小樽倉庫
住所:北海道小樽市港町5−4
【17:30】小樽運河の果てに到着!
小樽運河は全長約1.2km。ぷらぷら歩いていたら1時間ほど経ってました。
こちらが一番人が集まる浅草橋から見た小樽運河の景色。実は小樽運河って少し珍しいのが、埋め立て式の運河なんですよね。上の写真で言うと右側はもともと海で、左側は海岸。つまり運河は海岸に沿って埋め立てられており、カーブを描く運河になっています。
うん、いいね。
多くの観光客のみなさんは、こちらの浅草橋の景色だけみてお土産エリアへと移ってしまうのですが、このように運河沿いには歴史を感じられるスポットが盛りだくさん。
歩いてまわってもいいですし、人力車に乗りながらまわってもいいですし、ぜひ小樽運河を満喫してみてください。
それでは、そろそろ札幌に戻りましょう。
小樽駅
住所:北海道小樽市稲穂2丁目22
【19:00】札幌・すすきのへ
ということで戻ってきたぜ、俺の街・すすきの。時間はまだ19時、思う存分遊べますな。
まず冷えたカラダを暖めるべく、アレを食べましょう。
すすきの駅
住所:北海道札幌市中央区南4条西4丁目
おじさんが最高のおでん屋「君町」
「まず一杯飲みたい!」
そんなときに使えるのは、全国どこでもやっぱりおでん屋ではないでしょうか。ここ「君町」は創業55年の老舗。すすきのエリアでまず一杯!というときに僕がよく使うお店でもあります。いまでも北海道に戻ってきたときは必ず立ち寄るほど。
なぜこのお店が僕を常連にさせたかと、店主さんがいいんですよね。
店主「戻ってきてたのかい?」
僕「はい、明日もう東京帰っちゃうんですけど、おじさんに会いたくて(笑)」
店主「そうかい。で、何にする?」
僕「じゃあ、まず大根ください」
店主「はいよ」
店主「はい、お待たせ」
なんもない、いつもそれだけのやり取りなんですけど、「知っている人がいる」ってやっぱりいいじゃないですか。
えっ? あなたにとっては知らない人って?
大丈夫。北海道では一度会えばもう知り合い。一度来てしまえば、おでん屋の店主だって知り合いです。二回目からはもう顔見知りの店なんです。
ビール飲みながら、おでん食べて、懐かしい人に会いに来る。
(あっ、まだ札幌は自分の場所だ……)
顔見知りの店があると、なんかそう思ってしまいますよね。そんな気分にさせてくれるのが、おでん君町。
観光で北海道に来ると、どうしても外を歩く時間が長くなるので、冬はカラダが冷えてしまいがち。というより、完全に凍えます。
そんなときは、「君町」であったかいおでんを食べていきましょ。
おでん 君町
住所:北海道札幌市中央区南6条西3丁目
おわりに
もうすぐ雪まつり。
北海道に行ったことがある方もない方も、ぜひ札幌へ訪れた際は小樽や余市まで足を運んでみてください。今日ご紹介したスポットはすべて1日あれば十分楽しめます。
美味しいウニ食べて、美味しいお酒を飲んで、観光を楽しんで。
みなさんの札幌観光が贅沢な時間になれば幸いです。
それでは僕はこの辺で、すすきのの夜を楽しんできます。また!