お世話になっております。下村山です。

先日、小便器の記事を書いた縁で、TOTOさんから本来であれば関係者しか観戦することのできない「便器のW杯」への招待を受けました。

便器のW杯…

便器のW杯???

正直なにが行われるのかまったく見当がつかないまま会場に訪れ、「便器のW杯」を観戦してきました。以下はそのレポートです。現地で感じた熱気を少しでも感じていただければ幸いです。

招かれるまま小倉にやってきた

泥の水分を型(白い土台)が吸収することで、型と接した部分はすぐ固まる。型に触れない部分は、液状のままになる。

 

便器のW杯とは？

「便器のW杯」の正式名称は「衛陶技能世界選手権大会(えいとうぎのうせかいせんしゅけんたいかい)」。※長いので本記事では「便器のW杯」で統一します。
2012年から毎年開催されている、TOTOの衛生陶器(便器や洗面台)を作成するうえで欠かせない技術「成形」と「施ゆう」の腕を競い合う大会である。

大会の狙いは、世界各地に存在する製造拠点の技術力を高めること。また参加各国のコミュニケーションを活発にする狙いもあるそうだ。
世界中からスペシャリストが集結するため、文字通り”便器のW杯”となっている。

今回、私が観戦したのは「便器のW杯 成形の部」。

「成形の部」では、

(1)ミニチュア便器作製
(2)ヨリ巻き作製

の2競技が行われ、それぞれの技術の精度を選手たちが競う。
言葉だけでは分かりにくいと思うので、それぞれの競技について図解していきたいと思う。

【競技1】ミニチュア便器作製

ミニチュア便器とは、手のひらサイズの便器型貯金箱である。

この競技では、

(1)型から出したミニチュア便器の表面を滑らかにし、(2)そこに自分で穴を空け、(3)たった今空けた穴を埋め、(4)乾燥・焼成(窯で焼くこと)での変形を見込みつつ、滑らかに表面を仕上げてゆく。

図解するとこんな感じだ。

自分で空けた穴を埋めるというあたり、どことなく空虚な作業のように感じてしまう競技ではあるが、便器のTOTOがやってるんだからこの方法が一番なのだ。
競技時間は約1時間。なお片づけ(清掃)の力も採点に加わるため、実質45分くらいで仕上げなくてはいけない。

ちなみに、施ゆうをして焼き上げるとこんな感じになる。

【競技2】ヨリ巻き作製

ヨリ巻きとは、ヒモ状の粘土のことを指す。

この粘土ヒモは、たいへん汎用性がある。

詳しくは説明しないが、成形途中のパーツとパーツをひっつけるのによく使う。
「このパーツと、このパーツなら直径◯◯mmのヨリ巻きが必要になるなぁ〜」
成形に携わる従業員たちは、こんな風に日頃から直径を意識しながらヨリ巻きを作っているそうだ。

ここでは、そんなヨリ巻き作りの腕を試される。
大会参加の決定した者には、当日つくるヨリ巻きの直径サイズが言い渡される。ちなみにヨリ巻き作製の制限時間は1分。正確な直径のヨリ巻きをいかに速く作れるかを競うことになる。

参考までに、私が1分で作ったヨリ巻きがこちらです。

簡単そうに見えて、やってみると意外と難しい。

ちなみに今回の「成形の部」には、9つの国と地域から、32名の技術者が参加した。(なお前年参加者は出場できない)
もちろん、どの選手も厳しい審査を経た上で出場権を得た選りすぐりの従業員だ。
今回、本社のある日本・小倉第一工場の面々の士気は特に高い。昨年、優勝・準優勝を果たしたTOTOベトナムの連覇をなんとしても阻止したいところだが…一方その頃。

ベトナムからの参加者…トイ…!!!

 

開幕ッッ!!便器のW杯

ザッザッザ…

つつがなく開会式は終了し… 

選手たちは、開始の合図を待つ…

   

 

一列に並ぶヨリ巻き。

 

ミニチュア便器を品評する人々。

 

焼き窯に入るのを待つミニチュア便器たち。美しい。

 

エレベーターの扉に描かれたペンギン。

小倉といえば…TOTOミュージアム

TOTOミュージアム

住所：〒802-8601 北九州市小倉北区中島2-1-1
電話：093-951-2534
開館時間：10:00-17:00（入館は16:30まで）
休館日：月曜・夏期休暇・年末年始

入館料：無料/団体は要予約（20名以上）
詳しくは https://jp.toto.com/museum/ で調べてね
(1Fはショールームなので、見学は2Fにて)

 

 

TOTOミュージアムへのアクセスは…

 

決着…ッッ!!便器のW杯