佐賀市在住ライターが教える!佐賀駅から徒歩で回れる1日観光ツアー
佐賀県の観光といえば「呼子」のイカや、「嬉野・武雄」の温泉、有田焼、伊万里焼、唐津焼、吉野ヶ里遺跡等が有名ですが、今回の記事では佐賀駅から徒歩で回れる「佐賀市」の観光地をご紹介します!旅行や、電車でのひとり旅、出張の時等に、参考にしてみてください。
こんにちは。佐賀市在住のライター北村朱里(@kitamuraakari)です。
北海道から移住し、9年目になります。
突然ですが、皆さんは佐賀市の見どころ、有名なものって知っていますか?
佐賀県ではなく、佐賀市の、です。
呼子のイカ?
嬉野・武雄の温泉?
太良の竹崎ガニ、カキ?
有田焼、伊万里焼、唐津焼?
吉野ヶ里遺跡?
……ええと、残念ながら、ちがいます。これら全て、佐賀市以外の名物、観光地です。
良く言われるのが、
「唐津なら行ったことある」「鳥栖なら行ったことある」「佐賀市は通過したことならある」
佐賀市民としてはちょっと悲しい。佐賀市の名物や観光地をいっぱい知って、通過じゃなくて滞在してほしい!!
そこで今回は、佐賀の県庁所在地なのに意外と知られていない佐賀市内の見どころについてご紹介します!
特に市内中心部、佐賀駅から徒歩で回れる範囲にも魅力的なスポットがたくさんあるんです。
がんばれば、東京から新幹線利用で日帰りだってできますよ!
ビジネスで佐賀市に訪れた方も、空き時間に寄れるところがきっとあるはずです!
それでは、どうぞ!
目次
ずっと見ていたくなる伝統織物工房
最初にやってきたのは、佐賀駅から徒歩20分ほどのところにある「佐賀市歴史民俗館」。
昔は銀行やお屋敷だった建物7館から成り立っていて、佐賀市の重要文化財や佐賀県遺産に登録されている建物も。
趣ある街並み。
こうした昔の建造物が、現在お店やカフェなどとして営業しています。
まずはその中から、「鍋島緞通(だんつう)」の工房を訪れてみましょう。
鍋島緞通とは、元禄時代に佐賀で生まれた木綿のじゅうたん。幕府将軍家への献上品だった高級品です!
これが、「鍋島緞通」
こういうものを、ひとつひとつ手織りで作っているところを見せていただきます。
広々とした敷地。その昔、豪邸だった面影を感じます。
ここが工房。「株式会社 織ものがたり」が運営しています。
中に入ると、職人さんが緞通を織る作業をされていました!
経糸に緯糸を通したらこうやってトントンたたいて整えて、
キレイに切りそろえます。これを、何段も、何段も繰り返します。気が遠くなるような作業ですが、職人さんは一定のテンポでリズミカルに進めていました。華麗な手さばき、ずっと見ていたくなる……!
ここを訪れれば、予約なども必要なく実演見学させてもらえますよ!
たくさんの緞通の展示も。
温かい色合いが、日差しに良く似合う。
木綿織物の手触りは本当に気持ちいいんですよ。
ああ、ここで永遠に寝転んでいたい……!
カラフルで、いろんなデザインがあって、見ていて飽きません。
販売もしていますがもちろん見学だけでもOKです。
写真ではどうしても手触りや風合いまでお伝えできませんので、ぜひ実際に訪れてみてください!
株式会社 織ものがたり
住所:佐賀県佐賀県佐賀市柳町4-7
営業時間:10時~16時
定休日:月曜、第2・第4火曜
URL:http://orimonogatari.com
お土産もそろう佐賀の工芸品ショップ
「織ものがたり」と同敷地内にある、佐賀の工芸品を展示販売するショップ、「さがしもの」ものぞいてみます。
のれんをくぐって、店内へ。
「さがしもの」店長で鍋島緞通の職人さんでもある菊井篤さんが案内してくれました。
佐賀の工芸品でまず思い浮かぶのは「陶器」あたりかもしれませんが、実は他にもいろいろなものがあります。
このガラスは「肥前びーどろ」。江戸末期の技術を受け継ぐ佐賀市重要無形文化財指定です。手作りの宙吹きならではのゆらぎが美しい。手に持つとしっくりなじみ、口当たりもやさしいんですよ。
300年以上の歴史を持つ手すき和紙「肥前名尾(なお)和紙」のランプ。温かい光に癒されます。
吹き抜けにつるされたオーナメントは鍋島緞通の糸でできているそうです。
2階から時々「トントントントン……」という音が聞こえてきます。あれ、この音、さっきも聞いたような……と思って尋ねると、その通り、2階にある鍋島緞通工房で作業している音なのだそう。職人さんの鼓動を感じながら伝統工芸を愛でる時間……何とも味わい深いです。
手軽なお土産にぴったりの品を見つけました。鍋島緞通の糸で作られたグラスコード、ブレスレット、ストラップ。
わたしもつけてみました。木綿なので肌触りが気持ちいい!
高級品からお手頃なものまで伝統工芸がそろうショップ、お店と街の雰囲気も楽しめます。ぜひ立ち寄ってみてください。
さがしもの
住所:佐賀県佐賀県佐賀市柳町4-7
営業時間:10時~17時30分
定休日:月曜
【ランチ】佐賀の高級食材×B級グルメを味わう
そろそろお昼。おなかがすいてきました。
食べに行くなら、やっぱり佐賀のご当地グルメ!
B級? 高級? 迷うところですが、両方いっぺんに味わえるところに行こうと思います!
「さがしもの」から南へ徒歩15分程度、やってきたのは「さがレトロ館」。
ちょっと森の中のようにも見えますが、周辺には佐賀地方法務局、NHK佐賀放送局、サガテレビ、佐賀県庁、佐賀西高校などがあり、働く人や高校生が行き交う街の中に佇んでいます。
さっそく中へ。
いただくのはこちら! 佐賀市のご当地グルメ「シシリアンライス」です。
シシリアンライスは、温かいごはんにレタスやトマトなどの生野菜、甘辛く炒めた肉を載せて仕上げにマヨネーズをかける佐賀のいわゆる「B級グルメ」。
……ですが、さがレトロ館のシシリアンライスは、お肉が高級「佐賀牛」! B級グルメと高級グルメを一度に味わえます!
ここでいただきます。すでに優雅な気分……!
館長 藤瀬仁郎さんのご案内で。
これがさがレトロ館謹製シシリアンライス! セットでスープと小鉢、デザートがついてきます。
お肉は佐賀牛のローストビーフ、ごはんは十三穀米ですって。
カラフルな野菜は、なんと藤瀬さんご自身が栽培されているのだとか!
「洋風創作料理には彩りが必要だと思ったが探したけれどなかなかなかったので自分で作ることにした」と話してくださいました。
温泉卵がたまりませんーー!!
きたなくてすいません! こんなふうにくずして食べるのがおすすめです。おいしいー!!
佐賀のB級グルメと高級グルメ、両方行く時間はない! でもどちらも食べたい!! という方は迷わず「さがレトロ館」へ。
さがレトロ館
住所:佐賀県佐賀市城内2丁目8-8
ランチ営業時間:11時~15時(オーダーストップ:平日14時・土日祝14時30分)
定休日:月曜
URL:www.saga-retro.com/
参考サイト:ぐるなび
日本でここだけ! 熱気球の博物館
おなかがいっぱいになったところで、次なるアクティビティへ。
「さがレトロ館」から徒歩11分、「佐賀バルーンミュージアム」です。
毎年秋にアジア最大級の熱気球大会「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」が開催され、「熱気球の街」として知られるようになってきた佐賀市。2016年にできた施設です。
外観からしてカワイイ! 夜にはライトアップもされますよ。
中に入ると、1階から2階の吹き抜けにバルーンがドーン!
ドドーン!! ダイナミック!
奥に入ると、
こんなジオラマがあります!
とても細かい!
「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」開催中の会場を忠実に再現したものなのですが、なんでもジオラマづくりが趣味だという副市長が音頭を取り、市職員や市民など有志のメンバー延べ約2500人を巻き込んで手作りしたのだとか! 熱意すごい。
バルーンだけでなく、
出店とか、
毎年フェスタの時期だけ営業するJR駅「バルーンさが駅」とか、
取材に来ているテレビ局のクルマとか、もう芸が細かいー! ここだけでも見ごたえたっぷりです。わたしはこの取材の後に北海道から訪れた友人家族(30代夫婦と小学生の息子2人)を連れてきたことがあるのですが、しばらくここから動かず見入っていました。
ここまでが無料ゾーン。入場料を支払って入る有料ゾーンには、バルーンのことを学んだり体験できたりする展示や設備がそろっています。
わたしのオススメはこれ!
「バルーンパイロットになろう バルーンフライトシミュレーター」!
ね? わくわくするでしょう?
本物さながらのバスケットの中に乗り込んだら、
レベルを選びます。
とりあえず初級。
こんなふうにバーチャルで空を飛べます!
ちなみに、背景は「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」が行われる嘉瀬川河川敷の本物の景色だそうです。
手元の小さいモニターには、風向きを表す矢印が示されます。
行きたい方向に合わせて、バルーンの高度を調節。
バルーンが飛ぶ高度は、このレバーで調節。
握るとバーナーで火が焚かれて気球の中に熱が送り込まれ、上昇。
レバーから手を放していると、風の強さにもよりますが徐々に下がっていきます。
強く握りすぎるとグワンッ! と上がりすぎるし、ちょっと気を抜くといつの間にかすごい下がっているし……
加減がなかなか難しい。
それでもなんとかゴールに近づいてくると「マーカー投下できます」の文字が。
マーカーとは、小さな砂袋がついたテープのこと。
実際の熱気球競技では、このマーカーをゴールめがけて落とし、落ちた場所とゴールとの距離の差で点数が決まります。
このシミュレーターでは、なるべくゴールとの距離を縮め、風向きも考慮しながら、ボタンを押してマーカーを落とします!
ドンピシャを狙ったつもりだったけれど、けっこう離れた……
「なかなか!」とのこと。
ちなみに、いちばん上位はゴールから1m以内の「Sランク」ですが、プロのバルーン選手でも簡単には出せないのだとか。
バルーンミュージアムには、他にも、
日本初の有人飛行に成功したという「イカロス5号」のゴンドラ、
バルーンの装備品展示、
熱気球競技の説明、などなど、アミューズメント感覚で楽しめるものからちょっとマニアックなお勉強ができるものまで幅広くそろっています。 これで誰でもバルーン博士……!
「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」が開催されるのは年に1回だけ。その他にもバルーンが飛ぶことはありますが時期が限られています。また、本来飛ぶ予定の日であっても、天候によって中止になることもしばしば。
でもここ「佐賀バルーンミュージアム」なら、一年中、天候に関係なく、バルーンのあれやこれを楽しめますよー! 日本で唯一の熱気球博物館、訪れてみてください。
佐賀バルーンミュージアム
住所:佐賀市松原2目 2-27
営業時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
URL:www.sagabai.com/balloon-museum/
【おやつ】伝統と新しさが融合する「佐賀の南蛮菓子」
たくさん遊んだら小腹が空いてきましたので……
おやつの時間にしましょう!
「佐賀バルーンミュージアム」から徒歩14分、佐賀大学の近くにある老舗「鶴屋 佐賀本店」です。
さっそく中に入ってみると、
看板商品「丸房露」をはじめ、お菓子がたくさん並んでいます。甘い香りが漂ってくる……!
早く食べたくてしかたがないので、さっそくいろいろと選んでみました。
左上:丸房露(まるぼうろ)
右上:かすていら
中央下:肥前ケシアド
左中央:丸房露のためのマーマレード
洋菓子でも和菓子でもなく、「南蛮菓子」と、ここでは呼んでいるそう。
ポルトガル伝来の南蛮菓子を現代風にアレンジしたという肥前ケシアド、中身はこんな感じです。カボチャあんの甘さが優しい! チーズが練り込まれていて、コクもあります。
あの大隈重信も愛したという佐賀を代表する伝統菓子「丸房露」に、2017年冬に発売された新しい味「丸房露のためのマーマレード」つけて食べます。
うわ、おいしいーーーー!!
丸房露はもともと甘いので、それにマーマレードを合わせるとどんな感じなのかな? と思ったのですが、マーマレードが絶妙に甘さ控えめで、しっかりと丸房露の甘さを引き立てているんですね。これはもう、「丸房露のためのマーマレード」としか名付けようがない……!
「カステラにもつけてみてください!」と言っていただいて、やってみました。
これもおいしかったですが、やはり丸房露との組み合わせがダントツ。
これはもう、「丸房露のためのマーマレード」としか名付けようがない……!(2回目)
歴史あるお菓子から新しい商品まで、歩き疲れた身体にほっとする味が待っています。旅のブレイクにぜひ。
御菓子司 鶴屋 佐賀本店
住所:佐賀市西魚町1番地
URL:http://www.marubouro.co.jp/
夜景とアートのコラボが見れる意外なスポット
いろいろと回って、夜になったらこちら。
この赤と緑にライトアップされた建物は……? ラスボスのいる城……?
なんと、佐賀県庁。
こんな夜に、県庁に何をしに来たかというと……
これを観るためです!「アート県庁プロジェクト 星空のすいぞくかん」
1回9分程度の、プロジェクションマッピングショーが行われています。
佐賀の街の夜景が、水族館になっている……!
佐賀の夜景は光の量がほどよく、マッピングが映えるのだとか。
きらびやかなマッピングを見た後、こちらを発見しました。
アーティスト ヤマガミユキヒロさんによる鉛筆画「月と楼門(ろうもん)」。楼門とは、佐賀県武雄市にある、武雄温泉のシンボル的な建造物です。
モノクロの絵画の上に、プロジェクションマッピングによる色彩が少しずつ載せられ、鮮やかに色づいていきます。
「すいぞくかん」のめくるめくきらびやかさとは対照的に、一瞬見ただけではわからないくらいゆっくりと変化していきます。ずーっと眺めていたくなる味わい深いマッピングでした。
県庁の最上階で光が織りなす「動」と「静」アート、ぜひ体感してみて。
アート県庁プロジェクト 星空のすいぞくかん
住所:佐賀県佐賀市城内1丁目1-59 佐賀県庁展望ホール
営業時間:4月~9月 20時~22時 10月~3月 18時30分~22時
※9月~ 日曜・祝日は21:00まで
URL:https://saga-art.jp/
【ディナー】旅の最後に! 佐賀の珍味とお酒を堪能
この旅のファイナル! 佐賀のおいしいものを食べながら、佐賀のお酒を一杯といきましょう。
やってきたのは、佐賀の繁華街「愛敬町」。
「産地直送仲買人直営店 蔵(くら)」。佐賀の有明海で獲れるめずらしい食材をいろいろ扱っています!
まずはこちら「わらすぼ炙り」。ワラスボとは有明海に生息するハゼ科の珍魚。「甘辛干しわらすぼ」に「料理長おすすめ」マークがついていたので注文しようとしたら、「炙りのほうがおいしいよ」と勧められたのでw
スルメみたいな感じなのかな? と思いきや、意外とサクサク! クセもなく、スナック感覚で食べてしまいました。これは日本酒に合いますよ……!
続いてこちら! 「むつごろう刺身」。ムツゴロウも有明海の珍魚ですが、ワラスボと違ってなんだかぬぼーっとした顔をしています。お刺身になっても、まだ口がちょっと動いていましたよ。
ちなみにこの日は、海の時化が続いていたとのことで、生のワラスボやイカは残念ながらありませんでした。
こちらは、「くちぞこ煮付け」。
高級魚で、この煮付けも980円もするんですよ。甘辛くて、お酒に合うし白ごはんも欲しくなります。
「白石レンコンまんまる揚げ」。
佐賀県の南のほうにある白石町は、レンコンの産地なのです。
お酒は、1杯目は「天吹(あまぶき) 超辛口 特別純米」をチョイス。超辛口といいながらも佐賀のお酒の特徴である甘みもあり、それでいてサッパリ。モチモチのレンコンと良く合いました。
2杯目は「万齢(まんれい)純米吟醸」を。口に入れた瞬間、ふんわりとした甘みが広がって、たまらん。クチゾコの煮付けとベストマッチでした。
そうそう、「蔵」のもうひとつの特徴として、月曜~木曜は15時から営業しているんです! 夜には飛行機や新幹線で帰らなきゃ、という人でも食べ飲みできますよー!
産地直送仲買人直営店 蔵
住所:佐賀県佐賀市大財1-3-19
営業日時:月曜~木曜 15時~24時 金曜・土曜 15時~26時
URL:http://kura-saga.com/
参考サイト:ぐるなび
おわりに
佐賀駅から徒歩で巡る一日旅、いかがでしたでしょうか?
佐賀市内を観光する目的で来て一日ガッツリ遊び倒しても良し、仕事などで来たついでにピンポイントで気になるスポットを訪問しても良し……
ぜひ、佐賀市の魅力に触れてみてください!