【京都・伏見】日本の酒どころで酒蔵巡り!日本酒を楽しむ一日観光のススメ
京都府伏見区で酒蔵めぐりをするなら訪れてほしいスポットをご紹介。地酒17種類を飲み比べできる伏水酒蔵小路や、日本酒づくりの工程を見学できる月桂冠大倉記念館などを、京都在住のライターが実際に訪れてレポートします。
最近、全国各地でこんなイベントを見かけませんか?
「日本酒フェスティバル」
「酒蔵まつり」
「酒フェス」
数あるお酒の中でもハードルの高そうな日本酒。
これが今、日本中でブームになっています。
さらには
「日本酒女子」
「おちょこ女子」
なんて言葉も生まれ、インスタグラムでは「#日本酒女子」というハッシュタグで15万件以上(2018年11月時点)もの投稿が…
日本酒は年配の男性に愛されるイメージが強いと思いますが、今や若い女性にも愛されるお酒なのです。
そんな日本酒づくりに欠かせないのがお水。
全国各地の水のまちが、昔から酒どころとして盛えてきました。
そして日本が誇る観光の街・京都にも有名な酒どころがあります。
それが「伏見」です。
というわけで、今回は日本酒大好きなライターのユキガオ(@yukigao_22)が、ここ伏見で飲んで飲んで飲みまくってきました!
歴史ある酒蔵から、伏見の美味しいお酒が一気に飲める観光スポットまでご紹介します。
目次
「月桂冠大倉記念館」で江戸時代から続く酒造りを学ぶ
日本酒を楽しむなら、まずはやっぱり日本酒について最低限の知識はほしいところ…
そこで、江戸時代以来の酒づくりの歴史を勉強できる月桂冠大倉記念館にやってきました!
京阪本線・中書島駅から歩いて5〜6分。
歴史を感じさせる建物が突然現れます。
ここが、月桂冠大倉記念館です。
明治時代の建物を有効活用しているというだけあって、エントランスの土間や組み天井に歴史を感じます。
なんとなく懐かしい気がして、あちこちを見回したくなる空間。
入り口のすぐ左手には、明治時代の帳場の様子が復元されていて、まるでタイムスリップしたような感覚に。
エントランスを抜ければ見学コースの始まりです。
開館中であれば、見学は予約なしでOK(ただし、10名以上または団体バス利用の場合は要予約)。
見学料(大人400円、中高生100円)を払って中に入っていきます。
まずは建物を通り抜けて中庭へ。
その手前にある井戸からは、今でも酒づくりに使われている「さかみづ」と呼ばれる水が湧いています。
この「さかみづ」は自由に飲むことができるそう。
上に置いてあるおちょこを使っていただいてみると…
とっても滑らかな口当たり!
美味しいお酒が作られるのも納得です。
中庭には、昔ながらの酒蔵の風景が広がっています。
奥の建物は「会所場(かいしょば)」と行って、杜氏さんが寝泊まりするところ。
正面にある「内蔵(うちぐら)」は1906年に建造されたもので、月桂冠でもっとも古い蔵です。
入り口に吊るされている杉玉は、毎年11月頃の新酒ができるタイミングで取り替えられます。
そしてやっぱり気になるのが、この酒桶。手を広げて大きさを比べたくなりますよね…!
大人が何人も入れそうなほどの酒桶ですが、一番大きいものだと一升瓶3,000本分のお酒が入るというから驚きです。
たぶん、一生かけても飲みきれない…。
巨大な酒桶の向こうにあるのが、かつての貯酒蔵。
今は、日本酒の製造工程を学ぶことができる展示室となっています。
展示されている道具や、工程の説明を見ながらぐるりと歩けば、日本酒づくりの流れがわかるように。
特に面白いのが、明治時代に販売されたコップ付き小びんの展示なのですが…これ、販売当時のものをそのまま残しているから中身が減っているんです!!
古いお酒をそのまま展示しているため、減り具合や色の変化などを見ても面白い。
月桂冠のボトル…と見せかけた偽物が展示してあったり。(何が違うかわかりますか…?)
先ほど中庭で見た「内蔵」、実は中で日本酒が作られていく様子を見学することもできるんです(オプションのため前日までに要予約)。
モロミと呼ばれる日本酒のもとを発酵させている様子が見えるようになっています。
また、日本酒づくりに使われる米についての知識も身につけることができます。
こうして一通り見学を終えると、待ちに待った利き酒タイム!
ここでいただけるのは
- 月桂冠レトロボトル吟醸酒
- 玉の泉 大吟醸
- プラムワイン
の3種類。それぞれのお酒や違いについて、説明を聞くこともできます。
さっそくいただきます。
飲んだ感想としては
- レトロボトル:コクがある
- 玉の泉:スッキリ飲みやすい
- プラムワイン:甘くてグイグイ飲める(梅酒とも少し違う味わい)
といった感じ。3種類とも個性的なので、日本酒初心者でも違いに気づくことができると思いますよ。
利き酒に出てきたお酒は、お土産物売り場で購入可能。
一番人気は、月桂冠レトロボトルだそう。ここでしか買えないということもあって、お土産に買って帰りたくなりますよね。
お酒以外にも、月桂冠のノベルティグッズや奈良漬、酒まんじゅうなどたくさんのお土産が販売されているので、未成年やお酒が苦手な人でも楽しめます。
そしてこの見学、お土産としてこちらの「純米吟醸酒 180mL」が1本プレゼントされるんです!
お酒の勉強もできて、利き酒でいろんな日本酒を味わい、さらにお土産までもらえるなんて、めちゃくちゃお得じゃないですか…!
日本酒づくりについて知りたい人は一度足を運んでほしいと思います。
月桂冠大倉記念館
- 所在地:京都市伏見区南浜町247番地
- TEL:075-623-2056
- HP:http://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/museum/
- 営業時間:9:30〜16:30(受付は16:15まで)
- 休館日:盆:2018年8月13日~2018年8月16日、年末年始:2018年12月28日~2019年1月4日
- 入館料:大人:400円、中学・高校生:100円
地域密着型の「伏見夢百衆」でひと休み
月桂冠大倉記念館の隣にあるのが、「おくつろぎ処・おみやげ処 伏見夢百衆」という休憩所。
この外観から想像できると思いますが、この建物は月桂冠の旧本社がそのまま使われているんです。
中に入ってみると、伏見の地酒がずらり。
お菓子や調味料などのお土産も買うことができます。
建物の奥はカフェスペースになっているので、近辺を散策して疲れたときの休憩場所にぴったり。
壁や柱、天井などが昔のまま残されているので、レトロな雰囲気を味わうことができます。
こちらのカフェでオススメなのが、月桂冠の酒づくりにも使われる仕込み水を使った「水出しコーヒー」です。
苦味や渋みが少なくスッキリ飲めるので、コーヒーが苦手な人でも飲みやすいと思いますよ!
酒の匂いが控えめであっさりした酒まんじゅうとセットでいただいて、ひと休み。
カフェと言っても、さすが酒の街。
こちらでも利き酒(税込750円)を楽しむことができます。
イチオシは「まったりセット」。
味の違いがわかりやすい上、伏見夢百衆オリジナルのお酒「百(もも)」をいただくことができるのはこのセットだけ。
利き酒セットでいただけるお酒はすべてお土産物売り場で購入できますので、気に入ったお酒を見つけて買っていくのもいいですね。
ちなみに「伏見夢百衆」という名前は地域の公募で決まったそう。
地元の方々にも愛されるこの場所で、散策の足を休めてはいかがですか?
おくつろぎ処・おみやげ処 伏見夢百衆
- 所在地:京都市伏見区南浜町247
- TEL:075-623-1360
- HP:https://kanko.city.kyoto.lg.jp
- 営業時間:平日 10:30~17:00、土・日・祝 10:30~18:00
- 休園日:月曜日
- 参考サイト:ぐるなび
手作りにこだわる酒蔵のBar「えん」で利き酒
お次は、「蒼空」というブランドの日本酒を製造している藤岡酒造さんへ。
こちらでも予約をすれば蔵見学が可能(税別800円/人)なのですが、酒造期間である10月〜5月は受け付けていないとのこと…
実は、私が日本酒を好きになったきっかけが藤岡酒造さんの「蒼空」ブランド。
日本酒特有の(と思い込んでいた)匂いや味が苦手で、日本酒を避けてきた私が「美味しい!これなら飲める!」と初めて思ったのがこちらのお酒だったんです。
そのお酒が作られる蔵を見学したいけど、できない…!
ということで、酒蔵に隣接されているBar「えん」へ行くことに。
今も手作りでお酒を作り続ける酒蔵らしく、こじんまりとしていて随所にこだわりを感じる店内。
蒼空は要冷蔵のお酒なので、店内に展示されているボトルはどれも空です。
同じ「蒼空」というラベルでも、色々な種類があります。
お酒やつきだしをいただくのは、こちらのお座敷。
カウンター席からは、仕込みを行なっている酒蔵をのぞき見ることができます。
ここで作られているのか…と感慨に耽りながらお酒をいただけるなんて、贅沢ですよね。
デジタルフォトフレームからは酒づくりの様子が流れていて、思わず見入ってしまいます。
こちらのBarでは、平日限定で蒼空の飲み比べができちゃうんです!なんとも贅沢…
「蒼空」と書かれたガラスのおちょこに、3種類のお酒が注がれていきます。
お酒の種類とによって異なるデザインの豆皿。
注がれた姿は似ていても、これで見分けることができるんです。
飲んでみると、口の中にかすかな発泡感が広がります。
今回いただいた3種類はすべて発泡感のあるお酒で、日本酒に苦手意識のある人でも飲みやすそう。
酒の肴も頼むことができるので、飲み比べの日本酒と一緒にゆっくり味わうのがオススメです。
今回注文したのは、山うに豆腐。豆腐のイメージよりずっと濃厚で、とってもクリーミー。口の中でとけていきます。
添えられたレタスとの相性も抜群。
自家製酒粕アイスクリームも、独特のコクがあって美味しいのでぜひ!
シャーベットのような口当たりで、あっさり食べることができます。
ほかにも、甘酒や限定の凍結酒など色々なメニューを楽しむことができる酒蔵Bar「えん」。
隣の酒蔵で生まれたばかりの日本酒を存分に味わってみてください。
酒蔵Bar「えん」
- 所在地:京都市伏見区今町672-1
- TEL:075-611-4666
- HP:http://www.sookuu.net/contents/en.html
- 営業時間:11:30~18:00
- 定休日:水曜日
- 参考サイト:ぐるなび
「伏水酒蔵小路」で17の酒蔵を一気に飲み比べ!
いよいよ日本酒巡りの一日もクライマックス。
日本酒好きとはいえ、さすがに酔いも回ってきます。
が、しかし!!
ここ伏水酒蔵小路には、伏見酒造組合に属する17蔵元の地酒17種類を飲み比べることができる利き酒セット『粋酔(きっすい)』というメニューが…!
伏見日本酒巡りのしめにぴったりですね。
伏水酒蔵小路は、その名の通り「道」のように通り抜けることができる作りに。
出入り口が2ヶ所あるのですが、どちらから入ってもOKなのです。
施設内には、「酒粕らーめん」が食べられるお店や、もつ鍋屋さん、日本料理のお店などさまざまな食べ物屋さんが並んでいます。
そしてお目当の『粋酔』は、酒蔵カウンターへ。
伏見にある17の蔵の酒瓶が並ぶさまは、まさに壮観。
17蔵からそれぞれ1種類ずつお酒を選び、セットにされているのが『粋酔』なんです。
実はこの並びにも意味があります。
奥の一列は冷酒で飲むと美味しい、前菜に合うあっさりしたお酒を。
手前の二列は常温でも美味しい、肉や魚に合う重めのお酒を…
というように並べられているので、奥から順に飲んでいくのがオススメなんです。
さらに、それぞれのグラスの下には酒蔵の名前が隠れているという仕掛けも。
まずは奥のお酒から順にいただきます。
左奥のお酒は、酸味の強い白ワインに似たような飲みやすいお酒。
その隣はとろみがあって甘いお酒。最初に飲んだものとは全然違います。
3つ目のお酒はスッキリ系…と、どんどんお酒が進みます。
お酒を一通り楽しんだら、そろそろ酒の肴がほしくなってくる頃。
「でもカウンターから他の店舗へ移動するのはめんどくさい…」
そんな方にぴったりなのが、出前メニューです。
この「出前」というシステムこそ、伏水酒蔵小路の最大のポイント。
家で出前を頼むように、カウンターに料理を出前することができるというもの。
例えば先ほど紹介したラーメン屋さんに出向かなくても、出前メニューを頼めばこのカウンターにラーメンを持ってきてもらえる…という仕組みになっています。
私も出前で、「砂肝のコンフィ」を注文。
日本酒に合うメニューばかりなので、お酒も進みます。
出前メニューはとっても便利なんですが、やはりその店舗に出向かなければいただくことのできないメニューも。
気になるお店があったら、カウンターを出てハシゴ酒をするのもオススメです。
私も気になったお店をハシゴ。
最初に向かったのは「伏水89丁目食堂」という炭火焼のお店。
気さくな店員さんが、常連さんと話しながら手早く料理を作ってくれます。
そんな店員さん一押しメニューがこちらの「知覧鶏 三種盛り合わせ」だったので、勧められるがままに注文。
塩焼・たれ焼・たたきポン酢の三種類の味付けが一度に味わえます。
知覧鶏らしい噛みごたえとぷりぷりの食感がくせになりそう。
また「京赤地鶏の黒焼き」というメニューでは、三重大学監修の味噌が使われているという面白さも。
こちらは知覧鶏と食感が違って、やわからいお肉が特徴。
どちらもすっごく美味しかったです。
まだお腹に余裕があったので、お次は串かつ・おでんの「京町茶屋」へ。
出前メニューでは串盛りしか頼めないので、ここぞとばかりに好きな串を単品注文。
(しいたけ、牛肉、かぼちゃ、チーズベーコンの4本)
二度づけ禁止のタレにつけて…
揚げたてアツアツの串をいただきます。
ん〜〜!
美味しい!!
ご覧の通り、美味しくて大満足の笑顔です。
存分に利き酒をし、個性豊かで美味しいお料理に舌鼓をうつ。
そんな一日の終わりを過ごすなら、ぜひ伏水酒蔵小路へ。
伏水酒蔵小路
- 所在地:京都市伏見区納屋町115番地~京都市伏見区平野町82番地2
- TEL:075-601-2430
- HP:http://fushimi-sakagura-kouji.com/
- 営業時間:11:30〜23:00(店舗により異なる)
- 定休日:火曜日
- 参考サイト:ぐるなび
おわりに
ここ伏見は、有数の酒どころであり、水の街。そして歴史情緒溢れる街です。
今回のように日本酒巡りを楽しんでもよし。
街中を流れる川を十石舟に乗って遊覧するもよし。
どこか懐かしい空気の残る路地を散策するもよし。
商店街は平日も人が多く行き交っていて、伏見の活気を感じます。
今回紹介した場所は全て徒歩で移動できる距離ですし、その途中には酒屋さんや居酒屋などもたくさんあります。
京都観光では、ついつい寺社巡りや有名な観光地へ足が向いてしまいがち。
だけど、美味しい地酒を一日中飲み歩くというのも楽しいものです。
ぜひ一度、京都の酒どころ・伏見で日本酒に溺れる一日を過ごしてみてくださいね!
取材・文:ユキガオ(@yukigao_22)
運営メディア:スキ、はじめました。
写真:矢野 拓実(@takumiYANO_)