世界遺産登録目前!? 独自のキリスト教文化が花開く長崎県「平戸市」をご案内

キリスト教文化を受け継ぐ長崎県平戸市のおすすめ観光スポットをご紹介!平戸のグルメが一堂に集結している「平戸瀬戸市場」、潜伏キリシタンの信仰文化・組織を維持している「春日集落」、的山大島の棚田を一望できる「平の辻農村公園」などの平戸市のおすすめ観光スポットを地元の方と一緒に回りました。平戸旅行をする際のモデルコースを考えるのに是非お役立てください!

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日本の最西端、たびら平戸口駅ではしゃぐ筆者

こんにちは。フリーライターのちぷたそです。今回は長崎の平戸市に来ています。平戸、正直「昔歴史で習ったポルトガルや中国などとの交易で栄えた港町」ぐらいの知識しかありませんでした。そう、実際に現地に行くまでは。

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海に面した鳥居と平戸城を望む。港町だけあって恵比寿様を祀っているのをよく見かけます

ここ平戸島は2010年(平成22年)2月22日に国の重要文化的景観に選定されました。文化的景観とは、

地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(文化財保護法第二条第1項第五号より)

のことをいいます。日々の生活に根ざした身近な景観である文化的景観は、日頃はその価値に気付きにくいもの。こうした保護する制度を設けて、その文化的な価値を正しく評価することで地域が景観を護り、次世代へと継承していくことができるのです。

そして、そんな平戸を実際に観光して平戸の文化に触れ、平戸で働く人を取材し、平戸の食べ物を食べた今、平戸という街が大好きになりました。こちらの記事では、私が平戸で感じた魅力をできるだけ伝えられればと思っています。

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左から平戸市職員の原田さん、土田さん、近藤さん

今回、平戸を案内してくださる平戸市職員のみなさん。左から原田さん、土田さん、近藤さん。メインでご案内いただくのは土田さんです。

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ここ平戸は「写ルンです」のレトロな写りが合うんじゃないかと思ったんです

ちなみに、“平戸はレトロでかわいい街でもあるな”という私の独断から、使い捨てカメラ、「写ルンです」を旅に同行させました。「写ルンです」を買うのは久しぶりだけど、枚数制限がないデジタルカメラと違って一枚一枚丁寧に撮るという逆に贅沢なやつをここ平戸でやってみたくなったんですね……。というわけで、こちらで撮った写真も掲載していこうと思います。

平戸への行き方って?

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博多の高速バスターミナル。建物の中にあります

長崎県平戸市は、九州本土の西北端にある平戸瀬戸を隔てて南北に細長く横たわっている平戸島と、その周辺に点在する大小およそ40の島々から構成されています。そんな平戸市に行くのには、私は東京から空路で福岡へ向かい、そこから高速バスで佐世保→路線バスで平戸桟橋、というルートで向かいました。

 

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佐世保バスターミナル

路線バスを利用したのは平戸桟橋周辺に宿を取ったからですが、地元の方も利用する路線バスは荷物が多いとなかなか大変。推定時間は1時間半程度ですが混み具合により2時間くらいは余裕を持っておいた方がいいでしょう。実際、私は2時間かかりました。

 

列車の場合

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たびら平戸口駅

平戸桟橋からはちょっと離れますが、JRと松浦鉄道を使ってたびら平戸口駅を利用するのもおすすめです!

 

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たびら平戸口駅は駅内に鉄道博物館があるんです

私は復路でたびら平戸口駅まで移動し、佐世保で列車を乗り換えて博多に出ました。そしてこのたびら平戸口駅は日本最西端駅として鉄道好きの間で人気の駅でもあります。駅には小さな鉄道博物館があり、電車を待っている時間も楽しく過ごすことができます。

そしてこのめちゃくちゃレトロな雰囲気は絶対合うだろうと思って「写ルンです」でも撮ってみました。

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駅内の展示。レトロである(写ルンですで撮影)

 

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鉄道博物館には年季の入った鉄道アイテムが並ぶ(写ルンですで撮影)

 

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駅外観です。これが最西端の駅……!(写ルンですで撮影)

 

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駅自体がめちゃくちゃレトロなので、どこを撮っても昭和のにおいがする写真が撮れる(写ルンですで撮影)

どれも2018年の写真じゃないみたいですが、駅自体がめちゃくちゃレトロなので昭和にタイムスリップした気持ちになれます。ちなみにこれは後で知ったんですけど、たびら平戸口駅では日本最西端の駅訪問証明書(200円)も購入できます。行く前に知っておきたかった……。

 

■平戸は食べ物がおいしい!

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平戸瀬戸市場

次に食です! 平戸で暮らす誰に聞いても口をそろえて言うのが、「平戸は食べ物が美味しい」ということ。平戸のうまいものが集まる「平戸瀬戸市場」へ向かいました。

 

「平戸瀬戸市場」はうまいものだらけ

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平戸瀬戸市場

平戸は海の幸も山の幸も豊富で、それにブランド牛の平戸牛……そしてお菓子伝来の地としてはカスドースや牛蒡餅といった伝統菓子も忘れてはいけません。そんな「平戸のうまいものすべて食べたい欲」を満たしてくれるのがココ、平戸瀬戸市場なんです。

 

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鮮魚コーナーでは買った魚も捌いてくれます

鮮魚コーナーでは素材の新鮮さや関東では見かけないような豊富な種類の魚介類に驚くこと間違いなしです。観光客だけでなく地元の方など多くの人で賑わう平戸瀬戸市場は、GWなどの長期休暇には車で福岡近郊などいろんな方面からもお客さんがいらっしゃるそう。

 

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平戸瀬戸市場 シーサイドカフェ

そしてここ平戸瀬戸市場の中には新鮮な海の幸をその場で楽しむことができる、人気のカフェがあります。それがここ、「平戸瀬戸市場 シーサイドカフェ」。

 

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平戸瀬戸姫様御膳

早速お店おすすめのメニューだという平戸瀬戸姫様御膳(1,750円)を頂いてみました。平戸瀬戸近海で獲れた新鮮なお刺身と平戸産の旬の食材を使ったサクサクのてんぷらが楽しめるとあり人気のメニューです。

ちぷたそめっちゃおいしそう……。でも、実は私、前泊してめちゃくちゃおいしい平戸ひらめを頂いてしまって既に「平戸の魚のうまさ」を知っているんです……。

 

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前泊した平戸海上ホテルで食べためちゃくちゃおいしかったひらめ御膳。お好みで小ネギに巻いて食べます

ちぷたそそこで平戸ひらめのうまさにはめちゃくちゃ驚いたから、ここで改めて魚のうまさに驚くってことはないと思うんですよね。もう私、平戸の魚がおいしいっていうのは知っているので!(フリ)

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刺身にてんぷら、大きないちごや平戸産の食材がいろんな味付けで少しずつ食べられる贅沢なメニューです

このマグロ、すんごいサシが入っている……まるで肉みたいだ。確かにうまそうだけど、私は既に平戸の魚の美味しさを知っている身。まさかここでも驚くってことはないんじゃないかなと本気で思っていました。そのマグロを口にするまでは。

ちぷたそうっっっっま!!!!! なにこれ! すんごいびっくりした! 前日のプリッとしたヒラメにも驚いたけどこのマグロも本当にびっくりした!! テレビとかで肉とかを口の中で“溶ける”と表現するの意味わかんなかったんですけどこのことを言うんですね。ここの人たちこんなうまいものばっかり食べているの……? 羨ましすぎる!

ふだん語彙力がないと思いながら暮らしている自分がありえないくらい饒舌になってしまう程度には驚きました。平戸の魚、思っていた以上においしいぞ……! 平戸にいればいるほど、「今まで食べたおいしい魚」が更新されていく……。ちなみに現在もなお、上位の多くを平戸で食べた魚が占めています。

平戸瀬戸市場
住所:長崎県平戸市田平町山内免345‐15
電話:0120-601-789
営業時間:8:00~18:00
定休日:毎月第2水曜日/1月1日~3日
URL:http://www.setoichiba.com/

 

平戸の食も温泉も楽しむ! 「平戸海上ホテル」

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平戸海上ホテル

さて、平戸瀬戸市場で食べたマグロに匹敵するような絶品平戸ひらめを頂いたホテルはこちら。平戸滞在で利用した「平戸海上ホテル」です。平戸桟橋からは徒歩で約10分ほどです。

 

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室内に水が流れているとテンションあがりますよね

ホテルの館内は水が流れていて、「高さのあるもの」「光るもの」そして「水が流れているもの」にわかりやすく惹かれる私は最高にテンションが上がりました。

 

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ホテルの露天風呂からの眺め

旅の楽しみは食、そして温泉! ですがこちらの大浴場は露天風呂に貸し切りできる家族風呂、そして水族館風呂に入ることができます。

 

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水族館風呂

「水族館風呂って何?」とワクワクしながら水族館風呂に足を踏み入れた途端、お風呂の外側に光を纏わせてゆったり泳ぐ魚の群れに浦島太郎になったような気持ちになりました。そして脳内の平野ノラが「オッケーバブリー!!」と言いながら盛大に登場しました。いいお風呂です。

 

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平戸の味を楽しめる朝食ビュッフェ

長崎や平戸の味を楽しめる朝ご飯のビュッフェがまた良かったです。平戸特産あご! あごだしのイメージが強かったんですけど、そのものももちろん食べます! は~平戸は何食べてもおいしいな……。

平戸海上ホテル
住所:長崎県平戸市大久保町2231-3
電話:0950-22-3800
URL:https://www.hiradokaijyohotel.co.jp/

 

■平戸の自然に癒されに「的山大島」へ

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日に何本か便のあるフェリーで的山大島へ渡ります

海に山に有人無人島の数々。平戸の自然をより楽しむべく、平戸港からフェリーで約45分。的山大島(あづちおおしま)へ渡りました~!

 

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的山大島に到着

こちら的山大島は、スギ花粉が少なく花粉症の人の「避粉地」にもなっている場所。避粉地最高。

 

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ヤギだ

的山大島に上陸してすぐに、放牧されたヤギを見つけました。

ちぷたそあっヤギだ! かわいい。

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おもむろに車を降りて近づく土田さん

ちぷたそえ、一体何を……。

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何故か土田さんのもとに集まってくるヤギ

ちぷたそあれ……土田さんなんかヤギと通じてない……? こわ……。

的山大島ではこんなハートウォーミングな経験もできます。

 

的山大島を一望「平の辻農村公園」

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平の辻農村公園からの眺め

神浦(こうのうら)港から車で12分。大島村の最高峰である平の辻(216m)にある公園から大島を見下ろしました。展望台からはここ的山大島を一望することができます! うひゃーすごい眺め!

 

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実は天気に恵まれなかったんですよね……

あ、気づいちゃいました? 残念ながら曇っていますね……。あえて言ってなかったんですけどこの日は曇りどころかフェリーも欠航ギリギリの嵐の日。髪の毛とかね、常時この状態でしたから。あ、でも皆さんは安心してください! 平戸の人がここまでひどいのは年に数回しかないって言ってましたから。そんなわけでこの記事で基本、天気の良い写真は頂いたものだと受け取ってください。

 

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条件が揃うとこれだけ綺麗な平の辻農村公園からの眺め

せっかくなので、天気が良い日の平の辻農村公園からの写真を頂きました。晴れていると大根坂(おおねざか)の棚田や海のむこうまで、こんなに見渡せるんですね……! 棚田や家に風車……こちらからの眺めは、“人間の営みを感じることができる景色”なのです。

 

江戸時代の街並みを現代に残す「神浦の街並み」

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神浦の街並み

次に来たのは国の伝統的建造物群保存地区にも選定されている、平戸市大島村の「神浦の街並み」です。こちらはかつて江戸時代に捕鯨で栄えた町であり、鯨組が終わった後も再開発されて、漁業と商工業と水産加工を主にして今の街並みへと発展しました。そしてその痕跡を見ることができる「離島の港町」です。ここは公衆トイレまで街並みに合わせて伝統的なデザインになっています。

 

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神浦の街並み 写ルンですver.

「写ルンです」でも撮りました。文豪が滞在していそう。こちらの街並みは江戸中期から昭和前期の町家が連続して立ち並ぶ、レトロで雰囲気のある街並みなんです! よく見るとガラスの表面が波打っているものがあり、これは一枚一枚ガラスを作っていた頃のなごりです。また、大名が当時でいう公用車である「馬」を繋いでいた痕跡がある家があったりと歴史を感じます。

 

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まるで映画のロケ地のようです

神浦にある建物の特徴として、木造切妻桟瓦葺き平入り、潜り戸、摺り上げ戸、ひさしの下の腕木などがあります。「大島大工」の技巧に想いを馳せながら街を散策するのも楽しいですよ。

 

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天降神社

神浦の街並みにある天降神社! 時間的に寄れなかったけど、鳥居と階段の眺め、すごく神々しかったな……。

 

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天降神社 写ルンですver.

こちらも「写ルンです」で撮っていましたが秘境感が半端ない仕上がりに! でも、ここ的山大島は平戸の人でも渡ったことがないという人が結構いたので、ある意味秘境なのかもしれない。

 

■平戸の人はあったかい

あづち直売所

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あづち直売所

的山大島で新鮮なお魚を買うなら、フェリー乗り場の目の前の直売所がおすすめです。

 

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午後にはかなり売れてしまいます

店に並ぶブリも、今朝まで泳いでいたものを、いま店番をしている宮國さんの漁師である父親が活け締めした新鮮なもの。

 

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新鮮な海産物が並びます

イカに至っては生きていました。おすすめは毎朝並ぶ鮮魚とイカの塩辛は800円。イカの塩辛は冷凍で一年持ちます。「父親はここの出身だけど自分は外の出身」だという宮國さんに、ここ的山大島について聞いてみました。

宮國さん最初こちらに来て馴染むまでは寂しさも感じていました。ですが、徐々に慣れてきたらみんな親戚みたいな感じに接してくれるようになりました。「子供がいたから車乗せてあげたよ」みたいな。あったかいですね。「作ったから食べて」ってお惣菜を店まで持ってきてくれたり。帰ったら玄関に野菜が大量に置かれてたり。

ちぷたそえー! 素敵エピソードすぎます! 的山大島あったかすぎる! お野菜は近所の方ですか?

宮國さん……野菜は未だに誰に頂いたのかわかってないんです(笑)。島の人は多くないけど、みんなが見守っていてくれるので、子育てしやすいですね。

実際、私も的山大島出身の土田さんの運転で的山大島を回りましたがちょっと走ると土田さんの知り合いに会って親し気に挨拶、という感じで隣人のことも全然知らないような都会のマンションに住んでいる自分にとってはカルチャーショックでした。これが離島のあたたかさか……!

あづち直売所
住所:長崎県平戸市大島村的山川内281-28
電話:0950-55-2500

 

■平戸で広がる独自の歴史と潜伏キリシタンの文化

さて、的山大島の自然や人のあたたかさに触れたのち平戸港へ戻ってきました。ここからはこの地の歴史についても触れていきます。

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ここ平戸は、こうした日本的な意匠とキリスト教文化が交差する街です

日本国内で各地の大名が領地を広げようと争っていた戦国時代。既に外国との交易が盛んにおこなわれていた1550年にはじめてのポルトガル船が来航、そしてその後宣教師フランシスコ・ザビエルが平戸を訪れてキリスト教の布教をはじめます。当時平戸を治めていた松浦氏は交易の上でも良いとしてキリスト教への改宗を許し、平戸の地でキリスト教は広まっていきます。

 

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平戸ではナチュラルにザビエルがゆるキャラになってるけど、すべてはこの人から始まった

しかし、キリスト教の信仰が広がるなか1587年に豊臣秀吉は宣教師を国外に追放する法令「伴天連追放令」を出します。そしてキリスト教に寛容だった松浦氏の死によって平戸のキリシタンは弾圧され、それまで集落にあった教会堂や十字架も壊されてしまいます。1853年にペリーの来航で鎖国が解かれ、1873年に明治政府がキリシタン禁制の高札をするまで、キリシタンの人々にとっては辛い時代が続きますが、その間もキリシタンの方々はキリスト教を捨てていたわけではなく、各集落や地区ごとに独自の信仰を受け継いでいたのです。そして、その独自の信仰形態が大変興味深いものでした。

 

独自の文化と美しい棚田・春日集落

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春日集落

というわけで潜伏キリシタンの独自の信仰が発展した場所のひとつ、春日集落に来ました。これ全部田んぼです! 綺麗な棚田ですね~。こちらはキリスト教が禁教になった後も独自の信仰文化・信仰組織を維持し、現在に至るまでその集落形態が強く残っている場所です。

 

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訪問時の写真はこちらです

すみません、薄々感じているかもしれませんが先ほどの写真は私が撮ったものではありません。実際は大荒れの天気だったのでこんな感じです。前日の雨で濁ってしまっていて「手抜きした時の弁当か?」ぐらいに画面が茶色い。どれもこれも私が天候に恵まれなかったせいですけど、ここまでひどいのはそうそうないって言っていたんで皆さんは安心してください(強調)。

 

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この日は風強すぎてスナップすら躍動感あふれる写真になっていますからね

ちなみに、禁教時代に仏教を表向きには受け入れながら、キリシタン時代から継続される信仰組織により信仰を継承した人々を「潜伏キリシタン」、禁教が解かれた後もカトリックには復帰せず潜伏時代の信仰形態を継承している人々を「かくれキリシタン」とよんでいます。

 

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春日の棚田

それにしても美しい棚田ですね……。こちらの棚田は少なくとも400年前から作られているのだそうです。

ここ春日では、潜伏キリシタンの方々が棚田を開拓しながら隠れてキリスト教の信仰を受け継いでいきました。

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春日町まちづくり協議会 安満の里春日講 会長の寺田さん

「自分の祖父が潜伏キリシタンだった」という春日町まちづくり協議会 安満の里春日講(やすまんのさと かすがこう)会長の寺田さんにお話を伺いました。

 

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納戸神のレプリカ

案内所には潜伏キリシタンの方々がご神体として信仰した「納戸神(なんどがみ)」のレプリカがありますが、こちらは春日集落で信仰されていたものを元に作られたものです。

寺田さん「かくれキリシタン」の行事を熱心に行うのは私の祖父の代で終わってしまいました。それからはずっと「キリシタン講」っていう集まりがあったんですけど、集まって話をするという程度のものになり、そちらも現在はありません。ですが、私が小さい頃に、私のおじいさんがやっていた信仰を覚えています。春日集落と他集落の信仰の仕方には様々な違いがあります。

人物アイコン_ちぷたそ禁教が解かれて、カトリックに復帰する人もいましたけどここ春日の人たちは「潜伏キリシタン」の信仰の仕方を続けたんですよね? 私はそれが不思議で。なんでなんでしょう。

寺田さんここでは神道や仏教も受け入れてキリスト教を隠れながら信仰していました。反対にその神道や仏教を捨てきれなかったのだそうです。安満岳という山があるんですけど、そこには神社はもちろんお寺も、潜伏キリシタンの祠も残っています。そこを私達は“ヤスマンダケサマ”って呼んでいるんです。

ちぷたそ元々は「潜伏キリシタン」というのはキリスト教を隠れて信仰するためにとった手段だったけれども、その「潜伏キリシタンとしての信仰」が実は自分たちに合っていたんですね。

寺田さん例えば朝起きたら仏さんを拝む、そしてキリスト教の御神体も祀ってありますのでそれも拝んで、外に出て安満岳の方を向いてそこも拝む。仏さんも神さんもキリスト教も、私達はすべて信仰していました。それを皆さんに知ってもらいたい。

めちゃくちゃ興味深い話でした。春日集落の人たちは神道も仏教もキリスト教の信仰も全て受け入れ、独自の文化を形成していったのでした。そしてそんな「潜伏キリシタン」の人々を支えた棚田。これがあるからここの人たちは移住とかすることもなく食べていけたのだそうですが、その中心には開墾されていない小高い山があるのです。そして寺田さんはこちらも聖地だったと考えています。

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丸尾山の頂上と祠

棚田のほぼ中心にある開墾されていない丸尾山。その頂上には祠があり、春日の人々はこの祠と山全体を“マルオサマ”と呼んでいるそう。そちらからの眺めはこんな感じです。美しいですね……。

「潜伏キリシタン」の歴史は、「交易に有利そうだから」という理由からキリスト教の信仰が藩で許されていたものの、いざ信仰が進んでから国の事情で禁教になり、キリスト教を信仰していたというだけで人が殺されたという当時の政情にひたすら翻弄された悲しい歴史で、実際に話を聞くまでは「そんなデリケートな歴史によそ者の自分が首を突っ込んでいいのだろうか」とちょっと悩んでいました。しかし、実際に話を聞いていくなかで「そういう歴史があったということ、そしてそういう歴史がもとで発展した文化もあるということを受け入れて生きている」、そんな印象を受けました。悲しい歴史はなかったことにはできないし、でもそういうものが元で発展した文化もある……。そんな、いろんなことを考えさせられる場所でした。

春日集落案内所
住所:長崎県平戸市春日町166-1
営業時間:8:30~17:30
電話番号:0950-22-7020

 

国指定文化財にも選ばれる美しい田平天主堂

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田平天主堂

潜伏キリシタンの歴史を学んだあとは、明治政府がカトリックの禁教を解いた後、大正時代に建てられた教会堂である田平天主堂を見学しました。ここ平戸にはたくさん教会堂がありますが、この田平天主堂は国指定文化財にも選ばれている、キリスト教への復帰を象徴する美しい教会堂のひとつです。

 

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田平天主堂・教会守のタキシタさん

田平天主堂の案内所で、現在教会守をしているタキシタさんにお話を伺いました。

タキシタさん田平天主堂へようこそいらっしゃいました。この田平天主堂は、黒島と出津(外海)から移住して来た信者が造り上げた移住信徒が始まりです。大正7年(1918年)に建てられまして、今年で100年になります。

人物アイコン_ちぷたそ美しい教会堂とは聞いていましたが、本当に美しいですね……!

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レンガ造りの美しい建造物でした。先ほどの棚田の美しさとはまた別次元の美しさ……平戸にはさまざまな「美」がある

タキシタさん主構造のレンガは英国式に積まれているもので、装飾的な煉瓦壁が意匠的な特徴です。設計施工した鉄川与助の造ったレンガ造教会の中でも最高峰とも言われているんです。

ちぷたそ最高峰……! あと、「教会守」という職業を私は初めて聞いたのですが、タキシタさんは主にどういったことをされているのですか……?

タキシタさん私はカトリックの信者なのですが、教会守としてこちらに来訪される方の案内やマナーについてのお知らせなどをしています。見学にあたっては、いくつかの「見学マナー」を守っていただきたいと思っています。もちろん一般の方が参拝されるのも構わないのですが、田平天主堂は祈りの場ですので、見学をされる際はお静かにしていただくなど信者の方にご配慮いただきたいですね。また、堂内での脱帽、飲食禁止、場所によっては撮影も禁止されていたりするなど、見学者の方々にお守りいただきたいルールもあるので、教会堂を見学される際は到着時と帰るときに、こちらの案内所までひと言お声がけいただければと思います。

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ルールを守って見学しましょう

田平天主堂に行かれる際は教会守の方の話をちゃんと聞いて、信者の方のご迷惑にならないように見学してくださいね。ちなみに教会の見学には事前連絡が必要(https://kyoukaigun.jp/reserve/list.php)となります。

話を伺った後、私は教会堂の敷地を散策していて、あることに気づきました。それは……。

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お墓と教会を望む

長崎のお墓、関東のものとは大分形が違うな、ということ。一見日本風のお墓だけど十字架をデザインしたものなど、関東で見かけるお墓に比べて大分華やかです。こちらの教会堂のお墓に眠るのは、信者の方の祖先のお墓だそうですが、実はここ以外で見かけるお墓も彫ってある文字が金色だったりと目を引くデザインのものが多いのです。長崎ではお墓にこだわり、一基に200~300万かけることも珍しくないんだそうです。意外なところに違いを見出してしまってこれまた面白い……。

田平天主堂
住所:長崎県平戸市田平町小手田免19
見学受付時間:9:00~17:00/ 教会守常駐
※見学の際には事前連絡が必要。

 

■平戸は観光地としてクオリティが高い

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平戸はおいしい

食べ物はおいしいし、温泉もあるし、人はあったかいし、綺麗な建築も楽しむことができる。そして独自に根付いた文化や歴史は知れば知るほど興味深い。

たぶん、上記のうちのどれかひとつ好きな人でも楽しめますけど、複数好きな人は本当に平戸がハマると思います。私がそうでした。平戸は観光地としてクオリティが高いなと思うのですが、食べ物やお酒や歴史をしっぽり楽しむことができる大人のみなさんはより楽しめる場所なんじゃないかと思います。私が平戸に滞在したのは2泊3日という期間でしたが全く飽きることなく楽しめましたし、離れるときは本当に寂しかったです。もっと平戸のおいしい食べ物が食べたいし、興味深い歴史を知りたかった……。よし、また来よう。

 

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平戸はロマン(よく見ると鳥居と祠が見えます)

そうそう、ちょこっと聞いた話で平戸港に浮かぶ無人島・黒子島は国の天然記念物に指定されていて、あまり人間は立ち入らないそうです。その地に祀られている弁財天の清掃のために、年に数回、地域の男性が上陸するのだとか。なんでも「弁財天が女の神様なので、女性が陸に上がると嫉妬するから」という理由で男性が清掃に訪れるそうです(あくまでも云われで、男性のみが島に上陸しているわけではないようですが…)。
こういうちょっと掘ったら出てくる(Wikipediaにも項目がある:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E5%AD%90%E5%B3%B6)話とかもめちゃくちゃロマンですよね!? そもそも平戸周辺は40ぐらい島があるというので他にもこんな話があるのかもしれないよなーと思うとホント……はー、平戸、ロマンすぎて胸いっぱいです……。

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平戸はかわいい

今回の訪問でレトロな街並みや日本っぽさとキリスト教文化が交差する平戸という街がすっかり気に入ってしまいました。平戸市職員ならびに平戸のみなさんありがとうございました。みなさんも、海の幸とロマンいっぱいの平戸に行ってみてくださいね!

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