これぞ有名ライターの底力?!「知らない駅で2時間以内に記事を書き上げる」エクストリーム執筆コンテストやってみた_PR

日本のおもしろWEB業界を代表するライターが一堂に集結!知らない駅に訪れて2時間で記事を書き上げる「エクストリーム執筆コンテスト」で、優勝賞金10万円をかけて争ってもらいました。

玉造で彼女を作ろうと思っていた俺は知らない間に色んな運命を背負ってしまったらしい(ねんまに × 玉造駅)

ラノベのタイトルかよ。

午前11時。JR大阪駅。

とりあえずここに来いと連絡を受けていた僕は、主催者にメールで到着を伝えました。

 

しばらく待つと電話が鳴り、では「玉造駅」に向かってください、という指令が下されました。

まるでスパイ映画のような展開に、僕のテンションも否応なしに高まります。

 

ですが実際には、中年のおっさんが一人でスマホを握りしめてニヤニヤしながら、特に誰かと待ち合わせているわけでもないよく知らない駅に向かっているだけなのですから、ただの不審者感がすごいです。

 

なんでも東京では、参加者一同で集まってから各自が向かうべき駅がその場で言い渡されるという仕組みらしく、その時点で「うおー! 俺、巣鴨かよ!!?(僕の巣鴨に対するイメージが貧困なことによる偏見)」みたいな盛り上がりもあったりして、リア充のイベント感がやばいですが、大阪での参加者は僕一人だけだったため、まるで爆弾テロでも仕掛けに行くようなこんな不気味な絵面が出来上がってしまったのでした。

 

そうして電車で揺られること約15分。

 

っしゃー! 着いたぞ玉造!!

場所がよく分からないという方に説明すると、焼肉やコリアンタウンで有名な鶴橋と、大阪城の間くらいにある駅です。

それ以上のことは、僕にもまるで分かりません!

 

大阪在住の僕ではありますが、そもそも玉造には降りたことがないからです。

ですからここがどんな街で、何があるのかすら一切知らないというありさまです。

 

ですがどういう因果か、今から僕はこの駅に関するテキストを書かなければいけないのです。しかもたった2時間で!

 

冷静に考えるとある種の拷問に近いものがありますが、とにかく周辺を歩き回って撮影した写真を掲載しまくってお茶を濁したいと思います。

 

でもせっかくなので、写真でスポットを紹介するごとに、僕の独断と偏見によるその場所の「恋人ができそう度」をつけていこうかな。

これは、オシャレでモテそうだとポイントが上がっていく仕組みであり、たとえばスタバとかだと星5になります。

 

なんでそんなことをするの?と問われると僕にもよく分かりませんが、皆さんのお役に立つ記事を書こうと意識した瞬間に、たぶんこれしかないと思いついたのです。

 

あと今回は、この若手芸人のロケのような企画内容とは裏腹に、とにかく上品かつオシャレな記事にするようにという指令だったので、「恋人」「できる」というあたかもファッション誌かのようなこの2つのパワーワードを使って、一気にオーダーを満たそうという考えです。

 

そう! これは、玉造で恋人を作るための物語だ!!

 

 

■プロローグ

僕は、蒲郡勇馬(がまごおり ゆうま)。

日本一彼女を作ってみたいと思っている大学生だ。

 

なにしろ高校時代は、受験勉強と気に入らないYoutuberへの低評価工作に明け暮れる日々で、恋人を作ることなんて考える暇もなかった。

だから大学ではそういうことをちゃんとやっていきたい! てか、やらなきゃいけないと思う!!

 

実は既にもう狙っている女子もいる。

大学に入ってまだ2か月ほどしか経っていないのに、その出会いは運命的だった。

 

相手の名前は、宇加野明美(うかの あけみ)! 明美ちゃん!!

 

彼女は他の追随を許さないレベルで容姿端麗、キャンパスを歩いているだけでその姿は絵になった。

しかもそのうえ、大学の敷地内に野良猫が紛れ込んだ時、「きゃー! かわいいー!」なんてことを抜かしている他の女子をしり目に、彼女は無言でその猫の首根っこを掴んで外に追い出し、「ここは勉強をする場よ。動物園じゃないわ」と言い放つ冷徹さも兼ね備えていた。

それはまるで、自分の腕にたかった蚊を間髪入れず叩き潰すかのような無表情で!

 

それを見た瞬間、僕は一発で彼女に恋に落ち、それ以来明美ちゃんと絶対付き合いたい、と心に決めているのだった。

 

だけど意を決してそのことを伝えた僕に、彼女は言ったんだ。

 

「本来なら貴方は、私と話すことすらおこがましいレベルの存在よ」

 

この言葉には納得だった。

何しろ相手は、誰が見ても好きにならずにはいられないような大学のアイドル的存在。

 

一方僕のアピールポイントと言えば、人より少し優しいことくらい……。

具体的には、SNSで炎上しそうな発言をしている人を見つけて事前に警告して回る、というのを日課にしていたりするが(たいていはなぜかブロックされる)、所詮はその程度の平凡な男だった。

 

「でも、そうね。貴方がどうしてもと望むなら、考えてあげないこともないわ」

 

「どうしてもです!! どうしてもなんです!!」

 

僕は激しく首を縦に振り、明美ちゃんは預言者のように告げた。

 

「だったら、この街――玉造に力を借りなさい。この街と貴方が一体となることができれば、あるいは奇跡を起こすことができるかもしれないわ」

 

「街に力を借りて一体となる……!?」

 

それって一体どういうこと!?と騒ぎ立てようとする僕に素早くビンタをくれ、容赦なく黙らせてから明美ちゃんは言った。

 

「これから毎週ひとつ、あなたが素敵だと思う玉造のスポットに私を連れて行きなさい。それが本当に素敵な場所なら私の心も動くかもしれない」

 

え……そんなしがないWebライターのようなことを?!

 

喉元まで出かかった言葉を、僕は何とか抑え込む。

 

僕たちの住むこの街、玉造は、確かに僕らにとってのホームグラウンドのような場所だった。

だけどだからと言って、そのスポットを毎週ひとつずつ君に紹介するだなんて、わけが分からない! 分からないよ明美ちゃん!!

 

けれどもう、僕の心はとっくに決まっていた。

たとえ意味不明な要望だとしても、それで明美ちゃんと恋人になれる可能性があるのなら、ただやるだけだ!!

 

「やるよ明美ちゃん!!」

 

こうして僕は、毎週明美ちゃんをこの街のどこかに連れ出すことになったんだ。

 

 

 

■ビエラ玉造

「なにこれ、ただの電車じゃーん? って思いました?? でもこれ、なんとお店になってるんです!!」

 

このユニークな造形は玉造の誇るランドマークであり、初めてこの街に来た人たちだったら盛り上がること間違いなしのスポットだ。

 

だけど玉造の住民からすると、ここはあまりにも身近な場所だった。

 

「もう知ってる」

 

そう言って明美ちゃんは、1階のセブンイレブンで綾鷹を買っていた。

 

恋人を作れそう度:★★☆☆☆

 

 

 

■炭火肉酒場 肉まる

「見てくださいよ明美ちゃん。なんとレモンサワーが15種類もあるんです!」

 

興奮した面持ちで言う僕に、明美ちゃんは少々戸惑っているようだった。

 

「サワーが15種類じゃなくて、レモンのやつだけで15種類もあるんですよ! これは科学の進歩が見せる奇跡では?!」

 

結局2人でウーロン茶を飲んで帰った。(未成年なので)

 

恋人を作れそう度:★★☆☆☆

 

 

 

■Sakura鍼灸接骨院

「どうですか。アットホームな職場ですよ」

 

兄貴たちが肩を並べていい笑顔で写っているのが気に入って、素敵スポットとしてこの場所に明美ちゃんを連れてきたのだった。

凄まじい力でぐいぐい押してくれそうだし、効果も高そうだ。

 

ただ、受付の人が物凄い目でこちらを睨んでいる。

おそらくこの写真の中の人だと思うんだけど、同一人物とは思えないくらい殺気がすごい。

 

僕は明美ちゃんを連れ、早々にこの場を立ち去った。

 

恋人を作れそう度:★☆☆☆☆

 

 

■栄寿寺

「ここはちょっとすごいですよ」

 

僕はお寺に明美ちゃんを連れてきていた。

 

「なんていうか、お寺の概念がおかしくなっていまして」

「なんかもう家なんです。しかも、都会に無理をして一戸建てを建てた人の家みたいな」

 

「都会は土地が高いからね」

 

始めて明美ちゃんと意見が合った気がした。

 

恋人を作れそう度:★★★☆☆

 

 

■David

「Davidです」

 

なにこれ……という顔で明美ちゃんは無言になっていた。

 

「わかんないですが、Davidらしいですね」

 

Davidの立派なモノに明美ちゃんは多少の恥じらいを持ったようだった。

彼のおかげで僕は、合法的に明美ちゃんの赤面する表情を堪能できたのだった。

 

かつては、焼肉に2人で行く男女は、高確率で特別な関係になっている可能性が高いという俗説があったと言う。

だとすれば、Davidを2人で見に行く男女の関係は――?

 

ここまで来たら、明美ちゃんと結ばれる日は近い気がする。

 

恋人を作れそう度:★★★★☆

 

 

 

■玉造稲荷神社

そうしてあっという間に1年近くの月日が流れた。

1週間に一つ、この街のスポットを紹介して、今日が記念すべき50個目だった。

 

いい加減恋人になりたいという思いはあったが、こうして毎週明美ちゃんをどこかに連れ出すことが、いつの間にか僕にとってかけがえのない時間になっていた。

 

二人でしばらく無言で境内を歩く。

その時、石碑の前で明美ちゃんが立ち止まった。

「ねえ、これを見て」

 

そこには、玉造稲荷神社の由緒が書かれていた。

 

「何か気づくことはない?」

 

まるで謎かけのように、明美ちゃんが言った。

 

石碑をじっくり最初から最後まで何度も読み返し、明美ちゃんが何を言おうとしているのかを考える。

だけど、いくら読んでも何も分からない。だってここに書かれているのは、遥か昔の出来事と、祀られている主神は、「宇迦之御魂大神」というらしいってことぐらい……あ、いや、待てよ!?

 

ハッとして僕は、明美ちゃんの苗字を思いだす。

 

明美ちゃんの苗字は宇加野(うかの)……。宇加野明美。

 

そして、主神の名前は宇迦之御魂大神(うかのみたまのかみ)。

これって、これってまさか?!

 

「そう、私はこの神社の主神。ずっとこの街を見守ってきた存在。貴方はこの街を全力で愛してくれた――。今度は、私が愛する番ね」

 

「そ、それじゃ!?」

 

「来なさい」

 

 

 

■サンヴィレッジ玉造(ホテル)

恋人を作れそう度:★★★★★

 

~Fin~

 

 

という感じで最後は玉造一のラブホテルの写真を載せて終わりたかったのですが、玉造にはなんとラブホテルはありませんでした。

なので、代わりにバックパッカーたちが泊まるドミトリー的なホテルを載せさせていただきましたが、相部屋らしいですし、いかがわしい行為をしたらまじめに怒られると思います。

 

結論としては、毎回デートに誘うのが玉造内のスポットだと永久に恋人は出来ないと思うので、普通に他の地域も活用してください。

でも、ちょっと走り回っただけでもバラエティに富んだ様々なスポットがあって面白い街だったので、皆さんもぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。それではさようなら。

 

【編集部補足】大阪環状線「玉造」駅周辺のおすすめスポット】

玉造は、真田幸村こと真田信繁が築いた「真田丸」が存在したと言われているエリア。周辺の飲食店では幸村公にちなんだ特別メニューが提供されている。

駅の南には昔ながらのアーケード街・日之出通商店街がある。下町の雰囲気を感じることができる、散策に適したエリアだ。

=====

 

彼女作りたいなら梅田とか難波とかその辺行けよ。

僕、大阪出身なんで玉造駅は知ってるんですけど、さすがにこの観点で見た事は無かったですね。新しいな~。小学校の頃、この玉造駅にあった塾に通ってたんですよ。

えっ、なんて塾ですか?阪神受験研究会?

あ、そうそう。それです。

えー!僕も通ってましたよ!玉造の駅に!懐かしいな~。ってか大北さんと僕って同い年じゃないですか(38歳)。一度、阪神受験研究会で、授業中に前の席に座ってるやつを後ろからメリケンサックでぶん殴って、開塾以来初めての退塾処分になったやつが居たの覚えてます?

あー、どうだろ!なんかそういうのあったような気がするな……!

それ、ぶん殴られたの僕なんですよ。僕もさすがにメリケンで殴られたとは思ってないからそのまま取っ組み合いのケンカになったんですけど、頭から大量出血してそのまま病院に運ばれました。

大阪の治安はどうなってるんだ。

よし、これで全員出そろいましたね。あとは審査員がどういう判断を下すか……。結果を待ちましょう!

頼む頼む頼む~!マンションのローンがあるから……。

僕も娘を塾に……。

うわぁ、言ってる事に全然夢がない……。

 

【審査員のコメント】

皆さん、力作を作って頂いてありがとうございます。最初に企画を聞いた時は「二時間で本当に書けるのか?」と危惧していましたが流石にプロの皆さんですね。駅の魅力が発信できているかはどうかは置いておいて、どれも素晴らしい作品でした。僭越ながらSPOTの事業責任者として優勝作品を選ばせて頂きたいと思います。ただし、ヨッピーさんの作品を受賞させると間違いなく色んな所から怒られると思うので、真っ先に失格とさせて頂きました。
その上で「patoさんの作品が最高だな!優勝はこれしかない!駅メモ!のPRもふんだんにして頂いてるし!」と思ったのですが、原宿さんのコメントのせいで「これを優勝させるとイメージが悪化するな」という大人の判断もあり、patoさんの作品を受賞させる事も難しくなってしまいました。

その上で厳正なる審査の結果、優勝作品は……、

大北さんの作品とさせて頂きます!

 

おめでとうございます。娘さんをメリケンサックで後ろから殴られない塾に入れてください。

【審査員のコメント】

どれも甲乙つけがたかったのですが、大北さんの作品は、街を歩いて切り口を見つけ、街の人にもちゃんと話を聞いて記事に落とし込む、というライターさんにとって大事な要素がすべて詰まったお手本のような記事でした。「行ってみたくなる」という趣旨にも一番合致しているような気がします。インディーズ和幸、私も食べたくなりましたから。おめでとうございます!

*  *  *

ということで「知らない駅へ行く楽しさ」、皆様にも伝わりましたでしょうか…!

「駅メモ!」をプレイしていると、きっとあなたも知らない駅に出かけたくなります。

出かける理由が見つからない時でも「駅メモ!」のチェックインをするために、旅に出るのも面白いかもしれません。

皆様も是非「駅メモ!」を使って、知らない駅に出かける楽しさを味わってみてくださいね!

 

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