青春18きっぷで日本縦断。丸5日間、14,150円で最南端の鹿児島から稚内まで行ってみた[PR]

青春18きっぷを使い日本を縦断した記事をお届け!今回の旅では、旅の記録にアプリ「駅メモ」を使用。実際に行った駅全てでチェックインし、使用した鉄道のルートや、所要時間、料金まで細かくレポートいたします。青春18切符で日本縦断をする中でも、最短の「5日間」で達成したその記録をとくとご覧ください。(読了時間目安 : 30分)

4日目

5:48 青森(青森県)

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早朝の青森駅よりおはようございます。見事な快晴です。まさに北海道上陸日和ですね。

 

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連日「終電→始発」コンボを決めると、なんだか魂の総量が著しく減少したような気がするものです。さて、3日間かけて青森までやってきたわけですが、もうね、はっきり言って楽勝でしょ。だってあと2日間丸々残ってるんですよ。この2日間で北海道に上陸して稚内に行く。これもう勝ったようなもんでしょ。

いくら北海道が広大だって言っても、所詮は1つの都道府県ですからね。丸二日かけて行けないはずがない。こりゃもう気楽なものですよ。

ということで、ここから北海道へと渡るわけですが、ここ青森から北海道に渡る方法は大きく分けて2つあります。まず一つは、フェリーです。津軽海峡を渡るフェリーに乗って函館へと行く方法です。

そしてもう一つが、青函トンネルを通る列車に乗る方法です。現在、青函トンネルは北海道新幹線と貨物列車専用となっているため、この手法をとるには北海道新幹線に乗る必要があります。

さて、この旅は「青春18きっぷで最南端の駅から最北端の駅へ」という、誰も得しない企画なわけですから、当然ながらフェリーにも乗れませんし、北海道新幹線にも乗れません。あくまでも青春18きっぷで移動しなければなりません。じゃあどうしたらいいのか。

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そこで登場するのが、この編集部からもらった切符に含まれていた「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」です。ついにこいつの出番がやってきた。

これは、「ん?お前らもしかして青春18きっぷで北海道に渡れねえのか、しゃあねえな、じゃあ青函トンネルの前後だけ北海道新幹線に乗っていいぞ、2,300円な」という大変慈悲深い切符なのです。これを使えば北海道に渡れてしまいます。しかもちゃんと「18きっぷ」と謳われているのでルール違反にもならない。大変素晴らしいものなのです。

ただし、このオプション券、新青森から新函館北斗まで乗れるわけではありません。それくらい乗せてくれてもいいと思うのですが、本当に青函トンネルの前後だけ、「奥津軽いまべつ」から「木古内」までしか乗せてくれないのです。

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当然のことながら、まずはこの奥津軽いまべつ駅まで普通列車で行かねばなりません。今日の旅はそこからスタートです。

 

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4日目のスタンプを押してもらう。けっこうどの駅でも雑に押してることが分かるバラバラ具合。

 

6:15 津軽線 蟹田行き

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この列車にのって青森よりさらに北、青函トンネル手前の駅を目指します。

列車は2両ほどで乗客もまばらでしたが、一番前に剛の者っぽい人が陣取っており、なぜか運転手にくっそダメだしをしてました。

「おいおい、スピード出し過ぎなんちゃうん?」

「え?ブレーキはやくない?」

「俺が運転すれば4分は縮められるわ」

ってずっとブツブツ言ってて執念みたいなものを感じました。最後のセリフは、列車でタイムアタックされても困るわ、ダイヤ通りに行ってくれ、としか思えませんでした。

僕のイメージとしては青函トンネルって青森駅からすぐの場所にあると思ってたのですが、現実的には結構北の方からトンネル入りするらしく、思った以上に列車に乗る時間が長かったです。

 

6:58 蟹田(青森県)

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チェックインした駅
 青森、新青森、油川、津軽宮田、奥内、左堰、後潟、中沢、蓬田、郷沢、瀬辺地、蟹田
 [12駅/累計12駅/移動距離27km]

何もない駅ですが、ここで乗り換えてさらに北上します。

 

7:07 津軽線 三厩駅行き

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この列車に乗り換えるわけですが、ほとんど乗客はいませんでした。昨日あれだけいた18きっぷ能力者の姿も見えず、みんな18きっぷで青森まで行って終わりなのかな、北海道には行かないのかな、と少し寂しい気持ちになりました。

 

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途中、ヘリで農薬を散布しているところに出くわす。なんかかっこいい。

 

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そうこうしていると、上の方に新幹線の駅らしき物が見えた。ついに到着した。ここが青函トンネル直前の駅だ。

 

7:31 津軽二股(青森県)

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チェックインした駅
 中小国、大平、奥津軽いまべつ、津軽二股
 [4駅/累計16駅/移動距離45km]

本当に何もない山に囲まれたような場所で突如として新幹線駅が登場してくるからビックリする。

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駅を出ると、謎の入り口みたいなものがあり、そこからの通路を歩いて行くように指示される。突如として近代的な新幹線駅「奥津軽いまべつ」が登場してくるので未来世界にタイムスリップしたような錯覚に陥る。

 

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左が「津軽二股駅」、右が新幹線「奥津軽いまべつ駅」空中通路で結ばれている。

 

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大谷翔平選手の顔出しパネルがお出迎え。これ、左の駅員さんのところはともかく、中央の新幹線の窓のところは何を想定して開けてあるんだろうか。ここから顔出す人いるのかな。運転手になった気持ちになるのかな。

 

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オプション券にもスタンプを押してもらい、いよいよ新幹線ホームへ。ついに新幹線に乗れてしまう。18きっぷで新幹線に乗れてしまう。やはり18キッパーにとって新幹線ってもう別世界の乗り物ですからね。どちらかというと宇宙を旅する銀河鉄道に近い。そんな文明の利器に乗れるって言うんですから、自然と胸が高鳴ります。そして、ついに北海道上陸、様々な気持ちが入り乱れながら新幹線ホームへと出ました。

 

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ホームせまっ!

新幹線のホームだというのに、一人が通るのがやっとくらいの狭いホームが現れました。おまけに上りと下りの2つのホームしかないのに11番ホームと12番ホーム。この辺はたぶん、ここが駅としての機能よりも青函トンネル前の待避駅としての機能に期待されていることに起因していると思うのですが、詳しい説明は剛の者の人に期待するとしましょう。

このくっそ狭いホームで新幹線の到来を待ちます。

 

8:13 北海道新幹線 はやて93号 新函館北斗行き

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なんかきたーーー!文明の利器きたー!

もうすげえな、新幹線。オーラが違う。圧倒的な存在感がある。子供の頃に地元の体育館に全日本プロレスが来て、そこで初めてブッチャー見た時のような感動を味わってる。全身に鳥肌たったわ。

「へへっ、あっしのような貧民が本当にこんなのに乗ってもいいんですかね」

とかよくわからないことを呟きながらついに新幹線に乗り込みました。

ちなみに北海道新幹線は全車指定席なのだけど、このオプション券は空いている席に勝手に座っていいらしい。大変慈悲深い。尊い。

静かに新幹線が動きだし、あまりの振動のなさと音の静かさに、本当にこれは動いているんだろうかと何度も周りを見返した。

とにかく新幹線はすごい。速い、静か、シートフカフカ、おまけに電源までありやがる。これは完全に貴族とかそういう人の乗り物だろ。あまりの快適さに今までの旅は何だったのだろうという想いが浮かんでは消え、あっっっっっというまに北海道上陸を達成した。

 

8:50 木古内(北海道)

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チェックインした駅
 津軽浜名、今別、木古内
 [3駅/累計19駅/移動距離106km]

新幹線は何の躊躇もなく函館に向かって行ってしまわれた。我々貧民はこれ以上の乗車は許されていないので、ここから地道に函館を目指さなければならない。

さて、ここ北海道の下端にある木古内から函館までの経路、どうやらまたもや第3セクターの魔の手によって断絶しているらしい。北海道新幹線の開業により、木古内から函館方面は三セク化され、道南いさりび鉄道というものになったようだ。基本的に青春18きっぷでこれに乗ることはできない。ここにきてまたもや三セク問題に直面するのである。

しかしながら、もういちどあの新幹線に乗れたオプション券を見てほしい。

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しっかりと、「奥津軽いまべつ-木古内の間の新幹線に乗っていいで」という文言の下に「木古内―五稜郭間なら道南いさりび鉄道に乗ってもいいで」と書いてある。つまりこのオプション券は北海道に渡るために新幹線に乗っていいし、函館まで行けないのも困るだろうから道南いざりび鉄道にも乗っていいぞ、というたいへん慈愛に満ちた切符なのである。まさか魔境とまで罵った三セク鉄道に18きっぷで乗れるとは。

 

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道南いさりび鉄道の木古内駅は新幹線駅のすぐ隣にあって、調べてみると次の函館行きは1時間半ほど待ち時間があるらしい。これは駅周辺を探索するしかない。

 

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ここ木古内駅は駅直結の道の駅があるらしい。なかなか珍しい。鉄道の駅にある道の駅ってなかなかややこしいなと思いつつ、そこに行ってみることに。

 

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道の駅に入ると顔出しパネルがお出迎え。すげえ躍動感だ。基本的に顔出しパネルって「静」であることが多いと思うんですけど、ちょっとここまでの躍動感は記憶にないな。なんかすげえ。

 

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周辺の地図をみる。どうやら海が近いっぽい。

「海がみてえな」

僕はそう呟いていた。ここ4日間ばかり列車の車窓からノイローゼになるくらい海は見たけど、立ち止まって海を見ていない。海が見たい。とにかく見たい。時間も結構あるし、海を見に行くべきじゃないだろうか。ただ、地図を見ると海まで近いとはいっても歩くと結構な距離がありそう。どうしたものかと思案していると素晴らしいものを発見した。

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レンタルサイクル。ここ道の駅では3時間500円で自転車を貸してくれるらしい。これに決めた。これ借りて海を見にいく。

 

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うおおおおおおお、俺は自由だああああ!

自転車という翼を手に入れ、一陣の風となった僕は木古内の街を駆け抜けた。

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海ちかっ!

2分ほど走ったらすぐに海に出てしまった。これなら歩いてこれたな。自転車借りる必要なかった。

しかもあれほど熱望したにも関わらず、実際に海に来てみると「うん、まあ海だね」くらいの感想しか出てこない。何がしたかったんだ、僕は。

せっかく500円も出して自転車を借りたんだし、まだまだ次の列車まで時間があるし、こうなったら海とは反対側にあった神社を見に行こう、そうしよう、と自転車を漕ぎ始めた。

再度駅に舞い戻り、自転車を持って駅の反対側に行くには結構な大回りをしなければならないと知り、借りるんじゃなかったと後悔しながら神社を目指す。

うおおおおおおお、俺は自由だああああ!

とにかく自転車を爆走させる。そして。

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どこここ?

道に迷った。そうだよな、そうだよな。そりゃ道に迷うよな。ここまでの4日間、文字通り敷かれたレールの上を辿る旅をしてきたわけですよ。そんな僕が突然自由になって、足元のレールを奪われたらどうしていいか分からず道に迷うってもんですよ。こういうのって人生に通じるものがある。

それでも諦めずに神社を探していると、

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転んだ。

幸い、自転車に傷はつかなかったんですけど、足からむちゃくちゃ血が出る状態に。もういい神社はもういい、半泣きになりながら駅へと舞い戻りました。自転車なんか借りるんじゃなかった。

さらに道に迷いながら駅を目指してると、雨が降ってきた。もうめちゃくちゃ。自転車なんか借りるんじゃなかった。

 

10:13 道南いさりび鉄道 JR直通函館行き

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これが道南いさりび鉄道の車両。なんかキラキラしている。新幹線からの乗り換えの客がけっこういた。隣のボックス席に大学生っぽい男女が座ってて、雰囲気は帰省してきたっぽい感じだったのだけど、その会話が興味深かった。

「すごいよね。大学っていろいろな人がいる。ところで大学で友達できた?」

ショートカットで活発そうな女性がそう言った。この会話から察するに、二人はカップルかと思ったがそこまで深い仲でもないらしい。ただ地元が同じで別々の大学に進学した。その最初の帰省なのだろう、示し合わせたのか偶然なのか知らないが、二人は一緒に故郷への途についた。そこでの会話だ。心配そうに尋ねる女性に対し、男は真面目に答えない。

「いやさ、大学の大ってなにが大なのかって話よな」

なんだか茶化しながら女性の質問をはぐらかしていく。

「わたし心配なんだ、君は誤解されやすいところあるから。ちゃんと自分の考えを伝えなきゃダメよ」

真剣に話をする彼女に男は真剣に答えない。

「でもさ、大学でウンコしても高校ほど冷かされないからそこは助かってる。そういう意味で「大」なのかな。なんちゃって」

僕もそういうところがあるので彼の気持ちは良く分かるのだけど、さすがにふざけすぎだろ。彼女が心配してくれてるんだから真面目に向き合ってあげればいいのに、とか思った。

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窓の外から綺麗な山が見えた。位置関係から考えるにあれが函館山なのだろうか。思ってたより大きい。あの上から函館の夜景を見たりするんだろう。

函館が近くなってくると、先ほどの男女の会話がヒートアップしていた。あまりに茶化す男の態度に女性の怒りが爆発したようだ。

「昔から言おうと思ってたけど、真面目な話をしてる時は真面目に向き合いなさい。照れ隠しでそうやってるんだろうけど、あなたという人間を知らない人が見たらあなたはふざけた人間だって思われちゃうよ。それって損なことだと思わない?」

って感じですごい説教されてて、男もけっこう堪えたのか「ごめん」と謝ってたけど、なんか僕まで怒られてるような気がしてきて「ごめん」って謝ってた。また危ない症状出てきてるな。

 

11:14 函館(北海道)

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チェックインした駅
 札苅、泉沢、釜谷、渡島当別、茂辺地、上磯、清川口、久根別、東久根別、七重浜、千歳町(北海道)、五稜郭、函館
 [13駅/累計32駅/移動距離146km]

青森から函館までまるまる5時間くらいかかったのかな。ここまで時間がかかるとは思わなかった。

改札を出たところで案内のおばちゃんが二人くらいいて「何か困ったことはありますか?」って聞かれたので「さらに北まで青春18きっぷで行きたいんですけど」と助けを求めたら、複数人がかりで必死に路線や時刻表を調べてくれた。なんでも何個か路線があり、いろいろ調べてもらった結果、3時間後の列車に乗るのが一番効率が良いらしい。うむ、3時間待ちか。やはり北海道のスケール感はすごいな。

ちなみに、北海道入りして気づいたのだけど、北海道の駅員さんはあまり18キッパーに慣れていないような気がした。北海道には本州ほど18キッパーがいないんだろう。僕もここまで同じ能力者を見ていない。

青森から函館まで5時間かかったことからも分かるように、18きっぷのみで北海道-本州を移動することはなかなか難易度が高い。だから北海道内ではあまり18きっぷが使われないんじゃないだろうか。

とにかく3時間待ちだ。函館観光で時間を潰すことにし、さっそく函館駅前の朝市みたいな場所を訪れた。

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「兄ちゃん、メロン食うか、メロン。切ってやるから待ってろ」

いきなり店の人に話しかけられる。どうやらメロンを試食させてくれるらしい。

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試食とは思えないくらい食べさせてくれる。北海道のスケール感はすげえな。

 

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こういう感じの市があって、活気があってなかなか面白い。

先の方に人だかりを発見したので行ってみる。

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活イカ釣堀に長蛇の列ができていた。どうやらみんなイカを釣りたいらしい。30分待ちとのことなので列の最後尾に並んでみる。並んでみて気が付いたのだけど、待ってるのカップルしかいない。僕以外、全部カップルで、

「イカ釣りとかドキドキしちゃう。こわいよー」

「こわくねえよ、俺がさくっと釣り上げるさ」

「きゃー素敵」

みたいな会話を平然としてやがる。

恋愛占いが良く当たるって評判でカップルがクソ並んでるところに単独で並んでるようなバツの悪さを感じながら30分待った。いよいよ僕の順番だ。

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イカ釣りチャレンジの前にお買い物券が当たるくじ引きをさせられる。なぜか箱がおそ松さん。イカとの関連性は一切不明。市場内で使える100円の金券が当たった。

 

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いくぜ。

ちなみにこのイカ釣り、一人しかプレイできないので釣る時は周りを取り囲んで並んでいるカップルに物凄い監視されながらチャレンジしなくてはならず、無言のプレッシャーみたいなものがある。みんなカップルなのにあのオッサン一人だぜ、クスクス、たぶん18きっぷで来たんだぜ、みたいな冷ややかな視線に耐えながら釣らなければならない。

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うおおおおおお、釣れたーーー!

ちなみにイカも釣られまいとむちゃくちゃ抵抗して、上げた瞬間は大抵、水や墨を吐き散らかす。僕が釣り上げたこのイカもすごい元気に水を吐き出して抵抗しましてね。僕もちょっと動揺してしまってオロオロと竿を持ったまま右往左往していたら結果として監視しているカップルたちにむちゃくちゃ水をかけていました。決して故意ではないんですけど、なかなかのスプラッシュだった。

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釣り上げたイカは、その場でプロっぽい人が捌いてくれる。

 

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すごいな、まだ足とか動いてる。身はしまっててプリプリ、わっ!とても新鮮でおいしいです。すごいなここだけグルメレポートの記事みたいだ。本当はこういう記事を書きたかったんだ。最南端から最北端とか苦行みたいな記事が書きたかったわけじゃないんだ。物食ってレポートしたいだけなんだ。

 

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けっこう本格的に雨が降ってきて、傘を持っていないから大変だった。もうずぶ濡れ。

 

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塩ラーメンとかを食べたりして、函館の街を満喫していたらあっという間に3時間が経過し、列車に乗ることに。なんかすごい久々に乗る感じがする。

 

14:30 函館本線 長万部行き

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どうやら196分くらい函館駅で足止めを喰らっていたようだ。基本的に北海道内は特急列車をメインにダイヤが組み立てられているので普通列車はかなり追いやられてしまっている。本州に比べて3ランクくらい18きっぷの難易度が上がってるような気がした。

 

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列車は海沿いを走っていく。この景色を眺めながら北海道は雄大だなーとか思わず呟いていたのだけど、ハッと気が付く。この画像のレベルの景色なら別に日本中どこでも見ることができる。北海道だからと言って全ての景色が雄大で特別だと思ってはいけないのだ。あやうく北海道のレトリックに引っ掛けられるところだった。「普通の景色だなー」と呟くのが正解だ。

前述したように、北海道の鉄道は特急社会だ。つまり、特急が止まらないようなレベルの駅になるとそりゃもう悲惨である。

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ガチで駅舎がこのレベルになってくるので恐ろしい。駅の向こうに何もないような気がするんですけど、一体どうなってるんでしょうか。

恥ずかしながら、ここにきて初めて気が付いた事実がある。ここまで4日間、狂ったようにチェックインを繰り返して駅をゲットしてきた位置ゲームアプリ駅メモであるが、実はこれ、たぶん廃止された駅も取れる。

たまたま窓の外を見てたら、朽ち果てて明らかに廃止されたであろう駅が見えたのだけど、チェックインしたら取れた。

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駅メモは「ステーションメモリーズ」から来ていて駅の思い出を集めるというコンセプトのゲームだ。つまり、廃止された駅だってきっと思い出がある。だからあるものとして扱うよ。ということじゃないだろうか。なかなか粋なことするじゃねえか。

もしかしたらだけど、ものすごい昔に廃止されて今は駅どころか線路があった形跡すらないような場所でも、チェックインすると聞いたこともないような駅を取れるかもしれない。そこには駅の思い出がきっとあったのだろうから。

ちなみに、この函館―長万部の間の普通列車、僕は完全に舐めきっていたのだけど車内放送の到着時刻を聞いていると、どうやら3時間30分くらいかかるらしい。3時間待って3時間半乗車、北海道のスケール感すげえ。

函館でメロン食ったしイカ食べたしラーメンも食べたとは言っても、完全に空腹に襲われちゃいましてね、長万部に着く直前には疲労困憊、空腹、とまあ、とにかく早く何かを胃に押し込みたい気持ちに駆られていたんです。

長万部がどの程度の駅なのかはわかりません。大舘みたいに駅前に魔界の闇が広がってる可能性だって否めません。もしかしたら何も店がないかもしれない。そしてなかなか雨降ってるので、できればあまり出歩きたくない。けれどもね、僕には秘策があったんですよ。

ちょっと前に、少し離れた場所に座ってる地元の高校生と思わしき女の子が友達とこんな会話をしていたんです。

「ダイエットしてたんだけど、どうしても甘いものが欲しくてキオスクでお菓子買っちゃった」

この会話が意味するところが分かりますか。キオスクとは完全に駅の売店。彼女が乗ってきてここに至るまでにキオスクがありそうな駅など存在しなかった。あとは長万部駅につくだけ。この事実から導き出される答えは一つ。彼女がお菓子を買ったのは長万部駅のキオスク。つまり長万部駅にはキオスクがある。つまりすぐに食料を買える。ということです。

うおおおお、やるじゃねえか長万部!待ってろ長万部駅!

 

17:51 長万部(北海道)

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チェックインした駅
 函館駅前、桔梗、大中山、七飯、新函館北斗、仁山、大沼、池田園、大沼公園、流山温泉、銚子口、鹿部、渡島沼尻、渡島砂原、掛澗、尾白内、東森、森(北海道)、桂川(北海道)、本石倉、石倉、落部、石谷、野田生、山越、八雲、山崎(北海道)、黒岩、北豊津、国縫、中ノ沢、長万部
 [32駅/累計64駅/移動距離287km]

僕は改札を駆け抜ける一陣の風となった。

キオスク。腹減った。キオスク。腹減った。うおおおおおおおおおおおお!

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こんなことってあるか!?

長年ご愛顧されたキオスクが昨日で閉店ってありえるの?これドッキリじゃないの?

とにかくないものは仕方ありません、幸いにも次の列車を調べると2時間くらいの待ち時間があるっぽいので雨の中長万部の街に繰り出します。

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駅前はなかなかの雨。そしてなかなかの何もなさ。食料もそうだけど、傘を買わないといい加減、限界だ。なんとか店の軒先みたいな場所を渡り歩いて雨を凌いでいく。

途中、雨宿りしてるのにすげえ濡れるなと思い上を見ると

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全く意味がない。

 

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駅からしばらく行った場所にスーパーがあり、そこで半額弁当みたいなのを購入してイートインコーナーで食べたのだけど、傘は売ってなかった。

 

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隣にドラッグストアもあったけど、傘は売っていなかった。北海道の人は傘を使わないのかな。傘という文化がないのかな。

 

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知らない街の夕暮れ、そして雨、これらは妙に寂しい気持ちにさせてくれる。心の中のおセンチな部分がギュッと締め付けられるような気がして妙に寂しく孤独な感じがする。僕はこの世の中に一人ぼっちなんじゃないんだろうか。道行く人に僕の姿は見えているんだろうか、そんな気持ちになってくる。

男は街を彷徨い歩いた。雨に打たれ、体が冷えてきた。寒い。もう心が折れそうだ。だめだ。もう東京に帰りたい。くじけそうになった時、目の前に赤い明りが見えた。

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これは……!?エルドラド?

湯気の匂いがした。まさかと思い、水たまりを飛び越えて駆け寄る。

「長万部温泉 日帰り入浴可」

うおおおおおお。窮地に追い込まれた時に日帰り温泉に遭遇すると完全に神に愛されている気がするな。しかも源泉かけ流し。最高だろ。

長万部温泉ホテル
入浴料 大人440円
ナトリウム塩化物泉
効能
神経痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、慢性消化器病、筋肉痛、神経痛、婦人病、冷え性、疲労回復、切り傷、やけど
http://www16.plala.or.jp/onsenhoteru/spabath.html

これはもう完全に生き返った。さらに先へと進んでいく気力みたいなものがみなぎってきた。いくぜ!

駅へと舞い戻り、奇しくも前日その長い歴史に幕を閉じたキオスクに長い間お疲れさまと声をかけ、次の列車を待つ。気力みたいなものが完全にフルチャージになってる。

 

20:00 函館本線 小樽行き

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車内放送によると、小樽まで3時間くらい乗車するらしい。3時間待って3時間乗車、2時間待って3時間乗車、と完全に北海道のスケール感だ。それでも温泉に入れたので、体の軋みみたいなものも解消され、精神的にもリラックスできていたので、危険なメンタルに陥ることもなかった。車内の乗客は全員寝ていた。

途中、「比羅夫」という駅に到着する前に車内放送が流れて「次の比羅夫には交通機関が一切ありません。何もあてがない人は降りないでください」とか言ってて、すごいこと言うなって思ってたけど、冬だったら凍死とかの危険があるからこういうアナウンスがあるんだろうなって思った。

 

22:50 小樽(北海道)

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チェックインした駅
 二股、蕨岱、熱郛、目名、蘭越、昆布、ニセコ、比羅夫、倶知安、小沢、銀山、然別、二木、余市、蘭島、塩谷、小樽
 [17駅/累計81駅/移動距離407km]

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乗り換え時間があまりないので駅から出るわけにはいかないが、小樽駅ではちょっとレトロな雰囲気を演出している一角がホームにあった。なかなか雰囲気が良い。

 

23:10 函館本線 岩見沢行き

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さて、おそらく本日最後の乗り換えである。この列車は札幌駅を通り抜けて岩見沢という場所まで行くようだ。北海道は大きな誤算であった。青森にいた時点であと2日残して北海道を縦断するだけ、楽勝だろうと宣言したが、そうではなかった。

特急列車がメインストリームである北海道内は18きっぷに取って苦境である。待ち時間も長く乗車時間も長い。丸1日かけてやっとこさ札幌に到達した。つまり、明日もかなりの待ち時間が予想される。できればなるべく先に進んでおきたいところだ。

しかしながら、終着駅は岩見沢である。決して岩見沢のことを悪く言うつもりはないが、どうせしょぼい街なんでしょ? 下手したら電源の確保すらままならない可能性だってある。そんな岩見沢に賭けるよりも、その手前の札幌で今日の旅を終えるべきではないだろうか。うん、そうだ。そうしよう。ということで札幌で4日目の旅を終えることとした。

明日は札幌から稚内への移動である。たぶん、僕の予想では稚内に行く列車が異常に本数が少なく、終電が早い。たぶんギリギリだ。明日も始発から動きださなければ勝負にならないだろう。

 

23:54 札幌(北海道)

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チェックインした駅
 南小樽、小樽築港、浅里、銭函、ほしみ、星置、稲穂、手稲、稲積公園、発寒、宮の沢、発寒中央、琴似(JR)、二十四軒、桑園、さっぽろ、札幌
 [17駅/累計98駅/移動距離442km]

札幌の町は異様に涼しかった。半袖にハーフパンツで歩いているのは僕ぐらいのもので、みんな1枚上に羽織ってる感じの服装だった。僕だけ季節感のない小学生みたいになってる。

夜の札幌は活気に溢れてて、ものすごい大都会だった。

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せっかくきたのだから少し美味しいものとお酒でも、と思ったが明日も始発から勝負をかけなければならないのでスゴスゴと退散した。なんだろう、この旅行してる感皆無な感じは。

 

4日目のまとめ

ということで4日目のまとめはこちら。

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総評
北海道に入ると思いのほか進まなくなった。待ち時間の設定がとにかく長いのが特徴だ。比較的発展している函館-札幌間でこれなので、札幌より北はかなり厳しい状況に追い込まれる可能性もある。泣いても笑っても明日が最終日。本当に稚内までいけるのか。ここまできたら絶対にゴールしたい。

 

 【次のページ】5日目

 

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