【ここぞ秘境】大自然と絶景露天風呂を楽しむ、鹿児島県「硫黄島」の旅

ご紹介するのは、鹿児島県の硫黄島おすすめ観光スポット。火山に由来した特殊な土地柄に加え、透き通った海、美しい星空、「筍の王様」と呼ばれる食材・大名筍なども鹿児島県硫黄島の旅の魅力。やや行きにくいのが難点ですが、フェリー、飛行機といった交通機関、宿泊場所などについても取り上げています。「秘境」と呼ばれる場所への旅行が好きな方にオススメです。

こんにちは。ライターのちえ(@kirishimaonsen)です。
今回の旅は、ある小さな島をご紹介させていただきます。

 

提供:三島村役場

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美しい孔雀、エメラルドグリーンと黄色が混じり合う不思議な海、西アフリカの太鼓・ジャンベの刻むリズム。

まるで異国を訪れたかのような不思議な気分にさせてくれるここは硫黄島。鹿児島の薩摩半島南端から約40kmの洋上にポツンとある、地図では見過ごされてしまいそうに小さな島。

硫黄島と聞くと映画「硫黄島からの手紙」を連想するかもしれませんが、それは東京都小笠原村にある硫黄島。こちらの硫黄島は鹿児島県三島村です。

 

提供:三島村役場

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人口わずか130人(2017.8月時点)、周囲約19km。島の東側を占める硫黄岳は今も活発に噴煙を上げ、いたるところから温泉が湧き出す火山と温泉の島です。
海中に湧いた温泉が海の色を染め、青から黄のグラデーションのように見えることから”七色の海”と表現されます。

 

提供:三島村役場

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断崖絶壁沿いにある東温泉。目の前は見渡す限りの大海原。野趣あふれるダイナミックなロケーションは、まさに秘湯。

 

提供:三島村役場

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美しい宝石のような硫黄の結晶
火山が生み出すエネルギーや美しさに圧倒されるばかり…。

まるで地球の鼓動が聞こえてくるようなダイナミックな大自然。驚きと発見に満ちていて冒険心を刺激してくれます。私は小学生の夏休みに「エルマーのぼうけん」を夢中で読んだ気持ちを思い出しました。

離島なのでアクセスに時間もかかるうえ、飲食店や娯楽施設もありません。
だからこそ出会える素晴らしい島の風景が旅人を迎えてくれます。

鹿児島の夜におすすめの宿や温泉から、帰りに寄りたいカフェなど、トータルで鹿児島&硫黄島観光プランをご案内したいと思います!

前半パートは硫黄島観光、後半パートは鹿児島観光でお届けします。鹿児島観光は、屋久島や種子島などほかの離島へ行く時も参考にしてみてください。
では、硫黄島への旅スタートです。

 

 

【前半:硫黄島パート】

硫黄島へのアクセスについて

鹿児島からフェリーか飛行機でアクセスします。
鹿児島港からみしまフェリーで約4時間。鹿児島空港からは飛行機で約50分。

 

・フェリーみしま

鹿児島港→硫黄島行のフェリーは朝の9:30出港します。竹島を経由して、硫黄島到着予定が13:25。約4時間かかります。週4便の運航です。土曜の朝に運航する便があるので、土日休みの人は金曜の夜に鹿児島入りして、翌朝土曜日この便を利用すれば週末で硫黄島観光ができます。

 

提供:三島村役場

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鹿児島空港を利用して鹿児島入りする場合、フェリー出港の当日朝に鹿児島空港についても、そこから港までバスで1時間位かかるので、朝一の便でもほぼ間に合いません。
前日の夜に鹿児島入りしておきましょう

詳しいフェリーの運航状況は三島村のサイトから確認してください。

島旅はフェリーの欠航が多いので、スケジュールに幅を持たせることを推奨します。
特に8、9月は台風の影響による欠航が多く、1、2月は波が荒れやすい時期のため欠航が多いです。私は去年2月に2回硫黄島へ行く計画を立てましたが、2回ともフェリーが欠航しました。

フェリーが出なかった場合、鹿児島で何をしたいか考えておくといいですね。鹿児島観光の記事を参考にしてもらえたらと思います。

 

・飛行機

鹿児島空港~硫黄島の航空機でのアクセスも可能です。
月曜、水曜の週2便出ています。どちらも9:40鹿児島空港発、10:30硫黄島到着予定で所要時間約50分。運賃は20,000円。

定員は1機3名までなので、利用される方は早めの予約をおすすめします。運航日の1カ月前から予約を開始しています。

詳しい情報は、新日本航空(http://www.newj.co.jp/satsuma-iojima/index.html)のサイトでご確認ください。

チャーター便(http://www.newj.co.jp/charter/)もあるようで、片道97,040円。セスナ式172型の飛行機で、定員は3名まで。一人当たり32,000円と、ちょっとお高めですね…。
日帰り往復は142,400円~なので、一人当たり50,000弱円です。

旅の資金が潤沢な方、チャーター便でふらっと硫黄島に行ってみて下さい!
チャーター便で離島に行って、最高の露天風呂に入って帰るなんて究極の贅沢だと思います。

 

 

フェリーみしまへ乗船

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9:30 発のフェリーみしまに乗船。

 

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この日は桜島も雲に覆われ、あいにくのお天気でした。
よく晴れた日は港から桜島がきれいに見えます。

 

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鹿児島港を出発したフェリーは、竹島→硫黄島→黒島と進みます。

 

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船内には食堂があり、カップラーメンや飲み物の自動販売機を利用できます。
硫黄島に到着するのは13:25予定なので、おなかが空いたらここで。硫黄島には飲食店がゼロなのでご注意を!

 

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二等船室は横になって過ごせるスペースがあります。
船酔いが心配な方、前日遅くまで遊んで寝不足の方、硫黄島まで寝て過ごすと楽です。

私はぐっすり4時間くらい眠りました。すっきり。硫黄島は終点ではないので降りそこねないようにだけ注意してください!

 

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到着のアナウンスを聞いて窓の外を見ると、エメラルドグリーンと黄色の交じりあった不思議な海が。

 

 

ジャンベ演奏でお迎え。硫黄島はジャンベアイランド

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フェリーのデッキに出ると、潮の香りと生ぬるい島の風を感じます。
奥に見えるのは硫黄岳。港に近づくにつれ、どこからともなくジャンベの音が聞こえてきます。

 

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フェリーの発着時に、ジャンベ演奏でお迎え&お見送りをしてくれる硫黄島。

ジャンベとは西アフリカの太鼓。木をくりぬき、ヤギの皮を張って作られています。現地では日常生活や祭儀で演奏されます。

太鼓を叩く位置や手の形、強弱のつけ方で複合的なリズムを表現します。卓越した奏者は300種類のリズムを自在に操るのだとか。シンプルだけれど奥深い楽器です。
原始的な硫黄島の風景と太鼓のリズムはとてもよく合います。

 

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演奏しているのは、みしまジャンベスクールのメンバー。
ジャンベの世界的奏者ママディ・ケイタ氏公認のスクールが硫黄島にあるのです。

西アフリカ・ギニアの小さな村出身のママディ氏は「小さな村の子どもにこそジャンベを教えたい」と思っていたそう。1994年に硫黄島に訪れ島の子どもと一緒にジャンベを演奏。その後2004年に硫黄島にジャンベスクールがオープンします。

 

提供:三島村役場

提供:三島村役場

現在みしまジャンベスクールでは、ジャンベの体験コースもあり、大人2,000円、小中高生1,000円でジャンベのたたき方やリズムを習うことができます。

みしまジャンベスクール

 

 

レンタカーについて

 

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島にレンタカー屋はありません。貸し出してくれる民宿がいくつかあるので、そこで予約することになります。私は島宿ほんだで車を借りました。1日3,000円(ガソリン代込)。

小さな島なので、徒歩か自転車でまわることも不可能ではありませんが、ぐるっと一周まわりたかったらレンタカーがいいです。温泉に入った後、2.3キロ歩いて帰るのも結構大変です。

あと島にはガソリンスタンドもありません。島民はドラム缶でガソリンを購入し、自分で給油しています。あまり暑くなかったら窓を開けてクーラーを切るなど、大切に使いたいですね。

 

 

三島村観光案内所

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フェリー乗り場から徒歩5分くらいの所に観光案内所があります。ここで島の地図をもらうことができます。

 

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地図はみしまフェリーの乗り場やフェリー内にも置いてあります。わからないことがあったらここに聞きにくると良さそうです。
ここに書いてあるところを全部まわっても十分時間はあります。

 

IMG_1055私がこれから周るところを赤丸で囲いました。
各スポットへの問い合わせは三島村総合観光協会まで。

三島村総合観光協会

  • TEL:09913-2-2370

 

 

秘湯・東温泉へ

東温泉は、硫黄島港から2.3キロほどの場所にあります。歩いたら40分~60分程度。
この温泉が硫黄島旅のハイライトです!

港から2つのルートがあります。行く際に注意してほしいのですが、海側の道は草木が生い茂っている上に道が崩れやすいそうなので利用しない方が良いです

 

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ジャンベスクールの先の分岐点を右に曲がらず、大きく左にカーブした道なりに進んでください。

 

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私はこちらの道を通ってしまい、対向車が来ないかヒヤヒヤしました…。こわいこわい!
竹や草を、車でかき分けながら進みました。

 

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近くに着いたら車を停めて、海沿いの道を歩いて進みます。

 

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この日はあいにくの曇り空でしたが、それでもこんなに鮮やかなエメラルドグリーンの海

 

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ゴツゴツとした岩礁。ところどころ赤茶けているのは、温泉成分が流れ込んで色が変わっているようです。

 

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着いたー!!!
3つの湯船があります。見渡す限りの大海原。目の前で白波が岩にぶつかり砕け散り、大迫力。

 

提供:三島村役場

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晴れていたらこんな原色の風景が待っています。海水が黄色っぽいのは温泉成分が流れ込んでいるためです。

 

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源泉が湧き出ている周りの岩は、赤や黄、緑に変色しています。
泉質は硫黄みょうばん泉。酸性度の強いお湯です。

 

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お湯の色は天気によって、さまざまに変化して見えます。
この日は緑。

 

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この角度から見ると、もっと暗いモスグリーンのような色。

3つの湯船がありますが、源泉からの位置により温度が変化します。すごく熱い、ちょうどよい、ぬるい、の3つに分かれています。

 

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波の音しか聞こえない、静かな浜辺。

 

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後を振り返れば断崖絶壁。
この向こうには703mの硫黄岳があります。この活火山硫黄岳の恵みを受けた温泉なのですよね。

 

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東温泉は水着の着用可です。一応石を積み上げて作った着替え所があるのですが、かなり野趣満天です…。硫黄島に着いて宿にチェックインする際に、着替えてから訪れたらいいでしょう。

あと夏場は暑さのため、日中はとても温泉に入れる気候ではありません。夏場に行かれる方は早朝か夕方の訪問をおすすめします。取材日は7月でしたが曇り空だったので快適に入浴できました。曇りも悪いことばかりじゃないですね。

ずっとここで過ごしたくなるような素晴らしい温泉です。離れたくないー!
とはいえ、取材で訪れたので他の見どころもご紹介!

 

 

平家城展望台

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ここからは、硫黄岳の火口がよく見えます。

 

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見晴らしのいい場所です。
硫黄島の北側に位置しており、鹿児島方面からの船の見張りをしていたとも言われています。

 

提供:三島村役場

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晴れた日は、こんな景色です。

 

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歌舞伎で俊寛を演じ、硫黄島で公演した歌舞伎役者・中村勘九郎の銅像があります。俊寛についてのお話は、のちの俊寛堂の所で詳しく解説します。

 

 

坂本温泉

東温泉以外にも至る所で源泉が湧き出している硫黄島。
崖沿いなどの道の悪い場所や、海の中などから源泉が湧いているので、行けないエリアも多いですが、坂本温泉へは道が整備されていて行くことができます。

 

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しかし、潮が引いている時間帯しか入ることができません
それ以外の時間帯は上の写真のように海水に完全に浸かってしまい、入ることはできますが、海水浴と変わりません…。(右端の石で囲まれた部分が湯船です。)

泉質としては東温泉より湯治としての効果は高いのだとか。
気になる人は潮の満ち引きをチェックして訪れてみて下さい。

 

 

大浦港

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真っ青な海。島の西側です。
港を取り囲むように高さ70mの断崖がそびえています。防波堤の役割を果たしてくれるので、波も比較的穏やかで海遊びしやすくなっています。とはいえ荒れる日は危険なので天候に注意して下さい。

 

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大きくうねるような地層と断崖の迫力!
7300年前の大噴火の痕跡です。

 

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階段をひたすら降ります。

 

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透き通った海が本当にきれい。このエリアは海底から硫黄が出ていないので海の色が真っ青です。

水深が4m位あり、足がつかないので気をつけて。ライフジャケットがあると良さそう。

 

提供:三島村役場

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人口より孔雀の数が多い…!?硫黄島の孔雀事情

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ちょうど大浦港へ行く途中の道の右手に牧場があるのですが、この辺りは孔雀の出現スポット

え!?孔雀?と思われるでしょう。そう、孔雀がいるんです。しかも野生の。牛用の飼料を狙って現れるのです。たくましいですね…。

 

提供:三島村役場

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昭和40年代硫黄島にリゾートホテルが建てられ、観賞用としてインド孔雀が持ち込まれました。しかしその後撤退し、島に残された十数匹の孔雀が野生化。

天敵もいない環境で増え続け、その数は200を超えると推察されています。島民の数が130人。(2017年8月時点)島民より孔雀が多いのです…。猫の島などはよく聞きますが、孔雀の島もあったとは…。

 

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こちらはメス。

 

提供:三島村役場

提供:三島村役場

提供:三島村役場

提供:三島村役場

突然変異で誕生したと思われる白いクジャクが数匹だけいます。
その希少性から「白いクジャクに会うと幸運が訪れる」と言われています。

 

 

恋人岬橋~恋人岬展望台

提供:三島村役場

提供:三島村役場

車や自転車で気軽にアクセスできる島内の場所の中で、最も標高が高い場所です。
吹き抜ける風が気持ちいい。

 

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橋からの風景。絶景なり!
この島はどこの海沿いにも、岩礁でできた小さな島のような場所がたくさんあるのが不思議な魅力です。火山島ならではの風景です。

 

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恋人岬からはフェリーが発着する硫黄島港を一望できます。
島民のほとんどはこの港エリアに居を構えているので、これが島の生活圏です。

 

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奥に硫黄岳も見えました。

 

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蝶々や蜂がたくさん飛んでいました。

 

 

俊寛堂

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竹林の鬱蒼とした道を抜けると俊寛の庵跡があります。
俊寛は平安時代の僧で、歌舞伎の題材にもなりました。中村勘九郎は硫黄島で俊寛の歌舞伎を上演しています。

 

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俊寛は平家討伐の陰謀に加担したため捕まり、他2名と共に硫黄島(当時の名前は鬼界ヶ島)に流されました。※鬼界ヶ島の位置については諸説あり。

その後恩赦が行われ、赦免状を持った使者が島を訪れますが、そこには俊寛の名前だけがありませんでした。俊寛だけが島を出る船に乗れません…。

他2名をのせた船が島を出るとき、俊寛は海中に胸まで浸かりながら必死の思いで連れて行ってくれるよう頼みますが、すげなく手をふり払われてしまいました。取り残された俊寛は、茫然として海を眺めただただ佇んでいたそうです。

 

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その後俊寛は失意のうちに暮らし、37歳でこの世を去りました。
島の人々は俊寛を哀れみ、俊寛の居住地跡に御祈神社を建てました。これが俊寛堂と呼ばれています。

慣れ親しんだ都から離され、家族とも離され、ただ一人島に取り残された俊寛。ひっそりとした俊寛堂を訪れると、孤独や無念さが偲ばれます。

歌舞伎役者の中村勘九郎も、実際に硫黄島での俊寛の舞台公演にこだわっていたと聞きます。俊寛のストーリーを知った上でこの庵を訪れると、感慨深いものがあります。

 

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この道に生えている苔がふかふかしていて不思議でした。

 

 

硫黄採石場跡地

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みしまジャンベスクールの向かい側に、廃墟のような場所があります。地図には何も書いてありませんでしたが、気になって車を停めました。

 

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ここは昔、採掘した硫黄を置いていた場所のようです。

 

提供:三島村役場

提供:三島村役場

硫黄岳で採れる硫黄は高純度で、島の貴重な貿易品でした。
1868年に本格的な採掘が始まってから、1964年まで採掘されていましたが、国外から安価な輸入品が入ってくるようになり閉鎖。

 

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このベルトコンベアを使い、船に硫黄を詰め込んでいました。

 

提供:三島村役場

提供:三島村役場

提供:三島村役場

提供:三島村役場

純度の高い硫黄はまるで宝石のような美しさ。

現在硫黄岳に登ることはできません。この硫黄は画像でのみお楽しみください!

 

 

島宿ほんだ

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硫黄島には宿が5軒です。
私が宿泊したのは島宿ほんだです。

 

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部屋はエアコン完備。写真では見えませんがテレビもあります。
Wi-fiが使えるのが嬉しい。

 

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港のすぐ近くにある宿です。部屋の窓から硫黄島港が見えました。

 

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共用スペース。本が少しと、冷蔵庫の中に発泡酒やビール、お茶があります。欲しい人はお金をかごに入れて支払い、持ち出すシステム。

 

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宿の夕ご飯。硫黄島周辺で採れた海の幸・山の幸がたっぷり
お刺身はクロダイ、カンパチ。クロダイは隣の竹島のもので、カンパチは宿の方が釣ったもの。

 

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イボアナゴとシナチク、キュウリ、小魚と和えたもの。
イボアナゴはアワビの仲間とされる貝。鹿児島では屋久島などでよく採れますが、関東に流通することは稀です。

これも宿の方が採ってきたものですが、硫黄島でイボアナゴが採れるのは、新硫黄島という無人島だけ。

 

提供:島宿ほんだ

提供:島宿ほんだ

平家城跡、もしくはフェリーから見える新硫黄島
昭和9年の海底火山の噴火で形成された小さな無人島です。

この島では一年に一度、3月に6日間くらいの間潮が引きます。この時がイボアナゴを採る唯一のチャンス。毎年宿の方がボートで採りに行っています。

 

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そうめんに焼き魚、温泉卵、野菜、大名筍(たけのこ)が添えられたもの。

大名筍は三島村(竹島・硫黄島・黒島)で採れる筍「筍の王様」と呼ばれており、ほんのり甘い味と柔らかい食感が特徴のすばらしく美味しい筍です。アク抜きせずに食べられ、旬の時期(4月末~5月末頃)はお刺身が最高。

島内に商店は1件しかなく、小さな硫黄島ですが、一つの食卓にこれだけ沢山の島の恵みがぎゅっと詰まっていて、とても贅沢なごはんでした。

 

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食事は他の宿泊客と一緒のスペースです。
ビジネスで島に来ている人や海外からの観光客もいて、楽しい夕食でした。

お天気が良かったら、夕食後は夕涼みがてら外に出てみて下さい。

 

提供:三島村役場

提供:三島村役場

人口の光の少ない硫黄島。
満天の星空が広がっています。

 

 

島のお土産物屋・さるく

鹿児島行のフェリーが9:55に出港します。
宿で朝ごはんを食べたら、帰る用意をしてチェックアウト。

フェリー乗り場前に「さるく」という島のお土産物を扱ったお店があります。

 

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硫黄島で拾った孔雀の羽を使ったアクセサリーや

 

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アフリカンプリントの布で手作りした布小物が置いてあります。
このカラフルな柄が硫黄島の風景によく合うんです。

 

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14:05に鹿児島市へ到着予定なので、船内で昼ごはん。島宿ほんだでお弁当のおにぎりを頼みました。島内にお弁当を買う場所はないので、欲しい人は宿で用意してもらいましょう。

 

 

【後半:鹿児島パート】

離島・硫黄島に行くには、鹿児島港のある鹿児島市内へまずアクセスすることになります。
なので、鹿児島でのおすすめの宿や飲食店をご紹介します。

 

おすすめの宿・イルカゲストハウス

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みしまフェリー乗り場に近い場所、易居町にイルカゲストハウスという宿があります。ドミトリーは一泊1,800円。個室だと一泊2,800円(2-3名で利用の場合は2,500円)。リーズナブルで清潔な上、オーナー家族の作りだすアットホームな雰囲気が心地よいので、おすすめです。

 

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2階の共用スペース。キッチンも付いており、ここで簡単な調理やお弁当のあたためができます。Wi-fiも使えて便利。

 

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2段ベッドのドミトリー。

 

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個室もあります。ベッドだけの簡素なお部屋。どこも本当に掃除が行き届いており、綺麗で気持ちの良い空間です。

 

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宿の前にトゥクトゥクが。お父様の愛車。宿用の車ではなく、なんと普段お仕事に行く際スーツ姿で普通に乗車する車だそう!わざわざ外国から取り寄せたのだとか。

 

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タイミングが合えば、乗せてもらえることも。

 

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鹿児島の街中を疾走。ジェットコースターに乗っているような楽しさです!四方から風を感じます。桜島が見えました。

ゲストハウス愛用者に人気の高いイルカゲストハウスです。
一人静かに夜を過ごしたい方は、港に近い「易居町エリア」か、港から離れますが繁華街「天文館」エリアでビジネスホテルを探してみて下さい。楽天などを活用すれば、5000円台くらいから見つかります。

イルカゲストハウス

  • 場所:鹿児島市易居町3-24
  • アクセス:【鹿児島空港からバス利用の場合】鹿児島市役所前から徒歩5分
  • チェックイン:16:00-22:00
  • TEL:099-295-0680
  • 定休日:無休(毎年6月はお休み)
  • 参考サイト:Hotels.com

 

 

晩ごはんはよるイルカで

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イルカゲストハウスの1階では、夜になると居酒屋「よるイルカ」がオープンします。焼酎の品揃えは約50種以上、鹿児島らしいおつまみもあります。地元の方も利用できるのでコアな情報が聞けるかも。営業時間は17:00-23:00。日曜は定休日なのでご注意を。

 

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左から美波さん、明美さん。親子です。

焼酎アドバイザーの資格も持っている美波さん。「有名な銘柄はどこでも飲めるので、県外の方が出会う事の少ない地元の焼酎を揃えています」とのこと。知識も豊富で、焼酎について語る様子に情熱と愛情を感じました。

たくさんありすぎて迷いますよね。具体的な好みがわかれば、芋焼酎らいしものから初めてでも飲みやすいライトなものまでぴったりの焼酎を美波さんが選んでくれますよ。

 

夏限定「大人のかき氷」500円

夏限定「大人のかき氷」500円

かき氷に好きな銘柄の焼酎や梅酒をかけて頂きます。夏ならではの楽しみ方。これは梅酒のかき氷。ぶどうと紫蘇の入った梅酒で、カシスのような味わいが上品。

 

「生親子丼」500円

「生親子丼」500円

「生」なのは鶏刺しと卵黄を使い、全く火を使用しないことから。鹿児島らしい丼です。

 

「しらすぶっかけ アンチョビポテト」300円

「しらすぶっかけ アンチョビポテト」300円

鹿児島の枕崎ではかつお漁が盛んなので、かつおの酒盗を和風アンチョビとして使用しています。ジャガイモは鹿児島の長島の赤土で育ったもの。しっとり水分が多く食べやすいです。

 

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目の前で厚めに削ったかつお節をバーナーで焙ったものは、海外からのゲストにジャパニーズジャーキーとして大人気だそう。マヨネーズと七味で食べると、お酒のおつまみにバッチリ。

 

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かつお節の匂いを嗅ぎつけて、すかさず看板猫が現れるかも。

 

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この装置、何だかわかりますか?

鹿児島の家庭でよく見かける「そうめん流し」をする機械です。ゲストが多い日はみんなでそうめん流しをする日もあるのだとか。(鹿児島では「流しそうめん」ではなく「そうめん流し」と呼びます。)

 

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私が取材した日も、宿泊客と地元の方が旅情報を交わしながら楽しくお酒を飲んでいました。

 

おにぎり100円

おにぎり100円

イルカゲストハウスに宿泊し、翌日に硫黄島行のフェリーに乗る場合、9:30発14:00硫黄島着になります。お昼を食べるところがないので、何か買っておいた方がよいです。よるイルカではおにぎり100円で販売しており、頼めば翌朝チェックアウトする際に持たせてくれます。

桜島の小みかんの皮とごまを混ぜ込んであり、柑橘の香りが爽やか。

よるイルカ

  • 場所:鹿児島市易居町3-24
  • アクセス:【鹿児島空港からバス利用の場合】鹿児島市役所前から徒歩5分
  • 営業時間:17:00-23:00
  • TEL:080-7984-0981
  • 定休日:日曜

ディープな鹿児島を体験したいなら名山堀へ

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イルカゲストハウスから歩いてすぐのところに「名山堀」というエリアがあります。
ディープな鹿児島の夜を過ごしたい方、必見です。建物がひしめき合うように並び、独特な雰囲気があります。昭和にタイムスリップしたような空気感が漂っています。

 

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どこも急な階段で2階に上がる仕組みになっており、昔このエリアは「置屋」が多かったとも言われております。1階は飲み屋で、2階はお客さんを引く部屋だったようです。

 

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戦後は闇市がさかんだったという噂も聞きます。あまり正式な文献などで残ってはおりませんが、この雰囲気を体感すれば納得。

 

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こちらは、串やき屋あかね

 

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カウンターの周りにはずらりと手書きのメニューが。こういう居酒屋、好きな人にはたまらないですよね。「からあげ無制限食べ放題」が300円!!!すごいメニューです…。

 

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仲が良いのか、悪いのか、はたまた腐れ縁なのかよくわからない人達が楽しそうに酔っぱらっています。カウンターに座ればすぐ仲間入り!

 

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ウーロン茶を頼んだら、「ないからとりあえず、これでも食べてて!」とがりがり君を渡されました!!!自由!

 

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お刺身盛り合わせが美味しかった!マスターが出してくれるものの値段は結構あいまいです…。その時のあるものや雰囲気で!飲み放題でもかなり安いです。予算をあらかじめ伝えてマスターに任せるのもいいかも

 

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アンダーグラウンドな空気を感じたくなったら名山堀へ!

串やき屋あかね

  • 場所:鹿児島県鹿児島市名山町4−26
  • 営業時間:未定。夕暮れ時から営業開始。
  • TEL:099-226-3898
  • 定休日:未定
  • 参考サイト:ぐるなび

 

 

深夜24時まで営業のかごっま温泉

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イルカゲストハウス徒歩1分の場所に、24時まで営業している「かごっま温泉」があります。源泉かけ流しの天然温泉。施設内は、昭和歌謡が流れて昔ながらの銭湯の雰囲気です。

 

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「銭湯すたれば人情すたる」。なるほど。
お湯は塩化物泉で、肌がつるつるになります。塩を体に塗って入浴する「しお湯」も有名です。

かごっま温泉

  • 場所:鹿児島県鹿児島市易居町3−28
  • アクセス:【鹿児島空港からバス利用の場合】鹿児島市役所前から徒歩5分
  • 営業時間:8:00-24:00
  • TEL:099-226-2688
  • 定休日:毎月15日

 

 

元祖しろくま・むじゃき

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みしまフェリーは14:05に鹿児島市到着。
帰りの飛行機までまだ時間の余裕がある人は、天文館むじゃきへ。港から天文館までは歩いて10分程度。

 

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しろくまが迎えてくれます。ここで一緒に写真を撮るのが定番です。

 

白熊(ベビーサイズ)510円

白熊(ベビーサイズ)510円

レギュラーサイズ720円とベビーサイズがあります。ベビーサイズで十分。
レーズン部分が目と口。鼻はチェリー。とぼけたような表情がかわいい。

 

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全体にミルクシロップがかかっています。
練乳ベースの、濃厚だけれどさっぱりした後味のシロップです。

 

しろくまアートカプチーノ500円

しろくまアートカプチーノ500円

かき氷で体が冷えたら、暖かい飲み物も欲しくなります。
かわいくて飲めない!

 

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と思ったら、なかなかしぶとく残ってくれました。

むじゃきはしろくまがとても有名ですが、他の鹿児島らしいメニューも充実しています。フェリーでお弁当を食べない人は、ごはんを頼んでもいいかも。

 

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カレーの白熊もかわいい!
 

天文館むじゃき

  • 場所:鹿児島県鹿児島市 千日町5-8 天文館むじゃきビル
  • 営業時間:11:00-21:30
  • TEL:099-222-6904
  • 定休日:不定休
  • 参考サイト:ぐるなび

 

 

氷がめちゃくちゃ美味しい柳川氷室のかき氷

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氷の美味しさ間違いなしの氷屋さんのかき氷。
氷に使用する水は鹿児島の大重谷水源の天然水を、じっくり6日間かけて固めたもの。口の中ですっと溶けるふわっふわの氷です。

 

かき氷 黒酢250円

かき氷 黒酢250円

かき氷に黒酢とは意外な組み合わせだけれど、さっぱりしていて美味しいです。+50円で練乳トッピングができます。

硫黄島からフェリーで鹿児島市内へ戻ったら、かき氷を楽しんでから空港へ行くコースがおすすめです。

柳川氷室

  • 場所:鹿児島県鹿児島市堀江町19−6 協栄ビル1F
  • 営業時間:11:00-18:00
  • TEL:099-222-4609
  • 定休日:無休

 

 

空港で夜ご飯・大空食堂へ

空港で小腹が減ったら「鶏飯(けいはん)」が食べられるお店があります。

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空港2階にある大空食堂。6:50から営業し、最終便が出る30分前がオーダーストップです。

 

鶏飯バイキング 580円

鶏飯バイキング 580円

「鶏飯」はご飯の上に卵やしいたけ、鶏肉などのトッピングをのせて、鶏スープをかけていただく奄美大島の郷土料理

大空食堂のものは本場奄美のスタイルというよりは、薩摩スタイルの鶏飯で、出汁の味はしっかり濃いめ、漬物はたくあんを使用しているのが特徴。

 

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バイキング形式なので、好きなだけトッピングして自由に食べ放題なのが嬉しいところ。朝の時間帯(6:50-10:00)は朝食バイキングのみの提供で800円。朝食バイキングのメニューに鶏飯も入っています。
スープをたっぷり目にかけて食べるのが美味しいですよ。

さらっとお茶漬け感覚で食べられるので、旅の終わりに小腹が減ったら寄ってみてください

大空食堂

  • 場所:鹿児島空港2F
  • 営業時間:6:50-最終便離陸の30分前O.S
  • TEL:0995-58-2647
  • 定休日:無休
  • 参考サイト:ぐるなび

 

 

さいごに

いかがでしたでしょうか。
私が旅したときはあいにくの曇り空でしたが、悪いことばかりではないですよ。曇っていたおかげで夏の時期にもかかわらず一日中歩いてもバテなかったし、温泉も気持ちよく浸かれました。日差しがきつかったら、夏の日中の入浴は無理なのです。

離島なので行くのに時間はかかりますが、後ろに活火山、眼前に大海原を眺めながら入る野外露天風呂は、まさに秘湯の名にふさわしい素晴らしい温泉。野生の孔雀も初めて見たし、宿の食事は本当に美味しかったです。

最後に硫黄島旅の注意を書いて、終わりにしたいと思います。

硫黄島旅の注意

1.島内飲食店ゼロ

文字通り。なので、夜の晩酌に何かつまみたいものや、小腹が減ったとき用のものは、鹿児島市内で買っておいて持ち込みましょう。お酒好きな人はお酒も持ち込むといいです。買うとどうしても割高になってしまうので。

2.まずは宿の確保を

硫黄島には宿が5軒だけ。(http://mishimamura.com/tourism/468/)まず宿の空き状況を確認し、予約してから旅行プランを建ててください。土日は結構予約で埋まっていることも。ふらっとフェリーに乗って硫黄島に行っても、宿が満室だと泊まるところがありませんので要注意。

3.フェリーの欠航

波や天候の状況次第で、行きのフェリーだけでなく、帰りのフェリーが欠航する可能性もあります。そうなるとフェリーが出るまで硫黄島滞在を余儀なくされるので、旅の後のスケジュールに絶対外せないものがない時を選んだ方がいいです。

4.活火山・硫黄岳について

火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候は認められなくなりましたが、硫黄岳入口より先への一般人の立入は規制されています。学術目的等での立入を希望される方は三島村役場へ相談を。

5.服装:水着・ゆったりとした服を忘れずに

温泉は水着着用OKなので忘れずに。大浦港も素晴らしくきれいな海なので飛び込みたくなります! あと力説したいのですが、温泉後のタイトなデニムはつらいです。着替え用のゆったりした服があるといいです。

では、皆さんよい旅を~

ライター:ちえ(@kirishimaonsen