【温泉好き必見!】温泉王国鹿児島から、選りすぐりの秘湯9選をご案内!【絶対行きたくなる】

鹿児島の温泉地といえば、霧島や指宿等が有名ですが、今回の記事では世にあまり知られていないような「秘湯」を鹿児島在住ライターがご紹介。地元の人しか知らないような、山に囲まれた穴場のような場所だけに絞り取材してきました。日常の喧騒から逃れた静かな土地で、最高の泉質の温泉に何度も浸かって過ごす秘湯旅、是非でかけてみてください。

秘湯という言葉の響きには、たまらなくワクワクさせられます。

「本当にこの先に温泉があるのか」と不安になりながら細い山道を進むと見えてくる、湯煙上がる風景。こんこんと湧く温泉に、静かに身を沈めて過ごせば、川のせせらぎや風が樹々を揺らす音が聞こえてくる。

そんな贅沢な情景が、頭の中に思い浮かぶからです。

暦の上では春といえども冷え込むこの季節。日常の喧騒から離れた温泉で、ゆったり静かに、お湯に浸かりたくなりませんか。画像でお伝えすると、そう、こんなところで。

 

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こんにちは! 鹿児島ライターのちえです。
というわけで、今回は鹿児島の秘湯をご紹介したいと思います。

私は仕事柄いろんな場所に出かけていますが、必ず車に常備しているのが温泉セット。道中気になる温泉を見つけては入浴しています。

そこで見つけたさまざまな温泉の中から、特に秘湯の名にふさわしい温泉をご紹介します。
温泉王国鹿児島から選りすぐった9選です。
秘湯の定義は人それぞれかと思いますが、

・人里離れた静かな場所にある
・最高の泉質

この2つの条件にこだわって、あとは私の独断と偏見で9湯選ばせていただきました。
皆さんの、心安らぐ秘湯旅のご参考になれば、幸いです。

この記事では各温泉をじっくり紹介して参りますが、概要だけ知りたい人は、下記目次から「ダイジェスト」に飛んでください。

それではさっそく、ご紹介していきます!

 

1.霧島湯之谷温泉 湯之谷山荘(霧島市)

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1940年開業の湯治宿・湯之谷山荘。

温泉地として有名な霧島には、湯治場の並ぶエリアがいくつかありますが、湯之谷山荘はそこから離れた静かな山の中にあります。細い山道を奥へ奥へと400メートル登った先にある、隠れ家のような宿です。

木々に囲まれ、澄み切った山の空気が気持ちいいです。

 

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2017年7月に大浴場の改装工事が行われ、更衣室、浴場前の廊下の床板が新しくなりました。浴室内の床板も張り替えられ、檜の良い香りが漂っています。

昔と変わらない湯治宿の情緒をしっかり残しつつ、入浴客が快適に過ごせるように丁寧に気配りをしていらっしゃるようです。

 

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浴室内には3種類の浴槽があります。

一番奥は46度と熱めの硫黄泉。手前の一番小さな湯船は30度と冷たい炭酸泉。真ん中はその二つのお湯が混じり合ったぬるめの浴槽です。硫黄泉と炭酸泉、2種類の泉質が楽しめます。

 

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湯之谷山荘には自家所有の源泉が5本あり、すべて自噴泉です。そのうち4本が硫黄泉の浴槽に注ぎ込まれています。

こんこんと湧き出す天然のお湯は、その日の天候、気圧、温度などによって、色合いや温度が微妙に変化します。まるで生き物のようですね。

 

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こちらは冷たい炭酸泉。源泉の1本が使われています。入浴した瞬間、細かい泡に体中包まれて、すっと身体が軽くなるような爽快感を感じます。炭酸泉は最近人気の泉質で、スーパー銭湯などには人工の炭酸泉が設置されている所が増えてきましたが、こちらは天然ものの炭酸泉です。

炭酸泉の浴槽は小さめですが、加水・加温はせずお湯そのものを活かすために、あえてこの大きさだそうです。30度の冷たい炭酸泉で、寒季(1~3月)にもほどよい充足感を得るには、浴槽が大きすぎない方がいいのだとか。

ちなみに、湯量豊富なので消毒もしていません。

 

真ん中の浴槽はぬるめ。一番初めはこの浴槽で身体を慣らすのがちょうどよい。

真ん中の浴槽はぬるめ。一番初めはこの浴槽で身体を慣らすのがちょうどよい。

熱い硫黄泉と冷たい炭酸泉、交互に入浴していると、永遠に入浴していられるような心地よさです。冷たいといっても30度はあるので、優しい感触の交互浴です。水風呂で行う交互浴のようなしゃっきり覚醒する感じとはひと味違い、ゆったりとした気分になれるのがここの良さです。

 

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そして、浴槽に浸かって天井を見上げると、この風合い。パイプなどの人工物を竹で覆って、丁寧に見た目を整えているようです。温泉情緒に浸れますね。

 

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露天には、貸し切りの岩風呂もあります。

 

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看板犬のぎん君。優しくておとなしくてかしこい子。私が玄関に出るのを待ってくれていて、車まで見送ってくれました。

 

霧島湯之谷温泉 湯之谷山荘

  • 住所:鹿児島県霧島市牧園町高千穂4970
  • TEL:0995-78-2852
  • 定休日:不定休(2018年の定休日は1/10(水)、2/1(木)、3/1(木)、4/2(月)、5/7(月)、6/1(金)、7/2(月)、8/1(水)、9/3(月)、10/1(月)、11/1(木)、12/3(月)※事前に電話確認されることをおすすめします。)
  • 日帰り入浴:10:00~15:00
  • 料金: 500円。個室を借りる場合は1000円(9:00~15:00)。貸し切り露天風呂は1000円(12:00~15:00)
  • URL:https://www.mountaintrad.co.jp/~yunotani/index.html

 

2.栗野岳温泉 南洲館(湧水町)

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杉の生い茂る一本道を車で進んだ先に……。

 

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栗野岳温泉南洲館があります。霧島連山の最西端、栗野岳の中腹にある一軒宿です。

江戸時代ごろ、このあたりではみょうばんの採掘が行われていました。鉱山として採掘をしていた場所で、副産物として温泉が湧いたのだそうです。

 

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ここの裏山には八幡大地獄があり、ごうごうと蒸気が吹き上げる様子は圧巻です。強い硫化水素の香りが漂い、泥が煮えたぎる大迫力! 日の光に照らされた湯けむりが白く輝く様子は、まるで別世界に迷い込んだような幻想的な風景です。

足元から熱湯や熱い蒸気が湧いているので、注意してください。
この風景を見ていると、温泉への期待が高まってきますね!

 

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さて、入浴の際は南洲館の受付で手続きをします。

 

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看板犬のレオ君が迎えてくれました。

ここのお風呂は「桜湯」「竹湯」と泉質の異なる2種類のお風呂と、温泉の蒸気で蒸した「蒸し風呂」があります。

1つだけ入浴するなら300円。2つだと550円。3つで700円です。これからおすすめの周り方を紹介しますね。

 

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まずは桜湯へ。
桜湯は酸性の単純硫黄泉、PHは2.8。あたりに硫黄の香りが漂っています。酸性のお湯なので多少刺激がありますが、比較的のんびり浸かっていられます。

 

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源泉の温度は61.2℃なので、少し地下水を足していることもありますが、冬場は自然に温度が下がるためほとんど加水していないそうです。

 

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湯船から上を見上げると、この造り。木造の浴室は、気持ちをゆったりと解きほぐしてくれるようです。

 

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さて、桜湯でお湯に身体を慣らしたら、次は蒸し風呂へ行きましょう。

 

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引き戸の先にあるのが、蒸し風呂。暗い室内が温泉の蒸気で満たされています。手前にある浴槽には冷たい地下水が入っています。

じっくり蒸し風呂で汗をかいて、出てきて地下水を浴びると、すっきりして目が覚めるような爽快感があります。

 

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そして最後は竹湯へ。ここのお湯は肌に刺激的なので、締めによさそうです。はじめにここで長風呂してしまうと、湯あたりして他のお風呂に行けないかもしれません。それだけ強いお湯です。

 

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泉質は酸性・含鉄-アンモニア-硫酸塩泉。桜湯と同じ酸性ですが、竹湯はPH2.2とより酸性度の強いお湯です。鹿児島本土では一番酸性度が強いお湯なのだとか。肌が弱い方には刺激が強すぎることもあるので、注意してください。ちなみに、南洲館のお湯はどこも酸性度が強く殺菌力があるため、塩素消毒をしていません。

湯船の底に泥が溜まっています。特に雨の少ない冬場には泥が濃くなるのだそう。

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南洲館の名物は、温泉の蒸気で蒸し上げる蒸し鶏! 宿泊客はお食事のプランにありますが、日帰り客も持ち帰り用を1382円で購入できます。蒸すのに時間がかかるため、事前予約が必要です。

私が取材した日は、地獄の調子が悪く、残念ながら蒸し鶏はできませんでしたが、訪れる人はぜひ食べてみて下さい。

 

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栗野岳温泉には、かの薩摩藩士・西郷隆盛が訪れて1カ月湯治していたと伝えられています。西郷さんは手紙でこの温泉地を、「俗世間を離れた仙人が住むようなところです」と伝えており、景色の良さや、この辺りに住む人たちの素朴な人柄を気に入っていたようです。

政治の喧騒から離れ、西郷さんは何を考え、どのように過ごしていたのでしょうか。

日常のせわしなさを忘れて静かなこの土地で過ごすと、また明日から頑張る活力が湧いてくるようです。

 

栗野岳温泉 南洲館(なんしゅうかん)

  • 住所:鹿児島県姶良郡湧水町木場6357
  • TEL:099-574-3511
  • 定休日:不定休 ※事前に電話での確認をおすすめします。
  • 日帰り入浴:10:00~20:00
  • 料金:1湯300円 2湯550円 3湯すべて700円。休憩プラン(11:00-15:00の個室利用)760 円(12月~3月 は 暖房費 200円/部屋)持込みで飲食可。※1人での利用は問い合わせすること。
  • URL:http://www3.synapse.ne.jp/nanshuhkan/

 

 

3.白木川内(しらきがわち)温泉山荘(出水市)

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出水市郊外の山奥にある白木川内温泉山荘。「本当にこの道であっているのかな?」と不安になるような山道を、ひたすら進んでたどり着きます。途中すれ違う車もなく、あたりに民家もなく、とても静かでした。

 

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山荘の間を流れる白木川。空気は澄み切り、川の音が心地よく響いています。開湯は江戸時代、1747年と伝えられており、うさぎを追いかけていた漁師が、岩の間から湧いていた温泉を見つけたのだとか。

1号泉、2号泉と2つの浴槽があります。泉質はほとんど変わりません。

 

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こちらは1号泉。温泉は岩盤の割れ目から湧いています。お湯はどこまでも澄んでいて、水鏡のように壁を映しています。

 

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泉質はアルカリ性単純硫黄泉。硫黄の香りはあまり強くなく、ほのかに感じる程度。PH9.2とアルカリ度が高く、なめらかで、ぬるぬると肌に残るような感触が特徴的です。お湯は岩の隙間から自噴しています。

源泉の温度が42℃。加水・加温はしていないので、夏は熱めに、冬はぬるめに感じます。ぬるめといっても、温泉成分で身体がしっかり温まるので、浴後は心地よいです。

取材日に来ていたお客さんが「昨日ここのお湯に入ったら、夜ぐっすり寝られてね。気に入ったから今日も来たの」と話されていました。

 

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こちらは2号泉。1号泉に比べてぬるめです。

 

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山荘の周りには南天の木が見られ、初夏には白い花を咲かせ、秋の終わりから冬にかけて赤い実をつけています。この実を食べに訪れる鳥の姿も。

 

白木川内(しらきがわち)温泉山荘

  • 住所:鹿児島県出水市上大川内5002
  • TEL:0996-68-2314
  • 定休日:年中無休
  • 日帰り入浴:6:00~21:00
  • 料金: 150円。個室を借りる場合は900円~(9:00-17:00)宿泊は6000円前後で2食付き。予約サイト等には掲載されていないので、泊まりたい方は山荘までお電話でお問い合わせください。
  • ※浴槽は隣の旭屋旅館と共有で、旭屋旅館からも入浴受付できます。

 

 

4.湯川内温泉 かじか荘(出水市)

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湯川内温泉は、1754年に発見されたと伝えられています。古くは薩摩大名・島津家御用達の温泉として利用され、明治以降、一般市民も利用できるようになりました。

 

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昭和34年に建てられた施設は、これぞ古き良き湯治場といった風情です。春から夏にかけてはカジカガエルの美しい鳴き声が響き、湯治場に情緒を添えてくれます。

湯川内温泉は、源泉の温度が低いため、冬よりも夏に人気が高く「夏温泉」という愛称で親しまれています。夏の暑さから逃れて過ごすのに良さそうな場所です。

 

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こちらは、坂を上った先にある「上の湯」。お風呂は「上の湯」と「下の湯」の二ヵ所あります。

 

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さて、お待ちかねの温泉ですが、見てください! この澄み切ったお湯。美しいですよね。透明度の高いターコイズブルーのお湯は、見ているだけで心洗われるようです。

 

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湯船の底の石や砂の間から温泉が自噴しており、時折ぷくぷくと泡が浮かんできます。泉質はアルカリ性単純温泉。ほのかに硫黄の香りが漂います。38℃とぬるめのお湯なので、ゆっくりと長湯する人が多い様子。PHは9.4で、浴後はさっぱりとします。

もう一か所の「下の湯」ですが、残念ながらずっとお客さんがいらしたので写真はありません。泉質は「上の湯」とほぼ同じで、お湯の色がエメラルドグリーンに輝いていました。

 

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敷地の裏には、温泉神社があります。

 

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神社からは、見晴らしのよい景色が一望できました。

 

湯川内温泉 かじか荘

  • 住所:鹿児島県出水市武本2060
  • TEL:0996-62-1535
  • 定休日:年中無休
  • 日帰り入浴:7:00〜21:00
  • 料金:300円 個室を借りる場合は800円(9:00-16:00) ※現在湯治場の営業を休止中ですが、2月中旬から再開予定(宿泊希望の方は宿までお問い合わせください)

 

 

5. 諏訪(すわ)温泉 諏訪の湯(薩摩川内市)

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300年以上の歴史がある諏訪温泉。古文書によると、1712年には、茅葺の小屋が建てられ、入湯銭を得て商売していたそうです。

近くには火山湖・藺牟田(いむた)池があり、その麓に湧いている温泉です。

 

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窓が広く取られているので、日の光がたっぷり差し込み明るい浴室です。

 

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湯船は2つ。左側の青みがかったお湯が「あつ湯」で源泉の温度46℃そのままのお湯です。右側の茶褐色のお湯が41~2℃の「ぬる湯」で、温度を下げるために少し加水しています。

泉質は含重曹食塩泉。温泉成分が濃く、鉄分や塩分、重曹などが大量に含まれており、古くから“百薬の湯”として親しまれています。

 

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この2つの湯船、源泉はどちらも同じでお湯の温度が違うだけですが、不思議とお湯の色が違います。その理由は鉄分にあります。鉄分の多く含まれる諏訪温泉は、加水して温度を下げるうちに酸化して「ぬる湯」が茶褐色になるのです。

熱い温度も平気な常連さんは、断然「あつ湯」の方が気持ちいいと言います。とはいえ、かなり熱いのでまずは「ぬる湯」で身体を慣らしましょう。

 

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温泉成分が濃いため、床全体が温泉成分で覆われています。

 

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朝の時間帯は特に日が差し込むので、湯煙に光が当たってキラキラしていました。朝の入浴は気持ちいいですね。

 

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看板猫のみーちゃん。気持ちよさそうに日向ぼっこしている姿をよく見かけます。

 

諏訪(すわ)温泉 諏訪の湯

  • 住所:鹿児島県薩摩川内市入来町浦之名8920
  • TEL:099-644-3472
  • 定休日:年中無休
  • 日帰り入浴:6:00~22:00
  • 料金:350円(土日、26日は250円) 個室利用は3時間1,620円~
  • URL:http://www.suwanoyu.co.jp/

 

6. 川内高城(せんだいたき)温泉 双葉屋・双葉旅館(薩摩川内市)

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川内高城温泉はその湯量の豊富さ、泉質の素晴らしさから全国名湯100選に入っています。鹿児島で選ばれているのは、指宿温泉、霧島温泉郷とここ川内高城温泉の3つです。

薩摩川内市の中心地から車で20分。静かな山里にひっそりとある川内高城温泉は、昔と変わらない街並みを残しています。この温泉街に来るたびに、私は大正か昭和の時代に来てしまったような錯覚を覚えるのです。

 

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さて、趣ある大正建築のこちらが今回ご紹介する双葉旅館。川内高城温泉には11軒の温泉施設がありますが、この記事では双葉屋と双葉旅館をご紹介します。(運営元は同じで、向かい合った場所に2軒あります)

双葉屋・双葉旅館には現在97歳、大正9年生まれのおばあちゃんがいらっしゃいます。おばあさんの話を受け継いだお孫さんから話を伺いました。

創業は、おばあちゃんの、ひいおじいちゃんの代に遡ります(おそらく1800年代前半~中頃)。井戸を掘ったら温泉が湧き出したそうで、それがこの双葉旅館の始まり。川内高城温泉の湯治湯第一号でもあります。

 

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双葉旅館で井戸を掘ったら温泉が湧いたので、場所を移して向かいの双葉屋のある場所で井戸を掘ったところまたしても温泉が湧いたそう!(現在は近くで川内高城温泉の共同の源泉が掘削され、そこからお湯を引いています)

 

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双葉旅館の浴室。
西郷隆盛がここで入浴したと伝えられており、西郷さんは川内高城温泉の泉質の良さ、気持ち良さを称えて「不老湯」という言葉を残してくれたそうです。それが壁に彫られています。

双葉旅館、双葉屋、どちらも浴室に使われているタイルがレトロで味わい深いです。昭和初期に改修されたタイルが現存しています。

 

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それ以前の明治、大正の時代には、浴槽には赤レンガが使われていたそうです。

 

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こちらは双葉荘の浴室。
双葉旅館、双葉荘どちらも泉質は同じで、雰囲気も似ています。どちらもアルカリ性単純硫黄泉のお湯で、とろとろの優しい肌触りです。

 

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初代の頃は、双葉旅館、双葉屋ともに茅葺の屋根だったそうですが、大正になり、お金が入ったら改修を繰り返していたのだとか。今では珍しい大正建築が見られます。ガラス窓など、当時のデザインのものです。

 

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川内高城温泉は、湯治場として栄えました。温泉は入浴したときの「極楽気分」が何よりの魅力ですが、同時に多くの病に苦しむ人を癒してきた場でもあります。

病院もほとんどない時代、湯治場にたどり着いた人々を、受け入れて、癒やし、元気になって帰るのを見送ってきました。インターネットなどもちろんないので、限られた情報を頼りに必死の思いでやってきたのでしょう。

おばあちゃんは、杖をついて湯治場にやってきた人を、木で作った担架などを使い、一生懸命に入浴介助をしていたそうです。元気になって杖を忘れて変えるお客さんもいたのだとか。

近代的設備の整った温泉を期待される方には、双葉屋、双葉旅館はおすすめではありません。
しかし、なんといってもこの抜群の泉質、そして昭和を通り越して大正のおもかげを感じられる温泉と建築、そして人情が残っていることは、本当に素晴らしいと思いました。

古き良き湯治場の面影を伝えてくれる双葉屋、双葉旅館、ぜひ後世に残り、語り継がれて欲しい温泉遺産でした。

 

川内高城温泉 双葉屋・双葉旅館

  • 住所:鹿児島県薩摩川内市湯田町6462(双葉屋)鹿児島県薩摩川内市湯田町6461(双葉旅館)
  • TEL:0996-28-0018(双葉屋)
  • 定休日:年中無休 ※事前に電話での確認をおすすめします。
  • 日帰り入浴:6:30~21:00
  • 料金: 250円(双葉屋・双葉旅館どちらも250円。両方利用する場合は500円)※双葉屋で受付します。
  • URL:https://www.sendaitakionsen.com/(川内高城温泉公式サイト)

 

 

7.紫尾温泉 共同湯(さつま町)

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紫尾山の麓にある紫尾温泉。6軒の温泉施設と産地直売所があるくらいの小さな山里の温泉街です。

 

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通りの奥には紫尾神社があります。温泉は、この神社の拝殿下から自噴しているのです。通称“神の湯”。湯量豊富な時には拝殿下から湧いているお湯が染みだして、神社がお湯浸しになることもあるのだとか。

江戸時代以前は、神社に勤める僧侶しか入浴できなかったそうですが、江戸時代頃から村人が入る施設ができたそうです。

 

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共同浴場は紫尾神社のすぐ隣。施設は2002年にリニューアルされました。屋根のデザインは神社をモチーフにしており、神社境内の木材を利用して建てたそうです。

由来やお湯について知ると、背筋が伸びるような霊験あらたかな温泉ですね。こころなしか、辺りの空気も澄んでいるように感じられます。

 

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紫尾温泉は“美肌の湯”として有名で、入浴すればこの言葉に納得します! とろりとした湯触りで、お湯に優しく包まれているようでとても気持ちがいいです。身体を洗っていると、「石鹸が落ちていないのかな?」と思う程ぬるぬる感が肌に残ります。

 

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PH9.4のアルカリ性単純硫黄泉で、透明なお湯に黒い湯の華が浮いています。まれに湯の華などの温泉成分でお湯が濁っている日があるのですが、これを地元の人は「神様が入浴した日」と呼んでいるのだとか。

 

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公衆浴場の外には、温泉水を汲む場所があります。ここの温泉水は大人気で、タンクやペットボトルを持って汲みに来る人の姿が見られます。

硫黄の濃い味がするので好き嫌いは分かれますが、聞いたところ温泉水を入れたペットボトルやタンクの口をあけて数日置いておくと硫黄っぽさが抜けて飲みやすくなるのだとか。

 

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施設横に足湯もありますよ。浴槽底に敷かれた玉石が、足裏を刺激してくれます。

 

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そして、紫尾温泉の秋の風物詩といえばこちら! あおし柿です。(あおす=渋を抜く)ここの温泉にシブ柿を一晩浸しておくと、温泉の効果でシブが抜けて甘くなるのです。この画像は私が去年秋に訪れた時にiphoneで撮影したものです。

 

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秋に紫尾温泉を訪れて、湯に気持ちよさそうに浮いているあおし柿を見つけると、秋の情緒を感じられて私は嬉しくなります。

 

紫尾温泉 紫尾区営大衆浴場

  • 住所:鹿児島県薩摩郡さつま町紫尾2165
  • TEL:0996-59-8975
  • 定休日:無休(年に一回は大掃除で休み。主に7月頃。)大晦日は早めに閉めて、翌日元旦は0時から営業。初詣後に入浴する人も多くいるそうです。
  • 日帰り入浴:5:00~21:30
  • 料金:大人200円(区民は100円) 個室か広間を利用する場合は1000円(8:30-16:30) 足湯、飲泉場の利用はお志を
  • URL:http://shibionsen.web.fc2.com/shibi_kuyu.html(紫尾温泉組合公式サイト)

 

8.吹上温泉 みどり荘(日置市)

吹上温泉の開湯は400年前と伝えられています。明治初期には西郷隆盛が滞在し、大正・昭和を代表する歌人である斎藤茂吉、吉田紘二郎ら文人が親しんだ湯治場でもあります。古くは“伊作(いざく)温泉”の名で親しまれていました。

 

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吹上温泉には5つの温泉施設がありますが、みどり荘は少し奥まった閑静な湖畔にある、豊かな自然に囲まれた宿。昭和7年創業で、入口の正門は歴史ある武家屋敷の門を移築したものです。

 

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宿の前には“みどり池”が広がり、この湖畔沿いに露天風呂や大浴場が並びます。季節の花々が咲き、鳥のさえずりが心地よく響く風光明媚な場所です。

 

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私が取材に訪れたのは、2月初頭の雪の降る日でしたが、みどり荘の広大な敷地には、梅や椿、水仙が咲いていました。

 

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さて、肝心の温泉ですが、まずこちらが大浴場です。自家源泉と吹上温泉の2つが引かれたお湯は、黒みがかった色合いで、気候・天候によっては緑色っぽくなるそう。黒い沈殿物(湯の花)で、浴槽全体が黒く染まっています。

 

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泉質はアルカリ性単純硫黄泉。加水、加温、消毒なしの源泉かけ流しです。滑らかな肌触りのお湯で、温度もほどよく、窓からみどり池を眺めながら入浴していると、時間がたつのも忘れてしまいます。

 

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お湯の色は、たらいにお湯を入れてみるとよくわかりますよ。

 

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そしてこちらが露天風呂です。自家源泉のみが注がれています。日中は木漏れ日の下で、夜は星空を見上げながら、自然に包まれているような入浴時間を過ごせます。

 

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お湯は無色透明。雨や雪が降った後などは、緑や黒にお湯の色が変化することもあるそう。

 

提供:みどり荘

提供:みどり荘

みどり荘は、泉質の素晴らしさはもちろんのこと、春の桜、初夏の紫陽花、秋の紅葉、冬の雪景色と、移ろいゆく自然の変化が豊かに感じられる場所。訪れる季節によって、全く違う風景が見られるのも魅力です。

 

提供:みどり荘

提供:みどり荘

この温泉は、できたら日帰り温泉で楽しむだけでなく、宿泊してのんびり過ごしてもらいたいです。日常の喧騒が洗い流され、五感が磨かれるような美しい情景が広がっています。

 

吹上温泉 みどり荘

  • 住所:鹿児島県日置市吹上町湯之浦910
  • TEL:099-296-2020
  • 定休日:不定休 ※事前に電話での確認をおすすめします。
  • 日帰り入浴:10:00-19:30
  • 料金: 600円 家族風呂は1時間850円。
  • URL:https://www.midorisou.com/

 

9.【温泉上級者向け】セランマ温泉 保養センター(口之島)

離島の数が全国で2番目に多い鹿児島。島にも素晴らしい秘湯がたくさんあるのです。アクセスしづらい場所にあるからこそ、人の手の入りすぎていない秘湯らしさがあります。

硫黄島の東温泉や、屋久島の平内海中温泉や尾之間温泉など、過去SPOTで紹介してまいりました。そして、奄美大島と屋久島の間には、7つの有人島と5つの無人島から成るトカラ列島があり、そのほとんどの島で温泉が湧いています。

今回は、口之島のセランマ温泉をご紹介します。

 

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口之島へ行くには、鹿児島港から「フェリーとしま」に乗船します。飛行機でアクセスできない上に、フェリーも週2~3便しか出ていないため“最も行きづらい秘境”などと呼ばれています。

フェリーの乗船時間は23時。夜の海に映る街の灯りを見ながらの出発は、これぞ旅情といった雰囲気。

 

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約6時間の船旅を経て、朝の5:15に口之島にたどり着きます。

セランマ温泉は、港近くの口之島コミュニティーセンターで、温泉施設の鍵を借りてから行きましょう。車で20~30分ほどかかります。

 

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途中、野生牛のいるエリアを通り抜けます。はい、野生の牛です。野生牛のいるエリアに入る道にはゲートがありますので、自分で開閉して進みましょう。野生牛が住民の住むエリアに出ないようにするものなので、くれぐれも閉め忘れ等ないようにお気を付けください。

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けっこうワイルドな風貌ですが、臆病で大人しいそうなので、そっと刺激しないように通り過ぎましょう。

 

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山道を通り、野生牛のいるエリアを抜け、たどり着くセランマ温泉。道中は、冒険気分が味わえて楽しいです。施設は、2014年に新しくなりました。

 

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こちらが露天風呂。自分で蛇口をひねって温泉を出し入浴します。源泉の温度が65.8℃と熱めなので、加水するなどして温度調整する必要がありますね。

泉質は硫酸塩泉で、傷に効くと言われています。島独自の澄んだ空気の中、入浴するのは極楽気分です。ほとんど人が来ることもないので、誰にも気兼ねせずゆっくり過ごせます。

 

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施設が新しくなる前は、野趣満天の露天風呂だったセランマ温泉。施設周辺は、源泉が川に流れ込み、あたりを緑っぽく染めています。

 

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川の水と源泉が混ざり合って程よい温度の場所があるので、野天風呂を楽しみたい人は、いい場所を探してみて下さい。

 

セランマ温泉保養センター

  • 住所:鹿児島郡十島村口之島セランマ浜487番地
  • TEL:09912-2-2238(口之島コミュニティセンター)
  • 定休日:年中無休(※口之島コミュニティセンターで施設の鍵を借りる必要があります。事前の電話連絡がおすすめです)
  • 日帰り入浴:9:00-17:00
  • 料金:200円

 

ダイジェスト

最後に、ご紹介した温泉をもう一度振り返ります!

 

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熱めの硫黄泉と、冷たい炭酸泉の交互浴が心地よい「霧島湯之谷温泉 湯之谷山荘」

 

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鹿児島でトップクラスに酸性度の強い硫黄泉の「栗野岳温泉 南洲館」

 

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静かな山奥にあり、岩の間から適温の温泉が湧いている「白木川内温泉 山荘」

 

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心まで洗われるような「湯川内温泉 かじか荘」のお湯は、澄み切っていて、ターコイズブルーのような色合い。

 

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「 諏訪(すわ)温泉 諏訪の湯」は、鉄分や塩分、重曹など、温泉成分が大量に含まれたお湯で、“百薬の湯”と親しまれています。

 

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「川内高城温泉」は、古き良き湯治場の情緒を残しています。温泉街入口にある「双葉荘・双葉旅館」は、レトロな大正建築が素敵です。

 

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「紫尾温泉 共同湯」は、神社境内から湧き出している霊験あらたかなお湯を引いています。とろりとした感触のお湯は“美肌の湯”として有名。

 

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黒い湯の花が舞う「吹上温泉 みどり荘」。四季折々の風景に彩られた湖畔の風景が、とても美しい場所です。

 

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海沿いの道を走り、山道を抜け、野生牛の横を通り過ぎてたどり着く「セランマ温泉 保養センター」。源泉があたりの川を染めています。

 

さいごに

秘湯の旅、行ってみたくなってきたのではないでしょうか?

周辺で買い物できるところもほとんどなく、設備が充実している所も少ないですが、日常の喧騒から逃れた静かな土地で、最高の泉質の温泉に何度も浸かって過ごす秘湯旅は、何よりの贅沢なのではないでしょうか。

静かな秘湯への旅へ、ぜひ出かけてみて下さい。

取材・撮影:ちえ(@kirishimaonsen)

\ 現場で取材した“生”の体験をレビューするメディア /

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